今年もよろしくお願いいたします。
「――――ヒノカミ神楽ァッ!!」
「――――
スカイの蒼炎が翻り、ミノトンの闘気が迸る。
懐に突っ込もうとしたスカイを、ミノトンはアームハンマ―で牽制。
踏みとどまって後退しようとしたところへ、残った腕が羽虫を叩くように打ち鳴らされた。
「・・・・ッ!」
柏手からは逃れたものの、衝撃までは避けられず。
暴風に煽られて苦い顔をするスカイ。
着地するや否や、負けじと駆け出していく。
(バーストモードを切った、痣も多分出せてる、速攻で終わらせる!!)
素早くシンプルに作戦を纏めると、再び敵へ肉薄していく。
「
「ッ碧羅の天!!」
六本腕を存分に生かした猛撃に、範囲攻撃で応戦。
多方向からの脅威を往なし切ると、ステップを利用して背後に回るスカイ。
「幻日虹ッ!!」
そのまま、死角からの不意打ちを狙うが。
「――――ウウ」
ぎょろりと、合わないはずの視線が遭って。
「ッ・・・・!!」
今のミノトンが、阿修羅の様な姿であること。
すなわち、複数ある顔が、全方位をカバーしていることに気が付いた。
「しまっ――――」
「――――
「あ"あ"ッ!!」
どん、と。
ミノトンのカウンターが直撃する。
自分のあばらが、いくつか圧し折れる音を聞きながら。
スカイは大きく吹っ飛ばされた。
「クッソ・・・・!」
構造物にいくつもぶつかったというのに、悪態をつきながら立ち上がるスカイ。
しかし、わき腹を押さえているので、ダメージはしっかりあるらしい。
呼吸もやや荒くなっていた。
「まだまだ・・・・!」
血交じりの唾を、行儀悪く吐き捨てて。
スカイが再び構えを取ると。
束の間沈黙を保ったミノトンは。
三つの顔をさも愉しそうに、そして悦ばし気に。
深く、強く、歪めたのだった。
と、
「――――バタフライプレス!!」
「――――エクリプスジャッジメント!!」
「ヌウウッ!?」
ミノトンの頭上と横合いから、バタフライとエクリプスが急襲。
「プリズムショット!!」
「ナアッ・・・・!?」
「ウィングアターック!!」
「ガアアア・・・・!」
容易く受け止めた真正面から、プリズムが目くらましを放てば。
完全に意識の逸れた背後へ、ウィングの不意打ち。
「えっと、確か・・・・」
マジェスティは、ミノトンが呻きながら体を傾ける中を駆け抜けて。
「はま!りゅうおうじん!」
拙い構えで、スカイの技の一つを真似たのだった。
「ヴウウウウウウウゥゥゥ・・・・!!」
これにはミノトンも溜まらず苦悶の声を上げて、片膝をついてしまう。
「ッ破魔!!」
それを見たスカイが立ち上がり、手本とばかりに構えを取って。
「竜王刃ッ!!」
「ヌヮアアアアアアアア・・・・!」
胴体がへこむ程の一撃を、叩き込んだのだった。
「スカイ、怪我見せて!」
「ッはい・・・・」
再びわき腹を抑えたスカイへ、駆け寄ったバタフライが応急処置。
痛みで険しくなった顔の下で、癒しの光が灯った。
「スカイ、大丈夫!?」
「ええ、何ともないですよ」
派手に吹っ飛ばされたスカイはもちろんのこと。
心配そうにするマジェスティも、プリズムを庇って以降は煤けている。
その、どちらもが。
自分から危険に飛び込んだが故にこそ。
「ッ・・・・!」
ぶわり、と。
プリズムの胸で湧きあがった不安が、嵐の様に荒れ狂った。
「神話に出て来る魔人のようだな」
「はい、腕も顔も増えて、カバーできる範囲が広がっています!」
「厄介だね・・・・」
そんな彼女を覗いた他のメンバーが、視線険しく相手を見据えていると。
「ヴウゥ・・・・!」
ミノトンが再び瓶を複数、一気飲み。
「ア"アア"■"ア"ア"ア"ア"■"アアア■■アア■■■アアアッッ!!!!」
より一層、禍々しいオーラを放つのだった。
「うわっ!?」
「づッ・・・・!」
先ほどよりも激しいオーラに晒され、防御の姿勢を取るプリキュア達。
「――――拙剣無式ッ!
「っは!!」
スカイが一歩前に出て、剣を前につき出せば。
手から離れた剣は、扇風機の様に激しく回転し始めて。
オーラを弾いていく。
そこへ更に、バタフライがバリアを張ることで、防御範囲が広がる。
手を掲げた二人を支える様に、仲間達も同じように手を添えた。
「ヌ"ガア"ア"アア■"■アア"■"■"ア"アアッ!!!」
防がれていると分かるや否や、ミノトンも負けじとまた瓶を飲み干すと。
六本の手を突き出して、ビームを放った。
「ああッ・・・・・!」
「ッこの・・・・」
一段飛ばしで跳ね上がった威力に、じりじりと追い込まれていく。
「ックルニクルン!!」
苦悶の声を出す彼らに、辛抱溜まらんとマジェスティが声を張る。
「お願い!!答えて!!どうしたらいいの!?クルニクルン!!」
必至の懇願が響き渡ると。
一拍置いて、応じる様にクルニクルンが輝いた。
すると、プリキュア達の脳内に。
文章が直接送られるような、不思議な感覚。
「プリキュアの・・・・」
「心が・・・・」
「一つになるとき・・・・」
「究極の力が・・・・」
「さずけ、られる・・・・?」
自然と、口が動いていた。
言葉にし終えてから、は、と我に返る面々。
「って、具体的にどうすれば!?」
「ええい!ひとまず『ミノトンをどうにかしたい!!』でいいでしょ!!」
「同感です!!まずはここを乗り切りましょう!!」
危機的状況だからか、やや混乱してしまった面々だったが。
なんとか作戦を纏めて、改めて前を見据える。
「はっ!!」
マジェスティが、スカイとバタフライの背に手を添えると。
防壁に彼女の力がそそがれて、更に強固に。
防ぎきる保証はないが、クルニクルンを起こすまでは間に合うはずだ。
「負けてたまるか!!」
「その通りだ!!こんなところでやられる暇はない!!」
威勢よくミノトンと対峙する面々。
しかし、クルニクルンはうんともすんとも言わない。
一拍、二拍。
待ち続けるも。
返ってくるのは、ただただ沈黙のみ。
「・・・・どうして!?」
「なんで何も起こらないんだ!?」
「私達の気持ちは一つじゃないのか!?」
「目先のことじゃダメってこと!?選り好みしてる場合じゃないでしょー!?」
当然、この状況に疑問がわかないはずがない。
焦燥に、集中を乱し始めた時だった。
「――――わたしの」
プリズムが、口火を切る。
「わたしの所為なの!!」
◆ ◆ ◆
「わたしが、エルちゃんを戦わせたくないって思っているから、だからッ・・・・!!」
――――その時、思い出したのは。
懐かしく感じる記憶だ。
連鎖して、まだ一年も経っていないことに気が付いて。
笑みがこぼれてしまう。
「こんな時にッ、そんなこと言ってる場合ですか!?」
ウィングの、半ば怒鳴る様な一喝で我に返った。
そうだわ、
「まあまあ、ウィング。落ち着いて」
「スカイも何呑気にしてるんですか!!」
「気持ちは分かりますけど、焦ってどうにかなるものでもないでしょう」
まずはウィングを宥めてから、プリズムに目を向ける。
『エルちゃんを戦わせたくない』なんて口にしてしまったことに、負い目を感じているらしい。
当たり前か、こんな状況だもの。
「・・・・懐かしいです」
「え?」
出せたのは、穏やかな声。
「まだ二人だった頃、私も同じことを言って、貴女を遠ざけようとしたんですもん」
「・・・・ッ」
言うまでもなく、アップドラフト・シャイニングを発動させた日のことだ。
プリズムも覚えてくれていたのか、目を見開くのが見える。
「えーっ、何それ!やっぱりカップルって似るんだね!」
「照れくさいですが、そうですねぇ」
便乗したバタフライのお陰で、みんなの『悪い緊張』が解けていくのを感じながら。
改めて、語り掛ける。
「プリズム、エルちゃんの・・・・マジェスティの気持ち、ちゃんと聞いてあげてください」
「・・・・・あのね、プリズム」
『ね?』と、言いたいことを言ってしまうと。
チャンスだと思ったらしいマジェスティが口を開く。
「わたし、プリズムが大切だよ、心配だよ。気持ちは同じ」
「・・・・それは」
語り掛けられたのは、あの日と同じ言葉で。
「それって、一緒に戦う理由にならないかな?」
プリズムも気が付いたのか、息を呑んだのが分かる。
「――――大丈夫」
――――防壁が侵食され始めた。
「あの頃とは違います」
だけど、焦りは微塵も感じない。
「ウィングも、エクリプスも、バタフライもいる」
それは、きっと。
『もう大丈夫だ』と、確信しているから。
「もう、『たった二人』ではないんです」
「・・・・!」
証拠に、ほら。
クルニクルンが、輝いて。
◆ ◆ ◆
――――マジェスティクルニクルン!!
ミノトンの放つ闇をはじき返した、光り輝く本へ。
六人全員が手を伸ばす。
開かれたページの、それぞれを示すエンブレムに触れて行けば。
次々オーラに包まれるプリキュア達。
「広がる世界に!!」
――――テイクオフ!!
全員がオーラを纏うや否や、上空へ飛び出していった。
スカイ、プリズム、ウィングにエクリプス。
バタフライと、最後にマジェスティ。
クルニクルンに付属していたペンを手に、一つ一つ描くのは。
スカイランドのプリキュアのシンボル。
「――――プリキュア!!」
仕上げとばかりに、クルニクルンの上で手を重ね合わせた面々は。
書き上げたシンボルに手をかざして。
「――――マジェスティックハレーションッッッ!!!」
極光を、解き放った。
「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!」
ミノトンもまた、再度エネルギー砲を放って対抗しようとするが。
拮抗できたのは一瞬だけ。
放ったエネルギー諸共、あっという間に呑み込まれてしまって。
「――――ス」
「スミキッタァー・・・・」
◆ ◆ ◆
「――――借りが出来てしまったな」
ヨヨさんとも無事合流出来た、遺跡の前。
「我に武人の心を取り戻してくれたこの恩、いつか必ず返す」
すっかり夕暮れになった空の下で、ミノトンが穏やかに口火を切った。
「――――そして」
差し出された手を握り返すと、ミノトンの目つきが変わる。
「キュアスカイ、貴様との決着もな」
「・・・・ええ、いつかきっと」
ぶっちゃけ、今まではタイミングが悪すぎただけで。
挑戦自体は嫌かどうかで言うと嫌じゃないんだよな。
何なら、今のミノトンとなら戦っていい。
「ふはは!ではなおのこと鍛えねばなるまいて!」
一方のミノトンは、私の返事がよっぽど嬉しかったらしい。
破顔で笑い飛ばすと、額の宝玉に触れて。
「また会おう!!ミノトントン!!」
いつもの文言を残して、去っていったのだった。
「最後まで一方的なヤツだなぁ」
「武人には武人の考えと言うものがあるのだろう」
「スカイ、約束しちゃってたけど大丈夫?」
ウィングとエクリプスがぼやく横で、バタフライが心配してくれる。
「あんな目に遭ったので、もうエルちゃんを狙う刺客としては現れないでしょう・・・・何より、引き受けないと後が面倒そうで・・・・」
「ああ・・・・」
いや、ほんと。
改造(?)なんてされたんだから、刺客として警戒しなくていいのはありがたいんだけど。
だからこそ、いろんなしがらみが無くなった今だから、なおのこと『勝負しろ!』と押しかけて来る可能性も
「確かに、約束を取り付けておけば、ひとまずは大人しくしてくれそうだな」
お疲れ、とばかりに、エクリプスとバタフライに肩を叩かれていると。
「――――スカイ!」
「わ、っと・・・・マジェスティ?」
マジェスティが、後ろから飛びついてくる。
「どうしたんですか?」
「あのね」
脅威は去ったはずだから、危機的状況ではないはずだけど。
考えながら目をやると、もう片手にプリズムをホールドしているのが見えて。
「プリズム!スカイ!大好き!」
二人いっぺんに、ぎゅっと抱き寄せたマジェスティは。
無邪気にそんなことを言ってきたのだった。
な、何よ急に。
照れるじゃないの・・・・へへへっ。
「うん、わたしも大好きだよ」
「私もです」
応えるように身を寄せてやると、マジェスティは嬉しそうな笑い声を上げる。
私達を放してもなお、消えない微笑みの下で。
マジェスティクルニクルンが、夕日に照らされていた。
おまけ
メイテイ「あ"~、二日酔いしんど・・・・金柑頭~、ミノさんどーなったー?」
スウキアヘッド「問題ない・・・・すべては知識の宮殿の通りだ」
メイテイ「うぃ~、りょーかーい・・・・いてて・・・・」