――――いや、痛ぇ。
ハチャメチャに痛ぇ・・・・!!
血を失くし過ぎて、フラッフラだけども。
そんな弱味見せようもんなら、一瞬で刈り取る様な連中が相手なので。
死ぬほど頑張って『からげんき』発動させてマス・・・・!!
正直しんどい・・・・でも頑張らないと・・・・。
ううう、でもハッタリだって見抜かれてんだろうなぁ。
某オサレな眼鏡さんも言ってるもんね、『あまり強い言葉を使うと、弱く見える』って。
今しがたの私、まさにそれだったもん・・・・。
ああ~、さっきの悪いお口。
どうかエルちゃんが聞いてませんようにー!*1
「・・・・ハハァー、威勢の良いことで」
鬼みたいな見た目になったメイテイが、からかいながら身を乗り出してくる。
くそう、やっぱりバレテーラ・・・・。
「で、どうするの?そんな気合でどうにかなるほど俺達甘くないけど?」
「ッ・・・・!」
おっしゃる通り(白目)
エルちゃんはアンダーグ帝国に連れていかれたまま。
駆けつける方法も分からない。
そもそも、この状況を切り抜けられるかどうか・・・・。
いや、弱音を吐いて好転するわけじゃないしな。
幸い、仲間達も折れていない。
大丈夫、まだ最悪の状況じゃない。
逆転のチャンスは、いくらでもある・・・・!!
「ただじゃ折れない、か・・・・面倒だねぇー、キミ」
引っ掴んでいる剣に、力が籠るのが分かる。
やっべ、これどうするか考えてなかった(白目)
もう甘んじて受けるしか・・・・。
「――――ぁ、なたこそ」
覚悟を決めたその時。
後ろからプリズムの手が伸びて。
「いつまでそうしているのッ!?」
「おわっ」
プリズムショットを、ぶち当てた。
「づ・・・・!」
思い切り剣が抜けて、また痛んだけれど。
真っ二つよりマシ!!ヨシ!!
「ッ今回復する!」
バタフライが、ミックスパレットを手に駆け寄ってくれる。
だけど、
「――――消し飛ばせ」
私の視界に、巨大なアンダーグエナジーの砲撃を放とうとするもう一人の姿が見えて。
「待って!!防御ォッ!!」
「ッ・・・・!!」
気が付いてくれたバタフライが、切り替えようとしてくれるけど。
ダメだ、間に合わない・・・・!
「クソッ・・・・!」
せめて、損害を少なくしようと。
前に出ようとした。
――――その時だった。
「――――ッ!?」
何か、誰か。
光とともに、舞い降りて。
「――――ひろがるチェンジ」
◆ ◆ ◆
「・・・・」
「おんやマッ」
――――防がれた。
スキアヘッドとメイテイの二人は、確信を持って煙の中を注意深く凝視する。
「これはこれは・・・・」
果たして。
薄れて来た煙の向こうに、新たな人影が立っていた。
紫を基調とした、ドレスの様にも見える衣装。
しかして、その高貴で可憐な見た目とは裏腹に。
どのプリキュアよりも強い、光。
「あの子、まさか」
「ええ・・・・」
傷口を抑えるスカイを始め。
プリキュア達は、戸惑いと期待が半分ずつになった顔で。
目の前の、紫色の背中を見る。
「新しい、プリキュア・・・・!」
肝心の『紫の戦士』は、おもむろに取り出したスカイミラージュから。
ビームの様な刀身を伸ばすと。
精悍な顔つきで、正面に切っ先を突き付ける。
「ハハ、上等!」
対するメイテイは、獰猛に笑って応戦しようとしたが。
「ふっ・・・・!」
「――――ハッ?」
三歩の内に、肉薄されていた。
「
「たぁっ!!」
メイテイが遅いわけではない。
しかし、それでも間に合わなかったのだ。
「ゴハァッ!?」
まるで野球のホームランの様に、胴体を撃ち抜かれて。
廃墟の一階部分へ、派手に吹っ飛んでいくメイテイ。
『紫の戦士』は、瓦礫と土煙に埋もれて姿が見えなくなったのを認めると。
続けざまにスキアヘッドを見上げて、そちらへ飛び出していく。
「はああああッ!!」
「――――守れ」
やはり冷淡に手を前に出して、一閃を防御するスキアヘッド。
刀身とバリアが激しく競り合い、スパークする。
「――――汝の、名は?」
衝撃と火花の真っただ中でもなお、表情を崩さないスキアヘッドが。
淡々と、当然の問いを投げると。
「キュア、マジェスティ・・・・!」
『紫の戦士』は、毅然と名乗りを上げた。
「――――キュアマジェスティ?」
「それがあの子の名前・・・・」
見守るほかないプリキュア達の目の前。
『紫の戦士』の、マジェスティの刀身が放つ光が。
スキアヘッドのバリアを侵食していく。
「――――キュアマジェスティ」
光が迫っても、やはり崩れない表情で。
スキアヘッドは自らの頭を指さし。
「その名前、知識の宮殿に記憶しておこう」
攻撃が当たる前に、撤退していったのだった。
「――――勝っちゃった」
「キュアマジェスティ、すご・・・・!」
――――初戦であったことを踏まえても。
あんなにも苦戦していた二人を圧倒してしまったマジェスティに。
高揚にも似た戦慄を覚える面々。
と、
「――――ッ!?」
突如として、マジェスティの真横が爆ぜた。
砂埃を振り払って現れたのは、メイテイ。
「油断大敵だよ、お嬢ちゃん!!」
「ッ・・・・!」
姿こそ戻っていたが、十分にダメージを与えられる距離。
マジェスティは驚愕に目を見開き、硬直してしまう。
「危ない!」
「逃げろ!」
プリキュア達が、口々に案じる中。
「――――破魔」
間に合ったのは。
「――――竜王刃ッ!!」
いち早くメイテイに気付いた、スカイだった。
右手を動かせないままに飛び出していた彼女は。
左腕一本で技を放ち、防御を試みる。
「ハーア!!元気元気!!でも見通し甘いんじゃないのー!?」
「くッ・・・・!」
しかし、やはり腕一本では無理があった。
背後にいるマジェスティの為に、退くことすら叶わないまま。
押し込まれそうになってしまう。
「ッ・・・・!」
その時。
スカイの手元に、新たな手が加わる。
「貴女・・・・!?」
マジェスティだった。
「合わせる!!このまま一緒に!!」
「ッ、はい!」
一緒に剣を握る手元から、マジェスティの紫が加わって。
技の威力が、高まる。
「「はああああああ―――ッ!!!」」
「あー、待って待って待って、そんなんありィ!?」
そのまま、メイテイを押し返して。
「「ダアアァッ!!!」」
極光が、振り抜かれた。
◆ ◆ ◆
「は、は、は・・・・!」
暴風となった剣圧が、収まった頃には。
もうメイテイの姿は、影も形も見えなかった。
・・・・完全に避けられたわけじゃないけど。
寸前で離脱していたのが見えたんだよなぁ。
はぁー、こりゃ。
体勢立て直したらまた来るぞー。
めんどくさぁ・・・・。
「は・・・・ッ・・・・!」
そろそろ立っているのも限界になって、座り込んでしまう。
変身が解けると同時に、膝が足元についた瞬間。
「オワーッ!?」
轟音を立てて、一画が崩れ出したァ!?
廃墟自体が限界だったのか!?さっきの余波か!?
どっちにしろヤッベェ!!
(落ちる・・・・!)
右腕は未だに動かせない。
落下を自覚して、覚悟を決めた瞬間。
「――――大丈夫?」
マジェスティに、ホールドされていた。
「ッ、ええ・・・・ありがとうございます」
お、お姫様だっこされる側っていうのは、中々ないな。
新鮮だ・・・・。
「・・・・怪我、ひどいね」
木に寄りかかる形で降ろしてくれたマジェスティ。
心配そうにしゃがみ込んで、視線を合わせて来る。
今回は、彼女のお陰でなんとかなった。
来てくれなければ、どうなっていたことか・・・・。
「大丈夫ですよ、ちゃんと治りますから」
「本当?」
「ええ、本当です」
見た目は
・・・・何より、この気配。
(・・・・もしかして)
考えに耽っていると。
目の前で、マジェスティの体からほろほろと光の粒が零れ始めている。
「改めて、ありがとうございました」
「・・・・ううん」
ゆっくり首を横に振ったマジェスティは、ふと。
こちらに両手を伸ばすと、私の頭にそっと添えて。
静かに、唇を落とす。
「――――こちらこそ」
夕焼けの中。
頭から顔を話したマジェスティは、花束の様な笑顔を綻ばせて。
「いつも、ありがとう」
今度こそ姿を消したのだった。
・・・・やっぱり、
「――――ソラさん!」
疑念が確信に近づいた、その時。
動けるくらいに回復したらしい仲間達が、駆け寄ってくる。
「今度こそ回復するよ!」
早速、バタフライが回復してくれようとするけれど。
「ッ、治らない・・・・!?」
一度は塞がりかけた傷が、黒くスパークしながら再び広がっていく。
・・・・なるほど、ゲイ・ボウ的な。
「あの剣でつけられた傷は、簡単に癒えないのか・・・・!?」
「厄介な・・・・!」
戦慄するウィングに、エクリプスが苦い顔をする。
申し訳ない・・・・完全に不徳の致すところです・・・・。
「エルちゃんも、取り返せていないのに・・・・!」
耐え切れず、ボロボロと涙を零すプリズムの言葉で。
空気が重くなった。
・・・・そうだよ。
今回は完敗と言っても過言ではない。
エルちゃんをまんまと連れ去られて、手も足も出なかったばかりか。
手傷まで負わされて。
あの子が、マジェスティが来ていなければ。
全滅も有り得ていただろう。
「とにかく、一度戻ろう。ヨヨ殿と一緒に、アンダーク帝国へ乗り込む方法を考えなくては」
変身を解いたベリィベリーさんの提案に、みんなが頷く。
・・・・普通なら、そう考えるんだけど。
多分、もう。
「――――そら!」
『その可能性』について、なんと切り出そうか悩み始めたタイミングで。
物陰から、元気な声。
揃ってそちらを振り向けば、
「ッ、エルちゃん・・・・!」
「あい!えるだよ!」
エルちゃんがひょっこり顔を出していた。
・・・・やっぱり。
「プリンセス!?よくぞご無事で・・・・!!」
「大丈夫でしたか?お怪我は・・・・ないようですね・・・・!」
「エルちゃん、本当によかった・・・・!」
思わず駆け寄って、口々に無事を喜ぶ仲間達。
中心でベリィベリーさんに抱っこされているエルちゃんは、どこか誇らしげにみんなを見渡している。
「エルちゃん・・・・本当に、よかったよね・・・・!」
そんな中、ふらふらと歩いていたましろさんは。
「ごめんね、ごめんね・・・・!」
新たに涙を零しながら、崩れ落ちてしまう。
「守ってあげられなくて・・・・ごめんね・・・・!」
――――確か。
車の中で、ましろさんはエルちゃんの隣に座っていたはずだ。
なのに、すっかりしてやられてしまった。
・・・・改めて思うと、また腹立ってきたな。
あのハゲ、お綺麗な肌に『肉』って書いてやろうか・・・・。
『美肌』も有りかもしれない。
あの輝く頭に、油性マジックで、でかでかと書いてやる・・・・!
「なかないで、ましろ・・・・」
ぶり返してきた怒りは、エルちゃんがましろさんの頭を撫でている光景で鳴りを潜める。
――――新たな敵、スキアヘッドに。
厄介な手札を見せたメイテイ。
そして、未だ顔を見せぬ、彼らの支配者。
まだまだ油断は出来ない。
もっと強くならなきゃいけない。
・・・・けれど。
「もうッ、絶対に離さないからね・・・・!!」
「あい!」
――――今は、ひとまず。
生きて乗り越えられたことを喜ぶとしよう。
ノリは『親子かめはめ波』()
どこかの考察で、スカイの戦いをずっと見ていたからステゴロになったというのを見たので。
じゃあ拙作の『彼女』はこれで行こうかなと。
常夜丸
拙作オリジナル。
メイテイが携える真っ黒な妖刀。
柄から切っ先まで、全てがアンダーグエナジーで出来ている。
アンダーグ帝国でも屈指の名刀を、メイテイは酒の飲みっぷりで手に入れた。
解放すると七支刀になり、持ち主に文字通り鬼の様な力を与える。
また、解放形態で斬りつけられると、傷が治りにくくなる。