ヒーローガールは異物入り   作:数多 命

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まほプリ見始めたんですけど、面白いですね。
みらリコはーモフが、予想以上に家族してる・・・・。
かわいい・・・・みんなかわいい・・・・。


七試練~メイテイ~編
偽物、特訓を見守る


「ごめんなさい・・・・パン、焦がしちゃった」

 

――――翌朝、虹ヶ丘家。

ましろさんが申し訳なさそうに抱えたバスケットには、言う通り黒焦げのパンが。

いつも賑やかな朝の食卓は、今日ばかりは重く静まり返っていた。

 

「昨日のこと、色々考えちゃって・・・・」

 

ましろさんに限らず、みんな同じことを。

昨日の攻防を考えていることだろう。

私も、みんなも。

徹頭徹尾、徹底的に相手のペースだった。

今ここに、無事でいられることが。

未だに信じ切れていない。

 

「スキアヘッド・・・・これからは、あの強敵を相手取らねばならんのか」

「メイテイの剣も、とても厄介です・・・・ソラさんの腕も、治らないままですし・・・・」

 

私の右腕も、結局治らないまま。

普通の怪我じゃないので、病院も頼れない。

なので、今はヨヨさんお手製の傷薬を塗って、骨折の様に腕を吊って固定していた。

ちなみにそのヨヨさんは、アンダーグ帝国のさらなる情報や、メイテイの剣『常夜丸』の呪いを解く方法を探す為に。

単身スカイランドへ渡ってくれている。

いつもありがとうございます・・・・!

 

「はいはいはい!!ひとまず切り替えよー!!」

 

手拍子が、落ち込んだ思考を一時停止させた。

いつの間にか俯いてしまっていた顔を上げると、目が合ったあげはさんが、パチンとウィンクする。

 

「起きたことを考えるよりも、これからを考えよう!今度はエルちゃんを奪われないように・・・・私達自身が強くなれるように!」

 

は、とまた視線を動かすと。

やや不安そうに私達を見渡すエルちゃんがいて。

・・・・本当に。

こういうところが頼れるんだよな、この人。

 

「・・・・そうですね」

「ああ、嘆いて強くなれるわけでもあるまいし」

「うん、頑張ろう!」

 

みんなも前向きになれたようで、何より。

食卓の雰囲気が軽くなったところで、ふと。

 

「あーう!まーじぇ、まーじぇ、まーじぇ!」

「・・・・そういえば」

 

不安が拭えたらしいエルちゃんが、スープをご機嫌に混ぜているのが聞こえて。

ツバサくんが、口火を切る。

 

「キュアマジェスティって、何者なんでしょうか?」

「言われてみれば・・・・」

「めちゃ強だったよね」

「本当に・・・・あの人がいなかったら、どうなっていたか」

 

口々にマジェスティのことについて語り合うみんな。

 

「ソラさんはどう思います?」

「ああっ!そうだよ!」

 

私はどうコメントしようかと考えていると、話を振られてしまった。

途端に、あげはさんが立ちあがって。

 

「バタバタしてて聞きそびれちゃったけど、昨日あの子にちゅーされてたよね!?」

「待っっっっって」

 

待っっっっって。

 

「浮気だ浮気!!」

「ご、誤解です!!っていうか、あの状態で何かしら出来ると思います!?」

 

いや、まあ確かにされてたけども!!

っていうか、それはましろさんの台詞では!?

 

「なんて話しているが、どうなんだ?」

「ああ、うん・・・・そうなんだけども」

 

ツバサくんに呆れた視線を向けられながら、あげはさんとわちゃわちゃしている横で。

ベリィベリーさんに問いかけられているましろさん。

すると彼女は、やや悩んだ様子を見せてから。

 

「びっくりはしたけど、なんか嫌な感じはしなくて・・・・」

「そうなのか?」

「うん、不思議だね」

 

そう、ましろさんがはにかんだ時だった。

 

「えるだよ!」

「うん?」

 

やり取りを見ていたエルちゃんが、手を上げる。

そして、

 

「える、きゅあまじぇすちなの!!」

 

元気いっぱいなカミングアウトをしたのだった。

 

「「「ええええええええッ!?」」」

「エルちゃん、それ本当?」

「あい!」

 

大分衝撃的な告白。

ちなみに私の感想は『やっぱり』だ。

 

「ソラちゃん、もしかして気付いてた?」

「まあ、あれだけ近づいたら、多少は・・・・」

 

あげはさんが物申した、額へのキスも含めて。

気配を探る機会が何度もあればね・・・・多少はね・・・・。

 

「うそじゃないの、ほんとなの!」

 

困惑し過ぎたのか、不安そうに見渡すエルちゃん。

 

「ッううん、みんなエルちゃんが嘘ついたって思ってないよ!ね?」

「ええ、むしろ納得です」

「確かに・・・・プリンセスは運命の子、その力が最強のプリキュアであることとしたら」

「はい、つじつまが合います!」

 

カバトンも、最初はエルちゃんに特別な力がある様な事を口走っていたし。

昨日だってそうだ。

私と二人がかりと言えど、メイテイに大ダメージを叩き込み。

スキアヘッドの攻撃を往なして、撤退させた。

あれが『運命の子』たる所以なのだとしたら、

 

「ねえ、エルちゃん。今、マジェスティに変身できる?」

「あい!」

 

ましろさんの提案に、また元気よく返事したエルちゃん。

 

「え~る~!」

 

ひとまず廊下に移動して、変身を見守ることにしたんだけども。

自信満々にエルちゃんが掲げているのは、愛用のスプーンで・・・・。

 

「ひろがるちぇーんじ!」

 

ぃ、いやいやいやいや、まあまあまあ。

こういうのはノリと勢いが大事って言うしね?

 

「ぁう・・・・」

 

とはいえ、何も起こらないのも事実でして・・・・。

 

「ぷりきゅあ!ぷりきゅあ!ぷりきゅあ!」

 

エルちゃんは、ポーズを次々変えて変身しようとするけれど。

なかなかマジェスティになれる気配がない。

 

「ちぇんじ!ちぇんじ!ぷりきゅあ!つよいの!」

 

エルちゃん本人も、だいぶ焦っている様子で。

 

「うぅ、ほんと・・・・ほんとなのにぃ・・・・!」

 

終いには、プンプンとスプーンを振り回して泣きそうになってしまった。

 

「はい、ストップ」

 

振り回す手を、包む様に握って止める。

 

「本当なのは分かっていますよ。貴女は確かに、キュアマジェスティです」

「そらぁ・・・・!」

「ソラちゃんの言う通り!でも今は、なぜか変身出来なくて、こまったこまった、なんだよね?」

「えう・・・・!」

 

あげはさんに抱っこされて、涙目のエルちゃん。

変身出来なくて、悔しそうだな・・・・。

私達に、ちゃんと出来ているのを見られていただけに。

悔しさもひとしおだろうな・・・・。

 

「よぉーし!ここは最強の保育士とボディガードコンビにお任せあれ!」

「そうですね、変身する方法を一緒に考えましょう」

「・・・・あーい!」

 

実際右腕は使い物にならないしね。

大人しくこちらを手伝うとしよう。

 

「なら、私達は特訓だな」

「はい!」

「プリンセスに頼りきりになるんじゃなくて、僕達自身が強くならないと!」

 

みんなもそれぞれやる気になったし、前向きになれてよかった・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

「カイゼリン様・・・・ついに、あのキュアマジェスティが現れました」

 

アンダーグ帝国、玉座の間。

スキアヘッドの報告に、女帝『カイゼリン』は忌々し気に舌打ちする。

 

「まだその強大な力を使いこなせぬうちに、消し去らねば」

「・・・・よかろう」

「はい、全てお任せを」

 

深くこうべを垂れて、謁見を終わらせたスキアヘッド。

 

「――――あれは?」

「だいぶタフだからねぇ、まーだ抵抗してるよォ」

 

玉座の間を出た彼は、真横で壁に寄りかかっていたメイテイに問う。

 

「マ、時間の問題だろうけど」

「・・・・ならば、良い」

 

淡々と確認を終えたスキアヘッドは、闇に消え。

それを見送ったメイテイもまた、踵を返して別の闇に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

「――――ひろがるちぇんじ!」

 

めいいっぱいの声を張り上げて、色んなポーズを試すエルちゃん。

私達のはもちろんのこと、いつか出会ったデリシャスチームや、ヒーリングっどチームのポーズも試しまくっているけれども。

未だに変身の兆候は見られない。

 

「う"ぅ"~!」

 

散々試行錯誤しても、なかなかうまくいかない状況に。

涙をいっぱい溜めて、今にも泣き出しそうになるエルちゃん。

 

「なかなか上手くいかないねぇ」

「少し、お休みしましょうか」

「そらぁ・・・・!」

「よしよし」

 

ぐずりそうになるエルちゃんを膝に乗せて、よしよしする。

 

「うーん、流石に頭打ちかなぁ・・・・」

「ですねぇ」

 

いっぱい頑張ってるんだけどなぁ・・・・。

変身出来たのが、偶然だとは思えない。

何かのきっかけがあるはずだ。

 

「ここは、先輩のアドバイスの出番じゃない?」

 

先輩・・・・ちょっとくすぐったい響きだ。

って、照れてる場合じゃないや。

 

「おしえて!おねがい!」

 

エルちゃんのやる気もまだ尽きていないし、応えたい。

 

「・・・・そうですね」

 

今、出来そうなアドバイスは。

 

「――――体の力を抜きましょう」

「ちから?」

「はい」

 

見上げて来る真ん丸な目を、見つめ返す。

 

「今のエルちゃんは、頑張ろうって思い過ぎて、知らない内に体が疲れちゃってるんです」

 

もにもにと、ちいちゃな肩を揉みながら。

伝わりやすい言葉を、何とか選ぶ。

 

「だから、一度体の力を抜いて、リラックスしましょう」

「なるほど、瞑想だね!」

「はい!」

「めーそー?」

「大きく息を吸って、吐いて。心と体を、ふわーってさせるんだよ」

 

エルちゃんをあげはさんに託して、足を組む。

右腕はそのままに、左手を膝に置いて。

 

「ヒュウウウゥゥ・・・・」

 

たっぷり時間をかけて、ゆっくり呼吸する。

 

「おおっ!堂に入ってるね・・・・」

「えるぅ・・・・!」

「エルちゃんもやってみる?」

 

切りのいいところで目を開けると、あげはさんがエルちゃんに提案しているところで。

エルちゃんはやや悩んでから、

 

「・・・・やる!」

 

ふんす!と鼻息荒く意気込んだのだった。

 

「はい、ここに座ってください」

「あい!」

 

胡坐はさすがに無理なので、椅子を用意する。

 

「お膝に手を当てて、目を閉じるんです」

「える・・・・!」

「それからゆっくり、息を吸って・・・・吐いて・・・・」

「すぅー・・・・ふぅー・・・・!」

 

エルちゃんの手に、私の手を添えて。

ゆっくり呼吸をさせる。

けれど、やがて櫓をこぎ始めてしまう。

 

「おっと」

「ありゃりゃ、寝ちゃった」

 

とうとう、すやすやと寝息を立て始めてしまった。

 

「まあ、ちょうどいいかもね」

「ええ、頑張ってましたからね」

 

小一時間くらいだろうか。

色んな変身ポーズと、発声を頑張ってたんだ。

休憩するには、ちょうどいいタイミングと言っていいだろう。

 

「起きたら、他のみんなのとこにも行ってみようか」

「はい」

 

何はともあれ。

今はゆっくり寝かせてあげよう。




あ、新章スタートです(今更)
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