ヒーローガールは異物入り   作:数多 命

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オリジナルをもう少しだけ書くか、原作本編進めるか悩んで。
結局原作を進めることにしました。


偽物、有名モデルと出会う

――――ソラ・ハレワタールッッ!!復活ッッ!!

いや、あげはさんことバタフライのミックスパレットでどうにかしてもらっただけなんだけどね・・・・。

本当・・・・いつもお世話になっております・・・・!!(頭を垂れて平伏)

今回のことは、隊長や先輩のみならず。

お母さんや帰って来たヨヨさんにもこってり絞られた・・・・。

怖かった・・・・(疲労困憊)

自業自得と言えど、訓練も寝たきりで終わってしまったからね・・・・。

今回マジでいいとこ無しだった・・・・。

けれど、村に新しい仲間(グラスイーグルの親子)が加わったことや。

訓練を通じて騎士団や護衛隊の親睦が深まったのは、本当によかったと思う。

――――協力してくれたお礼ってことで、キョーヘン村毎年恒例の(プーシ)の毛刈りを手伝った時。

逃げがちな若い個体を捕まえて引き戻す役割をしていたんだけども。

片や『魅了』で容易く大人しくさせる騎士団を、片やフィジカル一つで諫める護衛隊を褒めて。

『へへへっ』と笑い合っていたのには、ほっこりした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――さて。

そんなこんなで、無事にソラシド市に戻った私が今。

何をしているかというと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソラシド市内。

赤ちゃん用の洋服ブランドのお店。

今日は、エルちゃんの新しいお洋服を買いに来ていた。

気付けばこの街に来て、早半年。

エルちゃんも物理的に大きくなったのである・・・・。

感慨深いな・・・・。

で、みんなで色々考えているわけだけども。

ましろさんが選んだ、大きなリボンが可愛い服も。

ツバサくんが選んだ、ひらひらがおしゃれな服も。

ベリィベリーさんが選んだ、動きやすそうなTシャツも。

どれもエルちゃんの好みに合わない様だ。

・・・・私?

探してる最中に、『ヒーロー見参!』なんて書かれたシャツが目に留まって。

『これ大人サイズもないかな・・・・』と見つめていたら。

勘違いしたエルちゃんに『じぇったいヤーッ!!』と全力で拒否された・・・・。

ごめんな、君の服探しに来てんもんな・・・・。

 

「――――街中を回ったのに、一着もお気に入りが見つからないなんて」

「ああ、服選びでこんなに苦戦したのは、初めてだ」

 

結局エルちゃんのツボに入る服を見つけられず。

クールダウンも兼ねて、近くの広場でベンチに座る。

いや、ホント。

ツバサくんの言う通りよ・・・・。

今のお店で何件目だったか。

 

「エルちゃん、最近お洋服にこだわりが出て来たんだよね」

「成長してる証だよ」

 

あげはさんの言う通りだ。

こだわりがあるということは、自分の意志を持ち始めているとイコール。

・・・・これからどんな大人になっていくのかな、エルちゃん。

 

「お店は他にもある。エルちゃんがアゲアゲになるお洋服、一緒に見つけよう!」

「あーい!みつけゆー!」

 

みんなが笑い合っている横で、こっそりしみじみしてしまっていると。

 

「――――わぁー!かわいいー!」

「本物だー!」

「生で見れるなんて、ラッキー!」

 

そんな歓声が耳に入って来た。

思わず誘われる様に目をやると、人垣の向こうにドえりゃぁ別嬪さんが見える。

一人はウェーブがかったロングヘア、もう一人は眼鏡が似合うショートヘア。

・・・・なんとなーく、だけど。

 

(あげはさんに似てる?)

「わぁ!早乙女姉妹だぁ!」

 

小首をかしげていると、ましろさんが歓声を上げた。

 

「知り合いか?」

「違うよ、有名なモデルさんだよぉー!」

 

ベリィベリーさんに、声を弾ませて答えるましろさん。

なるほど、モデルか。

彼女達の周囲をよくよく見ると、バズーカみたいなカメラを構えたスタッフがちらほら。

ギャラリーの賑わいを見る限り、『今をときめく時の人』と言った印象を受けた。

 

「えっ、嘘!?こっちに来る!!」

 

一人納得していると。

撮影がひと段落したらしいお二人がこちらに歩いてくる。

 

「――――久しぶりだね!」

「ばったり会えるなんて、チョー嬉しい!」

「「あげは!!」」

 

『あっちになにかあったかしら』と振り向いてるところへ、そんな声が聞こえたもんだから。

びっくりして向き直ると。

 

「私も会えて嬉しいよ!まり姉ちゃん!かぐ姉ちゃん!」

「えっ?」

 

めっちゃフレンドリーなあげはさん達の態度に、ましろさん共々驚いているところへ。

 

「キャー!!あげはちゃーん!!ウッソヤッダァ!!会いたかった―!も、離さないんだからーッ!!」

「「私達もー!!」」

 

もっと賑やかな男の人が、あげはさんに熱烈ハグ。

知り合いなのか、嬉しそうに受け入れたあげはさんは。

 

「あはっ!みんなもアゲアゲだね!」

 

モデルさん達にもみくちゃにされながら、笑顔を弾けさせたのだった。

――――いや、あの。

説明!!して!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――『早乙女まりあ』。

雑誌の読者モデル出身で、最近ドラマのヒロイン役を演じて話題沸騰。

人気が急上昇中の、売れっ子。

――――『早乙女かぐや』。

モデルをやっているのはまりあと同じだが、こちらはファッションデザイナーも兼任している。

『KAGUYA』という独自のブランドは、海外からも注目を集めているらしい。

 

 

そんな双子の姉妹は、今やファッション界で知らぬ者はいないほど大人気。

ファッションはもちろん、メイクなんかも女の子達がお手本にしている。

まさしくカリスマ的存在なのだ。

っていうか、思い出した。

メイクの勉強で読んだ雑誌に載ってたわ・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私達にとっての、シャララ隊長の様な存在なのでしょうね」

「確かに」

「あの、ところで貴方は?」

 

お二人が有名人なので、人目を避けるべくやってきたプリティホリック。

こっしょりベリィベリーさんと話している横で。

ツバサくんが、ご姉妹について説明してくれた男性に目を向けていた。

十中八九マネージャーなんだろうけども。

 

「アタシは二人のマネージャーの加古!人呼んで、カッコーよーん!!」

 

・・・・このテンション。

K●BAちゃんを思い出すな・・・・名前のニュアンスもなんとなく似てるし・・・・。

お元気にしてらっしゃるかしら・・・・。

 

「――――はい、どうぞ」

「わぁ!はい!ありがとうございます!」

 

なんて、前世のオネエに思いを馳せていると。

お二人のサインを受け取ったましろさんが、嬉しそうにしていた。

ここがプリティホリックでなければ、飛び上がって喜んでそうなテンションに。

今度はニコニコ顔になっていると。

 

「こちらこそ、いつもありがとう」

「え?」

 

ほぼほぼ初対面のはずのまりあさんから、そんな言葉が出てきたのだった。

 

「あげはから、時々電話やメールで聞いてるよ?ましろちゃん、ソラちゃん、ベリィベリーちゃんに、ツバサくん」

 

どうやら、あげはさんからちょくちょくお話を聞いていたらしい。

 

「妹のあげはが、いつもお世話になってます」

「ああ、そんな。こちらこそ!」

 

というかぐやさんの言葉と共に、頭まで下げられてしまったものだから。

私達は揃って、恐縮しながら頭を下げ返した。

 

「みんな、準備できたよー!」

 

そこへ、お茶の準備を終えたらしいあげはさんが声をかけてくれたので。

私達はそちらへ移動する。

 

「――――んー!おいしー!」

「アガるー!」

 

クリームソーダやフラペチーノを味わう中。

早乙女姉妹は一つのパフェを分け合う形で食べていた。

やっぱりモデルさんだし、カロリー制限とかあるんだろうな。

いや、それを抜きにしても、だいぶでっかいパフェなんだけども・・・・。

撮影終わった後だから、多少は大丈夫・・・・なのか?

 

「あげはちゃんにお姉さんがいるのは知ってたけど、まさか早乙女姉妹だったなんて!」

「あれ?言ってなかったっけ?」

 

飲み物をちびちび頂いている横で、ましろさんへ小首を傾げたあげはさん。

 

「私が小さいとき、両親が離れて暮らすことになってね。お姉ちゃん達は、お父さんと暮らすことになったんだ」

 

そ、それって離婚と言うやつでは?

い、いや。

『ましろんと出会う前の話だから』と、こともなげに打ち明けてるってことは。

少なくとも本人達の中では決着がついてることなんだろう。

外野が口を挟むのは野暮ってもんよ・・・・。

逆に考えるんだ。

それだけのことを話せるくらいに、信頼してくれてるんだと考えるんだ。

 

「早乙女って言うのは、父の苗字なの」

「苗字は違うけど、私達は正真正銘の三姉妹だよ!」

 

早乙女姉妹のお二人も、明るく付け加えてくれているしね。

・・・・とはいえ。

私が納得できても。

他の人が納得できるかどうかはまた別の話だろう。

 

「そうだったんだ・・・・」

 

優しいこの子は、特に。

 

「ましろん!顔上げて!昔のことなんだし、笑顔でアゲてこ!」

 

声音も顔も下げてしまったましろさんを、あげはさんが明るく励ます。

 

「そうそう!親は親!私達は私達!やりたいことやってるしね!」

「自由に好きなことやってー、楽しかったらオールオッケー!」

「「「イエーイ!!!!」」」

 

メンタルつっっっっっっよ。

ポジティブが過ぎんか????????

もしや、これがお姉さんたちが活躍できている理由なのかも?

となるとあげはさんも、目指している『最強の保育士』に至るポテンシャルを秘めているということに?

・・・・どちらにせよ。

 

(スゲー三姉妹・・・・)

「三姉妹、というのも納得だな」

「うん、ノリがそっくり!」

 

キャッキャウフフと、ましろさんを元気づける様に巻き込んで姦しくはしゃぐお三方を見ていると。

 

「――――ネーあげはちゃーん?モデルやらなーい?アナタなら、お姉さん達みたいにスターになれるわよ?絶対!」

 

先ほどから真剣な顔をしていた加古さんが、そんな提案をしてきた。

・・・・確かに。

あげはさん、綺麗な顔してるし。

モデルでもやっていけそうなんだけど。

 

「ごめんなさい。私がなりたいのはモデルじゃなくて、最強の保育士なので」

 

でしょうね(知ってた)

昔から交流がある故か、少し申し訳なさそうだったけど。

はっきり『否』を答えるあげはさん。

 

「カッコーのおねがーい!」

「いくらお願いされても、ごめんなさい」

 

頑張って食い下がる加古さんだったけど、やっぱりあげはさんは『NO』を貫き通した。

一方の加古さんは、スカウト失敗に落ち込みながらも、気分を害した様子はない。

多分、断られるって予想は出来てたんだろうな。

なんなら、『そこがあげはちゃんの魅力』って笑ってる。

 

「しかし、早乙女姉妹と言えば、知らぬものはいないのだろう?そのマネージャーからスカウトされるとは、流石だな」

「モデル、やってみればいいのに」

「やったことあるよ?」

 

感心するベリィベリーさんとツバサくんへ、あげはさんがそんなことを返す。

あ、あるんだ。

曰く、中学生の頃に、お姉さんたちの仕事を見学させてもらっていると。

加古さんに提案されて、少しだけやったことがあるのだと。

ここぞとばかりに、まりあさんがスマホで当時の雑誌を見せてくれて・・・・って。

表紙飾っとるやないですか!?

そしてかわいい!!忖度なしにかわいい!!

カメラマンさんに指示されたかもしれないポーズってのを踏まえても、かわいい!!

 

「でも、私は最強の保育士になるって決めてるから!」

 

それでもやっぱり、自分のなりたいものを曲げないあげはさん。

・・・・美人だったり、可愛かったり、カッコよかったり。

実は専門学校とかでモテてません?

 

「あげはらしい夢だよね!」

「ぽいぽい!」

 

お姉さん達もニコニコ顔で、あげはさんを肯定している。

・・・・こういうのも、彼女のメンタルの強さに影響してるんだろうな。

なんて思いを馳せていると。

 

「・・・・ぅ?」

 

ツバサくんに抱かれて眠っていたエルちゃんが、目を覚ました。

 

「エルちゃん起きたー?おはよー!」

「おぁよー!!」

 

騒がしかったかなと心配になったけれど、機嫌が悪いわけではない様だ。

よかった・・・・。

と、胸をなでおろしていると。

 

「原石はっけーん!!」

 

突然立ち上がった加古さんにびっくりしてしまう。

な、なんや!?

確かにうちのエルちゃんの可愛さは天元突破ですけれど!?

 

「全身からにじみ出る品の良さ、高貴なお顔立ち!アナタ、お名前は・・・・!?」

「える・・・・」

「エルちゃん!ベリープリティー!!あなたならきっと、モデル界のプリンセスになれるわよー!!」

 

急にテンション爆上がりになった加古さんに、『すみません、その子はもうプリンセスなんです・・・・』と内心でツッコミを入れることしか出来ない。

 

「かぐや、どうかしら?」

「・・・・うん、いい!適任だと思う!」

 

話を振られたかぐやさんも、こっくり頷くし。

ど、どうしたんですか・・・・?

 

「何が?」

「明日、私達のファッションショーをやるんだけど、出演予定の子が具合が悪くなって来られなくなっちゃってね・・・・」

 

そこから話してくれたところによると。

今回、かぐやさんは初めて子供服をデザインしたらしい。

『小さい子ども達にも、可愛くおしゃれをしてほしい』と作り上げた渾身の一着。

件の体調不良の子は、その服を着る予定だったそうだ。

エルちゃんに声をかけたところから見るに、恐らく同年代なんだろう。

風邪もひきやすいお年頃だ・・・・お大事に・・・・。

 

「わぁー!かぁーいー!」

 

一方のエルちゃんは、かぐやさんが見せてくれた子ども服に夢中で見入っている。

うんうん、君もかわいいよぉ(脳死)

 

「える、これきる!」

「これ着て、一緒にファッションショーに出てくれる?」

「うん!」

 

破顔しっぱなしのエルちゃんに、こちらも同じような顔になっていたけれど。

は、と我に返った。

 

「えっ、ちょっと待ってください!ショーって、ステージに上がるってことですよね?」

「そうだよ」

 

同じことに気が付いたらしいましろさんの疑問を、かぐやさんは肯定した。

・・・・これは。

 

「エルちゃん、大丈夫でしょうか」

 

思わず私も、心配を吐露してしまった。

『早乙女姉妹』のネームバリューを考えるなら、人も相当集まるはず。

・・・・考えれば考えるほど心配だな?

 

「心配するのも分かるけど、私はエルちゃんの気持ちを大事にしたいな」

 

我に返って不安になってしまった私達へ、あげはさんは自分の意見を述べた。

視線の先には、『える、でる!』とやる気満々のエルちゃん。

 

「なんだったら、私とソラちゃんでフォローに入ろうよ!最強の保育士と、最強のボディガード!安心しかない布陣じゃない?」

「・・・・そう、ですね」

 

いや、ぶっちゃけ出来る事なんて微々たるものだろうけど。

それでエルちゃんが少しでも安心できるなら、ウドの大木だろうと安いもんよ・・・・。

 

「ありがとう!決まりだね!」

「スタッフには話を通しておくから、よろしく!」

 

そんなこんなで。

エルちゃん、まさかのファッションショーデビューが決まったのであった。




何気にソラさん視点だけで終わるのって、初では?
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