ヒーローガールは異物入り   作:数多 命

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出力、してしまった・・・・!!(切腹)
ひろプリは現在履修中なので、突っ込みどころがあってもご容赦ください。


カバトン編
偽物の始まり


――――ここは、天空に浮かぶ国『スカイランド』。

人と鳥とが手を取り合い、平和を享受している。

 

「ほわぁー・・・・!」

 

そんなスカイランドの、王都上空。

人や荷物の運搬を生業とする鳥の上から、絢爛な都を見下ろす女性が一人。

 

「ネエちゃん、あんまり身を乗り出さんといてやー!」

「ああ、ごめんなさい。いよいよだと思うと、つい」

「ははは!まあ分かるでぇ、何より今日は祭りやさかい!」

「祭り?」

「おうよ!」

 

首をかしげる彼女へ、鳥は景気よく城をさして。

 

「国王夫妻の、だーいじな一番星!御姫様のお誕生日なんや!」

 

彼の言葉に、ふと眼下を見てみれば。

なるほど、確かに。

城下町の至る所で、屋台や横断幕が張られているのが見えた。

 

「なるほど、それはおめでたいことです!」

「やろー?ネエちゃんも、今日はのんびり観光でもしたらどうやー?」

「そうですねぇ、少し覗いてみてもいいかもしれません」

 

大きなリュックを背負いなおしながら、胸を躍らせていた時だった。

どおん、と大きな音。

花火かと思って、顔を上げるとどうも様子がおかしい。

どう見ても、城のバルコニーらしき場所で、煙が上がっている。

 

「えらいこっちゃ・・・・!」

「ッスピード上げてもらえますか!?」

「ええっ、嘴突っ込む気かいな!?」

「はいっ!!」

 

素っ頓狂な声に、はきはき答える女性。

 

「ここで退いたら、自分が自分で無くなるので!」

「~~~~ッ、しっかり掴まってやー!」

「ありがとうございます!」

 

女性の表情を見て、鳥も腹を決めた様だ。

彼女がしっかり掴まったのを確かめて、速度を上げる。

城下町の空を駆け抜ける最中、大柄な男が爆走しているのが見えた。

 

「あれか・・・・!」

 

鳥もそちらを見ていたのか、追いやすい場所で降ろしてくれた。

 

「気ぃ付けてなー!ネエちゃん!」

「はい!あなたも気を付けて!」

 

挨拶もそこそこに、リュックを降ろして振り返る。

人々が上げている悲鳴のお陰で、下手人がどこにいるのかよく分かった。

 

「――――行かねば」

 

女性は、ソラ・ハレワタールは。

携えた剣に手をかけて、走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――この世界で目覚めて、最初に抱いた感情は。

 

 

 

 

 

 

 

絶望だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

民家の屋根と壁を伝いながら、街中を駆け抜けていく。

 

(あいつは・・・・いた!)

「っと・・・・!」

 

怪しい男に注視していた所為で、頭をぶつけそうになりながらも。

速度を落とさない。

ふと、男が何かを持っていることに気が付いた。

それがシャボン玉で、中に赤ん坊が入っていることに気が付いて。

 

「・・・・ッ!」

 

ソラの表情が、引き締まる。

 

「ここで食い止めろぉー!!」

「止まれえええええええッ!!」

 

兵士達も、勤めを果たさんとしているが。

 

「邪魔なのねーん!!」

「ぐあああああああ!!」

 

男の方が、何倍も上手の様だった。

 

(あの巨体による突進、厄介な・・・・)

 

目を細めて、少し思案。

大体予想出来る男の目的と、彼の進行方向を予想して。

 

「・・・・ッ!」

 

一層強く踏み込んで、加速する。

 

「――――絶対に通すな!!」

「プリンセスを取り戻せ!!」

 

王都、関門。

兵士たちがスクラムを組んで、待ち構えている。

大柄な男が、土煙を上げて猛然と爆進してくるのが見えた。

険しい顔で、体を固めて構えたが。

 

「オッラァ!!!!」

――――うわああああああッ!!

 

無意味に終わってしまった。

 

「ひっひひひひ、このままアンダーグ帝国まで・・・・」

 

王都を飛び出し、怪しげな笑みを浮かべた時だった。

 

「んんー?」

 

進行方向に、誰かが立っている。

強い視線でこちらをまっすぐ射貫いてくる、女だ。

 

「何者なのねん!?ぶっとばされたくなかったら、そこをどくのねーん!!」

 

ゴン太のうでを振り回して、脅しにかかるも。

女は黙って、剣に手をかけて。

あろうことか、向かってきた。

 

「生意気なのねん!望み通りぶっ飛ばしてやる!」

 

こちらも加速する、あちらも加速する。

互いに土煙をあげて、トップスピードに乗る。

女が、ソラが。

剣を抜こうとするのが見える。

 

(切りかかってくるか!上等なのねん!)

 

見え透いたものだと、男がにやりと笑うが。

ソラは予想に反して、鞘ごと柄を突き付けた。

ボカンッ!!と、派手な音を立てて。

男の顎が殴り抜かれる。

 

「ぐべえぇッッ!?」

 

眼前に星が舞い、顔面から切り揉みして倒れ伏す男。

彼の巨体を避けながら、ソラは空いた片手を素早く伸ばして。

 

「ふっ!」

 

シャボン玉に入れられた赤子を、確保したのだった。

元々もろかったのか、ソラが触れるだけで割れたシャボン玉。

 

「えぅ・・・?」

 

解放された赤ん坊は、一瞬きょとんとした後。

ソラを見上げて、満面の笑みを浮かべたのだった。

 

「きゃぁー!えーぅう!」

「よしよし、もう大丈夫ですよ」

 

ソラが、人差し指をひょこひょこ動かして赤ん坊をあやしていると。

 

「イッテェー!!」

 

悶絶していた男が、起き上がって。

 

「よ、よくもやってくれたのねん!!」

「おや、随分お元気ですね。割と本気でぶち抜いたのですが」

「このカバトン様をコケにしやがって、何者なのねん!!」

 

指を突き付けて来たので、ソラは赤ん坊を庇いつつ身構える。

 

「ソラ・ハレワタール、覚えなくともよいですよ」

「いーや!覚えておくのねん!何故ならお前の墓石に刻む名前が必要だからなのねん!」

 

警戒の視線を受けながら、男こと、カバトンは背中を向けると。

股の間から覗き込む様な姿勢を取って、

 

「ウェルカム・トゥー!ヘブーン!!」

 

有ろうことか、放屁をぶちかました。

到底人間ではなし得ない、長時間、長距離のオナラ。

 

「んっぶえ・・・・!?げほっ!げっほごほごほ!!」

 

何より、その臭いをもろにくらったソラは。

思わず顔を庇ってしまった。

 

「くっっっっっっさぁ!!!普段何食べてんだ!!?」

 

目の粘膜すら刺激してくるそれに、涙を流しつつも。

手元の感覚に、違和感を持って。

 

「っあ、しまった!」

 

赤ん坊がいないことに気付き、振り向けば。

カバトンが額の宝石を光らせて、なにやら怪しいもやを出現させたところだった。

 

「いずれお返しにいくのねん、今日のところはさよオナラー!」

「ッ待て!!」

 

最後っ屁もしっかり残して、もやに飛び込んでいくカバトン。

ソラも追いかけようとしたが、直前でたたらを踏んだ。

――――どこに繋がっているか分からないもや。

ひとたびくぐれば、帰れない可能性だってある。

ましてや、カバトンの仲間が待ち構えているなんてことも。

 

(・・・・だけど)

 

思い出す。

カバトンに捉えられた赤ん坊の、泣きそうな顔。

『たすけて』と伸ばされていた、小さな小さな手。

 

「・・・・ッ」

 

縋る様に、胸ポケットの手帳に触れて。

 

「・・・・あなたなら、こうしますよね」

 

深呼吸、一つ。

覚悟を決めて、飛び込んだ。

 

「あいつは・・・・っいた!!」

 

もやは、薄気味悪い空間に繋がっていた。

幸いカバトンはまだ遠くに行っていない。

 

「止まれ!!」

「うげげ!しつこいのねん!」

 

ふよふよと浮かぶ岩を蹴りながら、声を張り上げれば。

カバトンはぎょっとしてこちらを振り向いた。

 

「ヒーローは泣いている子を見捨てない!!観念しなさい!!」

「なーにを訳の分からないことを・・・・そう言って、お前もこの子の力が欲しいのねん!!」

「訳がわからないのはそっち・・・・あ!」

 

カバトンの言い分に首をかしげるも。

よそ見をしている彼の死角から、大きな岩が迫っているのが見えて声を上げる。

 

「んん?っげ!!」

 

ソラの反応で、カバトンも気付きはしたものの。

あわれ、回避が間に合わず。

 

「ぎゃふん!」

「おっと・・・・!」

 

直撃を受けて、赤ん坊を手放してしまった。

うまいこと浮遊してきた赤ん坊入りのシャボン玉を、ソラはどうにか確保。

今度こそ解放された赤ん坊をしっかり抱き留めて、笑いかける。

 

「さあ、お父さんとお母さんのところへ帰りましょうね」

「えーう!」

 

ちょうどよく、目の前に光。

どうやら出口の様だ。

不気味な空間に現れた、文字通りの光明にほっとしたソラは。

ためらいなく、その光をくぐって。

 

「――――さて、ここは」

 

相変わらずの空の上、スカイランドのどこに出ただろうかと。

なんとなく、視線を下に向けて。

 

「――――へっ?」

 

遥か眼下に望む、どこかの街に。

目を点にした。

 

「え、はっ?はあっ!?」

 

足をバタつかせてみても、靴の裏は何も掴まない。

当然、周囲にも掴まれるような場所はない。

 

「ま、待って待って待って!!うそうそうそうそ!?」

 

ともなれば、落下するのは必然であり。

 

「えええええええええええええええええええええええええええッッッ!!!?」

 

悲鳴を上げながら、最悪のスカイダイビングを強制されるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――ソラ・ハレワタール、()()()

運命の始まりである。




おのれ、虹ヶ丘ましろ・・・・!(遺言)
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