バッタモンダーを見つけたと思ったら、スキアヘッドも現れた。
ぽ、ポンポン出て来るな・・・・!
展開が・・・・展開が速いねん・・・・!
「ッ、スキアヘッド!」
「まさか、キュアパンプキンなどという偽物を放ったのも、お前か!?」
いの一番に気付いたツバサ君に続き、ベリィベリーさんが果敢に問いかける。
いや、確かにこのタイミングだと、疑念を抱くのは当然だけども・・・・!
スタコラサッサと逃げていくバッタモンダーの格好からして、多分違うんだよなぁ・・・・!
「知らんな・・・・アンダーグエナジー召喚」
でも、それを伝える暇はない。
ビルの上に現れたスキアヘッドは、早々にアンダーグエナジーを召喚。
ジャックオランタンとキャンディを組み合わせた、ランボーグを呼び出した。
と、思っていたんだけど・・・・。
「キョーボーグ!!」
・・・・明らかに違う鳴き声あげてるな?
「また違うランボーグ・・・・?」
「ッシュランボーグの様に、特殊能力を持っているかも!気を付けましょう!」
「おっけぃ!」
何にせよ、ほっとく訳にはいかないな!
――――ひろがるチェンジ!!
◆ ◆ ◆
「キョーボーグ!!」
「ハァッ!!」
一番槍のエクリプスが、正拳突きを叩き込むと。
キョーボーグが巨大なキャンディを振り回して迎撃。
拳がぶつかると、甲高い音が鳴り響いた。
「硬い・・・・!」
「エクリプスのパンチでも、ビクともしないなんて」
「キョーッ、ボッ!!」
それぞれがキャンディの硬さに目を向く中、キョーボーグは身を翻してエクリプスの体勢を崩すと。
キャンディを振り上げて、お返しとばかりに叩きつけて来た。
「ッ・・・・!」
「はああっ!!」
飛びのいたエクリプスと入れ替わって、マジェスティが駆けだす。
以前シャララに教えられた、『刃を滑らせる斬撃』をさっそく繰り出せば。
キャンディに一瞬だけ刃が入る。
「やった!」
特訓の手ごたえに、マジェスティの顔が明るくなるが。
あっという間に剣がひっかかってしまったことで、すぐに曇ってしまう。
「キョーボーグ!!」
「プリンセス!」
「・・・・ッ!」
ウィングにフォローされながら撤退していくマジェスティ。
それらの次に躍り出たのはスカイだ。
なおマジェスティを狙うキョーボーグと、何度も斬り結ぶ。
「はあっ!!」
「キョキョォッ!?」
一度強く打ち込み、相手の体勢を崩して。
「虎牙破斬ッ!!」
「キョーッ!!」
切り上げと切り落としの二連撃を叩き込んだ。
たまらず、大きく体を傾けたキョーボーグだったが。
「キョキョキョーッ!!」
「・・・ッ」
即座に立て直すと同時に、キャンディの叩き付け。
当然の様にアスファルトを砕いて、瓦礫を飛び散らせる威力に。
スカイの顔には、警戒が浮き出ていた。
「ッまずは武器をどうにかしないとだね。プリズム、手伝って!」
「うんッ、たあああ!!」
プリズムの援護射撃を背負い、バタフライが突貫。
再び振り回されたキャンディを、バリアでいなして回避すると。
バタフライはあろうことか、そのまま引っ掴んで、
「やあああッ!」
ギロチンの様に立てて、キャンディに叩きつけた。
マジェスティ以外のメンバーは、下敷で同じことが出来ることを思い出していた。
しかし、肝心のキャンディはかすかな凹みを除いてほぼほぼ無傷。
「もー!硬すぎ!!」
「キョボーッ!!」
悪態をつくバタフライへ、お返しとばかりにキョーボーグが迫る。
まさしくまばたきの間に肉薄すると、豪快なぶん回しを繰り出してきて。
(はっや・・・・!?)
身を引こうと屈むも、圧倒的に間に合わない。
「バタフライ!」
そこへ飛び込んだのは、スカイだ。
剣を逆手に立てて、キャンディをいなそうとしたが。
「――――ッ」
すぐに刀身から、ミシミシと悲鳴が上がり始める。
「ップリンセス!」
「バタフライッ!!」
「エクリプスジャッジメント!!」
「破魔・竜王刃ッ!!」
ウィングとプリズムが飛び出し、スカイ達を確保。
マジェスティとエクリプスもキョーボーグに突撃して援護。
仲間達から引き離して、距離を取った。
「キョボーッ!!」
キョーボーグもまた、猛撃を受けて後退するものの。
即座に負けじと再突撃。
「キョーッ!!ボオッ!!」
「ぐああッ!」
「ああッ・・・・!!」
『いざ葬らん』と放たれる横薙ぎに、マジェスティとエクリプスが叩き飛ばされてしまった。
さらに加えられようとした追撃を、もう一度前に飛び出したスカイが迎撃。
剣を振るい、キャンディを弾き返すと同時に。
衝撃を利用して、仲間達の下へ戻って来た。
「あのキャンディ、丈夫過ぎ!」
「キョーボーグ自体も非常に素早いです、気を抜くと一瞬でやられる・・・・!」
「足止めと、得物の対処が早急だな」
プリキュア達が苦い顔で手短に会議する一方で、
「――――問題ない」
スキアヘッドもまた思案に暮れていた。
「やつらがここまで耐えるのは想定済み、知識の宮殿にも記憶されている・・・・故に」
目を細めた彼は、傍に控えたキョーボーグを一瞥して。
合図する。
「――――荒ぶれ、キョーボーグ」
「ッキョオオオオーボオオオオオッグ!!!!!」
「ッ何!?」
瞬間、キョーボーグの全身から真っ黒なエネルギーが迸る。
「――――あ、れは」
吹き荒れるアンダーグエナジーが収まった時。
その姿にプリキュア達は絶句する。
「スカイの、バーストモード・・・・!?」
アンダーグエナジーによるものではあるが、全身が燃え盛る姿に相違はない。
「コラーッ!!ロイヤリティ取るぞーッ!!」
「ふん・・・・やれ」
「キョーボーッグ!!」
バタフライの抗議もなんのその。
スキアヘッドが号令をかければ、雄叫びを上げたキョーボーグが突進してきた。
「ッ、ぐうッ!!」
「ハッ!!」
真っ先に反応したエクリプスに続き、バタフライもバリアを張って。
より一層素早くなったキョーボーグを弾いて往なすと。
「バースト、オンッ!!」
「キョボーッ!!」
その隙を使い、スカイはバーストモードを発動。
再突撃してきたキョーボーグを迎え撃った。
「スカイ!!」
プリズムが、相手の動きを少しでも阻害すべくまき散らした弾幕の中を駆け抜け。
スカイはキョーボーグに肉薄。
「やっ!せいっ!ハアアアアッ!!」
「キョボボボボボッ!!」
ぎゅるりと体を回転させ、斬撃を叩き込む。
「――――拙剣無式ッ!!」
剣戟の中、かすかな隙を目ざとく発見すると。
懐へ更に飛び込んで、突きの構え。
「――――鬼神辟易ッ!!」
「キョボーッ!?」
もはや殴打とも言える猛撃を、容赦なくお見舞いした。
「ウウウウウッ、キョーボーグッ!!」
「ッ・・・・!」
幾ばくか下がってしまう巨体だったが、なんとか踏ん張って反撃。
お返しだとばかりの振り下ろしを受けて、スカイはビルの屋上に叩き落とされた。
「スカイ!」
「大丈夫!?」
「ええ、大丈夫!!」
駆けつけた仲間達と合流しつつ、相手から目を離さないスカイ。
自分に苦戦していることに気付いているキョーボーグは、からかう様に飛び回っていた。
「スカイも長くは持たない!早く何とかしなきゃ!」
「ああ、なんとか突破口を・・・・!」
「とはいえ、あのスピードが脅威です。足止めか、あるいは追いつく手段を考えないと!」
相手が見せたバーストモードの脅威と、スカイが切ったバーストモードのリミット。
どちらを加味しても、早急に決着を決めなければならないと。
一同揃って、苦い顔を禁じ得ずにいた。
バタフライやエクリプス、ウィングが中心となって。
作戦を思案していると。
「っはあああああ!!」
「マジェスティ!?」
「プリンセス、何を!?」
「マジェスティ、待ちなさい!!」
その横合い。
突如として、マジェスティが飛び出す。
「たあああッ!」
制止も間に合わぬまま、飛び出していくマジェスティは。
雄叫びを上げながら剣を叩きつけようとするも。
「キョボーッ!!」
「ああッ!?」
あっさり反撃されてしまう。
「ッ月牙天衝!!」
「キョッボ!!」
スカイの援護を受けながら、なんとか撤退するマジェスティ。
「どうしたの?」
「そうですよ、闇雲に突っ込んで行くなんて」
「・・・・だって」
プリズムやエクリプスに宥められるマジェスティは、泣きそうになりながら二人を見返して。
「だって私・・・・まだ『トリックオアトリート』言ってない!!」
「・・・・ん?」
「えっ?」
放たれた思いに、一同目を点にする。
「今日をすっごく楽しみにしてたし、すっごく楽しかった!」
マジェスティの脳裏に蘇るのは、今日のこと。
『トリックオアトリート』を唱え合って、お菓子をやり取りして。
嬉しさと笑顔で、キラキラが溢れていた。
あの光景。
「『トリックオアトリート』を言ったみんな、ニッコニコで、キラキラしてて・・・・!」
見守られる中、涙を滲ませたマジェスティは。
話している内に、段々と冷静になって来たのか。
叱られた時の様な顔になって。
「・・・・やっぱり、ダメだよね・・・・ちゃんとしないといけないのに、こんなワガママ・・・・」
しゅん、とうつむいてしまった。
「――――そんなことないよ」
――――当然。
そんな彼女の思いを、否定する面々ではない。
プリズムはにっこり笑って、明るい声を上げながら。
マジェスティの手を握る。
「わたしも言いたい!」
「僕も言いたいです!」
「私も私もー!せっかくのハロウィンだもん、楽しまないと!」
二人を纏めて抱きしめたバタフライや、歩み寄って来たウィングにも肯定されたマジェスティ。
恐る恐る他のメンバーを見渡せば、それぞれ笑顔を向けてくれている。
「気持ちはみんな同じです。だからこそ、焦ってはいけません」
「スカイ・・・・」
頭を撫でられたマジェスティは、先ほどの突撃を束の間ながらもしっかり反省してから。
「・・・・ごめんなさい、もう大丈夫!」
精悍な顔つきで、前を見た。
◆ ◆ ◆
マジェスティが落ち着いてくれたことにほっとしつつ、改めてキョーボーグを見据える。
得物のキャンディはバカ硬いし、本体も素早い。
少なくともどちらかを無効化しなければ勝てない。
けれど、そんなに焦ってない。
「では皆さん、今の作戦で!」
「了解です」
なんてったって、こっちには頼りになる参謀達がいるからさぁ!!
「今度こそ行きますよ、マジェスティ!」
「うんッ!」
気合十分のマジェスティの返事を皮切りに、仲間達が動き出す。
「はっ!」
「キョーボボボッ!」
放たれたプリズムショットを、難なく避けるキョーボーグ。
「うおおッ!!」
「キョボッ!?」
立て直す直前を狙ってエクリプスが雷撃を放てば、キョーボーグの体が更に傾いた。
「マジェスティ!」
「分かった!」
ここで、私とマジェスティが一緒に飛び出す。
バタフライのシールドと、エクリプスの魔力の手を足場に。
キョーボーグへ肉薄。
「キョボボッ・・・・!」
当然、相手も迎撃の構えを取るけれど。
「そうはさせない!」
「キョボーッ!?」
ウィングが奴のスレスレを高速で飛び回ったことで、猫だまし的に勢いを削ぐ。
「「はあああッ!!」」
動きが止まったところへ、私とマジェスティが懐に入り込んで。
「――――破魔ッ!!」
「――――竜王刃ッ!!」
「キョーッボッ!!」
まずは一撃。
防がれて互いに弾き合ったけど、想定内!
「合わせて!」
「うん!」
「「――――絶風刃ッ!!」」
二人の斬撃をクロスさせる形にして、風の刃を放てば。
さっきの攻撃で若干弱っていたところに、クリーンヒットして。
「キョッ、キョボーッ!?」
キャンディが砕け散った!
おっしゃ!
「やった!」
「ええ、畳みかけますよ!」
私は電柱に、マジェスティは看板に。
それぞれ一度着地。
マジェスティはそれに加えて、クルニクルンを取り出す。
――――マジェスティクルニクルン!!
――――プリキュア!マジェスティックハレーション!!
躊躇する理由も無いので、即発動。
虹色の極光を叩き込むんだけども。
「キョーボーグッッ!!!」
案の定って言うか、予感はしてたって言うか。
これまた当たり前の様にただで浄化されてくれないキョーボーグ。
気合十分と雄叫びを上げると、『バーストモード(仮)』の火力を文字通り上げて。
マジェスティックハレーションを受け止める。
うーん、ぶっちゃけなんかそんな気はしてた!!
「みなさん、ここは任せます!」
「スカイ!?」
もちろん手をこまねくわけにもいかないので、フォーメーションからちょっと飛び出し。
「――――ひろがるッ!!」
幸いバーストモードはまだ発動中。
「スカイザンバーッ!!」
マジェスティックハレーションに重ねて、叩き込んでやる!!
「キョッボォ・・・・!?」
ハレーションに加えて、スカイザンバーも加わった攻撃。
キョーボーグは最初こそ頑張っていたけれど、段々と押されて行ってしまい。
「――――ス」
光に、押しきられて。
「スミキッター・・・・!」
浄化されたのだった。
無事にキョーボーグも退け、『トリックオアトリート』も唱えることが出来た。
その後は特にトラブルらしいトラブルはないまま、ハロウィンフェスタもつつがなく終了。
本格的に動き始めたスキアヘッドや、キョーボーグという新たな脅威もあるけれど・・・・。
今、何より気がかりだったのは。
「――――ええっ!?バッタモンダーが!?」
「はい・・・・」
その日の夜。
ましろさん達年下組が寝静まったのを見計らって、あげはさんとベリィベリーさんにバッタモンダーのことを打ち明けていた。
「今のところ、『美大生の紋田』はましろさんの害になっていませんし、むしろ良い影響を与えています」
実は、あれからも二人が顔を合わせる機会がちょくちょくあった。
バッタモンダーがあちこちでバイトしてるからね、必然的にそうなるよね・・・・。
で、迷惑にならない程度に、お話することもあったのだ。
あいつはその度に、ましろさんにちょっかいをかけていたみたいだけれど。
なるべく私が一緒にいる様にしているお陰か、下手なことは出来ないばかりか。
むしろましろさんにとってプラスになることが多々あったのだ。
「だから、そこまで深刻に考えていませんでしたが・・・・」
「ランボーグを召喚しかけたとなれば・・・・さすがに見過ごせないな・・・・」
照明を落としたリビングで、三人そろってため息をつく。
いや、ほんと。
反省点だらけよ・・・・。
「でも、今のバッタモンダーって、アンダーグ帝国を追い出されている状態なんだよね?」
「おそらくは・・・・少なくとも、スキアヘッドが容赦するとは思えませんし」
「同感だ・・・・あれは、やる」
ベリィベリーさんの言葉を肯定する様に、あげはさんもまた黙り込む。
・・・・多分、私と同じ想像をしているんだろう。
敗北を重ねれば、身内にも容赦しない。
あの、絶対零度の眼差しを。
クッソ・・・・寒そうなのは頭だけにしろよ、あのハゲ。
「で、どうするの?特に、ましろんに話すかどうかとかは・・・・?」
いつまでも頭を抱えているわけにはいかないとばかりに。
あげはさんが問いかけて来る。
・・・・当然の疑問だ。
これが普通の大学生だったならまだしも、正体がバッタモンダーだもんなぁ・・・・。
そうやって、うじうじ迷ってしまっていると。
「・・・・今は、黙っていてもいいんじゃないか?」
同じく考えてくれていたベリィベリーさんが、そう提案してくれる。
「少なくとも、今はバッタモンダーよりもスキアヘッドの方が脅威だ。キョーボーグのこともある・・・・一応ヨヨ殿にだけは共有して、知らせるのはもう少しだけ後回しにしてもいいと思う」
「それしかないんでしょうか」
「私も、それが無難だと思うよ」
結局は後回しなんだけど、他にいいアイデアもない。
晴れないもやもやに思わずため息をつきながら。
もしましろさん達に見つかった場合の言い訳として持ち出していた、バーストカリバーを取り出す。
今日の戦闘で、ちょっと嫌な音してたからね。
(どっちにしろメンテナンスしたかったんだよな・・・・)
そう思いながら、鞘から引き抜くと。
――――ぱきっと、乾いた音がして。
「――――へっ?」
気が付いた時には、真ん中からばっきり折れた刀身が。
床に転がっていて。
「――――お、折れたぁッ!?」
「ウッソォッ!?エッ!?お、折れ、えええええええ!?」
「へっ、あっ?ハァッ!?」
無惨な姿になったバーストカリバーを囲んだ私達三人は。
『騒がないの!』とヨヨさんに叱られるまで、情けなく狼狽えまくっていた・・・・。
ごめんなさい・・・・。
おまけ
「「「お、折れたーッ!?」」」
「イヤーッ!?嘘でしょ!?」
「あわわわわわわ、ど、どうしたら・・・・!」
「ええい、狼狽えるな!!鎮まれぃ!!」