ヒーローガールは異物入り   作:数多 命

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今年のプリキュア映画もめっちゃよかった・・・・上映後、「素晴らしかったです」って拝んじゃった・・・・(完全な不審者ムーブである)


偽物、一息つく

「――――鬼塚さん!良い報せと、悪い報せがあるんスけど!」

 

「典型的だなァ、まあいいや、なんだ?」

 

「あのヨヨってババア、今孫と一緒に来てるみたいなんスよ。人質に取れば、楽に言うこと聞かせられそうです!」

 

「ホォ、いいね。分かり易い弱味は大歓迎だ・・・・で、悪い報せは?」

 

「一緒に来てる居候がヤベェッス!!神社でババアについてたネェちゃんと、赤毛を二つ結びにしてた小娘!!この二人が特にヤベェッス!!」

「どっちもこっちに気付いた挙句目を合わせてきたし、ネェちゃんに至ってはにっこり笑いかけて来たんスよ!!俺知ってるッス!!そーいうヤツがいっちゃんヤベーんスッッ!!!」

 

「あのネェちゃんが・・・・なるほどなぁ」

 

「ババアと孫だけならサクッと誘拐(テイクアウト)出来そうなんスけど・・・・」

 

「・・・・なんにせよ、有益な情報は得られた」

「よくやったな」

 

「オッス!アザッス!」

 

 

 

 

 

 

 

「――――さて、ここからどうしてくれようか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んーッ!ウッマ!」

「ほんと、おいしいね!」

 

今日一日だけでも、イベントが目白押しであったが。

無事にホテルに戻って来た一行。

本来なら、夕食にはバーベーキューが用意されていたのだったが。

昼間の事件を思い出してしまった歩美が、具合を悪くしてしまったこともあり。

急遽ビュッフェに変更になった。

当然だが歩美に責任はない、無理からぬことだ。

それを意識したのか否か、バーベーキューにはないうな重があった元太の大歓声に。

思わず腹を抱えて笑ったのは、つい先程のことである。

 

(歩美のヤツ、肉や魚じゃなきゃ食べられてるな・・・・ひとまず、よかった)

 

甘辛く味付けされた厚揚げや、チーズフォンデュに舌鼓を打つ歩美に。

コナンはこっそり安堵しながら、園子に(ウーロン茶と言えども)お酌されている小五郎を見る。

なんでも、彼が追っていた『人為的な事故』の方でも、根志来組の関与の可能性が浮上して。

交通課と大和たちの合同捜査に発展しそうだということだった。

そして、コナンにとって一番僥倖だったのか。

特に気にしていた、昼間の事件の情報を聞けたことだろう。

蘭の監視下と言えど、いくばくか酒の入った小五郎は。

歩美を始めとした子ども達を気遣いながらも、面白いくらいにぽろぽろ零してくれた。

――――判明した被害者の名前は『家手幸雄(いえてゆきお)』といい、やはり根志来組の組員だったこと。

殺害現場は、郷土資料館周辺で間違いなさそうであること。

遺体は、刃物ではなく、ワイヤーの様なもので切断されたであろうこと。

現場周辺では、三人の人物が目撃されていること。

 

(――――その三人の名前は)

 

スタンプラリーの台紙をくれた、郷土資料館の館長、『茂須正人(もすまさと)』。

資料館のエレベーターなどをメンテナンスする整備士、『呉村凛太郎(くれむらりんたろう)』。

そして、コナン達も訪れた教会の神父『鏑良智癒』。

当時は濃霧が発生していたことも有り、他に怪しい人物がいる可能性も無きにしも非ずであるのは、大前提だが。

はっきり目撃されたのはその三人であるということだった。

 

「まだまだ調べにゃならんことは山ほどあるが・・・・ま、飛び切り優秀な大和警部たちに加えて、この俺様もいるわけだからな!大船に乗ったつもりでいるといいさ!!」

 

そう言って、いつもの高笑いをかますのであった。

 

「――――へぇー、来善さんと幼馴染なんだ」

「ええ」

 

その一方。

同じくビュッフェを頂いていた虹ヶ丘邸一行からは。

そんな興味深い会話が聞こえて、今度はそちらに耳を傾ける。

 

「私もライゼンも、学校の先生の家に生まれて、たっくさんの本に囲まれて育ったのだけど・・・・私はひたすら本を読むのが好きだったのに対して、彼は書いてあることを試したくなる子どもだったわ」

 

『書斎と外を行ったり来たりして、せわしなかった』と。

ヨヨは楽しそうに思い出を語ってくれる。

 

「対照的だったけれど、不思議とウマが合ってね。よくセットで行動する様になったのよ」

「へー!」

「それがどうやってこちらに移住することになったんですか?」

「元々日本の文化に興味があったから、見聞を広めたくてやってきたの。そこでみっちゃん・・・・美智代ちゃんに出会って、色々教えてもらって親切にしてもらってね」

 

聞き耳を立てることに集中するコナン。

美智代とは、頼人の祖母だったなと思い出しながら。

『移住』、という言葉にひっかかったが。

盗み聞きをしてしまっている手前、横入りするのは憚られた。

 

「そしたらライゼンったら、みっちゃんに一目惚れ!もう、見てるこっちが恥ずかしくなるくらいデレデレの骨抜きになっちゃって!」

「わぁー!」

(デレデレの骨抜き・・・・)

 

恋バナに虹ヶ丘邸のテーブルが沸き立つ中。

コナンは美人に鼻の下を伸ばす小五郎を思い浮かべて、苦笑い。

 

「『もー、俺ここに住むー!』って、そのまま居ついちゃったの」

「あはは!行動力ある人だったんだね!」

「おばあちゃんは?」

「かく言う私も、日本のことが大好きになって、もっと知りたいと思う様になってね。ここでしばらく日本のマナーや常識を習った後、もっと大きな図書館があるソラシド市に引っ越したのよ」

「それでましろんのおじいちゃんに出会って、ましろんに繋がってるってわけですね!」

「その通り」

 

虹ヶ丘邸の面々に交じって、しれっと感嘆の声を上げたコナンは。

話の内容を咀嚼する様に、しゃくしゃく食べていたタケノコ入りの炒め料理を飲み込むと。

 

「ねえねえヨヨさん!」

「あら、何かしら?」

「コナン君、いらっしゃーい」

「えへへ、お邪魔しまーす」

 

流れるようにヨヨの隣にひょっこり座った。

迎え入れてくれたあげはに返事をしたコナンは、改めてヨヨを見

る。

 

「神社ですっかり聞きそびれちゃったんだけど、どうして聖地にヨヨさんの仕掛けを付けたの?」

「ああ、そういえば話していなかったかしら」

 

視線を受けたヨヨは、目に昔を思い出す動きをさせながら語ってくれる。

 

「私とライゼンが移住して間もなくだったかしら、『湖で竜神様を見た』って目撃情報が相次いだの。当時UMAブームが来ていたこともあって、人がたっくさんやってきたんだけど、聖地に勝手に上がり込む困った人達もいたの」

 

今も昔も、困った人間はいるものである。

ヨヨが目の当たりにした当時も、注意書きを無視して立ち入るマナー違反が後を絶たなかったそうだ。

中には、遊覧用の手漕ぎボートを勝手に持ち出す人もいたとか。

 

「それで、聖地を守るためにライゼンと一緒に考えた仕掛けを取り付けたのよ」

「へぇー」

 

ある程度、聞きたいことを聞き終えたタイミングで。

 

「――――クォルアッ!!!」

「イッテェ!!」

「あら」

 

小五郎の拳骨に、目から星を飛ばした。

 

「すみません!うちのがお邪魔しちまって!!」

「いいえ、お友達の話が出来て、楽しかったですよ」

 

平謝りする小五郎に対し、ヨヨはニコニコ顔。

 

「もう会うことは出来ないからこそ、まだ覚えられていることが確かめられて、とっても嬉しいの」

 

そう言われてしまっては、小五郎もそれ以上言うことは出来なかった。

 

「ほら、戻るぞ!」

「はぁい」

 

首根っこを掴まれたコナンは、エルと一緒に手を振るヨヨに見送られて。

元の席に戻っていく。

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

「――――おちゅきさま!」

「ええ、まんまるですねぇ」

 

このホテルのお風呂は温泉ではないけれども、スーパー銭湯もかくやというラインナップが売りだ。

まあ、私はヤクザもかくやという古傷なので。

部屋付きのお風呂でエルちゃんの入浴を引き受け、人の多い時間帯を避けた次第・・・・。

・・・・ちなみに。

今回宿泊しているファミリールーム、寝室がリビング含めて三か所あるんだけども。

こういう時、ましろさんは私とセットになりがちだ。

なので、『ましろさんもたまには他の人と寝たいですよね』と言ったら。

全員から『お前は何を言っているんだ?』という目を向けられた。

解せぬ・・・・。

 

「お湯加減はどうですかー?」

「きもちー!」

「ふふ、よかったです」

「あい!」

 

とはいえ、せっかくの旅行である。

この後人が減った頃合いを見計らって、こっしょり入りに行くつもり。

 

「そろそろ上がりましょうか」

「あい!」

 

私はもう少しいけるけど、エルちゃんはのぼせちゃうかもしれないので。

お風呂から上がることにした。

丁寧に体を拭いて、部屋に出ると。

 

「あ、ソラさん!」

「お邪魔してまーす!」

「みなさん」

 

コナンヒロインズが、何故か一堂に会していた。

な、何事!?

っていうか、まずは。

 

「すみません、見ての通りお風呂上がりで、お見苦しいところを」

「そんな、押しかけてきてるのはこっちなんですから」

 

聞けば、あちらの男性陣withうちのツバサ君が、お風呂上がりの卓球で大盛り上がりをしてしまい。

だったら自分達は女子会をしてしまおうということだった。

 

「――――あとは歩美ちゃんのケアかな。もう怖いことはないよって安心させたいって、蘭ちゃんが」

「なるほど」

 

あげはさんのこっしょりした補足を受けながら。

私もお邪魔させてもらうことに。

和葉さんと上原刑事も、スマホを使ったリモートで参加することになってるとかなんとか。

ちょー豪華な女子会である・・・・!

しゅごい・・・・国民的ヒロイン達が勢ぞろいしてる・・・・!

事件が起きてなかったら、手放しで喜べたんだけどな・・・・。

 

「――――それにしても」

 

もちよったお菓子やジュースを、さくさくもぐもぐ摘まみつつ。

スマホの向こうのお二人ともおしゃべりに興じていると。

園子さんが、私の顔をまじまじと見つめて来て。

 

「ソラさん、いい顔していますよね」

「えッ」

「だよね!?宝塚でもいけるよね!?」

「ホントホント!でも、なんでその怪我を?」

「――――実は」

 

蘭さんの最もな疑問に、私は頷いてから答える。

 

「一月ほど前でしたか、山をバイクで走っていたら、煽り運転に出くわしてしまって・・・・」

「ええっ!?」

「もしかして、その時に・・・・?」

「そうなんです」

 

心配げなお二人に、嘘をついてしまうことを申し訳なく思いながら。

用意していたカバーストーリーを話す。

 

『大変だったわね・・・・警察には、話したの?』

「ええ、ですが、ドライブレコーダーを付けていなかったことと、山道なので監視カメラも少なくて・・・・」

『証拠不十分ね・・・・』

「でも、特徴が常習犯に似てたから、そっちで追いかけてくれるそうです」

 

なお、一応全部が嘘ってわけじゃない。

バイクを失ったのはもう一月前だし、煽り運転の常習犯がいたのも本当だ。

ただ、目を怪我したタイミングとは、ちょっとズレてるだけで・・・・。

 

「ただ、その時の怪我で左目はこの有様。バイクもお釈迦になってしまって・・・・」

「ソラお姉さん、よしよし」

 

バイクがお釈迦になったのももちろん本当。

なので、『ヨヨヨ・・・・』と泣き真似をすると。

歩美ちゃんが頭を撫でてくれた。

エエ子や・・・・。

 

「それで今回、福引が当たったと思ったらこの事態・・・・さすがに自分の不運を呪わざるを得ません・・・・」

「ああ~・・・・」

『お、お疲れ様ですー・・・・』

 

画面の向こうの和葉さんにも労われてしまったけれど、上手く誤魔化しきれたと思う。

ふふ、こりゃあ本気でヅカ目指してみるか、なんてね・・・・。

 

「ふぁ・・・・」

 

なんて、ほっとしていると、エルちゃんがあくびをした。

そろそろいい時間だ。

 

「くぁあ・・・・あ、うつっちゃった」

「あはは、もう寝る時間だよね」

 

蘭さん達の年代からすれば、まだまだ夜はこれからなんだろうけど。

エルちゃんに合わせてくれたんだろう。

 

「・・・・吉田さん、眠い?」

「・・・・実は、ちょっと」

 

歩美ちゃんも眠そうだ。

 

「宴もたけなわってところね、そろそろ戻りましょう」

「だね、男子達もいい加減落ち着いているだろうし」

 

スマホの向こうのお二人にも『おやすみ』を告げ、蘭さんと園子さんが撤収作業を始めたちょうどその時。

部屋のドアがノックされた。

 

「はーい」

 

『私が出ます』とドアを開ければ。

予想通りのツバサ君と、付き添ってくれた阿笠博士がいた。

 

「夜分遅くにすまんのう」

「ただいま戻りました、ソラさん」

「おかえりなさいツバサ君、阿笠博士もありがとうございます」

 

ツバサ君と入れ替わる様に、蘭さん達が部屋を出る。

んふふ、歩美ちゃんの充電がほぼほぼ切れてるな。

既にぐっすりだ。

 

「楽しかった?」

「はい!すっごく!」

 

ヨヨさんに微笑まれて、ツバサ君も嬉しそうに笑っている。

ふふふっ、よっぽど楽しい時間を過ごしたみたいだな。

顔がめっちゃツヤツヤしてる・・・・。

 

「それじゃあソラさん、おやすみなさい!」

「ええ、おやすみなさい」

 

ツバサ君を送ってもらったので、こちらも同じく送ろうかと思ったんだけど。

阿笠博士や蘭さんがいるからと言われてしまっては、退かざるを得なかった。

まあ、男性の阿笠博士はともかく、蘭さんまで出されたらな・・・・。

とにもかくにも、そういうことで。

手を振り合って、彼らを見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おや、ツバサ君。ちょっと・・・・はい、取れました」

「ソラさん?何かついてました?」

「ええ、ちょっとしたホコリです。もう大丈夫ですよ」

「気付かなかった・・・・すみません、ありがとうございます」

「いいえ、お気になさらず」

 

 

 

 

 

 

「――――全く、悪い子です」




>国民的ヒロインが勢ぞろい
気付いてないだけで、お前もやで()


おまけ、人物紹介

家手幸雄(いえてゆきお)
今回の被害者、根志来組。
ワイヤーの様なもので胴を切断され、湖に捨てられていた。
ネーミングは『雪男(イエティ)』。

茂須正人(もすまさと)
晴谷湖村郷土資料館の館長。
事件現場になってしまったので、資料館はしばらくお休みになってしまった。
巻き込まれた少年探偵団を気遣って、スタンプカードをくれた人でもある。
ネーミングは『モスマン』。

呉村凛太郎(くれむらりんたろう)
資料館に勤務する整備士、エレベーターを担当する。
事件現場付近で目撃されたらしい。
ネーミングは『グレムリン』。
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