ヒーローガールは異物入り   作:数多 命

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先日(3/13)、総合と二次創作の日刊ランキングにお邪魔させて頂きました。
日頃のご愛顧、誠にありがとうございます。
嬉しさのあまり書き上げた本編です・・・・!


偽物、特別講師で終わりたかった

その後、しばらく専門家の皆さん*1と修復計画を話し合った後。

『ここからは任せて大丈夫』と言われたので。

お言葉に甘えて、先に宿舎に行っていたましろさん達と合流することに。

 

「――――きれいだ」

 

リコさんに付き添ってもらっている道中。

ふと見えた光景を見て、思わず零してしまう。

乗り物(カタツムリニア)で移動できるとはいえ、結構な距離がある。

なので、外はとっぷりと日が暮れていた。

学校の敷地が月明かりに照らされて、プラチナでコーティングされたように輝いている。

 

「ふふ、ナシマホウ界やスカイランドとも違うでしょ?」

「ああ、すみません・・・・つい」

「気にしないで」

 

束の間ぼんやりと眺めそうになったけれど、リコさんの声で我に返って。

再び歩き出す。

危ない危ない、人と一緒にいるのに・・・・。

 

「教員寮、でしたか」

「ええ、そこにお客様用の部屋があるの」

「重ね重ね、ありがとうございます」

「いいのよ、ゆっくりしてちょうだい」

 

用意してもらった今日の宿に向け、歩く事しばし。

それらしい建物が見えて来る。

『二階の奥だったかな』ともう少し歩いてみたら。

 

「――――あ、しょら!」

「ソラさん!」

 

ちょうど廊下に、ましろさんとエルちゃんが出てきた所だった。

 

「おかえりー!」

「はい、ただいま。待っててくれたんですか?」

「えへへ、エルちゃんがお迎えに行くって」

「えっへん!」

「ありがとうございます」

 

ましろさんの腕の中で、誇らしげに胸を張るエルちゃんが微笑ましくて。

私は、ほっと息を吐いた。

 

「お、ちょうど来てた」

「ソラちゃんおかえりー!」

「おかえりモフー」

 

次にひょっこり顔を出したのは、あげはさんと、みんなを案内してくれたみらいさんだ。

モフルンさんも、みらいさんの肩に乗っている。

かわいい(確信)

 

「ただいま戻りました、あげはさん。ヨヨさんとタタラさんは、もう少しお話していくみたいです」

「りょーかい!」

「みらいさんも、ありがとうございました」

「いいよー!はーちゃんも一緒だったし、おしゃべり出来て楽しかった!」

 

『ねー?』と、みらいさんが部屋の中へ話しかけると、『はー!』と元気な返事。

ことはさんもいてくれたんだ・・・・。

ありがとうございます・・・・!

 

「そうだ、忘れる前に・・・・」

 

無事みんなと合流出来たところで、リコさんがカードを二枚取り出す。

成人済みだからと、私とあげはさんにそれぞれ手渡すと、『キュアップラパパ』と杖を一振り。

何かの文字が刻印された。

ううん・・・・アルファベットに似ているようなそうでないような・・・・。

あと、なんだかマホカに似ている見た目だな・・・・?

 

「ゲスト用のマホカよ。学園内と、商店街の一部店舗で使えるの」

 

と思っていたら、本当にマホカだった。

どうやら亜種みたいだな。

リコさんによると、学校内の購買と食堂。

それから、一部の生活必需品を取り扱うお店で使えるということだった。

もちろん、限度額内なら交通機関も使えるらしい。

便利!

 

「何から何まで、ありがとうございます」

「助かります!」

「どういたしまして。学食もそれで利用できるから、是非使ってね」

 

そんな貴重なカードを、名刺みたいに丁寧に扱えば。

リコさんは微笑まし気に見て来た。

 

「ほら、私達もそろそろ寝ましょ」

「だね、もう遅いし」

「お邪魔しましたー!楽しかったよ!」

「こちらこそ、ありがとうございましたー!」

「ましたー!」

 

気を取り直して。

三人合流したみらいさん達に、手を振った私達も。

眠ってしまうことにした。

・・・・本当はヨヨさんを待ってたかったけど。

去り際に見たあの熱量から見るに、まだまだかかりそうだったしね・・・・。

 

「ばぁば、まだおっき?」

「はい、なので先に寝ちゃいましょう」

「あーう・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題(宿屋の曲)

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわ」

 

翌朝。

校長室の様子を見に行くと、全員すやすや眠りについていた。

一応、創作なんかでよくある様な『部屋のあちこちで死屍累々』みたいな状況でないことに安心はしたけども・・・・。

 

「かたちゅむぃ!」

「そうだねぇ、なんかすっごい光景」

 

何故かみんな、巻貝の様なものに入ってぐっすりである。

いや、なんだこれ・・・・。

絶対人間の体入らないサイズじゃん・・・・。

 

「ヤドネムリンね、マホウ界の寝袋なの」

「そうなんですか!?」

「びっくりするよね、私もそうだった」

 

リコさんとみらいさんの説明に、改めてマホウ界の摩訶不思議さに舌を巻く。

今回来た時もそうだったけれど、マホウ界とナシマホウ界は距離が開いているので。

場合によっては一晩かかることもあるんだそう。

ヤドネムリンは、そんなときの必需品だとか。

ちなみに、寝心地はわりといいらしい。

便利!

 

「ほら、バッティー君起きなさい!遅刻するわよ!校長も!起きて下さい!」

 

気を取り直して、手を打ち合わせたリコさんは。

校長先生とバッティーさんのヤドネムリンを容赦なく引きはがした。

お二人が、二日酔いの様なうめき声を上げたのを皮切りに。

ヨヨさんもむっくり起き上がる。

 

「ばぁば!おはよー!」

「ふぁ・・・・うふふ、おはよう、エルちゃん」

「おはよう、おばあちゃん。大丈夫?」

「ええ、ちょっと張り切り過ぎちゃった」

 

どことなくしょぼしょぼした顔ながらも、エルちゃんと微笑ましいやり取り。

あまりご無理をなさらず・・・・。

 

「んー・・・・」

「タタラさんは・・・・もうちょっと寝かせてあげましょうか」

「はー、ぐっすり」

「むぐむぐ・・・・おかわり・・・・」

 

一方のタタラさんは、こんなに大騒ぎしていてもスヤスヤ。

幸せそうにむにゃむにゃしている。

こんなお手本みたいな寝言、初めて聞いた・・・・。

 

「ああ、その前に・・・・」

 

各々が身支度を整える中、校長先生は何か・・・・おそらく手紙を書きつけると。

『キュアップラパパ』と、杖を一振り。

すると、手紙はひとりでに鳥の形に折りたたまれると。

ぱたぱた羽ばたいて、ことはさんが開けた窓から飛んで行く。

 

「校長、あれは?」

「昔世話になった方への手紙じゃよ。今回のことで、助力を願ってみた」

「そんな方が・・・・」

「厳格故、引き受けてくれるかは五分五分じゃがな」

 

飛んで行く手紙の鳥が珍しくて、束の間ぼんやり見つめていると。

 

「何にせよ。これじゃあ、すぐに作業を始められなさそうだね」

「そうねぇ・・・・せめてお昼くらいまでは、休憩した方がよさそうだわ」

 

夢の中にいるタタラさんを、ヤドネムリンごと抱えたみらいさんに。

ヨヨさんも大らかに頷いていた。

 

「――――だったら」

 

図らずも出来てしまった、お昼までの余暇を。

どうしたものかと考えだした時。

 

「ちょっと、お願いがあるんだけど」

 

リコさんが、肩を叩いてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――こ、れは」

 

――――届いた手紙を、側近に見せれば。

案の定、怒りに声を絞り出しながらぶるぶる震えて。

 

「これはッ!!我々への侮辱ではないですかッ!?族長ッ!!」

 

彼の言葉を皮切りに、他の重役達も大噴火の如く怒声を上げた。

 

「コーナの言うとおりですぞ!!」

「長ッ!!」

「我らの秘術を学んでおきながらッ!!」

「誓いを反故にしおった!!」

「恩を仇で返すとはこのことじゃッ!!」

「族長!!」

「タイボク様!!」

 

紛糾する会議を前に、静かに口を開いた。

 

「――――鎮まれぃ」

 

叫ばず、しかし全体にはっきり届く声。

それだけで、全員が口を閉ざして、座り直す。

 

「・・・・あの男は、愚かではない。人の身なれども、目は曇っておらん」

「・・・・では、受け入れるということですか?」

「――――否、見極める」

 

もさり、と。

茂みの様な眉毛を上げる。

 

「コーナ、マテバシ、お前達もついてこい。例の『闇を宿した剣士』を『観る』」

「ハッ」

「・・・・」

 

次代を任せられる若者と、厚い信頼を寄せる重役を指名し。

その場を解散としようとするが。

 

「・・・・見極めるまでもない」

「コーナ?」

 

耳が音を拾う程、強く拳を握った若者は。

 

「――――一族の威信にかけて、滅ぼしてくれるッッ!!」

「ッ待て!!コーナッ!!」

 

制止を振り切り、飛び出してしまった背中を見送って。

鈍く、憂いの息を吐く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――さて。

図らずもお昼まで余裕になってしまった私達。

リコさん、いや、『リコ先生』に何を頼まれたかというと。

 

「――――と、これがスカイランドの概要です」

 

教室で、たくさんの生徒を前に臨時講師をやっていた。

本来ならヨヨさんが適任なんだろうけども。

オール一歩手前まで頑張ってくれていたご老体に、無理させちゃダメやろ・・・・。

 

「箒がないのに、不便じゃないんですか?」

「そこは、『遊覧鳥』という人が乗れるくらいの鳥さんがいて、彼らにお願いするんです」

「こちらで言う、カタツムリニアの位置にいる鳥達ですね」

――――へぇー!

 

隣にツバサ君とベリィベリーさんがいるとはいえ。

ちょっと、いやだいぶ緊張している・・・・!!

 

「魔法もないんですよね?」

「ああ、こちらでは『スカイジュエル』というエネルギーを秘めた鉱石が、世の中のエネルギーを担っているんだ」

「魔法使いもいないことはないんですが、本当にごく少数なんです。私も、ベリィベリーさんの故郷の、シャーマンにお会いした程度で」

「魔法がないなんて、不思議!」

「私達も、魔法があるのが不思議です」

 

『お揃いですね』と笑いかけると、コメントした女生徒さんは照れくさそうに口元を抑えた。

 

「青の護衛隊も、すっごくかっこいい!」

「分かる!隊長のシャララ様、素敵な人だったわ・・・・」

「最強の剣士ってのも、燃えるよな!」

「ジークフリート国王との、種族を越えた友情も最高!」

 

シャララ隊長も話題も、結構好反応である。

嬉しい(小並感)

 

「スカイランドでは、みんなが魔法を使えるわけではありません。だからこそ、自分が出来る事を持ち寄って、助け合うことで成り立っているんです」

 

・・・・ごほん。

いつまでも照れているわけには行かないので、纏めに入る。

 

「もちろん、それはこちらでも変わらないと思う。箒を作る者、魔法薬を作る者、その材料を集める者・・・・人によって、得意なことは違うだろう?」

「今日、皆さんにお話しして、スカイランドのすばらしさに共感して頂けて、僕達もとっても嬉しいです。だけどマホウ界にだって素敵な所はたっくさんあります」

「要は、『どちらがすごい』ではなく、『どちらも素敵』ということです」

 

最後に、『ご清聴ありがとうございました』と頭を下げれば。

教室全体から拍手をもらえたのだった。

よかった・・・・。

 

 

 

 

 

 

閑話休題(キーンコンカーンコーン)

 

 

 

 

 

 

「ありがとう。急な話だったのに、引き受けれくれて」

「そんな」

 

『助かったわ』と微笑むリコ先生オススメの、ミカンジュースを一口。

うーん!甘くてうまい!

聞けば、行きの列車でも頂いた『冷凍ミカン』と同じ品種を使っているらしい。

道理で美味いわけだ・・・・。

 

「こちらこそ拙い語りで、恐縮です。生徒さんの為になれていたらいいのですが」

「十分よ」

「そうそう!私も『ワクワクもんだー!』って夢中になっちゃった!」

「スカイランド、いつか遊びに行くね!」

「モフルンも、行くモフー!」

「ああ、大歓迎だよ」

 

みらいさんとことはさん、モフルンさんにも好評だったようだ。

よかった・・・・。

今は休み時間。

昼休みまであと授業一つという時間帯。

タタラさんもそろそろ起きているだろうし、本格的にバーストカリバーの修理も始まるはず。

必要な材料があるのならどこにだって取りに行くつもりだし、時間がかかるというならいつまでも待つつもりだ。

私に出来る事なんてほとんどないようなものだから、ご用命があるなら全力で応える所存である。

 

「意気込みはいいけど、気負い過ぎないように」

 

と、リコ先生に肩を叩かれた。

・・・・さすが教師、見抜かれていたか。

 

「わたし達もいますからね!」

「そうです!ソラさんは気負い過ぎです!!」

 

ましろさんとツバサ君にも突っ込まれたお陰か、ちょっとだけ肩が軽くなった。

いかんいかん・・・・気を張り過ぎていた。

 

「とにかく、一度ヨヨさん達と合流を――――」

 

一度、よそ見をした。

その時。

 

「――――?」

 

ストッ、と。

足元に感覚。

見下ろすと、矢が一本刺さっているのが見えて。

・・・・いや、なんで?

なんて疑問に思っていると、

 

「――――キュアップラパパ」

 

――――全身の神経が逆立つ。

脳みその真ん中が、痛いくらいに警鐘を鳴らす。

 

「――――穿ち抜けッ!!」

 

矢じりから溢れる様に伸びた根っこから、守るべきものを守るために。

 

「ソラさんッ!?」

「そらぁ!!」

 

思いっきり突き飛ばした。

*1
ヨヨさん、校長先生、タタラさん、バッティーさん

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