ヒーローガールは異物入り   作:数多 命

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タイトルは「じんむほう」と読んでください。
はやくソラましさせたいです。
攻防が思ったよりも長くなった・・・・。


偽物、刃無鋒

「か、かっこよ~・・・・!」

 

目の前で変身した、ましろことキュアプリズムに。

あげはが呆然と率直な感想を口にする。

 

「ぼ、ボッコボコにしろ!!ランボーグ!!」

「ランボーッ!!グッ!!」

 

まさかの二人目のプリキュアに、狼狽えに狼狽えたカバトン。

それでも指示を出して、ランボーグをけしかけた。

指令を受けた小型ランボーグは、高く跳びあがると。

蹴りを放ってくる。

プリズムは臆せず、じっとタイミングを計ると。

直撃する前に、後ろに飛びのいて回避した。

が、

 

「うわわわわ!?」

 

勢いあまって屋上を飛び出してしまった。

 

「パワー強すぎでは!?」

 

なんとか体勢を立て直して、近くのビルに張り付けたものの。

あげはの傍から離れてしまう。

 

「チャンス!ランボーグ!!プリンセスを捕まえろ!!」

 

当然、その好機が見逃されるはずがない。

すかさずカバトンは指示を出し、あげははエルを庇って身構えるが。

 

「ッ、は!」

 

もちろん、プリズムだってそんなことさせない。

ビルの壁を蹴り、文字通り飛んで戻って来た彼女は。

 

「やああああああああああッ!!」

 

勢いのままに、小型へ蹴りを叩き込んだ。

 

「ランボーグッ!?」

「あ、あわわわわわわ・・・・!!」

 

まさしく屋上から蹴っ飛ばされたランボーグは、カバトンに激突。

切り揉みしながらなお吹っ飛ぶ中で、カバトンが取り上げていたソラのミラージュペンが宙を舞って。

 

「ソラさん!!」

「ら、ランボーグ!?」

 

飛び出したプリズムが、手から光弾を連射。

機銃の如き連撃に本体のランボーグが悶えて、拘束が緩んだ。

 

「ッ・・・・!」

 

すぐに抜け出したソラは、そのまま触手に掴まって。

振り子の要領で飛び出す。

ミラージュペンを掴むと、口を塞ぐテープを取り払った。

 

「ひろがるチェンジ!スカイ!!」

 

躊躇う理由はない。

即行で変身して、着地した。

 

「いいい行け!ランボーグ!!」

 

一番厄介なやつが解放されてしまい、ますます動揺するカバトン。

小型を慌てて向かわせるも、

 

「キュアスカイの邪魔は、させないよ!」

 

即座にプリズムが駆けつけて、まずは牽制の光弾。

怯んだところへ思い切り飛び込んで、拳を叩きつける。

 

「――――ッ」

 

初めて、ものを殴った感覚。

殴り合いだなんて生まれてこのかたやったことない両手を見つめて。

ほんの少しだけ怯むものの。

 

(・・・・ううん、大丈夫)

 

後ろに、スカイがいることを思い出して。

 

(もう、一人で戦わせない!)

 

プリズムは、祈る様に拳を握った。

 

「はあああああああああッ!」

 

そんな彼女が、がむしゃらに連撃を与えていく音を聞きながら。

スカイは、緩やかに加速。

もう好きにはさせないと、剣に手をかけて。

 

「ヒィーロォーガァールゥー!!スカイソードッ!!!」

 

一瞬、一閃。

決定的になった敗北に、狼狽えるしか出来ないカバトンの眼前で。

 

「スミキッター・・・・!」

 

まさに一太刀の下に切り捨てた。

 

「――――ヒィーロォーガァールゥー!!」

 

プリズムも、小型から一度距離を取ると。

両手を掲げて、大きなエネルギーを溜めて。

 

「プリズムショット!!」

「スミキッター・・・・」

 

ランボーグに叩き込んだのだった。

 

「つ、TUEEEE・・・・!!」

「ひゃー!二人ともすごい!」

「えるー!」

 

屋上から見守っていたあげはとエルは、歓声を上げるが。

上から見ていたからこそ、すぐ違和感に気付いた。

頭を抱えていたはずのカバトンが、こちらを見て嗤っている。

それに言いようのない悪寒を感じたあげはは、身を乗り出して叫んだ。

 

「二人とも気を付けて!!まだ終わってない!!」

「もう遅いのねん!ランボーグ、分裂しろッッ!!!」

 

カバトンの号令が響くや否や、屋上の入口が再び爆ぜて。

大量のランボーグが飛び出してくる。

 

(クソ、三体目がいたのか!)

「そ、そんなのアリ!?」

 

悲鳴を上げるプリズムの横で、スカイが飛び出す。

垂直を駆けのぼり、あっという間にあげはの下に駆け付けると。

エルごと抱き上げた。

 

「こちらに!」

「ど、どちらに!?」

「飛びます!」

「えっ!」

 

所謂『お姫様だっこ』に動揺したあげはは、スカイの回答に素っ頓狂な声を出す。

 

「ええええええっ!?」

「えるー!!」

 

あげはは悲鳴を、エルは歓声を。

スカイに抱えられたまま、それぞれ上げて。

地上へ逃げてくる。

 

「スカイ!」

「二人をお願いします!」

 

駆け寄ったプリズムの返事を待たずに、再び剣を抜き放ってランボーグと向き合うスカイ。

屋上から次々降りて来たその数、もはや群れと言っても過言ではなかった。

 

「こら!卑怯だぞ!!」

「言ったはずなのねん!卑怯もらっきょうもないのねん!」

 

あげはの抗議もなんのその。

勢いづいたカバトンは、再びメガホンを持ってスカイに語り掛ける。

 

「逃げようだなんて思うなよ!一歩でも逃げたら、そこらじゅうを攻撃させるのねん!」

「ッ、面倒な・・・・!」

「プリンセス達の下へ駆けつけても逃げたとみなすのねん!!カバトン様を散々コケにしたこと、後悔させてやるッ!!」

 

険しい顔をするスカイは、まずこの群れを何とかするべく剣を取る。

 

「スカイ!」

「こちらは任せて下さい!それより、あげはさん達を守って!最悪私を置いて逃げても構いません!」

 

案じて声を上げるプリズムへ、振り返らないまま指示を出して。

狭うランボーグへ、まずは一発。

空いた片手に鞘も握って、ボカン!ドカッ!と打撃の音を響かせる。

そうやって周囲に余裕を開けると。

 

「ハアッ!」

 

一閃。

横に薙ぎ払い、群れを後退させる。

 

「すご・・・・!」

「ッわたしも・・・・!」

 

もはや演舞にも見える攻防へ、あげはが感嘆の声を上げる横で。

プリズムは大股数歩前に出ると、手を掲げて光弾を放つ。

今まさに飛び掛かろうとしたところを邪魔されて、何体かが怯む。

スカイは当然見逃さず、それらも容赦なく叩き切った。

 

「・・・・ッ」

 

分裂しただけ弱くなっているのか、一撃当てれば浄化されてしまうランボーグ達。

しかし、いかんせん数が多い。

それに加えて、スカイから離れたところの個体が、しれっと分裂を繰り返しているのが見えた。

 

(持久戦に持ち込む気か、さすがにまずいな・・・・!)

 

さすがに疲労を見せ、一度足を止めてしまった。

その隙をついて、三体ほどスカイの守りを突破していく。

 

「しまった!」

「ップリズムショット!」

 

すかさずプリズムが必殺技を放つも、一体仕留め損ねてしまう。

 

「あげはちゃっ・・・・あッ!?」

 

叫んだプリズムの横を、何かがすっ飛んでいった。

剣だ。

投げ槍よろしく、まっすぐ投擲された剣は。

ランボーグを容赦なくぶちぬいて、勢いそのままに地面に突き刺さる。

そして、それがあげはの傍にあるということは。

 

「ナーッハッハッハッハッ!バカな奴!自分の武器を投げるなんて、何を考えてるのねん!!」

 

カバトンの笑い声に振り向けば、思った通り丸腰になったスカイが取り囲まれていた。

 

「やば、早く届けないと!」

 

一番近くにいたあげはは、植え込みに突き刺さった剣を両手で持って引き抜いて。

 

「――――えっ」

 

驚愕に、身も心も一時停止した。

 

「あげはちゃん!エルちゃん!大丈夫!?」

「・・・・ましろん」

 

駆けつけたプリズムは、明らかに狼狽えているあげはに首を傾げる。

 

「どうしたの?」

「ましろん、ソラちゃんって何者・・・・?」

「何者って・・・・?」

 

上手く言語を紡げないのか、何度か口をぱくぱくさせたあげはは。

埒が明かないとばかりに、空いた片手を剣へ伸ばして。

その刀身を、思いっきり握りしめる。

どころか、さらに滑らせた。

 

「あげはちゃん!!何して――――!?」

 

その様を見て狼狽えたプリズムもまた、絶句する。

 

「――――この剣、刃がないの」

 

開かれたあげはの手には、血の一滴どころか。

掠り傷すらついていなかった。

 

「っていうか、鉄じゃない。ただの木刀に色塗ってるだけだよこれ!!」

「そんな!!だって・・・・だって!!」

 

あげはが告げた言葉に、プリズムは否定の声を即座に張った。

だって、彼女は見てきたからだ。

その剣が、何度もものを切って来たところを!

『貸して!』と、半ばひったくる形で実際に持つも。

予想以上の軽さに、あげはの言うことが真実であると否応なく理解する。

 

「ソラさん、これでどうやって・・・・!?」

 

固唾を呑んで、囲まれたスカイを見守る。

 

「――――これはこれは、面白いことをおっしゃる」

 

当の本人は余裕の表情。

その不敵な笑みはハッタリか。

それとも。

 

「――――誰が、何を、捨てたと?」

 

視界に偶々入ったらしい箒を、起用に蹴り上げると。

迷わず手にして、目を閉じる。

 

「ムキー!徹底的に叩きのめせ!ランボーグ!!」

――――ランボーグッッ!!

 

大量のランボーグが、飛び掛かる。

スカイは焦らず、呼吸を整えて。

 

「――――セイッ!!」

 

箒が、ランボーグを両断した。

 

「ハアッ!?」

「刃足り得るは鋼だけだとでも!?甘いぞ、三下ァッ!!」

 

敵も味方も驚愕の目を向ける中、スカイは次々切り捨てながら不敵に叫ぶ。

 

「十分に練り上げた気を込めてやればッ!紙だろうが、布だろうがッ!」

 

言う通り、マントでも切り払いながら次々切り伏せて。

 

「肉を切り裂き、骨を断つッッ!!」

 

居合の、構え。

 

「ヒィーロォーガァールゥー・・・・!!」

「ひ、ヒイイイイッ!!」

 

頭を抱える、カバトンの目の前で。

 

「スカイッ!!ソオオオ――――ドッ!!」

 

瞬きの間に、全てを切り裂いた。

 

「――――さて」

 

浄化の光に満たされる中。

箒を振って残心しながら、カバトンを見据えるスカイ。

 

「まだ、やりますか?」

「カバトントン!!」

 

目を向けられたカバトンは、即行で撤退していったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

っあー、つっかれた・・・・。

今回はさすがに危なかったな・・・・。

 

「ソラさん、これ」

「ああ、ありがとうございます」

 

変身を解いて、肩を回していると。

ましろさんが剣を持ってきてくれた。

 

「今までずっと、こんな剣で戦っていたんですね」

「いいでしょう?錆びないし、手入れも楽で、何より軽い。普段使いにも持って来いです」

 

受け取った剣を鞘に収めて、ミラージュペンへ収納した。

 

「すごかったよ!あんな達人技を易々とさ!!」

「恐縮です、でも易々じゃないんですよ」

 

ちょっと耐えられなくなって、ベンチに腰掛けた。

 

「めちゃくちゃ疲れるし、内息も濁る・・・・正直、もうへとへとで・・・・」

「なるほど、持久戦に弱いのか・・・・」

 

ちなみに内息(ないそく)とは、体の中(特に内臓回り)に流れる気のことをさす。

『気の流れ』と一口に言うけど、実際は体の内と外と二種類あるってことだけ理解してもらえれば。

 

「でも、普通の剣を使えばいいんじゃないですか?スカイランドって、銃刀法はないんでしょ?」

「普通に剣使える環境なの?でもそれなら確かに、普通のやつ使えばよくない?」

「私も最初はそうしていましたよ。けど、私の不手際で弟が怪我してしまって・・・・」

 

――――あの時のことは、今でも覚えている。

家事を手伝うために、一度剣を自室においていったことがあった。

もちろん施錠をしていたのだが、好奇心旺盛だった弟は窓から侵入してしまったのだ。

某金色なカムイの副長にあやかる形になるが、男の子と言うものはチャンバラが大好き。

だからあの日も触るだけにとどまらず。

実際に鞘から抜いて、振り回してしまって。

 

「普段から、勝手に触るなときつく言い含めていたのですが、それが却ってよくなかったみたいで。結局、弟は頭に刃をぶつけてしまって・・・・」

「それ大丈夫だったの!?」

「はい、幸いすぐに駆け付けられましたし、傷も浅かったので」

 

でも、ものすごくショックだったのを覚えている。

守るための、ヒーローの剣でも。

守るべき人を傷つけることがあるんだって。

 

「傷つけないよう加減することも考えましたが、いかんせん私は未熟者です、いつ加減を誤るか分かりません。ならばいっそのこと、最初から刃物を持ち歩かなければいい」

 

我ながら極端かと思いもしたが、今はそれが性に合っている。

 

「・・・・ソラさんって、実はすごい人なんですか?」

「いいえ、まさか」

 

ましろさんが、恐る恐るとばかりにそんなことを聞いてきたので。

すぐに訂正する。

 

「ただの変わりものですよ、今も、昔も」

 

『ドMの所業みたいな鍛錬してる奴がいる』って、もっぱらの噂だったしな!(白目)

いや、あの頃は何かやってないと落ち着かなかったとはいえ。

今の家族(ハレワタールさん)に申し訳ないことをした・・・・。

 

「・・・・・ところで、さ」

 

話が一段落したところで、あげはさんが手を挙げる。

 

「そろそろ、二人の不思議な力について聞きたいかなーなんて」

「「あっ」」

 

そういえばそうだった!

ふつーに話してたけど、あげはさん知らないんだった・・・・!

 

「あああああげはちゃんあれはね、何と言ったらいいのか、悪いものじゃないんだけどね・・・・!!」

「た、他言無用でお願いします・・・・何卒・・・・何卒・・・・!」

「オーケーオーケー!むしろ誰も信じないと思うし!」

 

――――ましろさんと二人で、慌てふためきながら説明する羽目になったのは。

また別の話である。




『OP西川〇教』の所以が、分かる人には分かる回でした。
サンダーボルトファンタジーは、いいぞ・・・・!!
世界一スタイリッシュな人形劇が見れるぞ・・・・!!
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