ヒーローガールは異物入り   作:数多 命

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拙作ソラさんの愛刀であるバーストカリバー。
バーストモードのサイズを『長巻』としておりましたが。
自分長らく、『大太刀』と勘違いしていたのが判明しましたので。
こっしょり修正しました・・・・。
浅学を晒すお恥ずかしい真似をしてしまい、申し訳ありません。
読者の皆様におかれましては、ご容赦いただけると幸いです・・・・(平伏)


偽物、連れてかれる

――――きっかけは、エルちゃんの一言だった。

ちょくちょく見かけるようになったバッタモンダーを警戒しつつも、そこそこ穏やかに過ごしていたある朝。

エルちゃんを食卓に連れて行っていると、

 

『そら、あちゅい』

 

の一言を頂戴したのである。

今までが今までなもんで、あっという間にすっ飛んできたましろさんとあげはさんに座らされ、体温計を使われた結果。

『38.5』という高熱がバレた次第。

でも、私自身体に異常は感じないし、むしろ軽く調子が良いくらいだったんだけども。

 

『『――――絶対におかしい!!』』

 

という、ものすごい剣幕により。

病院に連行されることになったのだ。

 

「――――信じられませんが、異常はないですね」

 

――――そんなこんなで叩き込まれた、ソラシド市の総合病院。

その診察室の一つにいた私と、付き添いのあげはさんは。

一泊二日という大掛かりな検査結果を、お医者さんに聞いていた。

 

「本当ですか?」

「ええ」

 

『異常なし』の言葉にほっとする私とは対照的に、信じられないとばかりに身を乗り出すあげはさん。

そんな彼女へ、お医者さんは落ち着いた様子でこっくり頷く。

 

「いや、心拍数と体温は確かに高い数値を出しているんですが・・・・それ以外は至って健康、異常は見つかりませんでした」

「そう、ですか・・・・」

「ハレワタールさん、何かスポーツとかやっていらしたりは?」

 

拍子抜けしながら座るあげはさんを見ていると、お医者さんが問いかけて来る。

スポーツ、っていうか・・・・。

 

「その、我流の剣術を少々」

「常に体を鍛えているんですね?」

「はい」

 

・・・・自分で言っておいてなんだけど、『我流の剣術』ってなんだよって思われてそうだな。

スカイランドと違って、こっちはそんなもん要らないくらいに平和だもんね・・・・。

 

「ボディビルダーなど、常に体を鍛えている人達は、体温が37度台と高めなことがあります」

 

あー、有名な話よね。

前世でも、某感染症が大流行りしていた頃。

『病の基準』とされていた『37.5度』くらいが平熱なもんだから。

ちょっと苦労したという話を聞いたことがある。

 

「ご本人にも自覚症状がないとのことですし、検査でも何も出てきませんでしたから、しばらくは様子見をしてみましょう」

 

念のため、解熱剤を処方してもらえることになった私は。

お決まりの『お大事に』という言葉に見送られながら、診察室を後にした。

 

「――――なんともなくてよかったけど・・・・やっぱり変だよ」

 

薬を受け取りに行く道すがらでも、あげはさんは浮かない顔。

お医者さんのお墨付きが出ても、不安が拭えない様だ。

・・・・まあ、無理もないか。

今まで散々心配をかけてしまったしな・・・・(白目)

 

「そう言われましても・・・・」

 

それはそうと、私には。

・・・・っていうか、誰にもどうしようも出来ないことだしなぁ。

左頬に触れながら、院内併設の薬局へ歩いていると。

 

「――――こんにちは」

「あ、こんにちは」

 

ちょうど二人の向かい側から、親子連れが歩いてくる。

お子さんは中学生くらいの女の子、右腕にはサポーターがついていた。

 

「あの子確か、ましろんの学校の子だよ」

 

すっかり遠くなった親子の背中を見送っていると。

あげはさんが、やや色めいた声で教えてくれる。

 

「有名なんですか?」

「野球部のエース、だったかな。ここ、スポーツ整形外科もあったはずだから、そこを受けに来たのかも」

 

確かに・・・・。

あのサポーター、本来の目的である患部の保護でつけているみたいだし。

隠しているだけの私とは大違いだ。

 

「腕があんなになってしまうまで、頑張ったんですね。早く治ると良いのですが・・・・」

「だね」

 

プリキュアとしても、それぞれ夢を追うものとしても。

尊敬出来るし、負けてられないなとも思いながら。

再び歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――助っ人?私が?」

 

ソラシド学園中等部、昼休み。

ベリィベリーが、神妙な顔をした『扇かなめ』率いる野球部に頼み込まれたのは。

複数人のクラスメイトと共に、弁当を食べている時だった。

 

「助っ人って、女子野球部!?アカネゾーラさんすごーい!」

「そんなにすごいのか?」

「すごいも何も、それ以外に言うことないよ!!」

 

疑問符を浮かべるベリィベリーの代わりに、他のクラスメイトが盛り上がる。

 

「うちの女子野球部っていったら、結構強いことで有名なんだよ!」

「特にこの扇さんと、隣の『四宮たまき』ちゃんのバッテリーは、無敵も無敵なんだから!」

「ばってりー・・・・」

「えーっと、野球の花形を務めるコンビ、かなぁ。ここが強いと、相手に何もさせずに勝つことが出来ちゃったりもするんだよ」

「『たまかなコンビ』の名前を聞いて、震えあがらないチームはいないもんね!」

「それはすごいな」

「あはは、いくら私とたまきでも、完封試合は無理だよ」

 

そんなクラスメイト達の熱弁を受ければ、きょとんとしっぱなしのベリィベリーでも。

かなめがどれほどの存在で、かつその提案がどれほどのものかをなんとなく察する。

 

「突然ごめんなさい、アカネゾーラ先輩。けど、どうしてもお願いしたいんです」

 

そんな中一歩前に出たのは、かなめの隣に立つ少女。

『四宮たまき』だ。

 

「私、もうすぐ秋の大会なのに、肘を壊してしまって・・・・」

 

語りながら、彼女は右腕に触れる。

そこには、ソラのものとよく似たサポーターが付いていた。

ただ隠すだけのソラとは違い、たまきのは本来の用途である負傷部の保護が目的の様だ。

 

「私がかなめ先輩と組む様になってから、うちの部は負けなしだったんです。でもそれは、私達だけじゃなくて、他のみんなもすごいからで」

 

振り向いたたまきの言葉に、チームメイトたちは各々くすぐったそうに微笑みながら。

しかして、誇らしげに胸を張るのが分かる。

 

「かなめ先輩も、今度の大会が最後です。なのに、私一人の所為で連勝が止まるなんて、悔しいです。そんな時に、アカネゾーラ先輩がすっごく教え上手だって話を聞いて、それで・・・・」

「教え上手?私が?」

「はい!」

 

熱意に共感しつつも、『教え上手』の言葉に首を傾げると。

たまきは、ずい、と身を乗り出す。

 

「体育祭の時、二年のリレーで走ってた子!あの子があんなに速くなれたのは、アカネゾーラ先輩が教えたからだって!」

 

最後に転んでしまったことを踏まえても、すごかった。

そう息巻くたまきに、会話を見守っていたクラスメイトが『そういえば』と声を上げる。

 

「アカネゾーラさん、この前バレー部に来てくれた時も、一年に教えてくれてたよね」

「そうそう!お陰であの子、すっごく上手くなったんだよ!」

「そうか、それは何よりだ」

 

バレー部である彼女達からの、思いがけない感謝の言葉に。

やや照れくさそうにするベリィベリーであった。

 

閑話休題。

 

気を取り直したが、その表情はまだ優れない。

 

「しかし、『やきゅう』、だったか。私はルールをまともに知らんぞ?」 

 

告げた理由が全てである。

いや、助っ人自体は何度かやったことあるものの。

レーバ(バレー)ケスバット(バスケット)など、スカイランドにも類似のスポーツがあったからである。

彼女達の熱意は、十分に伝わった。

問題は、『そこに素人の自分が入ってよいものかどうか』だ。

 

「でも、投げたり打ったりするのは分かるよね?」

「ああ、よく聞かせてもらっている」

 

かなめの言葉を首肯するベリィベリー。

席が近いことも有り、わりと会話が多い二人。

部活の話をするのも、実に自然なことであった。

 

「他の部活でもやってくれているみたいに、『こうしたほうがいいんじゃないか』ってアドバイスしてくれるだけでも頼めないかな?」

 

『この通り』とかなめが頭を下げると、たまきを始めとした他の部員達も続いて頭を下げる。

・・・・ここまでされてしまっては。

『素人だから』と断る方が無礼な様に、ベリィベリーは思えて来て。

 

「・・・・分かった、微力を尽くさせてもらうよ」

「ッありがとうございます!!」

 

熱意に応じて、頷けば。

感極まったたまきが、硬く手を握って来たのだった。




原作通りソラさんにコーチさせるかどうかも悩みましたが、接点を上手く作れそうになかったので断念。
ベリィベリーさんに頑張ってもらいます。
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