まあ、お盆スペシャルということで、一つ・・・・。
「――――たああああッ!!」
「でぇッ!?」
攻防の横合いから、ウィングがドロップキックを叩き込んだ。
「デェィヤッ!!」
「ぁわわわわわ」
体勢を崩したところに、エクリプスがアームハンマー。
メイテイは更にふらついて、体が上下逆さになってしまう。
「バタフライキッス!!」
「プリズムショット!!」
「どえーっ!!」
そこへ容赦なく追撃を加えたのは、バタフライとプリズム。
防御が間に合わず、空中へ放り出されたメイテイは。
「――――破魔・竜王刃!!」
「アバーッ!!」
マジェスティの、とどめとばかりの一閃をみぞおちに受けた。
うわ、痛そ・・・・綺麗な『く』の字で吹っ飛んでったよ・・・・。
「ごめーん!寝坊した!」
「おはようございます、お気になさらず」
ウィングとマジェスティが、竜族のみなさんを救出している中。
バタフライと軽口を交わしながら、メイテイが叩き落とされた土煙を注視すれば。
案の定、砂埃を振り払いながら起き上がって来た。
「ンモー!みんなして早起きさんネ!!」
「そのまま永眠するわけにはいかないからね!」
メイテイは悔しがっているけれど、まだまだ余裕がありそうだ。
「シュランボーグ!!」
シュランボーグもまだまだ元気いっぱい。
雄叫びを上げるや否や、ツタをしならせて鞭のように振り回してくる。
散開して叩きつけを回避。
「ドラァッ!!」
「・・・・ッ」
私にはメイテイもちょっかいをかけて来るので、そっちも気を付けないといけない。
相変わらず常夜丸が厄介すぎるんだけども・・・・。
「っそうだ、ミックスパレット!」
攻防の中、バタフライがミックスパレットを行使。
防御のバフをつけてくれた。
「斬られたらアウトって、要するにデインリアルと一緒だってことだもんね!」
・・・・そういうことか!
「炎の呼吸!!伍ノ型 炎虎ッ!!」
仲間を信じて、一転攻勢に出る。
「気炎万象ッ、盛炎のうねり!」
「っと・・・・急に強気になってきたじゃない!!」
当然メイテイも反撃してくる。
激しい応酬を交わす中、段々と捌ききれなくなって来たけれど。
「・・・・?」
いくつか掠ったところで、メイテイの顔が怪訝になった。
体に違和感もない。
やっぱり、バタフライの予想は当たっていたらしい。
「これは、ちょぉーっと・・・・!」
「はあああああッ!!」
妖刀の魔力が利かないと分かるや否や、相手から余裕がなくなる。
もちろん、見逃してやる義理はない。
「奥義、玖ノ型ッ!!」
思い切り踏み込んで、振りかぶって。
「――――
「――――ぶっほ!?」
胴体を、ぶち抜いてやった。
「シュラーッ!?」
「ワーッ!!ゴメーン!!」
ちょうど吹っ飛んだ先が、みんなが応戦していたシュランボーグだったらしい。
横合いから急にぶつかってきたものだから。
シュランボーグは悲鳴を、メイテイは謝罪をシャウトしていた。
・・・・なんか。
敵ながらちょっと申し訳なくなってしまったのは、ナイショ。
「スカイ!」
「ええ、好機です!」
何はともあれ。
クルニクルンを手にしたマジェスティ共々、仲間達と並び立って。
――――プリキュアッ!!
――――マジェスティックハレーションッ!!
解き放った極光が、シュランボーグとメイテイに迫る。
「シュラララッ!!」
「アー、ハイハイ。シュランボーグちゃん、下がってなァ!」
慌てるシュランボーグの前に立ち、メイテイが構えたのが見えた。
「――――酩酊・
刀身から、黒い雷が迸る。
いっそ竹ぼうきにも見えるそれは、名前にある通り『チチチ』と小鳥の鳴き声の様な音を上げていた。
「デェイッ!!」
そのまま振るえば、ある意味予想通り。
小鳥の姿をした雷撃が、無数に放たれた。
「どっしゃい!!」
『小鳥』たちが壁となって極光を押しとどめ、それをダメ押しするようにメイテイが剣をぶつけた。
更にシュランボーグもツタを伸ばして、一緒に押し返そうとしてくる。
・・・・なんか、この頃こういうの多くない!?
「押し返されてる!?」
「なんの!負けてなるものか!」
もちろん、こっちだってこのままやられるつもりはない。
仲間達みんなで、気持ち手を押し込む様に力むと。
光の勢いが増した。
「「「「「はあああああああああ――――!!」」」」」
「ぬおおおおおおー―――!!」
余波が周囲を吹き飛ばしてしまう中。
某竜玉の御大よろしく、雄叫びを上げながら技と技をぶつけ合う。
肩を並べた私達、そして多分、メイテイも同じことを考えていることだろう。
『負けてたまるか』
ただそれだけを胸に、一切の手を抜かず相対して。
最後に、迫り合いを制したのは。
「「「「「ハアァッ!!」」」」」
私達だった。
極光が『小鳥』を蹂躙して、メイテイとシュランボーグに直撃する。
「――――アーア、やっぱこうなるかァ」
「スミキッター・・・・」
眩い光が彼らを呑み込めば、辺りがホワイトアウトした。
閑話休題。
「飛んでる」
「ああ、俺達もびっくりだ」
戦いを終えて、押っ取り刀で竜族の安否確認に走った私達が見たのは。
持ち前の翼で、ばっさばっさと羽ばたく竜族の姿だった。
なんでも、攻防の最中にハレバレジュエルが吹き飛ばされ。
無我夢中で確保しようとしたところ、飛べたらしい。
・・・・そうは、ならんやろ。
いや、なっとるやろがい!(セルフツッコミ)
「巻き込んでしまったのを謝るのが先か、再び飛べるようになったことをお祝い申し上げるのが先か・・・・」
「いや、相当大変な状況だったのは、俺達も理解しているさ」
「ああ、守ってくれてありがとう」
送られる感謝の言葉に、くすぐったい思いをしていると。
一通り飛び回った竜族達が、着地する。
「・・・・こうやって飛べるようになったのは、思い切って一歩を踏み出したからだよな」
「そうだなぁ、小さかったはずの翼がこんなに広がるなんて知らなかった」
「っそうです!」
自分のを見つめたり、互いのを観察したりしながら。
しみじみ感傷に浸る彼らに、ウィングが身を乗り出す。
「ご先祖様が怖がられていた頃から、永い永い時が経っています。今も怖がる人はいるかもしれませんが・・・・受け入れてくれる人は、たくさんいるはずです!」
「ああ、それどころか、皆さんはハレバレジュエルを通じて、空の安全を守ってくれていたんだからな」
エクリプスも一緒に説得すれば、何かを相談する様に視線を合わせる竜族達。
最初と違うのは、懐疑心がすっかり消えていることだった。
「その・・・・よろしく頼む」
ほどなくして、彼らはやや照れくさそうに私達達と向き合って。
顎を引くように頭を下げてくれた。
説得が上手く言ったことを段々と自覚した私達は。
顔を徐々に徐々に喜色満面にして、歓声を上げたり、互いを見合ったりしたのだった。
いやぁ、よかった・・・・。
◆ ◆ ◆
「――――ぐふッ」
満身創痍なりに、死に物狂いで意識を繋ぐ。
「いやはや、こうなりはしたけどサ・・・・!」
得物を手繰り寄せれば、幸いにも解放状態のまま。
「ここで諦めるわけには、行かないのヨ・・・・!」
なんとか立ち上がって、本懐を成し遂げようとすれば。
「――――その心意気、見事だ」
「ご・・・・!?」
――――貫かれる。
振り向けば、今一番会いたくない顔が。
にんまりと見下ろしてきていた。
「さあ、行くが良い」
◆ ◆ ◆
「それでは、早速ハレバレジュエルを元に戻しましょう」
「階段の破損状況も確認しなければ、忙しくなるぞ」
「ああ、その前に・・・・」
この後のことをあれやこれやと話し合っていると。
竜族の一人が、ハレバレジュエルの包みを解いて、
「ハレバレジュエルを磨かせてくれ」
「そうだな、さっきの騒ぎで汚れてしまっただろうし」
「待て待て、布はそれで大丈夫か?綺麗なやつ持ってくるから」
「確かに・・・・悪いが、頼んだ」
すごいこだわり・・・・。
いや、言われて見れば、ジュエルの表面にうっすらと砂埃が付いているし。
本来の役割を果たすのに支障はなさそうなんだけど。
ここは長年管理してきた彼らの目を信じることにする。
素人目には大丈夫そうに見えても、その道のプロ目線ではアウトなことって結構あるからね。
バタフライが取り出したタオルで、真剣に磨いている様子を。
周囲の警戒を続けつつ、しばし見守ることにした。
そう。
油断したつもりは、なかった。
「――――え?」
遊覧鳥を呼んで来ると、スキップで踏み出したマジェスティの横合い。
真っ黒な刃が、振り下ろされて。
「――――ッ!!」
とにかく、飛び出した。
左目が一瞬赤くなった後、ブラックアウトする。
マジェスティは・・・・無事。
「よかった」
「良くない!!スカイ!左目が!!」
ああ、言われなくても分かってる。
多分潰れてるんだろうな。
まだまだ小さいのに、こんなものを見せてしまって。
申し訳ない気持ちになる。
(それよりも)
マジェスティを下ろしながら、襲撃者を見据えれば。
「ゴ■■ルル・・・・!」
「随分様変わりしたじゃないですか、メイテイ」
より一層『鬼』らしくなったメイテイが。
爛々とした目を向けてきた。
視線がせわしなく動いているし、口からは涎がだらだらと零れている。
・・・・理性が無い、と見ていいだろうな。
「なになになに!?なんで酔っぱらいがいるの!?」
「この様子・・・・ミノトンの時と同じ!?」
異常事態に、仲間達が次々構えなおしている。
・・・・安易に変身を解かなくてよかったと、安堵しているところへ。
「――――ほう、竜族が隠れ住んでいたのか」
「お前は・・・・!?」
「スキアヘッド!!」
悠然と木の枝に降り立ったハゲは、竜族達を興味深そうに見つめてはいたけれど。
すぐに興味を失って、こちらへ目を向けてくる。
「これもお前の仕業か!?」
「他に誰がいる・・・・やれ」
「グ■オオオオ■■オッ!!!!」
「ッ弐ノ型 昇り炎天!!参ノ型 気炎万象ッ!!」
スキアヘッドの号令を受けたメイテイが、雄叫びを上げて突っ込んできた。
叩きつけを迎え撃ち、背後に回って斬り降ろす。
「■アア■■アアア!!」
「っぐあ・・・・!」
「スカイ!!」
そのまま反撃に転じようとしたけれど、相手のぶん回しの方が速かった。
踏ん張りも聞かない内に吹っ飛ばされて、みんなから引き離される。
「っつ・・・・!!」
「■■オオ■オ■オッ!!!」
なんとか受け身を取って着地した傍から、木々を薙ぎ倒して迫ってくるメイテイ。
クソッ!体型も相まって、どこぞの
「ゴォア■■アアア!!」
いや、近いのは『布瑠〇由良〇良』の方かな?
右手に常夜丸っぽい刃がついてるのが見える!!
『剣術』のへったくれもない一撃が、地面を抉り、大木を薙ぎ倒していく。
奴が通った後は、まるで嵐みたいだ・・・・!
「ヒノカミ神楽ッ!!」
呼吸を深める。
さっきの戦闘からあんまり経ってない、『痣』はすぐに出せるはず。
「烈日紅鏡!!」
「ガ■オオ■■オオッ!!」
ダーッ!!うるっせぇー!!
さっきからぎゃんぎゃん咆えまくりやがってよォッ!?
少しは静かにしてくれよ!!こっちは怪我人なんだぞー!!
「ッ・・・・!」
あ、やば。
一度自覚してしまうと、急に体が重たくなって来た。
踏ん張りが利かなくなって、ふらりと傾いてしまう。
くっそ、こんな時に・・・・!
「ッオオオ■■■オオ■オ■■■■■オオ■■オオオ!!!」
「っああ・・・・!!」
ダメだダメだダメだ!!
弱気になるな!隙を見せるな!
理性を奪われたといえど、元になったのは油断ならない剣客!
こんなの見逃されるわけがないだろう!!
「ガ■アッ!!」
こんな風にな!!
地面が思いっきり殴られて、岩石と木の破片が飛び散る。
殴打の直撃は何とか避けたけど、飛来したそれらは躱しきれず。
「がッ・・・・!?」
礫に、眉間を撃ち抜かれる。
(あ、終わった)
――――体が限界を迎えた。
元々左目ごと頭をやられて、出血多量だったんだ。
そこにこの一撃からの、脳震盪。
動かない、動けない。
戦えない。
(――――死ぬ)
振り上げられた刃を。
呆然と、見ていることしか出来なくて。
「――――スカイ!!」
――――死に物狂いで、意識を覚醒させる。
「スカイから離れて!プリズムショット!」
「オ■■■オ■オ■■オ■■■ッ!!」
追いついたプリズムが叫ぶと同時に、プリズムショット。
とどめを刺そうとしたらしいメイテイに、クリーンヒットする。
「・・・・ガ■ル」
「ぁ」
それは、悪手だとすぐに判明した。
私からも見える、メイテイの理性のない目。
「・・・・ぁああ!!」
負傷を押して、飛び出す。
通算三度目のバーストオン。
・・・・一週間の寝たきりは、確定だな。
「陽華突ッ!!」
「グ■■アア■アッ!!」
「炎舞ッ!!」
拳を突きで逸らして、一閃で反撃。
続く追撃もサマーソルトで打ち返してから、プリズムを抱えて後退。
「スカイ!しゃがんで!!」
バタフライの声に従えば、頭上を帯電したウィングが飛んで行った。
エッ!?何今の!?
「どーよ、即席の合わせ技!」
「なかなか悪くないだろう?」
思わず振り向くと、得意げに笑うバタフライとエクリプスが。
な、なるほど!!
ミックスパレットで強化して、エクリプスの雷を付与したのか!!
えー!!カッコヨ!!
「オ■■■オオ■■オオオ■オッ!!」
っと、それでやられるヤツじゃないよな!
「スカイ!」
剣を握る手元に、プリズムの手が添えられる。
びっくりして目を合わせると、強い眼差しに見つめられて。
・・・・これは。
断れそうにないや。
「・・・・ええ、やりましょう」
空いた片手同士を握り合って、向かってくるメイテイを見る。
「スカイブルー、バーストッ!」
「プリズムホワイト、バーストッ!」
咆哮が轟く中、火柱を迸らせる。
あれほど脅威にだった巨体も、今はなんてことない様に思えた。
冷静に、タイミングを見極めて。
――――今!!
「「――――プリキュア!!」」
「「アップドラフトライジング!!」」
「グオ■■■オオ■オ■■オ■■オオッ!!!」
斬撃を放てば、突っ込んできたメイテイに直撃した。
・・・・さっきとは全然違うな。
やっぱり安易な
「ァ、アアアアアァァぁぁああああ・・・・!」
何はともあれ、ぶすぶすと煙を上げながら元に戻ったメイテイだけど。
そのすぐそばに降り立つもの。
スキアヘッドだ。
「ふん、まあこんなものか」
奴はそれが当然とばかりに、倒れたメイテイを黒いゲートにしまう。
こいつ・・・・!
「ミノトンの次は、メイテイ・・・・」
「どうして・・・・どうしてそんな、ひどいことが出来るの!?」
「ひどい?否、これがアンダーグ帝国のやり方だ」
プリズムに支えてもらっている横で、マジェスティが一歩前に出て問いかけると。
「力ある者だけが尊厳を保てる、力ある者だけが全てを得られる、力ある者は、何をしても許されるのだ」
「そんな・・・・」
スキアヘッドは、そんなことを断言したのだった。
・・・・アンダーグ帝国では、それが正義なんだろう。
その価値観が一般的で、ともすれば尊重するべきものなのかもしれない。
・・・・それでも。
我慢が利かなくて。
「――――お前のくだらない価値観を、さも至上であるかのように語るな」
「何?」
するりと、言葉が出て来る。
「何故奪う?何故壊す?何故傷つける?」
・・・・ずっと、考えていた。
アンダーグ帝国は、国ぐるみでエルちゃんを狙い、スカイランドを脅かしている。
「自分がされたらと考えたことはないのか?お前の大切なものが同じ目に遭わないと何故言い切れる?」
人々の安寧を踏み躙り、傷つけ、蹂躙し。
そして、こちらが打ち負かした者は、『使えない』と処分する。
・・・・人種として、種族としての、価値観の違いを考慮しても。
あまりにも、目に余る。
・・・・そうだ。
「失われた命は回帰しない、二度と戻らない」
キルミラの封印を解いたのも、こいつらだ。
「何が楽しい?何が面白い?命を、人を、何だと思っているんだ・・・・!?」
「・・・・ッ」
マジェスティの時とは打って変わって、気圧されたように息を呑むスキアヘッド。
・・・・今の私、すごい顔をしているんだろうな。
「・・・・どちらにせよ、ここまでか」
しばらくにらみ合った私達。
ほどなくして、スキアヘッドが何かを呟く。
やる気か?と、手元に力が籠ったけれど。
向こうがやったのは、撤退用のゲートを開くことだった。
「次は逃さん」
そう、負け惜しみを口にして。
ゲートの向こうに消えていくスキアヘッド。
「・・・・ッ」
「スカイ?」
「スカイッ!」
限界を迎えて、倒れ込む視界に。
シャララ隊長と、ブリュンヒルデ姫が降り立つのが見えた。
おまけ
「――――ここは?」
「ウワーッ!?でっかい人が来たー!?」
「おお、ほんとだ。でっかい」
「いい筋肉してるなぁ」
「どっから来たんだ?」
「さっきのあれじゃない?左目に貰ったでしょう?」
「あれかー!?」
「どこの人だろうね?」
「マントしてるから、偉い人に決まってるよ」
「待て、おい、ここはどこだ。お前達は何者だ」
「まあま、まずはお茶でもどうぞー」
「色々お話聞かせてよ」