未完の16inch   作:ミヤフジ

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WarTendar軍艦実装はよ。


2話

遥彼方まで広がり続ける南海の海。

コバルトブルーやエメラルドグリーンに染まった大海の上を2隻の大型船舶が悠々と波をかき分け進んで行く。

もし普通の一般人ならばこの2隻の大型船舶を単に軍艦としか分からないだろう。

がしかし、ある程度知識のある者達が見たならばこの船舶の存在を目を見開いて疑っただろう。

遠き水平線を睨みつける巨砲、16inch40.6cm連装砲5基10門。

一撃必殺の威力を持った61cm魚雷発射管8門。

片舷8基合計16門の14cm単相砲。

大空を弾幕で埋め尽くす無数の対空兵装。

 

 

『天城型巡航戦艦』

 

 

最大速力30ノット

航続距離8000海里

最大装甲厚330mm

金剛型高速戦艦の後継として建造されるはずだった怪物戦艦。

しかし海軍軍縮条約の執行で急遽空母に改装、果には地震で竜骨が折れて除籍、解体という、不運の戦艦。

 

もう一隻の戦艦は長門型の後継として建造されるはずだった怪物戦艦

 

 

『加賀型巡航戦艦』

 

 

天城型以上のスペックを誇る怪物戦艦も、海軍軍縮条約で廃艦にされるなど不運の戦艦だろう。

そんな2隻の戦艦の一番主砲塔の上に、二人の少女達が佇んでいる。

彼女達以外に人影は居ない。

そもそも、大海に浮かぶこの巨城には彼女達以外は存在すらしない。

何故なら彼女達自身人ではないのだから。

 

『艦娘』

 

近年七つの大海に出現し始めた人類を脅かす異形の怪物

 

『深海棲艦』

 

と同時期に現れた唯一深海棲艦対抗出来うる存在。

それが彼女達『艦娘』だ。

彼女達は先の大戦で活躍した軍艦が人型として出現したものだ。

そんな艦娘の中でも完成すらしなかった彼女達は艦娘としても異形、所詮イレギュラーと呼ばれる存在なのだろう。

そんな事も懸念している彼女、『天城型巡航戦艦一番艦 天城』はこの世界に生まれて直ぐに脳内に与えられた知識、特に深海棲艦や艦娘に対して思いを馳せていた。

 

 

「天姉(あまねぇ)どうしたの?」

 

 

そんな彼女を心配したのか、もう1人の少女『加賀型巡航戦艦二番艦 土佐』は天城に声をかける。

土佐と天城は姉妹艦でも、ましてや同じ戦場で沈んだ訳でもない。

共通点が有るとすれば、彼女達の姉妹が『一航戦』として日ノ本を護るために活躍していた事ぐらいだろう。

そんな彼女達が何故姉妹の様に一緒に居るかといえば、前世からずっと一緒に居たからだ。

除籍され廃艦にされてもなお、彼女達の魂はついえなかった。

姉妹達の活躍を誇りながらも、傍に立てぬ悔しさが、姉妹を守れなかった後悔が、彼女達の『天城』『土佐』としての魂を前世にとどまらせた。

あの八月のきのこ雲を、焼け野原となった帝都を、そしてたった数十年で復興した日ノ本を、彼女達は魂が色褪せ、擦り切れるまで寄り添い、見守り続けた。

奇しくも、開戦からミッドウェーまで、姉妹の様に戦い続けた姉妹艦の『赤城』や『加賀』の様に。

そうしてこと切れたと思っていたら気がついたら海の上。

それ以前の記憶もなく、何故かこの世界の知識をもちながら今現在の通り宛もなくさ迷っているのだ。

天城はこの世界でどうするか、それこそ土佐の声が聞こえないほど考えていた。

 

 

「ねぇ本当に大丈夫、天姉?」

 

 

天城の心境をつゆ知らず、子供の様に無垢な瞳に不安を写しながら再度尋ねる土佐。

流石に今度は聞こえたのか土佐に向き直り、そして己が思っていたより深く考え事をしていたことに苦笑しながら天城は心配そうにしている可愛い義妹(いもうと)の頭を撫でる。

 

 

「大丈夫よ土佐。

ただ考え事をしていただけだから。」

 

 

「考え事?いったい何の?」

 

 

この子は天然なのかしらと、天城は再度苦笑する。

 

 

「今後の事。

今のままじゃ船体の整備も出来ないし、このままじゃ燃料も尽きてしまうわ。

それに今の知識だけじゃ、とても不足しているからあの深海棲艦っていうのにいつ殺られるかも分からないし…………」

 

 

頭に入っている知識は全てではない。

まるで虫に喰われた地図の様に所々大きな穴が空いている。

これは土佐の持っている知識と比べて分かっている事だ。

だからこそ、穴が空いている部分の出来事に遭遇した場合、一度も実戦どころかまともな航海も経験したことのない自分達にはとても対処出来るとは思えない。

 

 

「そうだね天姉。

取り敢えず島でもあれば船体を消して上陸出来るんだけど。」

 

 

艦娘の使っている軍艦の船体は彼女達の意識1つで出し入れ出来る。

その長所があるからこそ、比較的小さな鎮守府でも多くの戦力を保有出来るのだ。

しかし今現在、360度何処を見渡してみても陸どころか島影すら見えない。

天城も土佐もほとほと困り果てていた。

そんな不運な彼女達だが、不運が一周して幸運になったらしい。

彼女達の届かぬ遥上空を、一機の航空機が飛びさって行った。

天城達がこれに気づくことはない。

そうして、航空機はその機体をゴマ粒の様に小さくしながら天城達から離れていく。

それを放った主の元へと帰還するために。

それが天城達にとって幸運なのか、不運なのか、今の彼女達には知るよしもない。

だがそれでも、進み出した歯車は止まることなく回り始める。

 

 







九七艦攻って可愛くない?

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