ヒーローガールは異物入り   作:数多 命

132 / 172
今年のコナンめっちゃ面白かったです()


偽物、貫かれる

「おはよー!」

「おはよう、あげは」

「おはようございます」

 

――――翌朝。

おいしいごはんと、長めにとった睡眠で。

しっかり英気を養った私達は、いよいよニルビに向かう。

 

「二人とも、体調は?」

「ええ、問題ありません」

「私もばっちり!!」

 

私もそうだけど、二人も調子はばっちりの様だ。

よかった。

 

「それで、ここからはやっぱり徒歩?」

「さすがにそれは無謀だよ、ニルビから迎えが来るはず・・・・お」

 

さて、現地にはどうやって行こうかと、悩んでいると。

ベリィベリーさんが一点に目を止める。

倣ってそちらに目を向けると。

 

「やっほー!」

「ロメラさん!シーナさん!」

 

大きな籠を背負った、ヒヒトが三人。

その内の二人は、ダーファン祭りでもお会いしたロメラさんとシーナさんだ。

あと一人は・・・・初めて見るな。

なんて、思っていると。

 

「――――身の程知らずに護衛隊行ったやつが、今や『伝説の戦士サマ』か」

 

男の子らしいヒヒトが、やや剣呑な顔でベリィベリーさんを威嚇してきた。

 

「お前も随分偉くなったもんだな、『尾無し』」

 

『尾無し』・・・・聞きなれない言葉だけど、嫌な雰囲気なのは分かる。

と、次の瞬間。

 

「あッ!んッ!たッ!はァッ!まァた出会いがしらに!!」

「ッで!?」

「正直引くー」

「っだ!?」

 

シーナさんに頭をはたかれ、ロメラさんにむこうずねを蹴り飛ばされていた。

 

「カキ・・・・」

「お知り合いですか?」

「ああ、昔馴染みで、村長の息子なんだ」

 

苦笑いするベリィベリーさんは、懐かしそうに『相変わらずだな』と呟いていた。

なるほど、昔からあの態度、と。

 

「ハァー・・・・悪いわね、早々に」

「いえ、今日はよろしくお願いします」

「こちらこそ、来てくれて助かるわ」

 

やれやれとため息をつくシーナさんと握手して。

お三方が持ってきた籠に乗り込む。

これがウイテルケワシーにおけるタクシーの様だ。

 

「さ、乗って!乗り心地は保証するわよ!」

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題(エッサホイサッサ!)

 

 

 

 

 

 

「――――ベル!みんな!」

 

籠ごと背負われる事、また数時間。

お昼になる前には、やっと現場に到着できたのだった。

村の門を潜ると、ダーファン祭りでもお会いしたアンプルさんが出迎えてくれる。

 

「来てくれてありがとう、早速だけど、こっちへ」

「早速出番ってところです?」

「そんなところよ、早々に悪いけど・・・・」

「全然オッケーですよ!」

 

早速変身して、準備万端のバタフライと共に。

怪我人が集められているという集会所へ、足を運んだ。

 

「――――うぅ」

「いてて・・・・」

 

――――想定よりも、深刻な状態だ。

幸い欠損している方や、死亡してしまった方はいないようだけども。

それでも、包帯がない人を探す方が難しい。

 

「ッ重傷の人って、一か所に集められますか?」

「元々怪我の度合いで分けてあるわ、こっちよ」

「ありがとうございます!」

 

アンプルさんに連れていかれた先で、バタフライがミックスパレットを使い始めている。

 

「私達は中・軽傷の人々だな」

「はい!」

 

もちろん、私達も突っ立っているつもりはない。

持ち込んだ救急キットを手に、応急手当の手伝いに入る。

その合間に、話す余裕のある人たちから、詳しい話を聞いていたんだけども・・・・。

 

「――――え?ランボーグになったのは2・3日のことなんですか?」

「ああ、祭りに向けて、祭壇を整えていたら、急に・・・・」

「幸いその時怪我人は出なかったし、それ以降も、どちらかというと追い払われる感じで・・・・近づかない限りは大丈夫だったんだが」

「そうそう、あのらんぼーぐ?になってからだったか。見境なくなったのは、それからだな・・・・」

「嗚呼、しろがね様。どうして・・・・!」

 

『ランボーグになったのは、つい最近』という話を、ちらほら聞いた。

被害者全員から聞けたわけじゃないけれど、聞き出せた話が揃って同じ内容だ。

『与太話』と切り捨てられない。

 

「――――ええっ!?最初はアンダーグエナジー無しで暴れてたの!?」

「あげはさん、声、声」

「ご、ゴメン・・・・!」

 

それぞれの作業が一段落したところで、情報を共有していたところ。

やっぱりあげはさんが素っ頓狂な声を上げてしまう。

分かる、びっくりするよね・・・・。

 

「・・・・・これは、確認なのですが・・・・しろがね様が、理由なく暴れることってあるんですか?」

 

・・・・いや、マジで申し訳ない。

ベリィベリーさんや、お話を聞いた皆さんの様子から。

『しろがね様』なる個体が、如何に敬われ、大切にされているかがよく分かるだけに。

今口にした質問は。

なんか、こう。

他の獣と同列に扱うような気持ちになって・・・・!

でも、『ランボーグになる前から暴れている』という話が出ている以上、聞かないわけにもいかなくて・・・・!!(ろくろを回しながら)

 

「・・・・ない、と言い切れないが、考えにくい」

 

こちらのそんな葛藤をくみ取ってくれたベリィベリーさんは、やはり難しい顔をしながら答えてくれた。

 

「タケートコング・・・・特にしろがね様の群れは賢くてな。ここニルビを含めた周辺の村々と、共生関係を築いているんだ」

 

昔から信仰されているからか、それとも信仰されているから長いこといるのか。

とにかく、しろがね様が率いる群れと、ウイテルケワシー頂上付近の村々は、とても仲が良いそうだ。

毎年のお祭りはもちろんだけど。

普段からも一緒に遊んだり、農作業したりと関わる機会が多いらしい。

何なら、それぞれの子どもが遊ぶこともよくあるんだそうだ。

なので、敵対する理由があまり思いつかないという話だった。

 

「ニルビを含めた誰かが、知らない内に無礼を働いていたというのであれば、また別の話だが・・・・」

「それを言い出しては、キリがないでしょう」

「だね、一旦置いといてもいいかも」

 

何はともあれ、これ以上考察できるような事柄もない。

 

「とにかく、シュランボーグは速く討伐するべきだ」

「同意です。奴の放つ酒の霧が、範囲を広げています。アンプルさん含めた、シャーマンの皆さんが結界を張ってくれていますが・・・・」

「それも、いつまで持つか分からないもんね」

 

事態は想像以上にひっ迫している。

あんまりのんびりしていたら、今度こそ死人が出てしまうかもしれない。

 

「拡大速度もとてつもない・・・・それこそ、ウイテルケワシーだけで収まるとも限らん」

「じゃあ、もう行っちゃう?」

「ええ、異論はありません。ベリィベリーさん、案内をお願いします」

「ああ、任せろ」

 

頷き合って、出発を決断した。

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

想像以上に大きな被害と、災害の進行を前に。

拙速を尊ぶことを決断したソラ達。

ちょうど近くを通ったアンプルに出立を告げると、その足で酒精渦巻く村の外へ出た。

 

「うっっっわ、酒クサッ!!」

「はい、村の中よりも強く感じる・・・・!」

「見方を変えれば、結界を張っていてもあれだけ臭う程、強力なものということだ・・・・!」

 

ばしん!と顔を抑えるバタフライに、全力のしかめっ面で同意するスカイ。

一方のエクリプスは、首に下げていたお守りを引き出して。

 

「姉さん達が持たせてくれたこれが無ければ、我々も危なかったな・・・・」

 

アンプルを始めとした、村のシャーマン達が持たせてくれたお守りを。

祈る様に、握りしめた。

 

「・・・・行きましょう」

「だね、私達もいつまで持つか分かんないし」

「そうだな・・・・すまない、先を急ごう」

 

足を止めたわけではなかったが、緊急時に話し過ぎてしまったのも事実。

謝罪を口にするエクリプスに、スカイもバタフライも『気にするな』をそれぞれ告げて。

シュランボーグが待ち構える、しろがね祭の祭壇へ向かった。

 

「――――ッ」

 

――――足を踏み入れて分かる。

全身を、針で刺すようなプレッシャー。

 

「ヒィーック・・・・!」

 

剣や拳を構えて警戒する目の前。

巨体がゆっくり振り向いて。

 

「シュランボーグッ!!!」

「やる気満々ってところだね!!」

「来るぞ!」

 

身構えた三人の真上に、飛び掛かって来た。

 

「ヒノカミ神楽ッ!!」

 

バタフライとエクリプスが散開する中、一人とどまったスカイは剣を抜き放って。

 

「碧羅の天ッ!!」

 

ぐるんと体を振り回して、迎撃と酒精の振り払いを行った。

 

「バタフライキッス!」

「ハァッ!!」

 

続けて、散開していた二人がそれぞれ牽制を放つ。

 

「シュラーンボオオオオー!!」

 

周囲を囲まれてしまったシュランボーグは、雄叫びを上げながら胸を激しく叩く。

ゴリラにも見られる、ドラミングだ。

 

「わわわわわッ!?」

「ッ・・・・!」

「ぐッ・・・・!」

 

あっと言う間に衝撃波となった轟音が襲い掛かり、スカイ達は各々防御や迎撃、回避でなんとかしのぐ。

しかし、わずかながらも崩れた姿勢が、見逃されるはずもなく。

 

「シュランボォーッグ!!」

「っ、しま、ああッ!!」

「スカイ!!」

 

薙ぎ払いがクリーンヒットし、スカイが吹っ飛ばされる。

 

「クソッ・・・・!」

「シュランボーグ!!」

 

立て直そうとしているスカイへ、追撃を加えようとするシュランボーグ。

 

「――――ひろがるッ!!」

 

と、そんな奴の頭上に躍り出た影。

バタフライだ。

 

「バタフライプレスゥッ!!」

「シュランボッ!?」

「からの、バタフライキッス!!」

 

顔面に必殺技を叩きつけると、そのまま相手の顔面を足場に跳躍。

投げキッスを放って、追撃を加えた。

 

「しろがね様、ご容赦を・・・・スカイ!」

「ッ、ええ!」

 

巨体が傾く横を、エクリプスが駆け抜けつつ声を張れば。

意図を組んだスカイも、彼女の反対側へ回り込む様に駆けて。

 

「今更ながら、お手向(てむかい)御免!スカイソード!!」

「エクリプスジャッジメント!!」

 

互いの必殺技を、すれ違いざまに叩き込んだ。

 

「シュランボーグ・・・・!!」

 

弱い声音を吐きながら、轟音を立てて膝をつくシュランボーグ。

しかし、立て続けに必殺技を受けてもなお浄化されない相手を見て。

三人は苦い顔を禁じ得ない。

 

「やっぱり、マジェスティックハレーションとかじゃないと難しいかな」

「いえ、まだ手はあります」

「悔しいが・・・・スカイの言う通りだな」

 

酒気で上手く回らない頭を、それでも必死に回すバタフライを。

バーストカリバーに意識を向けるスカイと、その負担を鑑みたエクリプスが慰める。

 

「でも、バーストモードは・・・・!」

「ええ、負担は大きいですが・・・・マジェスティ達を置いてきてしまった今、他に手はありません」

「ううん、背に腹は抱えらんないか・・・・!」

 

個別の技以上、それもシュランボーグを浄化しうる技と言えば。

マジェスティックハレーションに、アップドラフト・ライジング。

そして、

 

「スカイザンバーで浄化出来るまで、とにかく削りましょう」

「ああ、村人達の話では、数日あの状態だ。しろがね様の容態も気になる・・・・!」

「オッケィ、じゃあそれで行こう!」

 

悩む時間も、議論する時間も惜しい。

方針を手短にまとめた三人は、再び散開する。

 

「シュラーン・・・・!」

 

唸り声を上げながら、周囲を警戒するシュランボーグ。

その視線が外れた隙に飛び込んだのは、エクリプスだ。

 

「ふっ・・・・!」

「シュラン!?」

 

彼女は一度、右手をスパークさせて注意を引き付けた後。

更に懐に潜り込んで、

 

「エクリプスジャッジメント!!」

「シュランボオオォーグッ!?」

 

人間で言うみぞおちの部分に、重い一撃を叩き込んだ。

 

「ミックスパレットッ!ブルーッ!ホワイトッ!」

 

次に躍り出たのはバタフライだ。

ふらつくシュランボーグへ、ミックスパレットの筆を突き付けて。

 

「空気の力、サガっちゃえ!!」

 

容赦なく、下半身を氷漬けにしてしまった。

 

「シュラアアァン・・・・!!」

「スカイ!!」

「今ッ!!」

 

動けなくなった相手を前に、仲間達が声を張る中。

スカイは、バーストカリバーを握りしめる。

 

「バースト、オンッ!!」

 

蒼炎を、身に纏う。

 

「ヒィーロォーガァールゥーッ!!」

 

『初手より奥義にて仕る』とばかりに、炎の刃が天を衝き。

 

「スカイ・・・・!!」

 

叩きつけようとして。

 

「――――せっかちさんだねェ」

 

――――スカイの胸。

その中心から、黒い刃が伸びる。

 

「っ・・・・は・・・・!?」

「もっと楽しもうよォ」

 

柄まで貫きながら、耳元でメイテイが囁いた。




主人公は死なせかけてナンボ()
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。