ヒーローガールは異物入り   作:数多 命

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キュアアルカナ・シャドウ、想像以上だった・・・・。
たんプリヤベェよ・・・・ヤベェよ・・・・!!


あと、今回まほプリのネタバレや独自解釈があるので注意。
特にネタバレは大丈夫だと思いたいのですが(放送から10年)、念のため・・・・。


偽物、エルフとお話

「――――?」

 

ふっと、意識が浮上する。

五体が満足であることを確認しながら、ゆっくり目を開けると。

 

「そらぁ!」

「ッソラさん!」

 

真っ先に、エルちゃんとましろさんが駆けつけて来て。

そこから、どやどやと仲間達もやってくる。

 

「よかった、ソラちゃん起きたね」

「体調はどうだ?」

「どこか、具合が悪かったりはしませんか?」

「おおう・・・・」

 

おおう・・・・怒涛の心配ラッシュ・・・・。

毎度のことながら、本当に申し訳なく・・・・。

 

「――――お目覚めか」

 

独りで反省していると、覚えのない声がした。

そちらを見ると、低木が歩いていた。

・・・・いや、冗談抜きで低木が歩いてるんだって!!

公園の植え込みの隣に並んでいても、違和感ないビジュアルが。

もそもそ動いてるんだって!!

 

「あの・・・・?」

「失礼する、我が名はタイボク、エルフの族長を努めておる」

「族長さん・・・・」

 

先ほどの戦闘を思い出して、一瞬身構えてしまったけれど。

さっきのエルフさんと違って、話は通じそうだ。

族長さんが、一体何の用だろうか・・・・?

 

「まずは、我が同胞が無礼を働きましたこと、心よりお詫びを申し上げる・・・・誓って一族の総意ではありませぬが、どうか、どうかご容赦を・・・・」

「ああ、いえ・・・・こちらこそ、とんだご心労を与えてしまって・・・・」

 

コーナさんというらしいエルフの様子から察するに、アンダーグエナジーの様な『闇の力』に相当敏感な民族みたいだし。

だったら、そこを責めても仕方なくない?

 

「それはそれとして、お互いにお互いを何も知りません。お話が出来るのなら、どうかお聞かせ願えないでしょうか?」

「相分かった」

 

私の申し出を、タイボクさんは静かに頷いて了承してくれて。

ゆっくり話し出してくれた。

――――人間の感覚では、想像もつかないほど遠い遠い昔。

『マザー・ラパーパ』という女神によって想像されたこの世界は、一面を海原の様な花畑に包まれていた。

そして、誰もが平等に幸せに暮らしていたらしい。

ところが、その平穏も永遠ではなかった。

宇宙の彼方から、全てを呑み込む混沌の闇『デウスマスト』が襲来。

本能に従い、例に漏れずこの世界も飲み込まれそうになった。

当然、マザー・ラパーパは全力で戦って、辛くも勝利。

だけど共倒れになる形となり、世界はマホウ界とナシマホウ界に分かれたそうだ。

今わの際にデウスマストの復活を予見したマザー・ラパーパは、最期の力を振り絞って『プリキュア』の力を遺したんだけども。

それは、デウスマストの方も同じだったのだ。

 

「マザー・ラパーパのリンクルストーンを模して生み出されたその欠片・・・・我らは便宜上、『リンクルストーン・ブラックオニキス』と呼んでいる」

「ええっ!?今リンクルストーンって言いました!?」

「忌々しいが、他に呼びようがなくてな・・・・」

 

タイボクさんは、まさしく『忌々しい』とばかりの顔をしている。

多分、エルちゃんがいなかったら舌打ちしてたな・・・・。

 

「我らの祖先がそれに気が付いた頃には、すでにマザー・ラパーパも不在だった・・・・故に、その場に封印の為の大森林を築き、ブラックオニキスを見張ることにしたのだ」

「それが鎮守の大森林と、エルフの始まり・・・・」

「左様」

 

こっくり頷いたタイボクさんは、『しかし・・・・』と深刻そうに言葉を続けて。

 

「長きに渡り保たれていた静寂が破られたのは、7年前のことじゃ」

「7年前って・・・・」

「その通り・・・・ドクロクシーを発端とした、闇の一派の活発化、そして、デウスマストの再臨・・・・」

 

みらいさん達の、魔法使いプリキュアの戦い。

活性化した闇の気配に反応して、ブラックオニキスも荒ぶり始めたらしい。

エルフの皆さんは、それを鎮めるのに手いっぱいで。

魔法使いチームの戦いに加勢できなかったとか。

その後、デウスマストも倒されてほっとしたのも束の間。

昨年、『クロノウスト』という新たな脅威が現れた。

それもまた魔法使いチームによって退けられたんだけど。

やはり、強い闇の気配に呼応するように、ブラックオニキスも再び活性化。

その対処をしたのも、またエルフの皆さんという訳で・・・・。

 

「我々にとっては随分前のことでも、エルフにとってはつい数週間前や昨日のことに等しい・・・・そこへ、ワシがあの手紙を出してしまったばかりに・・・・」

「だから、あんな凶行に及んだということね」

「申し訳ない、ワシはなんということを・・・・!」

 

頭を抱えた校長に同情し、物憂げに息を吐いたリコ先生に同意せざるを得なかった。

脅威を目の当たりにしてきたからこそ、人間とは違う時間感覚だからこそ。

あの態度、か。

 

「しかし」

 

タイボクさんの眉毛が、もさりと動いて。

目を合わせて来る。

 

「この度、其方は一つの可能性を見せ、我らは一つの可能性を見せられた」

「可能性、ですか?」

 

こっくり頷くタイボクさん。

 

「我らにとって闇は、心清きを惑わすものであり、道の外れへ誘うものであった・・・・だが此度其方は、一貫して守るために戦い、更には宿した闇まで御して見せた」

 

最後に、同席していたバッティーさん達を見渡す。

 

「我らが森に引きこもっている間、外界は随分と変わった様じゃの」

「・・・・はい、光も、闇も。共に学べる場所へと変化いたしております」

「うむ」

 

『何より』と、タイボクさんは何かを想起する様に。

重々しく視線を上げて。

 

「今代のマザー・ラパーパが認めているとあらば、一族の者も納得はしましょう」

 

そう、締めくくった。

・・・・認めてくれたらしいのは、嬉しいんだけども。

エッ!?マザー・ラパーパって代替わりとかすんの!?

びっくりして、訳知りであるはずのみらいさん達を見ると。

腰に手を当ててドヤ顔をすることはさんを挟んで、両サイドから手をひらひらさせていた。

モフルンさんはことはさんの頭の上で腕をフリフリ。

両サイドのお二人なんか、片手に持った杖の先から、小さな花火を出し始めちゃうし・・・・。

なるほど、そういう・・・・。

 

「さて、ソラ殿」

 

一通り話が終わったところで、改めて佇まいを正したタイボクさんは。

私をまっすぐ見つめて来る。

 

「今度はそちらの番だ・・・・何故(なにゆえ)、その闇を宿すことになった?重ねて何故(なにゆえ)、封印や排除ではなく、御することを欲する?」

 

・・・・大事なことだ。

彼らにとって大事なことだから、逃げてはいけないことだ。

 

「――――私は」

 

だから、今度こそ。

ちゃんと、自分の口で話すんだ。

 

「私は、一度。闇に呑まれました」

「ソラさッ・・・・!」

 

恐らく庇ってくれようとしたましろさんが、あげはさんに静かに制止される。

私は黙して感謝しながら、続ける。

 

「あっという間でした、一瞬の隙を突かれて・・・・そして、私は、破壊の限りを尽くしました」

 

胸の奥が、冷えていく。

喉の奥が、乾いていく。

心の奥が、凪いでいく。

 

「戻ってこないものを壊してしまいました、戻ってこないものを奪ってしまいました・・・・取り返しのつかないことを、してしまいました」

 

――――今も。

時々、両手が赤く見える時がある。

みんなが寝静まった夜。

何度、何時間。

手を洗ったことか。

 

「だから、もう間違えられないんです・・・・繰り返すわけには、いかないんです」

 

そう。

もう、間違えられない。

 

「だから、ここに来ました。自分の責務を、使命を、全うするために」

「・・・・そのために、どれほど出来る?」

「全てです」

 

問いかけに、自分でもびっくりするくらい即答できた。

 

「例え、己自身を討ってでも、私は、私の守りたいものを、守り抜く所存です」

 

はっきり、胸の内を断言すると。

タイボクさんはしばし沈黙を保った後、ふぅーっとため息をついてから。

 

「――――覚悟のほどは分かった」

 

『だが』と、視線に温もりが灯って。

 

「『己を討つ』などと、子どもがそんなことを言うもんじゃない。まだまだ19の幼子ではないか」

 

頭を撫でられてしまった。

え、エルフ基準なら、確かに子どもなんだろうけども。

ちょっと、むずむずする・・・・。

 

「・・・・あれ?待って」

 

気恥ずかしさにもじもじしていると、あげはさんが声を上げた。

 

「ソラちゃん、18歳じゃなかったっけ?誕生日いつ?」

「・・・・あっ」

 

あっ。

 

「ソ ラ さ ん ?」

「あ、いや、その・・・・」

「ソラちゃんソラちゃん、白状した方が念のためだよ」

 

ましろさんの圧と、あげはさんの促しに。

私は一生懸命記憶をまさぐって。

 

「く・・・・9月20日、です・・・・」

「ハロウィン終わったよォッ!?」

 

覚えていた誕生日を告げれば、案の定ツッコミを入れられてしまった・・・・。

 

「だって、色々忙しかったじゃないですかぁ・・・・!」

 

メイテイとか、晴谷村とか、スキアヘッドとかな!

 

「それもそうだけどさぁ・・・・!」

 

そうやって、ツバサ君から呆れた視線を向けられながら、あげはさんと一緒にしょぼしょぼしていると。

 

「だったら、終わったらお祝いしなきゃね」

「えっ、そんな、だいぶ過ぎちゃってますし・・・・」

 

ヨヨさんがそう言ってくれたけれど、もう11月になってしまっているのもあるんで。

断わろうとしたんだけど・・・・。

 

「やりますからね」

「やるの!!」

「アッ、ハイ」

 

ましろさんの再びの圧と、エルちゃんの鶴の一声には逆らえなかったよ・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、なんで年齢を当てられたんですか?」

 

「生き物のオーラというものは、樹木の年輪の様に重なっていく。我々エルフはそれを知っていて、見ることが出来る。そういう話じゃよ」

 

「へー!」

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

「――――ぼくじい、大丈夫かなぁ」

「コーナさんもマテバシさんも、ついてったきりだよな」

「闇の手先を見に行ってるんでしょ?なんともないといいけど・・・・」

 

――――鎮守の大森林、エルフの集落。

今日も森の恵みを受けながら、慎ましく暮らしている中。

野菜を収穫していた子ども一人が、ぽつりとつぶやいた。

 

「コラ、ちゃんと族長って呼びなさい」

「えー、でも怒られたことないよ?」

「ねー!」

 

監督していた大人の一人に窘められると、また別の子どもがからから笑い声を上げた。

 

「そりゃ、タイボク様が寛大なのよ!本当はちゃんと呼ばないといけないんだからね!」

「はぁーい」

「まったく、もう・・・・」

 

畏れ知らずにも程がある彼らを、呆れた様な、微笑ましい様な顔で見守ったエルフは。

止めていた作業の手を再開しようと、視線を動かしたときだった。

 

「――――ん?」

 

何かが見えた気がして、顔を上げる。

 

「・・・・んん?」

 

一見、何の変化もない様に見えたが。

すぐに気が付いた。

 

「――――ああっ!?」

 

村の中心。

『リンクルストーン・ブラックオニキス』を封印、安置している社の上。

誰かが立っている。

エルフではない。

明らかな侵入者。

 

「っみんな!!大変だ!!お社に――――!!」

 

警戒に声を張り上げる中。

 

「――――アンダーグエナジー、召喚」

 

スキアヘッドは、操る闇の力を喚び出した。




おまけ

マホウ界のエルフ
拙作オリジナル。
光と植物の魔法の扱いに長けている。
デウスマストの置き土産、『リンクルストーン・ブラックオニキス』を永い間封印・監視してきた。
闇の脅威を常に間近に感じて来た為、コーナの様に『闇』に対して厳しい態度を取るものが大半。
寿命は数百年くらい。


タイボク
拙作オリジナルキャラ。
エルフの今代族長。
長い髪と纏った衣装の所為で、低木の様なビジュアル。
魔法学校の校長に、光の秘術を伝授した恩師でもある。
ネーミングは『大木』。


コーナ
タイボクの側近。
若くして族長候補に名が挙がっている若者。
魔法の腕も弓の腕も一族随一だが、カッとなりやすい短所も。
ネーミングは『コナラ』。


マテバシ
タイボクの側近。
コーナと同じく、族長候補に名が挙がっている。
弓の腕はコーナにやや劣るが、巨体を生かしたパワータイプ。
ネーミングは『マテバシイ』。
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