未完の16inch   作:ミヤフジ

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やっと流星アンロックしました天鴉です。
そしてビス子建造失敗20敗の天鴉です…………





3話

大海よりはるか上空約3000メートル。

巨大な積乱雲の雲々の合間をまるで鳥のように縫うようにして自由自在に飛んでいく。

左へ右へ、上昇下降思いのままに飛ぶ感覚が、彼女は何時も好きだった。

別に彼女自身が飛んでいるわけではない。

彼女の飛ばした艦載機の見える感覚をリアルタイムで共有しているに過ぎないのだが、それでも彼女は大空を飛べる感覚が好きだった。

 

 

「どうじゃ瑞鳳、あやつらに何か進展はあったかの?」

 

 

不意に後ろから声をかけられる。

普段から独特な言葉遣いの彼女、利根型一等巡洋艦『利根(とね)』は若干半眼になりつつもこちらを見ていた。

どうやら思いのほか空を飛べる感覚を楽しみ過ぎてかなり時間がたっていたようだ。

彼女、軽空母『瑞鳳(ずいほう)』は単縦陣、それも真後ろにいた利根の事を今の今まで忘れていた。

最早乾いた笑いしか出ない。

瑞鳳は改めて利根を見る。

妙高型を改良して作られた最新鋭一等巡洋艦『利根』。

水上機運用能力を高める為に主砲4基を艦首に集中配備した独特な艦影。

利根自身も、ツインテールをリボンで結び、主砲艤装を右半身に集中配備している。

スタイルも戦艦や正規空母には負けるがそれでも十分整っている。

それに比べて自分はどうか。

元が潜水母艦として作られ、空母に改装されたが飛鷹型よりましな程度な装甲。

スタイルもどちらかといえば幼児体型。

自分で自分を貶めて凹んでしまう瑞鳳。

現在進行形で無視されている利根も呆れてしまう程の豹変ぶりだ。

 

 

「瑞鳳!おい瑞鳳!!

おんしは何時まで考え込んどるか!

いい加減戻って来ないか!」

 

 

利根に叱られてようやく現実に戻ってきた瑞鳳。

しかしダメージが大きいのか顔色が悪い。

 

 

「ご、ごめん利根!

それで、何の話だっけ?」

 

 

「…………呆れた奴じゃのぅ」

 

 

瑞鳳の天然(アホ)っぷりにつくづくため息が止まらない利根。

瑞鳳と同期として、まだ開府して間もない鎮守府に着任してからずっとペアで艦隊を組んで居るが、たまに瑞鳳が犯す天然っぷりは最早利根にとって日常茶飯事だった。

ただ、それでもため息は出てしまうのだが。

 

 

「だからのぅ、先日イムヤ達から新型の深海棲艦らしき戦艦二隻が鎮守府方向に来ておるからお主の艦載機で詳細を偵察、報告しろと言われたじゃろ。」

 

 

まさか全部忘れた訳では無いだろうの?

暗にそうつげる利根。

もちろん、瑞鳳とて一端の艦娘、任務を忘れるなど到底無い。

 

 

「忘れてなんかないわよ!

だいたい九七艦攻を偵察に出したの利根も見てたでしょ!

不明艦もちゃんと確認出来たし、九七艦攻が戻ってくれば妖精さんが写真を撮っているから。」

 

 

「ならいいんじゃが…………

確か今日の秘書艦は時雨じゃったの。

あーあー時雨、聞こえておるかの?」

 

 

利根は艤装の中から無線機を取り出すと鎮守府に向けて連絡を始める。

元々、不明艦の詳細を調べるだけが今回の任務だ。

鎮守府に連絡し終えれば追加で任務がない限りこのまま帰島する事になっている。

 

 

「はい時雨です。

どうしました利根さん?

提示連絡にはまだ早いけど……」

 

 

「瑞鳳から報告じゃ、不明艦二隻の偵察に成功したそうじゃ。

これから詳細……とまではいかぬが報告したいのじゃが提督は居るかの?」

 

 

利根は無線越しに瞬く間に緊張感が張り詰めるのを感じた。

今回の事は利根や瑞鳳達の居る鎮守府にとって軽視出来ない事案だった。

それからしばらく雑音が無線機越しに聞こえてくる。

何かを蹴る音、コケる音、ドアが開く音閉まる音、紙をめくる音ペンを取る音。

恐らく向こうには鎮守府唯一の主戦力である『赤城(あかぎ)』や『加賀(かが)』も来ているのだろう。

かれこれ数分待つと相手側からの雑音がおとなしくなった。

どうやら相手側も準備が出来たらしい。

 

 

「利根、こっちも準備が出来た。

どんな事でもいい、少しでも詳細を多く報告してくれ。」

 

 

「ほぉ、提督自らとは珍しいの。

てっきり時雨に任せて聞いているだけかと思っておったが。」

 

 

「事案が事案だからな。」

 

 

提督と呼ばれた男、彼は正しく利根や瑞鳳達が所属している鎮守府の最高責任者だ。

もっとも、彼は基本的に艦娘の自主性を尊重しているので、こう言った現場との連絡も秘書艦となった艦娘に任せている。

 

 

「どうせ赤城や加賀もおるんじゃろ?

これから瑞鳳に変わるが質問は瑞鳳に頼むぞ。

吾輩もまだ聞いておらんからの。

それじゃ瑞鳳、後は任せたぞ。」

 

 

早々に無線を切り上げる利根。

耳から抜いた無線機を瑞鳳に放り投げる。

一応防水加工されているが海に落ちたならば、それこそ砂漠から砂一粒探すが如く見つけるのはほぼ不可能だろう。

だからか放り投げられた無線機を大慌てでキャッチする瑞鳳。

 

 

「ちょっと利根投げるなんて危ないじゃない!」

 

 

瑞鳳に何か言われても我感せずとばかりにそっぽを向く利根に、瑞鳳はまたご立腹の様子。

そんな事を知ってか知らずか、提督は報告を催促してくる。

 

 

「瑞鳳、報告はまだか?」

 

 

「え、あっはい!

九七妖精(九七式艦上攻撃機の妖精)とリンクして確認し、一般的なル級やタ級とは殆ど形状からして違いました。」

 

 

「他の鎮守府で噂のエリートやフラッグシップの可能性は?」

 

 

「それはありえないです。

噂のエリートやフラッグシップは船体に赤や金色のバイタルパターンが入っているので一目で分かります。

二隻共その様なものはありませんでした。」

 

 

「と言う事は完全な新型か?」

 

 

「その可能性も捨てきれませんが…………」

 

 

急に口篭る瑞鳳。

提督もそれの意味を理解した。

 

 

「あの二隻が艦娘である…………と?」

 

 

「はい、主砲の天板にそれぞれ人影が確認出来ました。

それもル級やタ級のような容姿ではなくれっきとした艦娘の容姿でした。

流石に細部までは分かりませんでしたが。」

 

 

「そうか…………」

 

 

二隻の艦娘のような不明艦。

鎮守府に対する危険度が、深海棲艦じゃないとして少し下がるが、それでも目的が分からない以上鎮守府が危険じゃないとは言えない。

提督も、傍に居るであろう赤城や加賀も理解していた。

 

 

「それで瑞鳳、その二隻はどんな艦影なんだ?」

 

 

少しでも詳細を知ろうと二隻の艦影を聞いて来る提督。

 

 

「あ、はい。

二隻共戦艦級、それも長門型以上の大きさです。

艦橋も煙突も長門型に近いんですが…………」

 

 

「どうした?

報告は正確に頼むぞ。」

 

 

「いえ、それがなんか変なんですよね二隻共。

艦影は長門型に近いんですが前部主砲二基、後部主砲が三基ありますし、」

 

 

「ちょっと待て三基じゃと?

扶桑型や伊勢型の見間違いではないのかの?」

 

 

瑞鳳の報告に初めて利根が反応した。

それも仕方ないだろう。

現在艦娘として存在する戦艦の中で、主砲を五基以上あるのは扶桑型だけ。

それ以外では改扶桑型の伊勢型が扶桑型に近い艦影で見間違う事もあるぐらいで、他には存在しない。

 

 

「いえ、私も初めはそう思ったんだけど、艦尾に魚雷発射管みたいな物もあったし、何より扶桑型や伊勢型が30ノットも出るわけ無いでしょ?」

 

 

「30ノットじゃと(だと)!?」

 

 

「は、はい、14ノットから少しずつ上がっていって、妖精さんの話だと30ノットは出ていたと。」

 

 

30ノットと言えば、高速戦艦として名を馳せる金剛型と同等の速度。

比較で言えば当時世界最速の駆逐艦『島風(しまかぜ)』が約40ノットなので、かなりの早さだと分かる。

 

 

「………………瑞鳳さん」

 

 

今まで口を挟まなかった赤城の声が聞こえて来る。

背後の雑音から提督の文句が聞こえるので恐らくは無線機を提督から奪ったのだろう。

 

 

「はい何ですか赤城さん?」

 

 

「…………今言ったことは本当なの?」

 

 

少し赤城の声が震え上擦っている。

いつも冷静な赤城が珍しい…………瑞鳳はふと思ってしまった。

 

 

「…………瑞鳳さん、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その二隻に会ってきてくれませんか?」

 

 

 

 

「「「へ?」」」

 

 






艦これのライトノベルを読んだらこうなった。
後悔も反省もしている。

どうも、天鴉です。
艦これ熱が再発、ISそっちのけでで書いてます(笑)
個人的には『鶴翼の絆』より『陽炎、抜錨します!』の方が好きです。
陽炎ちゃんマジ幼馴染みダロ…………
誰かこれでss書いてくれ…………

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