がっつり入れ忘れていたシーンがあったので、再投稿しました・・・・!(切腹)
それに伴い、タイトルも変えてます(さらし首)
読者の皆様にはご迷惑をおかけします(裁判所)
今後は再発防止に取り組むので(地獄落ち)
どうぞ、ご容赦くださいませ・・・・!(極卒による刑罰)
「あわわわわわ・・・・!」
ステージ上。
突如として現れた大男と、ステージライトを変貌させた怪物。
目の前で起こった異常事態を前に、加古はすっかり腰を抜かしていた。
「カッコーさん!」
「大丈夫!?」
「まりちゃん!?かぐちゃん!?」
そこへ、まりあとかぐやが駆けつける。
いや、駆けつけてしまう。
「早く逃げて!あたしのことはいいから・・・・!」
「カッコーさんを置いていけるわけないでしょ!」
「一緒に・・・・!!」
二人係で加古を引っ張っていこうとした、真横に。
巨大なケーブルが叩きつけられた。
「キャアッ!?」
「――――早く来い、プリキュア。その腑抜けた根性叩きなおしてやる!!」
「ランボーグ!!」
慄く彼らへ睨みを利かせるミノトンは、どこか苛立っている様だった。
そんな彼に呼応して、ランボーグもケーブルを振り回して暴れ回る。
「――――ぁぁ」
その内の、何本かが。
ステージ上の三人に、迫って。
「――――来たか」
叩きつけで、舞い上がった土煙。
風に流され、徐々に薄くなった中から現れたのは。
ケーブルを受け止めたプリキュア達だった。
「――――みんな、楽しんでアゲアゲだったのに」
それぞれ険しい顔をする中。
一番怒りを抱いていたバタフライが、剣呑な声を上げる。
「台無しじゃん・・・・!」
「『楽しい』?楽しさなど無用だ!!」
厳かに反論するミノトンをものともせず。
二人の姉と、世話になっている大人の視線を受けながら。
「みんなのアゲアゲな気持ち・・・・!」
ぐ、と。
両手に力を込めて。
「サゲんなあああああああッッ!!!」
「ララーッ!?」
咆哮とともに、投げ飛ばしてしまった。
ミノトン諸共に吹っ飛んでいくのを、追いかける面々。
同じく飛び出そうとしたバタフライは、一度足を止めて振り返る。
「大丈夫?怪我はない!?」
「え、ええ」
「私達はなんとも・・・・」
まりあとかぐや、それから加古に。
傷一つないことに安堵したバタフライは。
「そっか、よかった!あとは任せて!」
「あ、ちょ・・・・!」
にっと、歯を見せて笑顔を咲かせると。
今度こそ飛び出していくのだった。
◆ ◆ ◆
とっても盛り上がったファッションショーに、ランボーグ共々水を差してくれやがったミノトン。
もちろん諸共にぶっ飛ばして、遠く離れた開けた場所に戦場を移す。
「この程度では、鍛え上げた我を倒すことは出来んぞ!!」
なんだか申し訳なさそうにしているランボーグの隣。
私達に気付いたミノトンが、鋭く睨みつけながら言い放ってきた。
・・・・やっぱり。
ミノトン、ちょっとご機嫌ナナメだね?
大丈夫?カルシウム足りてる????
何はともあれ。
「お相手します!」
ランボーグが、ケーブルからレーザーを撃ってくる。
『
並んで走るエクリプスや、低空飛行するウィングとともに。
弾幕を避けながら相手の出方を伺う。
「ふっ!はっ!せいっ!」
レーザーを斬り払いながら、ランボーグに肉薄するけれど。
「ランボーグ!」
「スカイ!」
不用意に接近してしまった所為か、レーザーが束ねられてしまった。
「・・・・ッ!」
ぐっ、と急ブレーキして、反動を利用して後ろに飛ぶ。
思ったよりも飛距離を稼げなくて、直撃を受けそうになってしまったけど。
「危ない!」
間一髪のところで、バタフライがカバーに入ってくれた。
「ありがとう!」
本当にありがとう!助かります!
「ッ無暗に近づくな!狙い撃ちされるぞ!」
「だったら!」
エクリプスの警告を受けたプリズムが、両手を掲げる。
「ヒィーロォーガァールゥー!!プリズムショット!」
近付いてダメなら、遠距離からという発想だったんだろう。
だけど、ランボーグはライト部分からゴン太のビームを放って相殺してしまった。
「ランボーグ!!」
更にダメ押しとばかりに、レーザーとビームを乱れ撃ち。
あまりの猛攻に、防戦一方になってしまう。
そして、
「わぁっ!!」
「ウィング!っぐあ!」
被弾したウィングに気を取られて、私もまんまと直撃。
仲間達も次々と一撃を受けて後退する。
「軟弱者どもが・・・・!!」
受け身を取って体勢を立て直していると、未だ不機嫌なミノトンが忌々しそうに口を開いた。
「日々の鍛錬を怠り、チャラチャラした格好で笑っているからだ!!」
チャラチャラした格好って・・・・もしかしてさっきのファッションショーがご不満なのか!?
「特に貴様には失望したぞ!キュアスカイ!」
エッ!?名指し!?
「あんな軽薄な格好でヘラヘラしおって!!好敵手として情けないことこの上ない!!!」
「ッ・・・・」
「――――『みんなで笑う』、最高じゃん!」
まりあさん達を、あまりにも軽視した発言。
私よりも早く言い返したのは、バタフライだった。
「いつも笑える訳じゃない、苦しい時、辛いとき、泣きたい時もある・・・・!」
防御の姿勢を解きながら、一歩一歩前に進むバタフライ。
「でも、そんな時こそ笑顔で、みんなを笑顔にするために!頑張って、頑張って・・・・!」
・・・・きっと。
バタフライの脳裏には、お姉さん達が思い浮かんでいるのだろう。
「笑顔が返ってきたら、サイッコーなんだって、教えてくれた!」
当然ながら、戦える訳じゃない。
それでも、誰かの笑顔が見たいから。
どんなにしんどくても、努力を積み重ね続けられる。
「だから私も!そんな風になりたいんだ!」
そんなお二人を、間近でみていたあげはさんだから。
『最強の保育士になりたい』って夢に、真っすぐ進めるんだろう。
「・・・・確かに、日々の鍛錬は大切です。それは私も、骨身に染みて理解しています」
私も。
ミノトンの目を見据えながら、口を開く。
「己を貫き通すなら、確かに力は必要です。けど、『強い』だけでは、成せないことがある」
「何・・・・!?」
そうだ。
戦うだけながらそれこそ獣でも出来る。
「貴方は笑うことを小馬鹿にしていましたが、その拳はあの会場と同じ
「ッ武人にヘラヘラした笑みなど・・・・!」
「つまり出来ないんですね」
「貴様・・・・!」
ギリ、と奥歯を噛むミノトンへ。
剣を突き付ける。
「壊すだけなら赤子でも出来るッ!!ただ戦うだけの、壊すだけの力は!何も生み出さないッッ!!」
「おのれェッ!!」
ミノトンの怒りに呼応して、ランボーグが再び弾幕を張って来た。
「ミックスパレット!!レッド!イエロー!守りの力、アゲてこ!!」
私が往なしている後ろで、バタフライがミックスパレットを発動。
防御のパワーアップを、みんなに付与してくれる。
「はああああ!!」
意の一番に突っ込んで行ったのは、ウィングとエクリプス。
片や素早く飛んで、片や電光石火で駆け抜けて。
ランボーグへ肉薄すると。
「てやぁっ!!」
「だあっ!!」
ライト部分を、ぶち抜いた。
よし、これでゴン太レーザーは使えない!
「ランボーッグ!?」
もう一つダメ押ししようか!!
「水の呼吸」
二人と入れ替わる様にランボーグの懐に潜り込む。
「参ノ型」
剣を構えて、
「流々舞!!」
ケーブルを叩き切る!!
「スカイ、下がって!!」
声に振り向けば、虹色の不死鳥に乗ったバタフライが。
「「プリキュア!!」」
「「タイタニック・レインボー!」」
思い切り、飛びのけば。
「アタック!!」
ランボーグが、虹色に圧し潰されたのだった。
「――――一つだけ、重ねて言わせてほしいのですが」
悔しそうにするミノトンへ、目を向ける。
「私はヒーローだ、武人じゃない。」
「ぐうっ・・・・ミノトントン」
ものすごい不満そうに唸ったミノトンは、いつもの呪文を口にして去っていったのだった。
「何が起こったのかよく分からなかったけど」
会場に戻ってみると、早乙女姉妹と加古さんがいた。
「エルちゃん、ありがとう。お陰でショーがとっても盛り上がったわ」
エルちゃんにお礼を言う加古さん含め、お三方とも怪我はなさそう。
無事で何よりだ。
「――――すごいのはあげはだよ」
「だよねぇ!」
ふと、まりあさんがそんなことを言っているのが聞こえる。
ショーについて、そちらでも話していたらしい。
「エルちゃんをあっという間に笑顔にしちゃったとき、特にそう思ったもん!」
「うん!来てくれてた子ども達もノリノリで踊ってて、すっごく楽しそうだった!」
確かに。
『どうしよう』と慌てていた私と違って、あげはさんはすぐに行動を起こしてた。
かける言葉もすごく適切で、エルちゃんの笑顔をあっという間に引き出していたし・・・・。
「モデルのあげはもいいけど、やっぱ保育士さんだねっ!」
「なるっきゃないよね!最強の保育士に!」
「ッ・・・・うん!絶対なるし!」
一人、違う夢を追う背中を押してもらえたのが嬉しかったようだ。
胸を撃たれた切なげな顔から一転して、笑顔を輝かせたあげはさんは。
お姉さん達とハイタッチを交わしたのだった。
◆ ◆ ◆
――――夜。
人も鳥も草木もすっかり寝静まり。
暑くもなく寒くもない、ちょうどよい風が心地よい時間帯。
ましろは浮かない顔で庭先に座っていた。
「――――はあ」
考えるのは昼間のことだ。
成り行きとはいえ、ステージに立ってパフォーマンスをこなしていたソラの姿。
早乙女姉妹直々のコーディネイトもあるだろうが、あの瞬間の彼女はとても輝いていた。
(だけど・・・・)
だけど。
大勢の人に黄色い歓声を浴びたのは、まだいい。
しかし、あげはと手を取って踊っていたのは。
なんだか納得がいかなかった。
(違うって、大丈夫って分かってるのに・・・・)
『あれは仕方のないことだった』。
何度自分に言い聞かせても、返ってくるのは『いやだ』という駄々こね。
「――――はあ」
あまりの稚拙さに、ますます落ち込んでいると。
背後から、窓が開く音がして。
「ましろさん?」
「ひゃっ!?」
まさか話しかけられると思っていなかったましろが、びっくりして振り向くと。
今まさに考えていた人物が。
ソラが、心配そうにこちらを見ている。
「す、すみません。喉が渇いて降りてきたら、お姿が見えたものですから」
申し訳なさそうに眉を潜めて、隣に座るソラ。
ましろより一回り大きな体を丸めて、顔を覗き込んで来る。
「眠れませんか?」
「・・・・はい」
「何か、出来る事はあるでしょうか?」
「・・・・それは」
問いかけに、言葉が詰まる。
今胸に渦巻いている物を、打ち明けるか否か。
ましろはしばし悩んでから、意を決して口を開く。
「――――その」
「はい」
「昼間の、ファッションショーのことなんですけど」
「はい」
そこまで口にして、また躊躇って。
それでも、『ソラならきっと受け止めてくれるんじゃないか』と言う、甘えと信頼から。
再び口を動かす。
「ソラさん、すっごく素敵でした。あのアクロバットもカッコよくて」
「ありがとうございます」
「・・・・でも」
声を弾ませて礼を述べるソラに、罪悪感を抱きつつ。
今度は言葉を止めなかった。
「たくさんの人に・・・・キャーキャー言われたり、あげはちゃんと踊ったりして・・・・」
「それは・・・・すみません、はしたなかったでしょうか」
「そう、じゃ、なくて・・・・」
顔が火照るのが分かる。
これから言うことが、笑われても仕方ないと分かっているからなおのこと。
頬に熱を帯びていく。
「・・・・ヤキモチ、かも、しれない、です」
ソラの相槌が止んだ。
羞恥にぎゅっと目をつむり、ふるふると震えてしまうましろ。
ああ、今の自分は。
とんでもなくお子様だと思いながら。
しばし、風の音を聞くことで、現実逃避していると。
「――――んふっ」
案の定。
噴き出す声が聞こえる。
「――――ッ」
「ふふふっ、いえ、その・・・・ごめんなさい、バカにしてるんじゃないです」
思わず顔を上げた。
月明かりの中で笑うソラは、こちらをさげすむ様な雰囲気はない。
「ただ・・・・」
むしろ、微笑まし気に、愛おしそうにましろを見つめながら。
そっと、頬に触れて。
「――――かわいくて」
するり、と。
離れていく指先が、優しく頬を撫でる。
――――嗚呼。
ソラの気持ちが、手に取る様に分かる。
それくらいに、彼女の顔には。
はっきりと『愛してる』が溢れていた。
「――――さて、時にお嬢さん」
向けられた『愛』に、ましろが面食らっていると。
かしこまった口調で、ソラが立ち上がる。
「よろしければ、一曲お付き合い願えないでしょうか」
恭しく膝をつき、ましろに手を差し出してきた。
まるで、王子様か騎士の様だ。
「・・・・ふふっ」
ともすれば、子どものごっこ遊びとも取れる仕草に。
今度はましろが微笑まし気に笑って。
「はい、是非」
ソラの手を取る。
言葉もなく手を引き、あるいは引かれて。
立ち上がる。
作法もステップもない。
ただ互いに身を寄せて、くるくる回るだけの。
ダンスとも呼べないじゃれあい。
それでも二人は、月と星の光の下で。
時間の許す限り、踊っていたのだった。