ひとまず原作を進めることに。
わんぷり32話、思った以上にひろプリメンバーが出るどころか。
アンダーグ帝国のみんなも出て来てて、嬉しかったです。
こんなに浴びれるとは思わなかった・・・・さすが通算1000エピソード回・・・・。
「さーけはのめのめ、のむならばー・・・・ヒック」
――――アルコールの臭いで、充満している。
そこかしこに酒瓶が転がっていて、足の踏み場もない。
中央に寝転がったそいつは、幸せそうに一升瓶を抱きかかえていた。
「あんだーぐいーちの、このけんをー・・・・ウィ?」
その状態で更に徳利を舐める様に呑んでいると。
近付いてくる足音に気が付いた。
酔いが回って滲んだ視界で、何とかピントを合わせると。
「ァンレマッ!
しばらくぶりに見る知った顔に、気怠く身を起こす。
「なぁに?お仕事ォ?ンンー?」
「・・・・ミノトンは、もう使えん」
挨拶を省略し、本題へ。
「理想の勝負にこだわり、本来の目的を見失いつつある」
「ハハッ、なんだぃミノさん、
『相変わらずなことだ』と思いながら、のっそり立ち上がる。
「マ、いいよォ。お前さんが判断したなら、従うまで」
瓶を蹴りながら歩き出して。
『ああ』、と、大事なことを告げる。
「酒は絶対条件なんで、よろしく!」
返事は、期待していない。
◆ ◆ ◆
――――吸い込まれるような蒼穹の下。
ピヨたんと並んでバイクを飛ばす。
吹く風に交じる潮の匂いに胸を躍らせながら、カーブを曲がると。
「おおー!」
太陽を受けて、キラキラ輝く青い水面が。
どこまでも、どこまでも。
どこまでも!!
「海だー!」
「ひろーい!」
ピヨたんの中でも、仲間達がはしゃいでいるのが聞こえて。
ヘルメットの中で、満面の笑みを浮かべてしまった。
――――『海!!!!行こうぜ!!!!(意訳)』
というわけで、車で一時間ほどの海水浴場にやってきた。
ましろさん達学生組はそろそろ夏休みも終盤だし、思い出作りしないとね・・・・。
流石に、夏の思い出がアンダーグ帝国との戦いばかりっていうのも味気ない。
ミノトンの襲撃を警戒しつつ、思いっきり楽しもうじゃないか!!
と、いう訳で。
「「おおおおおおおおーーー!!!」」
「おっきー!!」
砂浜に立つことで、より広大に見える大海原を前に。
ツバサくんやベリィベリーさんのスカイランド組が、めっちゃキラキラした目で見ていた。
エルちゃんもものすごくはしゃいでいる。
あげはさんと一緒にパラソルを立てている私も、テンションマックスだ。
ヒャッハーッ!!一人だったら渚に向かって爆走してるゼーッ!!!
「あははっ!みんなテンションアゲアゲだね!」
ちなみに、当然だが全員水着だ。
私はタートルネックタイプのスポーティなビキニ、背中もちゃんと隠れる安心(?)仕様だ。
七試練の刺青が入った右腕は、いつものアームカバーで隠している。
ベリィベリーさんは、一見スク水っぽいと見せかけて、私とは対照的に背中が大きく開いた結構セクシーなやつ。
黒と赤の配色が、ぐっと大人っぽい雰囲気にしてくれている。
「連れて来てよかったねぇ」
「うんうん!」
海にワクワクしている私達を、微笑まし気に見て来るあげはさんとましろさん。
なんか、ちょっと恥ずかしくなってきた・・・・。
いかんいかん、私は大人・・・・遊ぶよりも引率をだな・・・・。
「二人とも、準備運動しましょう。海に限らず、水って結構体を冷やしますから」
「そうなのか?」
「はい、僕の地元の友達も、準備運動を怠ったばかりに足を攣って大変なことになった子がいるんです」
「なるほど、ならば入念にやっておかねば」
そんな会話をしていると、ましろさんが首を傾げて。
「ベリィベリーさん、もしかしてあんまり泳いだことない?」
「恥ずかしながらな・・・・」
確か、ベリィベリーさんの地元は山岳地帯。
しかも、スカイランドでも指折りの険しい場所だったはずだ。
水場と言えば小川がいいところだったと言うし、泳ぐ経験が積めるかどうかと言えば。
まあ、言うまでもないだろうな。
「ソラちゃんと少年は?」
「僕は泳げますよ!地元に泳ぎが得意な友達がいて、教えてもらったんです!」
「私も一応泳げます。ただ、足がつかないところは自信がありませんし、何より・・・・」
見せた方が手っ取り早いので、波紋の呼吸に切り替えながら浅瀬に歩いて。
水面に、
「ここ数年は濡れるのが手間で、もっぱら『これ』です。荷運びとか、ショートカット出来て便利なんですよ」
「わぁ」
「そっかぁ」
あんまり深く考えないようにしてるましろさん達の顔が、少し面白かったのは内緒である。
・・・・気を取り直して。
「じゃあ、特訓しちゃう?」
「そうだな。ソラシド市内にも川はある、泳げるに越したことはない」
あげはさんの提案に、こっくり頷くベリィベリーさん。
頼もしいまでの勤勉ぶりだ。
ちなみに。
『水泳』を通常のカリキュラムに組み込んでる日本は、世界でも割と珍しい部類に入るらしい。
初めて知った時は驚いたものだ・・・・。
「では、早速だが指南を頼む」
「はい!よろしくお願いします!」
何はともあれ。
みんなでベリィベリーさんの水泳訓練を見ることになった。
最初はツバサくん。
小さな体が水面に飛び込んで、軽快に泳いでいく。
その見事な泳ぎっぷりに、歓声を上げずにいられなかった。
「想像以上だ!随分達者な泳ぎだな!」
ベリィベリーさんに褒めちぎられて、ツバサくんは照れくさそうだ。
「何かコツはあるのか?」
「もちろん!」
顔を輝かせる彼女に、プニバード姿のツバサくんは誇らしげに胸を張って。
「いいですか?まずは羽を細かく動かして・・・・」
「す、すまない」
ツバサくんが、ちいちゃな羽をパタパタさせるのを見て。
なるほど、飛べないなりにそういう強みがあるのかと感心していると。
ベリィベリーさんが申し訳なさそうに手を上げて。
「人間の手は、羽の代わりになるだろうか?」
「あっ」
・・・・さすがのツバサくんも、うっかりしていたらしい。
『今気付きました』と言わんばかりにぽかんとした。
「よぉーっし!次は私だね!」
「よろしく頼む」
次はあげはさんのターン。
卵でも保育士だし、小さい子も見方を変えれば『水泳初心者』。
ツバサくんよりは参考になるかもしれない。
「それじゃあ、まずは浅いとこを歩いてみよう!」
「あーい!」
「分かった」
テンション高く拳を突き上げた三人は、『いっちにっ!いっちに!』の元気な掛け声と一緒に浅瀬を歩き出したけれど・・・・。
エルちゃん基準な所為か、ベリィベリーさんとあげはさんは足首が濡れる程度でやっとだ。
「ううん、あれはちょっと・・・・」
「泳げるまで時間がかかりそうだよ・・・・」
初心者は初心者でも、だいぶ初歩過ぎたか・・・・。
いや、あれはあれで悪くないんだけども。
ベリィベリーさんの年代にはちょっと合わないかも・・・・。
「ふふーん、やっぱりここはわたしの出番だね!」
三番手のましろさんは、とっても自信満々な様子だ。
「自信ありげだな」
「うん!だってわたし、子どものころはスイミングスクールに通ってたから・・・・」
自慢げに胸を張ったましろさんは、珍しく得意げな顔をして。
「水泳8級なの!」
アッ!?マジで!?
意外な特技!!
「こちらの世界には、水泳にも資格があるのか!?」
「私も初めて知りました、すごいです!」
「えへへー」
私達の反応が嬉しいのか、照れくさそうにはにかむましろさん。
――――履歴書にかけるのは、3級からっていうツッコミは、野暮。
野暮ったら、野暮!!
イイネ!?!?!?
・・・・気を取り直して。
「まずは水に浮かぶことから始めよう?こう、体の力を抜いて・・・・ふわーり、って」
水面に仰向けになって、浮かぶのを実演するましろさん。
うむ、いい脱力具合。
ちゃんと浮かべてる。
8級でも侮りがたし、ということか。
「なるほど、脱力・・・・こうか」
アドバイスをもらったベリィベリーさんは、早速ましろさんを真似て仰向けに。
・・・・武術で脱力状態に慣れているからか、浮かぶこと自体はすぐに出来ていた。
「わっぶ!?」
「おっと、大丈夫ですか?」
「ぷはっ!ああ、ありがとう」
でも、ましろさんほど長くはない。
危うく溺れそうなところを、咄嗟に支える。
「なかなかうまくはいかないな・・・・」
「うーん、ビート板があったら、感覚も掴みやすいと思うんだけど・・・・」
一筋縄ではいかなさそうだなと、頭をひねっていると。
「じゃあ、もっと脱力出来ること、やろーよ!」
「あげはさん?」
呼びかけに振り向くと、でっかい浮き輪を持ったあげはさんがいた。
◆ ◆ ◆
「――――こんなものがあるとは」
あげはがレンタルしてきた浮き輪に掴まり、水面に浮かぶベリィベリー。
「特訓も勉強も、煮詰まったら息抜きが一番!」
「ですねぇ、メリハリつけるのも修行です」
「える!」
その隣では、エルをお腹にのせたソラが、のほほんとしている。
「・・・・お前はだいぶ蕩けているな」
「普段はあまり出来ないので・・・・」
「すまん、それもそうだったな」
アニメだったなら、デフォルメされそうなリラックスぶりに。
ベリィベリーもなんとなく気が抜けてしまう。
「寝ちゃったり、流されたりしないようにねー」
「はぁーい」
あげはの言葉にも生返事だが、エルはしっかり確保しているので。
ひとまずは大丈夫そうだと判断した。
「シュノーケルもあるよ!水の中でも呼吸出来るの!」
「泳げなくても楽しめるんだな」
「もちろん!」
何はともあれ。
海には元々遊びに来たのである。
思い切り楽しむことに決めたベリィベリーであった。
――――さて。
水泳に限らず、水の中での活動と言うのは。
人間が思っている以上にエネルギーを消耗するのである。
なので、適宜休憩を取るのも、海水浴においては重要なのである。
と、いうわけで。
『お待たせしましたー!番号札20番でお待ちのお客様ー!』
最寄りの海の家。
あげはが注文した品物が出来たアナウンスが流れた時には、ちょうどソラとベリィベリーはレンタル品を返しに行っているところだった。
なので、ましろとツバサが受け取りに行くことにしたのである。
「――――おーい」
事が起こったのは、その往路だった。
「おーい!そこの!嬢ちゃんと坊ちゃん!!」
「・・・・んっ?」
「僕達のことでしょうか?」
始めはスルーしかけた呼び声に、二人が目を向けると。
テーブルの一つに、やせ型の中年男性が座っているのが見えた。
「おてつだいー?エラいねーッ!!」
四人掛けのテーブルの上には、所狭しとビール缶が乱立しており。
間を縫うように、焼き鳥やお好み焼きと言った、おそらくツマミが点在している。
「こっちおいで!ご褒美あげよう!」
ましろとツバサが、『こいつぁヤベェな』とアイコンタクトで通じ合うのに。
一秒もいらなかった。
「ッ、あの!お気持ちだけで結構ですー!」
「ぁ、ありがとうございますー!」
持っている品物が、かき氷なのもある。
角が立たなそうな、無難な言葉でやんわり断って。
足早に去ろうとするが。
「エンリョしないのー!わかい子がー!」
このおじさん、相当ぐいぐい来る。
なんなら、今にも立ち上がってこちらに来ようとしていた。
「ええー・・・・!」
「ど、どうしましょう?」
あの男性と関わるのは、正直避けたい。
けれどこのまま逃げて、エルとあげはのところに連れて行くことになってしまったらどうしよう?
あげははともかく、エルは赤ん坊だ。
怖い目に遭わせたくない。
だったら、強い言葉で拒絶するか?
それもダメだ、逆上されたら元も子もない。
迷っている間に、男性はふらふらのっしのっし歩き出した。
「ぁわわ・・・・!」
もう、逃げてしまうか。
身構えた時だった。
「――――ましろさん、ツバサくん」
「ありがとう。押し付ける形になって、悪かったな」
「ソラさん・・・・!」
「ベリィベリーさんも・・・・!」
浮き輪を返し終えたらしいソラとベリィベリーが、駆けつけてくれた。
二人が、自然な動きでましろ達を隠す様に立ってくれることで。
言いようのない安堵を感じて仕方がない。
「ありゃま」
一方の男性も。
ソラ達がやってきたのを見て、諦めたらしい。
肩をすくめて、大人しく席に戻っていった。
「ありがとうございます・・・・!」
「いえ、遅くなってごめんなさい」
「さ、早く戻ろう」
ソラとベリィベリーは、壁に徹し続けながら。
これまた自然な動きで、ましろとツバサからかき氷の乗ったトレーを受け取って。
待ちわびているあげはとエルの下へ急いだ。
オリキャラには『癖』を詰め込みました()
多分次回には紹介出来ます。
おまけ
「あのお姉さん、古傷ヤバくない?」
「堅気だよね?『自営業』じゃないよね?」
「ソラー!いっしょにぷかぷかするー!」
「はーい、おいでー」
「あ、大丈夫そう」
「人は見た目によらないね・・・・反省だ・・・・」