ギーツ&龍騎IF   作:巽★敬

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すみません。本当は今回でタイクーンと龍騎の決着を付けたかったのですが非常に長文になる為、予定してた冒頭部分だけを掲載します。
戦闘シーンではないのでご了承下さい。


龍騎 vs タイクーン 4「決戦前夜」

 時を戻して決戦前夜

 

 とあるビルの屋上。 真司は神妙な面持ちで英寿達に会っていた。

 

「アンタは...」

「俺は城戸真司。仮面ライダー龍騎。君たちには桜井景和君の知り合い、って言えば良いかな?」

 

 変身前での顔合わせは初めてだが、実際ライダーとしての姿を目の当たりにした道長と祢音は直ぐに真司の名乗りに納得。英寿も景和から話だけは聞いている。

 

「なるほど、タイクーンが言ってた凄いライダーってのはアンタの事らしいな。それで、何か用か?」

「聞かせてほしいんだ。景和君が今どういう状況に置かれているのか」

「!」

「これでも20年ジャーナリストやっていてな。デザイアグランプリの事は大体把握している。調べを進めている内に君たちに辿り着いたんだ」

 

 一介のジャーナリストでしかない真司がここまで調査出来たのには一定の理由が存在する。

 運営はこれまでデザグラの存在がメディアに露呈されぬ様、大勢のスポンサーや政治家と結託して厳重な情報統制をしていたが、エグゼクティブプロデューサーであるスエルがグランドエンドを決行して以降、運営は政府と手を切った。

 街に怪物を放ち人の命を弄ぶゲーム運営に手を貸した等と知られれば、身の破滅は避けられない。

残された政府も保身の為にデザグラスポンサーとの関係をアッサリと縁を切る。

 祢音の父、鞍馬光聖を含めた大勢のスポンサーが逮捕された事で、現在ではジャマトがメディアに露出され始めている。

 真司は捕まった元デザグラスポンサーを手あたり次第に面会し聞き込み調査を行った。

20年培ってきた取材力と多彩な情報網を使えば、デザグラの参加者の調べも直ぐにつくと言う訳だ。

 

 真司がここへ辿り着いた理由は納得するが、英寿は尚も神妙な面持ちで真司を見る。

 

「聞いてどうする。記事のネタにでもする気か?」

「彼と直接話がしたい」

「.........」

 

 その言葉で英寿は真司に興味が湧いてきた。彼の表情がこれまでであって来た記者と全く違う表情をしていたからだ。

 スター・オブ・ザ・スターズ・オブ・ザ・スターズとして活躍を始めてからメディアの取材は山の様に経験してきた。皆あくまで仕事として聞き込みだと言う事は表情だけで判別できたが、

真司の目は純粋に一人の人間に対しての気遣いが感じられる。

 

何よりも”長年の経験で培ってきた勘”が真司は信頼出来ると囁くのだ。

 

「少し長くなるぞ」

 

 そう言って英寿は景和が今に至る経緯を打ち明けた。

 

 真司が把握している情報は以下の通り。

仮面ライダーとなり自らの願いを叶えるデザイアグランプリと言うゲームが存在する事。

運営に出資しているスポンサーが大勢いて既に何人か顔も割れている事。

遥か未来からやって来た未来人が運営管理、そしてオーディエンスが居る事。

そして詳細まで掴めてはないが、参加者の願いを叶える力を持つ創生の女神なる存在が居た事。

 

 後はこれに英寿達が把握している状況を順を追って付け足すだけだ。

 

 創生の女神が英寿の母親、ミツメであった事。

 そのおかげで自分が2000年もの間輪廻転生を繰り返した事。

この話は今必要か怪しいが、歳の差、と言うより生きた時間の差はそれだけで他人との価値観を大きく乖離させてしまう。景和が英寿に疑心暗鬼になってる以上、彼の気持ちを理解する為に出来る限り情報を与えた方が良いと判断した。

初めて聞いた時は一瞬面を喰らう物の、真司は冷静に英寿の話に耳を傾ける。

 

 そしてミツメが死に絶え、運営がツムリと言う女性を第二の女神に仕立てようとする事。

 ミツメの死の直前に、創生の力の一部を英寿が受け継いだこと。

 景和の姉・沙羅が敵の策略にはまり、死亡した事。

 運営がツムリを完全な女神に覚醒させる為に、運営が英寿を始末しようとしてる事。

 

 愛する家族を蘇らせる為に、景和が運営と協力し英寿を亡き者にしようとしてる事。

 

そして、英寿を倒さずとも沙羅が蘇らせる方法がある事。

 

 それは沙羅が死ぬ切欠を作った五十鈴大智と言う人物が作った「知恵の樹」にヒントが隠されていた。全人類の知能を欲した大智の知恵の樹には、彼の手に堕ちた人間たちの記憶が蓄積されている。

 そこに大智が作成した血清をかけると言う物。

復讐鬼と化した景和により徹底的に叩きのめされた大智はすっかり戦意を喪失している。

 事の発端である本人の口から聞いた方法なので確証が有る訳ではないが、それでも試しもせず英寿とツムリを犠牲にするよりかはマシだ。

 

問題は景和が敵愾心を露わに聞く耳を持たない事である。

 

 こうして自分らの持ち得る情報を全て打ち明かした英寿達。

 大分情報量が多いが大まかな状況は把握出来た。

 話を聞き終えた真司は改めて景和の説得を自分に任せる様頼みこんだ。

 

「君たちが戦う前に俺も景和君に会うよ。もし説得が失敗したら、後は頼む...」

「アンタがどうしてもって言うなら止めはしない。俺達もタイクーンとの戦いは出来れば避けたいからな。だがその前に一つ聞かせてくれ」

 

 と、ここへ英寿が質問する。

 

「アンタ今、ライダーになれるのか?」

「.................」

 

 無言。バツの悪い表情。それだけで真司の現状をこの場に居る誰もが把握出来た。

 

「え、嘘。丸腰で行こうとしたの!?」

「幾ら何でも無謀過ぎだろ...」

 

 景和は今ギャングライダーズのボスであり、大量のオーディエンス、更にはジット率いるデザグラ運営すら味方につけている。

ライダーにもなれない一般人がアジトへ乗り込めば下っ端達からどんな目にあわされる事か。

それに幾ら真司を慕っていると言っても今の精神状態で話し合いに応じる保証もない。

 流石に真司に直接危害を加えるとまでは思えないが、何らかの妨害は覚悟しとくべきだろう。

 

 祢音と道長があまりに向見ずだと声を漏らす一方で、英寿は冷静に真司の経過を察する。

 

「やっぱりな。アンタの力は世界が作り変わった事でリセットされた。デザロアやタイクーンの事を思い出したのもつい最近だろ? グランドエンド後のライダー達の記憶は全て俺が元通りにしたからな」

「.....以前持ってたカードデッキは、あのコラスとか言う男から貰った物だったんだ。記憶が消えてたのもそれが関係してたのかもな....」

 

 真司は自分がデザロアと関わった経緯を語りだした。

 

 コラスとは、嘗てデザイアグランプリのゲームマスターだった男である。

 半年前に前ゲームマスターであるギロリ率いる運営を突如掌握。大規模闘争によるデスゲームこそ素晴らしきエンターテイメントだと言う危険思想を持ち、英寿達を巻き込んで生き残りを賭けたデザイアロアイアルを開催したのである。

 その中には真司の龍騎の様にデザイアライダーとは違う技術で戦うライダーも複数人参加していた。

 

 真司の話によると、コラスはギロリ等と接触する前「デザイアロアイアルの予選」と称して密かにライダーバトルを行っていたらしい。

 

 真司はそこでデッキを譲渡されバトルに強制参加させられてたと言う。

 戦いの最中で真司は自分によく似たあの黒いライダーに取り込まれ、英寿達の戦いの最中に戦友に救い出されたのだ。

 既に存在しない歴史の中で生産されたカードデッキをどんな技術で複製したのかは不明だが、コラスが元ゲームマスターである以上、デザグラの技術も取り入れてカードデッキが作成された可能性はある。

 デザ神が決まる度に世界は作り変わり人々の記憶はリセットされる。

ライダーですら再配布されたIDコアに触れない限りデザロアに関する記憶は思い出せないのだ。

 世界改変と共に真司の記憶が消失するのも納得が行く。

 

 丸腰が危険なのは十分承知の上だ。それでも真司の意思は固かった。

 

「けど、例えライダーになれなくたって俺は彼を止めたい!このままじゃ景和君は....」

「何でアンタが奴にそこまでするんだ? 一回しか会った事ないんだろ?」

「それは、話せばまた長くなるんだが.....」

 

 道長の質問に何処から話すか悩む真司。

そんな時、英寿が「龍騎」と声をかけて来る。

 

「手を出してくれ」

 

 言われた通り手のひらを差し出す真司。すると英寿は真司の手の上に自らの手を翳した。

次の瞬間、二人の手の間に眩い光が発生。眩しさで一瞬目を反らし輝きが止んだと思えば、

真司は更に目を丸くした。 自分の手の平にある物が置かれていたのだ。

 

 龍騎のカードデッキである。

 

 しかも紋章が描かれてる事からドラグレッダーとも契約済みである事が解る。

呆気に取られながらも突如顕現したデッキを凝視する真司に英寿は言う。

 

「アンタのだろ? デザロアで使ってた物よりパワーアップされてる筈だ」

「ま、待てよ。俺はあくまで話し合いに行くだけで...」

「本当にそうか? 俺の力は誰かが強く願うほど効力を発揮するんだ。そのデッキを作れたのはアンタが ”力ずくでもタイクーンを止めたい”と願ってる何よりの証拠だ」

「...」

「タイクーンには大勢の取り巻きがついている。護身用に持ってても損は無い」

「半端無いんだな...創生の力って奴は....」

「その半端ない力をどう使うかは自分次第だ。ライダーの力だって使い方次第で凶器にもなれば、誰かの幸せを守る事も出来る。 アンタも嘗てはそんな戦いをしてきたんじゃないのか? 仮面ライダー龍騎」

「........」

 

初対面なのにそこまで見透かされるとは。真司は何とも不思議な気分だった。

見た目は年下なのにこの青年から感じるとてつもない威厳と頼しさ。伊達に2000年もの人生は歩んでない様だ。

 そして今重要なのは、初対面なのにこうして自分を信じ顧慮してくれた事に感謝すべきだろう。

 

「恩に着るよ」

 

 礼を言い、今までより一層真剣な表情でこの場を去る真司。

無言で見送る英寿に対し祢音が質問する。

 

「良かったの英寿?あの人に行かせて」

「向こうが望んだ事だ」

 

 短く返答する英寿。

 あの城戸真司と言う男が何故あそこまで景和に拘るのか、どんな過去を持っているのかまでは知らない。

 最も、"先日力を与えた人物が同じようなデッキを使ってた"事を考えるとどんな戦いをして来たのか大まかな想像はつく。

 そして真司の目は間違いなく、誰かの幸せを願う為に戦う戦士の目だった。ゲームマスターの以降に背き、只管人々の為に命を掛けて抗う男。

 誰かの幸せの為に運営に牙を向いてる自分とシンパシーを感じる。

 それだけでも力を貸すには十分過ぎる理由である。

 

「それに気になるんだよ。彼がタイクーンにどんな言葉をかけるのか.....」

 

 タイクーンを止めたい意思を託した英寿は夜の闇へと消えていく真司の後ろ姿を遠い目で見送った。

 

 

 

 





 コラスはデザロアの予選を開いてて真司はそれに参加させられていた。
これだけでも1本のエピソードになりそうですが本編を進めたいのでここを深堀りした話を書く予定は今の所ありません。

 また今回は「 ナーゴとべロバの戦いにナイトが乱入する話」とも繋がる要素を入れておきました。
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