ヒーローガールは異物入り   作:数多 命

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誠にありがとうございます。




キュアップ・ラパパ!!キュアップ・ラパパ!!(まほプリ面白いです)


偽物、一緒に試行錯誤

「う"う"う"~・・・・!」

「ソラちゃんみたいにカッコよく集中出来たら、変身出来ると思ったんだねぇ」

 

エルちゃんが起きたのは、30分ばかし経った頃だった。

いくら赤ちゃんでも、瞑想が上手くいかなかったことは分かった様で。

ほっぺたをぷっくり膨らませて、ご機嫌ナナメになってしまっている。

 

「私の教え方が悪かったんです、エルちゃんは悪くありません」

「そうそう!エルちゃんにはちょーっと難しかったねぇ」

 

ぐずるエルちゃんを、二人がかりで何とかなだめすかして。

他のメンバーの練習風景を見に行くことにした。

 

「――――ベリィベリーちゃん!」

「お邪魔します」

「まーっしゅ!」

「ップリンセス、みんな」

 

――――最初にやってきたのは、庭先で鍛錬していたベリィベリーさん。

キリが良いところだったのか、一度動きを止めてこちらに向き合ってくれる。

 

「変身の方はどうだろうか?」

「それが、どうにもうまくいってなくて」

「エルちゃんも、ポーズ変えたり台詞変えたり、色々頑張ってるんだけどもね」

 

そういうことで、先んじてプリキュアになった面々の見学に回ることになったのだと説明すると。

ちょっと照れくさそうになるのが、手に取る様に分かった。

だよね、やっぱり照れるよね・・・・。

 

「では、ご覧ください。プリンセス!」

 

小休止を切り上げたベリィベリーさんは、庭先にもう一度立って。

 

「ッはああああああ!!」

 

八極拳の様な演武を見せてくれた。

速さはないけれど、一撃の威力が高いことがよく分かる。

いや、ほんとにすご・・・・。

文字通り拳が唸ってるよ・・・・。

 

「おおー!」

「一撃一撃がとても重い・・・・さすがです」

 

私もあげはさんも、感嘆の声を上げていると。

エルちゃんが、てちてちとベリィベリーさんの横に立ったのが見えて。

 

「エルもやる!」

「ぷ、プリンセスもですか?」

 

びっくりするベリィベリーさんだけど、エルちゃんの目は真剣そのもの。

 

「・・・・分かりました、やってみましょうか」

 

ということで。

ベリィベリーさんも監修の下、エルちゃんは張り切って拳を突き出すけれど。

 

「える!?」

「わ!」

「おっと」

「エルちゃん!」

 

勢いあまって、転んでしまった。

みんなで咄嗟に抱えたので、怪我はしなかったけれど。

エルちゃんの顔色は優れない。

 

「修行したら、変身出来るって思ったのかな?」

「うん・・・・」

 

なるほど。

ベリィベリーさんみたいに動けたら、ポンといけるんじゃないかと考えたわけだ。

 

「でも、ちょこっとだけ早かったみたいだね」

「えう・・・・」

「ですが、とても良い気合でしたよ、プリンセス」

「・・・・あい!」

 

落ち込むエルちゃんだったけど、ベリィベリーさんに励まされて。

なんとか持ち直した様だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題(次にいくぞ)

 

 

 

 

 

 

 

 

「ましろーん!」

「あげはちゃん、ソラさん、いらっしゃい!」

 

次にやってきたのは、キッチンにいたましろさんのところ。

強くなるためには、体作りが肝要だと考えた彼女は。

栄養満点の料理を模索しているところだった。

 

「ヨーグルトに、レモンをたっぷり絞ってみたんだぁ」

「乳酸菌にビタミンC!健康になる予感しかしないねぇ」

「でしょー?それで、あげはちゃん達に味見をお願いしたいんだけども」

「お、いいよいいよー」

 

あげはさんは、エルちゃんをテーブルに座らせてから。

スプーンを手にぱくりと一口。

 

「んんー!すっぱぁ!効くゥー!」

 

悶えてるけど、笑っている様子から。

不味いってわけではなさそうだ。

 

「ソラちゃんも食べてみな、結構酸っぱいよ」

「はい、えっとスプーンは・・・・」

 

オススメされたのと、取りに行くのがちょっと手間だったので。

あげはさんのスプーンをそのままもらおうとしてしまうと。

 

「ソラさん、あーん」

「えっ」

「あーん」

 

す、と。

ましろさんが別のスプーンで掬って、差し出してきていて。

 

「ソラちゃん、ソラちゃん。ここは大人しく餌付けされときな」

「ウッス」

 

断る理由がないというのもあるけれど、それ以上にましろさんの威圧が・・・・。

なんだろう、この家でお世話になり始めた日のことを思い出した・・・・。

 

「あー、んむ」

 

促されるままに、ぱくり。

んんー!すっぱ!

 

「鍛錬後に食べたい味ですね・・・・すっぱ・・・・」

「うーん、やっぱりレモンが多かったかな・・・・ありがとうございます、あげはちゃんも」

「いーってことよ」

 

『はちみつを足してみようかな』と呟きながら、ヨーグルトを一旦置いて。

ましろさんがキッチンに引っ込んでいく。

 

「ましろんも頑張ってるね」

「ええ、頼もしい限りです」

 

あげはさんと話し合いながら、ふと、エルちゃんに目をやると。

ましろさんがおいていった、レモンたっぷりのヨーグルトを頬張ったところで。

 

「ッエルちゃん!?」

「んっ!?んんんんんんんーッ!!」

 

声を上げた時には、もうすっぱいヨーグルトに悶絶してしまっていた。

 

「あわわ、どうしたら・・・・!?」

「エルちゃん!?ああ、ごめんねぇ。すっぱいよねぇ!?」

「はい、これでごっくんしちゃおっか」

 

慌てふためく私達と違って、あげはさんは冷静にミルクマグを手渡す。

思いっきり飲み干したエルちゃんは、やっとひと心地ついたのだった。

 

「栄養をつければ、変身出来ると思ったんだねぇ」

「丈夫な体はヒーローの基本、良い目の付け所です」

「えるぅ・・・・」

 

それにしても。

食べてしまったのが今のうちでよかった・・・・。

はちみついれた後だったら、どえらいことになってたよ・・・・。

 

「ささ、切り替えよ!次々ー!」

「おーっ!」

 

元気いっぱいに、手を突き上げるあげはさんとエルちゃん。

残る先輩はツバサくんだし、この後はそちらに行くのかな。

と、思っていると。

 

「あ、ソラさんはもうちょっと残っててくれます?」

「はい?」

「ソラさん、怪我してるでしょ?だから、ソラさん用にも色々考えてて」

 

見せてくれたレシピには、レバーやホウレン草など。

鉄分豊富な食材を使ったものがたくさんメモされている。

 

「ラブだね、ソラちゃん」

「らぶ!」

 

あげはさんとエルちゃんにも促されてしまったし。

これは、断る方が野暮だなぁ・・・・。

 

「では、お手伝いさせてもらいますね」

「はい!」

 

ということで。

お二人とはここで別れることになった。

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

あげはとエルが最後に訪れたのは、ツバサの研究室だった。

複数の参考書とノートを開き、ぶつぶつと考えを口に出しながら戦術を書き込んでいくツバサ。

 

「少年は何してるの?」

「ッあ、あげはさん、プリンセス」

 

あげはが声をかけると、思考の海から戻って来た。

 

「今後の戦いに向けて、航空力学を応用した戦い方を考えているんです」

 

そう言って、振り向いた彼の手元。

 

「・・・・はっ」

 

にぎられていたミラージュペンを見て、エルはひらめいた。

思えば、ソラ達はあのペンを使って変身している。

ならば、自分をそれを使えば・・・・。

 

「それ、かして!」

「え?これですか?」

「うん!かして!」

 

『どうして思いつかなかったんだ』と言う気持ちでおねだりするエルに、ツバサは困惑した様子を見せる。

 

「少年、貸してあげて」

「はい・・・・それじゃあ・・・・」

 

あげはに促されるまま、ペンを手渡すツバサ。

エルは早速ミラージュペンを掲げて、唱えた。

 

「ひおがるちぇんじ!」

 

しかしながら、そして当然ながら。

何も起こらない。

 

「ひろがるちぇんじ!ひよがるちぇんじ!」

「・・・・その、プリンセス」

 

ぷんぷんとペンを振り回し、何とか変身しようとするエルに。

ツバサは、申し訳なさそうに眉を潜めて。

 

「このペンは、僕専用なんです。だから、プリンセスの変身には・・・・」

 

告げられる事実を受け入れたくなくて、涙をいっぱいに溜めたエルは。

 

「――――うわあああああああんッ!!!」

 

とうとう、大声で泣き出してしまった。

 

「――――エルちゃん!?」

「どうしたの!?」

「何があった!?」

 

あまりにも大きな泣き声に、それぞれの場所にいた面々も駆けつけて来る。

 

「わあああああん!!ぅわあああああん!!」

「よしよーし、エルちゃん、すっごくすっごく頑張ったんだよね?」

 

泣き続けるエルを抱き上げて、あげはが優しく語り掛けた。

 

「でも、なかなか上手くいかなくて。悲しくなっちゃったんだよね?」

「う"う"う"う"う"・・・・!」

「――――大丈夫」

 

あげはの胸で泣きじゃくるエルの頭へ、手を伸ばしたのはソラだ。

 

「昨日は確かに出来ていたんです、あれっきりなんてことは有り得ません」

 

涙で濡れた、エルの頬を拭いながら。

柔く笑いかけるソラ。

 

「・・・・きっと、エルちゃんだけのミラージュペンが見つかりますよ」

「える、だけの・・・・?」

「はい」

「もっちろん!」

 

未だ涙溢れる両目を見つめ返して、ソラとあげはは笑顔を弾けさせたのだった。

 

「ふぅ・・・・うん?」

 

誰もが、落ち着いてくれたエルにほっとする中。

ツバサはふと、窓が騒がしいことに気が付く。

目をやれば、鳥友達が必死の形相で何かを訴えているところで。

 

「みんな、どうしたの?」

 

窓を開けつつ鳥の姿に変身したツバサ。

何事かと心配する仲間達の視線を受けながら、鳥たちの声に耳を傾けて。

 

「――――ええッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――きゃあああああ!!」

「に、逃げろー!!」

「ックソ、ダメだ!」

「警察の装備じゃ歯が立たない!」

 

市街地。

突如として現れた怪物を前に、民衆が逃げまどっている。

 

「――――プリキュア、ドコダ」

 

手ごろなビルや電柱をなぎ倒しながら。

怪物は咆哮する。

 

「ショウブシロォッ!!!プリキュアアアアアアアアアッ!!!!」

 

悲鳴と咆哮で揺れる街を見下ろしながら。

メイテイは、愛用の酒徳利を煽る。

 

「――――さてさて」

 

気だるげに視線を滑らせれば、駆けつけるプリキュア達が見えて。

 

「お手並み拝見、ってね」

 

エルを見止めて、目を細める。

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