ヒーローガールは異物入り   作:数多 命

153 / 172
先人様達のクロスオーバーを読んで、勉強させて頂いてます。
・・・・トリックがふわっふわでもええんやな。
なるほど・・・・()


偽物、この後めっちゃ走る

「――――まったく!!コナンのヤツ!!まぁーた抜け駆けかよ!!」

「やっぱり少年探偵団の自覚が足りないんですよ!」

「次は歩美達もついてくんだから!!」

「あはは、どうどーう」

 

一人平次の下へ行ってしまったコナンに、ぷりぷり怒る少年探偵団と共に。

ましろ達は、『晴谷湖郷土資料館』へ向かっていた。

周遊バスを降りてすぐ。

晴谷湖村の歴史について学べる、展示施設だ。

湖の上に立ち、屋上からは湖面を一望できるほか。

エレベーターで降りれば、水の中も観察することが出来る。

 

「わぁー!」

「水の上に建ってますよ!」

「ハハハッ!すっげー!」

 

絶賛不機嫌だった子ども達も、そんな建物を前にしてテンションが上がったらしい。

歓声を上げながら建物とを繋ぐ橋を駆けて行く。

 

「あれ?」

 

ふと、歩美が足を止めた。

湖面に何か見えたからだ。

 

「お魚さんかなぁ?」

 

うきうき気分のまま、欄干の間から覗き込んで。

 

「――――ひ」

 

高揚が、一気に急降下する。

 

「いやあああああああああああッ!!」

「・・・・ッ!?」

「歩美ちゃん!?」

「どうした!?」

 

秋の陽気を引き裂く悲鳴に。

各々ギョッとしたり、駆けつけたりする。

 

「大丈夫か?何があった!?」

「ああ・・・・あッ、あれ・・・・!!」

 

先に辿り着いたベリィベリーは、歩美を下がらせながら。

指さす先を、確認して。

 

「――――ッ」

 

水面に浮かぶ、胴を両断された遺体に。

息を呑む。

 

「ベリィベリーさん!一体何が・・・・!?」

「ッ来るな!!!見せるな!!!」

 

しかし、復帰は速かった。

同じく駆けつけようとしたツバサを一喝。

対するツバサは、『見せるな』と言われて。

ちょうど抱いていたエルを見降ろし、見えないなりに湖面に何があるのかを察したツバサは。

口元を結んで、首肯で応える。

 

「ッ博士!警察と消防に電話!早く!」

「あ、ああ!」

「あたし、施設にも知らせて来る!」

 

ベリィベリーがその様子にほっとしていると。

いつの間にか脇をすり抜け、湖面を確認した哀が阿笠に指示を飛ばし。

園子は郷土資料館へ駆けて行く。

 

「君も下がるんだ」

「え、ええ・・・・」

 

すぐ後、哀はベリィベリーに促され。

子どもの待機場所となったツバサの下へ向かわされた。

 

「・・・・すまない」

「え」

「見せるべきではなかったのに」

 

その際、急に謝られて一度困惑した哀は。

ベリィベリーが、子どもである自分を気遣ってくれているのに気が付いて。

 

「・・・・別に、慣れているもの」

「慣れているのか・・・・」

 

向けられた純粋な優しさに、なんとなくそっぽを向けば。

今度はベリィベリーが困惑する番だった。

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――永逢頼人(とわいらいと)君。

永逢神社の跡取り息子である、中学三年生。

彼が福城さんを通じて服部君にSOSを出した経緯は、三年前に遡らなければならなかった。

永逢神社は、晴谷湖そのものを祀っている神社。

水源であると同時に、食料である魚を恵んでくれる晴谷湖は。

古くから信仰の対象だったそうな。

特に湖の中心にある『雲ヶ島(くもがしま)』を、竜神ハレヤが住む聖地として崇め。

元旦やお盆などの節目には、重要な儀式を行ってきた。

ところが三年前、そんな聖地をレジャー施設に開発しようという話が持ち上がった。

実際に島を目にしたから分かるけど。

可能かどうかで言えば、不可能ではないだろうなと思える広さ。

その頃からすでに『第二の軽井沢』として注目されだしていたこともあって、湖以外に目玉となる者が欲しかったんだろう。

ただ、当時は頼人君の祖父母でもある、ヨヨさんのご友人夫婦を始め。

信心深かった村民の反対を受けて、計画は打ち止め。

元からあるものをアレンジすることで勝負しようということになった。

ちょうど、『竜神ハレヤ様』こと、『晴谷湖のハッシー』がいたのも大きかったらしい。

 

 

 

だけど、ある夜。

ご友人夫婦こと、永逢来善(らいぜん)さんと、美智代(みちよ)さんのお二人が乗った車が。

霧の日に死亡事故を起こす。

 

 

 

夜の田舎道ということもあり、目撃者はゼロ。

ご高齢なのも相まって、よくある自損事故だと結論付けられた。

――――ヨヨさんが、頼人君と出会ったのは。

彼らのご葬儀だったそうだ。

 

「――――それからなんだ、あの鬼塚ってヤツが、『聖地(雲ヶ島)を寄こせ』ってやってくるようになったのは」

 

神社の母屋。

お茶の間で、ヨヨさんの後ろに控えつつ。

頼人君の話に耳を傾けていた。

 

「『鬼塚貞治(おにづかじょうじ)』・・・・有馬(ありま)会系暴力団『根志来(ねしこ)組』の若頭・・・・また大物が出てきよったな」

 

鬼塚は何者だろうかと思っていた矢先に、服部君が答えをくれた。

やっぱり『ヤのヤツ』だったんだ・・・・あのおっさん・・・・。

 

「以前までは、叔母夫婦が応対して、なんとか追い払っていたんだけど・・・・もう二週間前か、とうとう痺れを切らしたみたいで・・・・」

「家に無理やり入ってきて・・・・父さんと、母さんをッ・・・・!!」

 

・・・・二週間前の、深夜。

覆面をかぶった集団が、ガラスを破って堂々と押し入って来たそうだ。

部屋がいくつも荒らされ、実印を含めた大事なものを盗まれただけでなく。

お父さんの頼紘(よりひろ)さんと、お母さんの愛理紗(ありさ)さんが重傷を負ってしまい。

今も意識が戻らないらしい。

 

「警察に相談は・・・・?」

「したんだけど、有馬会が絡んでるってこともあって、対応に時間がかかるらしくて・・・・」

「弁護士に相談しようにも、有馬会系って聞いた途端に断られてしまう始末・・・・」

 

・・・・前世で言う『あの人達』みたいなもんか。

やっぱ怖がられてるんだな・・・・。

 

「それで、服部に相談したんだ・・・・いけすかないが、実力は認めている・・・・いけすかないが」

「こいつ・・・・!」

「もう!ケンカせんの!」

 

あっ(察し)

ああ・・・・(理解)

あああ~、はいはいはい(あったかい目)

君達そういう感じなのね。

微笑まー!!

コナン君を横目で伺うと、同じ様な顔をしてる。

だよねだよね!

そうなるよねー!

 

「ねえ、頼人兄ちゃん。おじいさんとおばあさんの部屋って、見せてもらえる?」

「え?」

 

気を取り直して。

コナン君の発言に、頼人君が首を傾げる。

まあ、普通はそんな感じの反応だよなぁ。

子どもだし、捜査出来るのかなって思うよね・・・・。

 

「安心しぃや、こいつは『キッドキラー』言われるくらい頭ええから」

「えっ、あ!?あの!?こいつが!?あ、じゃなくて!!この子!!が!!」

 

例に漏れず、訝し気にコナン君を見ていたけれど。

服部君の補足にものすごくびっくりした頼人君。

とにもかくにも、名探偵のお墨付きなら、と。

お部屋を見せてくれることになった。

 

「とはいえ、もう片付けちゃってるんだけど・・・・」

「一応、写真も残してる」

 

福城さんのスマホと見比べながら、荒らされたお部屋を調べてみることに。

被害を受けたのは、来善さんのお部屋、美智代さんのお部屋。

そして書斎の三つ。

頼人君の言う通り、すっかり片付けられているけれど。

窓の補修跡や、割れたインテリア入りの燃えないゴミの袋が。

確かに被害があったことを、如実に物語っていた。

 

「――――あれ?」

 

そして、書斎に入った時。

写真と実際の部屋とを見比べていると、コナン君が声を上げる。

名探偵が何か見つけたらしい。

 

「このクッション、何か乗っていたの?」

「ああ、それね」

 

机の後ろ、窓際の棚に。

小さな座布団がある。

確かに、これ単体で置いておくなんて中々ないし。

何かしらの置物があったと考えるべきだ。

 

「ヨヨさんが贈ってくれたって言う、置物があったんだ」

「置物?」

 

予想通りの答えをくれた頼人君が、案内してくれた部屋に。

まさしく修復中ですと言った感じの、壊れた置物が。

布の上に、丁寧に置かれていた。

・・・・元の形は。

バイキングの兜や、両手を上げたひよこを。

極限までデフォルメしたら、こんな風になるだろうなってビジュアルだ。

 

「じいちゃん達、すげー大切にしてたんだ・・・・なのに、あいつら・・・・粉々にしやがって・・・・!」

 

今、破片を繋ぎ合わせて直している最中なのだと。

頼人君が話してくれる。

本当に無茶苦茶壊していったんだな・・・・と思いながら。

ヨヨさんの様子を伺ってみると。

 

「――――」

 

どこか、ほっとした顔をしていた。

・・・・壊れてよかったって思っているの?

大切な友達への贈り物なのに?

 

「・・・・?」

 

コナン君も、同じことを感じた様だ。

こっそり首を傾げていた。

 

「・・・・なあ、ヨヨさん。あいつらがここまでして探しとる『宝』って、なんや?」

 

一方の服部君は、気が付いているのかいないのか。

どちらにせよ、当然の疑問をヨヨさんに問いかける。

 

「聖はともかく、頼人も『まだ早い』言うて教えられとらんらしいんや」

「そうなんですか?」

「あ、ああ・・・・」

 

頼人君を見ると、こっくり頷いてくれた。

元々、おじい様達が『成人したら伝える』と決めていたらしいんだけど。

彼らが三年前に他界したことを受け、ご両親は『もう少し早くていいかも』となって。

15歳になる来月に、教えてもらうはずだったらしいんだけど・・・・。

そんな彼らも、揃って意識不明の重体だ。

 

「こうやって被害も出とる、なんとか教えてもらえへんか?」

 

『この通り』と、頭まで下げる服部君を目の当たりにして。

彼の真剣さと、本気の度合いを悟ったらしい。

ヨヨさんは、しばし目を伏せた後。

 

「――――」

 

話そうと、しかけて。

 

「わ」

「うおッ」

 

タイミング悪く、ヨヨさんのスマホが鳴ってしまった。

慌てて確認した画面には、ましろさんの名前が出ている。

 

「――――はい、もしもし」

『おばあちゃんッ!!』

 

服部君に促されて、通話状態にすると。

スピーカーじゃなくてもはっきり聞こえる。

ましろさんの、悲鳴。

 

『ど、どうしよう・・・・どうしたら・・・・!』

「落ち着いて、どうしたの?」

『――――人がッ!!』

 

明らかに動揺しているましろさんの声に、ヨヨさんがなんとか落ち着かせようとする中。

 

『――――人が死んでるの!!』

 

その悲鳴に。

私の全神経が、臨戦態勢になった。




コナン編のオリジナルキャラのネーミングは、基本UMAから(有馬会はそのままUMA、根志来(ねしこ)組はネス湖、鬼塚貞治(おにづかじょうじ)はジャージーデビル)。
永逢神社の皆さんは、今年の劇場版コナンの主題歌である『TWILIGHT!!』から。
それぞれ名付けています。
我ながら、悪くないネーミングでは、と・・・・(笑)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。