総合30位、二次創作18位を頂きました!
アクセス数増えたから、何事かと思った・・・・。
日頃のご愛顧、ありがとうございます!
「――――本当に良いのですか?」
「ああ!よかよか!おいどん、祭り騒ぎは大好きやもん!」
「そうそう!こげんと滅多になかとやけん!」
「なんか言われても、俺が責任ば取るけんがら。あんたも思い切りやりんしゃい!」
「・・・・かたじけない」
「なぁんかワクワクすっね!プリキュアと手合わせ出来るっちゃろ!?」
「楽しみやねぇ」
「霧が濃くなって来たなぁ」
スカイランド。
晴天の郷と呼ばれる地域。
辺りはすっかり深い霧に覆われて、昼間なのに薄暗い。
小鳥も獣も声を潜め、その気配を感じさせるのみにとどまっている。
その街道を、二人組の行商人が歩いていた。
「この時期になると、特によく出る。道脇に目印があるから、それを頼りに進め」
「目印、目印・・・・あ、これか」
前を行く若手が、中年ベテランのアドバイスどおりに視線を巡らせると。
道脇の低木に結ばれた、鮮やかな組みひもを見つけた。
間隔が短いことも有り、どんなに霧深くとも見失うことはなさそうだ。
「そろそろ郷に着くはずだ。何か見えるはずだが・・・・?」
「・・・・あ、あれっすか!?なんか、ものすごいビラビラしてるっす!!」
ベテランの言葉に、注意深く霧の向こうを観察した若手が指さす先。
霧の粒をかき分けるように、帯を束ねた旗が靡いていた。
「おお、それだそれだ!よく見つけたな!」
「ッス!」
集落の門を潜り抜け、来訪を知らせるハンドベルを鳴らす。
霧深い中で商売する知恵の一つである。
これで集落の役人を呼び、商売をするための手続きをするのだ。
今日は子どもやマダムが喜ぶ様なお菓子がある。
その他の欠かせない必需品も勢ぞろいだ。
何より、人との交流が好きな若手は。
ワクワクしながら役人を待っていたが。
「・・・・来ないな?」
「来ないっすね・・・・?」
いつもならすぐに役人がやってきて、五分にも満たない手続きが終わる。
それを見越して始めた準備が、すっかり終わってしまっても。
役人どころか、人っ子一人見当たらない。
「こいつぁ、妙だな・・・・」
「ど、どうしましょう・・・・?」
明らかな異常事態。
縋る様な視線を向けられたベテランが、険しい顔をした。
と、その時。
「――――ぁ」
「ッ誰だ!?」
霧の向こうで、何かが動く。
ベテランの怒鳴り声に、委縮した若手が身構える中。
陰は、一つ、二つと増えていって。
「「「「らんぼーっぐ!!」」」」
「「うわああああああッ!?」」
一斉に、飛び掛かって来た。
◆ ◆ ◆
『晴天の郷』。
クシザス王国の東側に位置し、スカイランドとも国境を接する地域にある集落。
シャララ隊長やジークフリート陛下が修める剣術『晴天流』の総本山という顔も持つ。
郷では道場に通う門下生と、『ガオニ』という鬼に似た少数民族が暮らしており。
慎ましくも賑やかな声に満ちた、明るい郷である。
そんな郷に異変が起きたと、火急の報せが届いたのは。
昨日の夜のことだった。
私含めた、プリキュアメンバー全員。
青の護衛隊に交じって、トリウマを駆る。
一路目指すのは、クシザス王国は『晴天の郷』。
シャララ隊長とジークフリート王子・・・・じゃなくて、今はもう国王か。
戴冠式はまだだけど、正式に王位を継いだのでこの呼び方でいいはず・・・・。
まあ、とにかく。
若き日のお二人が、その卓越した剣術を修め、磨き上げた場所だ。
「――――ヒルダ!!」
「シャララ様」
なんて考えている間に、クシザス騎士団との合流地点に到着したらしい。
屈強な戦士たちに交じって、ブリュンヒルデ姫がいる。
お久しぶりー!
「お久しぶりです、皆様」
「お久しぶりです、ブリュンヒルデ姫。ご壮健で何よりでございます」
挨拶もそこそこに。
現在地の小高い丘から、揃って件の郷を臨む。
この季節は霧が出やすい地域らしいけど、今は幸いにも晴れていた。
手前にメインの集落があって、その奥に森。
さらに奥には山が聳え立っている。
確か、森から先が晴天流の土地だったかな?
「状況は?」
「依然変わりありません。幸いにも、郷の外へ出る様子はありませんが・・・・」
「元に戻る様子もない、か」
思い出している横で、隊長の質問に答えるブリュンヒルデ姫の声は、沈んでしまっている。
・・・・無理もないか。
下手をすれば、いや、下手をしなくても。
住民全部が、ランボーグになってしまっている、だなんて。
「どう見る?」
「まずは元凶を叩くべきかと」
「賛成!」
私が隊長の問いかけに断言すると、あげはさんも賛成してくれる。
「一人一人浄化してたら、キリがなくなりそうだし、真っ先に根っこをどうにかした方がいいと思う!」
「まとめて浄化も可能ですが、『補充』をされては元も子も有りません。僕もそうするべきだと思います」
ツバサくんも同じ見解を示してくれて、全員で頷き合う。
・・・・無事に方針は決まったけれど。
一つ、気になることがあった。
「懸念があるとするなら・・・・下手人はメイテイではない、というところでしょうか」
「何?」
「確かに、あいつがランボーグを作ったら絶対お酒臭くなるもんね」
「ってことは・・・・まさか、スキアヘッド!?」
行き当たった可能性に、戦慄するツバサくん。
消去法で行けば、あのハゲを思い浮かべるのは自然なことだろう。
実際、ましろさんを始めとして、みんなが身構えるけれど。
「いいえ、それにしてはプレッシャーが違います」
「同意だ、奴にしては重さがない」
ベリィベリーさんも同意してくれる。
そうなんだよ。
あのハゲにしてはいやぁな感じが全然しないんだよ。
「でも、じゃあ誰が・・・・?」
「野生ってわけじゃぁないよねぇ・・・・?」
「えるー?」
こてん、と一緒に首を傾げるましろさん、あげはさん、エルちゃんが微笑ましくて。
思わず笑顔を零してしまった。
いかんいかん、今は試練中・・・・。
「――――もう一人いますよ」
「・・・・そういえばいたな」
気を取り直して、一つの可能性を示せば。
同じことを思い出したベリィベリーさんも頷く。
「「ミノトン」」
「ミノトン!?」
「そういえばあいつ、ソラちゃんと戦いたいって言ってた!」
そう、ミノトン。
スキアヘッドでもメイテイでもないと来れば、もう奴しかいない。
・・・・だからこそ。
「だからこそ、こんなことをやるなんて・・・・」
「ああ、あまりにも強引過ぎるな」
そりゃあ、顔を合わせる毎に『戦えー!』だなんて迫って来たあいつだけど。
少なくともこんな、故意に一般人を巻き込む様な真似はしない。
あいつはそういうヤツだ。
「アンダーグ帝国とやらは、失敗した者に容赦をしないのでしょう?なら、追い込まれているのでは?」
ブリュンヒルデ姫がそう言うけれど・・・・。
「そうと言うには、違和感があまりにも・・・・」
確信はない、根拠もない。
だけど、どうにも無視が出来ない。
「・・・・どちらにせよ、飛び込まなければならない、か」
険しい顔のシャララ隊長とともに、改めて村を見る。
・・・・そうだな。
ここで考えていても、埒が明かないな。
「住民たちは
「引き受けますって、一人で?」
「だいじょーぶ?」
ブリュンヒルデ姫の進言に、心配そうにするあげはさんとエルちゃん。
もちろん、普通はそうなって当然だけども。
彼女の場合は・・・・。
「――――心配は無用よ、あげはさん」
ここでやって来たのは・・・・アベラさんだ。
隣にカイン君もいる。
こっちも久しぶりー!
「私達吸血人は、武力以外にも制圧手段がある。特に殿下のお力は一級品なんだから」
「その通り」
アベラさんの解説に、えへんと胸を張るブリュンヒルデ姫。
そういえば、シラフじゃない状態で私もくらったっけか。
ジークフリート王子の『アレ』・・・・。
ヴッ・・・・頭が・・・・。
「ヒルダに関しては、私からも墨を付ける。とにかく君たちは、ミノトンの無力化を」
――――はい!
・・・・あの記憶を、反芻している場合じゃない。
気付かれない程度に、かぶりを振って。
みんなで変身アイテムを掲げた。
◆ ◆ ◆
「青の護衛隊はプリキュアと共に行くぞ!最優先目標はミノトンだ!!」
「クシザス騎士団、アベラ隊は
――――ッハ!!
シャララとブリュンヒルデの指示に、集った精鋭たちが気合十分に応答する。
「彼らなら大丈夫です」
「うん、ミノトンまで一直線だよ!」
スカイやバタフライを始めとしたプリキュア達も頷き合って。
一同が、一斉に飛び出した。
「――――らんぼーぐ!!」
――――らんぼーぐっ!!
村に足を踏み入れるなり、ランボーグ化した住民が襲い掛かってくる。
揃いの仮面とマントを身に着けている他。
剣に、農具や工具を手にした彼らが。
四方八方から飛び掛かって来た。
「はっ!!」
「でいやぁっ!!」
これには、作戦通りクシザス騎士団が応戦。
大盾や魔力のバリアを駆使して相手取る。
「てぇいっ!!」
ブリュンヒルデも、自慢の槍捌きで立ち向かっていた。
「相手がいっぱい、大丈夫かな」
「大丈夫ですとも」
「だね、ただでやられるわけないよ」
「とにかく進みましょう」
「うん・・・・」
心配げなマジェスティを励ましつつ、スカイ達は駆け抜ける。
やや人数の減った一同は、あっという間に村を抜けて森へ。
さえずりすらない、無気味に静まり返った中を駆け抜ければ。
「――――らんぼおおおおおおおおお!!」
案の定現れるランボーグ達。
彼らは晴天流の門下生らしく、一様に剣を携えていた。
「手筈通りに行くぞ!」
「ここは我々が!」
「先へ!!とにかく先へ!!」
残りのクシザス騎士団や、アリリ率いる護衛隊の面々。
「先輩が引き受けてやる!先に行きな!!」
「すぐにでも片付けてやるわ!!」
「何人たりとも、通しはせん!!」
そしてハヤテやアラシ、ツムジと言った。
馴染みのある面々が、次々に戦闘を開始。
「っみんな!気を付けて!」
「もちろん!そちらもご武運を!」
案じたマジェスティに、アリリが腕を突き上げて応えた。
人数が一気に減り、シャララとプリキュアだけになる。
「わっ!?」
「プリズムッ!」
駆け抜けて、しばし。
プリズムの足元に、何かがひっかかる。
傾く彼女の体を、ウィングが咄嗟に首根っこを掴んで引き止めた。
次の瞬間。
「――――っ!?」
「なんだ!?」
樹上からバラバラと、人の頭大の岩が降って来た。
続けて横合いから丸太が襲い掛かってくる。
「せいっ!!」
「だぁっ!!」
岩はシャララが、丸太はエクリプスが殴り飛ばす。
「懐かしいな、ッここは基礎体力を鍛える場だ!!そこかしこにトラップがあるぞ!!」
「ッはい!」
シャララのアドバイスに頷きはするものの、どれもこれもがいやらしい位置にある。
「あっ!?」
「ごめん!!」
「え、ここもぉ!?」
マジェスティも、バタフライも、ウィングも。
みんな一様に起動用のワイヤーに引っかかってしまう。
「このままじゃ、ミノトンに辿り着く前にバテちゃうよ・・・・!」
気を付けようにも、その暇を与えてもらえない。
削られていく体力に、誰もが焦りを感じ始めた。
その時。
「ッソラ!!」
「あげは!!」
「ぇ、わっ!?」
「なになに!?」
シャララがスカイを、エクリプスがバタフライをそれぞれ引っ掴んで。
分かれる形で引っ張る。
突然のことに困惑する目の前で、両者を分断するような一閃。
「らんぼーぐ!!」
「「「「らんぼーぐ!!」」」」
「くそ・・・・!」
シャララとスカイ、そしてプリズム達五人を分断する様に降り立ったのは。
五人組のランボーグだ。
「スカイ!シャララ隊長!」
なんとか合流しようとするプリズム達だったが、ランボーグ達は道を開けない。
「ッ私達はここまでか・・・・!」
「先に行って!ミノトンを止めて下さい!」
自分達を取り囲むランボーグ達を前に、臨戦態勢を取るプリズム達。
「気を付けろ!彼らは師範代だ!今までの門下生達とは比べ物にならないぞ!」
シャララの警告に、留まる面々が表情を引き締める。
「ッ必ず止めます!!それまでどうか無事で!!」
もうどうにもならないと分かっていても、何かしないわけにはいられないスカイは。
それだけを何とか伝えて、シャララと共に走り出す。
「奴の気配は、まだ分かるか?」
「ッはい、このまま直進です」
「急ぐぞ」
「はい!」
二人になってしまったスカイとシャララ。
気づかわし気な上司に、スカイは険しい顔をしながらも役目を忘れていないことを伝える。
「・・・・ッ!?」
森を駆け抜けていると、ミノトンではない大きな気配が湧きあがった。
続けて直上から斬撃が振り落ちてきて、二手に分かれて回避。
前を見ると、ランボーグが一体立っている。
明らかにただ者ではないオーラだ。
「師範・・・・!」
シャララには心当りがあったらしい。
構えを取り、降り立ったランボーグと対峙する。
「隊長!」
「ソラ、ここは私が食い止める。お前は元凶のところへ行くんだ!」
「っはい!!」
往なしてやり過ごす余裕はなさそうだ。
とうとう一人になってしまったスカイは、シャララを置いて先へ進む。
◆ ◆ ◆
――――たった一人。
みんなを置いて、辿り着いた。
岩山の様な、開けた場所に。
ミノトンが立っている。
「――――来たか、キュアスカイ」
伏せていた目を開けた奴は、にやりと笑ったので。
ひとまず思ったことを口にする。
「随分と、大掛かりなことをやりましたね」
「・・・・あまり彼らを責めてやらんでくれ」
すると、困った顔をするミノトン。
「我の大一番を、想ってくれておるのだ」
・・・・やっぱり、そうか。
「変わりましたね」
「嗚呼、全くだ」
「けど、私もすっかり託されてしまいましたから」
「だろうな」
故にこそ。
「「――――負けるわけにはいかない!!」」
飛び出す。
拳と刃が、激突した。