悪い女たちだよ・・・・明智あんな、森亜るるか・・・・!
5/12∶タイトル被りが発生していたので、慌てて修正。
大変失礼しました……!
――――さて。
タイボクさん達とのお話も終わって、時間をかける理由もないので。
早速エルフの里に向かっている。
メンバーは、私達ひろがるスカイチームに、みらいさん達魔法使いチーム。
そして、バッティーさんとタイボクさんである。
暴れたコーナさんは、破損個所の修理。
マテバシさんはその付き添いで、学園に残ることになった。
まあ、コーナさんは自業自得ですよね・・・・。
「――――わぁーっ!!速ーい!!」
「本当に速い!!いいもんだねぇ!!」
「びゅーん!」
移動手段は、なんと樹木を編み上げたヨット!
たかがヨットと侮るなかれ。
帆に受ける風はもちろん、魔法の力でも推進力を得ているので。
めっちゃ速い(小並感)
エルちゃんはニッコニコで両手を広げるはしゃぎっぷりだし、タタラさんも顔がキラッキラしてる。
かわいい(確信)
「あ、見えて来た!」
そんなこんなで進み続ける事しばし。
前方の水平線から巨大な木々がにょきにょき見えて来る。
「タイボクさん、あれですか!?」
「左様・・・・鎮守の大森林、我らエルフの故郷だ」
進んでいる間にも、名前の通りの大森林がその姿を現していく。
すっごい・・・・。
何年、何十年、何百年。
いや、億かもしれない。
とにかく永い永い時をかけて形成されたであろうことが、手に取る様に分かった。
「すっごーい!!」
「ええ、本当に・・・・どれほどの間、エルフ達の歴史を見て来たのでしょうね」
大自然の産物を目の当たりにして、みんな歓声を上げている。
特にヨヨさんなんかは、心からの尊敬を声に滲ませて感嘆していた。
「・・・・うん?」
なんて感傷に浸っていると、視界に何か入ったのが見える。
目を凝らしてみると、
「船?」
「こっちのと同じじゃない?」
「本当だ」
しかも、一つ二つではない。
確認出来るだけでも四つ。
私達が乗っているのと同じような船が、こちらに向かってきている。
近付くことで見える様になった、エルフの皆さんの表情は・・・・怯えている?
「――――ああっ!ボクジイだ!!」
「タイボク様!?」
「タイボク様ーッ!!」
子どもを皮切りに、私達に気が付いた皆さんは。
必死の形相でこちらに手を振っていた。
「何事じゃ!?」
「村が!」
「怪獣が出たのー!」
タイボクさんの問いかけに、皆さん口々に答える。
そして、
「ブラックオニキスが、奪われました!!」
「何だとォッ!?」
「・・・・ッ!!」
考え得る限り、最悪の報告を聞かされた。
◆ ◆ ◆
「――――キョーボーグッ!!」
鎮守の大森林、エルフの郷。
巨大に、そして凶暴になった木彫りのクマが。
存分に暴れ回っていた。
「「「キュアップラパパ!」」」
「戒めよッ!!」
「射貫けッ!!」
「鉄槌をッ!!」
残っていたエルフの戦士達は、果敢に魔法を放って抵抗するのだが。
キョーボーグには当然効果はいま一つだ。
「怯むなァッ!!」
「タイボク様が戻るまで耐えろォッ!!」
もちろん、それで退くエルフ達ではない。
族長たるタイボク達が戻ってくると信じて、杖を振るい、弓を射る。
中には、コーナが魔法学校で使ったような水晶から、光を放つものもいる。
「――――痒いな」
その奮戦を、文字通り見下しているのはスキアヘッドだ。
「だが、実験にはちょうど良い」
相変わらずの冷徹な目で戦場を俯瞰していた彼は、懐へ手を伸ばす。
取り出したのは、村の社から奪った闇の結晶。
手のひらに乗った、『ブラックオニキス』と呼ばれていたそれを。
キョーボーグへ、放り投げて。
「――――荒ぶれ」
取り込ませてしまう。
「キョオオオオオオオオオオオオオオオボオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!」
「うわあああッ!?」
瞬間。
森どころか、大地が震える様な咆哮が轟く。
エルフ達の眼前には、真っ黒に大炎上するキョーボーグ。
「ぶ、ブラックオニキス・・・・!」
「も、もうダメだ・・・・!」
額に輝くそれに気が付いて、誰ともなく絶望を口にする。
「ここまでなのか・・・・?」
杖や弓から手を離さないのは、せめてもの抵抗。
しかし、濃密な闇の気配に指一本動かせない。
後ずさる事も敵わないまま、放たれた猛撃を呆然と見つめて。
「――――ヨクバアアアアアーッル!!!!」
丸太の様な腕が、また別の巨体に遮られた。
「そのまま抑えろッ、ヨクバールッ!!」
「キョボォッ!?」
何が起こっているのか、うまく呑み込めないエルフ達の目の前に。
「――――全集中・水の呼吸」
風のような、呼吸音が響いて。
「――――捌ノ型 滝壺ッ!!」
一閃が、闇を裂く。
◆ ◆ ◆
――――襲撃されたエルフの郷と、奪われた闇の結晶『リンクルストーン・ブラックオニキス』。
速く駆けつけたい私達がとったのは。
乗って来た船を、バッティーさんが呼び出す怪物『ヨクバール』に変貌させるという奇策だった。
ついでに、キョーボーグを抑えさせようという魂胆もある。
ちなみに今回の私の剣は、フェリーチェが出してくれた。
アザーッス!!
「――――バタフライプレスッ!!」
「ウィングアターック!!」
「キョボーッ!?」
私に続いて、バタフライとウィングが突撃。
キョーボーグを吹っ飛ばして、エルフの皆さんから距離を取らせた。
「皆、無事か!?」
「タイボク様ッ!?」
「タイボク様だ!」
タイボクさんが合流したことで、一度戦意喪失していたエルフさん達は一気に士気を取り戻していた。
ひとまずあちらは大丈夫そうだ。
「タイボク様、あの怪物は・・・・!?」
「今は味方だ、捨て置いていい」
「なんと・・・・!」
「主らが逃がした村の者達は、無事魔法学校へ向かっておる。プリキュアもマザー・ラパーパもいる、食い止めるぞ!!」
――――ッハ!!
気合の入った『キュアップラパパ!』が轟くと、さっきは苦戦させられた根っこが。
今度は私達を援護してくれる。
「キョーボーグ!!」
「ヨクバアアアルッ!!」
「はあああッ!!」
キョーボーグの一撃を、ヨクバールが受け止めて。
その隙に懐へ潜り込んだウィングが一撃。
大きくのけ反ったところへ、マジカルとフェリーチェが飛び掛かると。
「「はあああああ―――ッ!!」」
プリズムによる援護射撃の中、ダメ押しの飛び蹴りを叩き込んでいた。
おっしゃ、私も負けてらんないな!
「スカイ!私も一緒に!」
「ええ、合わせて!」
「行っくよー!!」
マジェスティやミラクルと一緒に、キョーボーグへ肉薄。
ヨクバールも足場にさせてもらいつつ、頭上を取って。
「行きますよ!」
「うん!」
「「――――
「はああああああッ!!」
「キョボーッ!?」
三者で揃って、顔面に攻撃を叩き込んだ。
いや、ミラクルすっご・・・・シンプルなパンチでこの威力・・・・。
『当たったら痛い』ってはっきり分かる音してる・・・・。
「キョボボボボボッ!!」
「わっ!」
「おっと!」
「・・・・ッ」
悲鳴を上げるキョーボーグは、痛みのあまり腕をぶんぶん振り回す。
発生した暴風を利用したり、奴の腕を足場にしたりして。
ミラクルとマジェスティはそのまま離脱。
「――――フラワーエコーワンド!エメラルドッ!」
二人と入れ替わるように、そして私と並ぶように。
飛び出してきたのは、フェリーチェだ。
「キュアーアップ!!」
『エコー』の名前の通り、彼女の声がどんどん木霊して。
周囲に不思議な力が満ちていくのが分かる。
・・・・すごい、大きい。
でも、なんて温かくて、なんて澄み切った力なんだ・・・・!
「――――プリキュアッ!」
満ち満ちた力が、花畑として具現化した中。
フェリーチェは花型の杖でループを描いて。
「――――エメラルドリンカネーションッ!!」
その軌跡が変化した、一対のリングを。
キョーボーグへ向けて放っていた。
「キョボーッ!?」
直撃を受けて悶絶するキョーボーグ。
好機だと判断した私は、思いっきり接近して。
「――――月牙天衝ッ!!!」
ゼロ距離で技をぶち当ててやった。
「・・・・ッ!?」
すると。
キョーボーグの額に、何か気配。
目を凝らすと、何か宝石のようなものが見えた。
瞬間、悪寒が背中を撫で上げる。
・・・・まさか、あれが!?
「ブラックオニキス・・・・!?」
思わずつぶやくと同時に、ブラックオニキスがきらりと光った。
・・・・まるで、私の言葉に返事をされたようで。
言いようのない恐怖を感じた。
「・・・・ッ!」
いつまでも怖気づいているわけにもいかない。
何より、キョーボーグの荒ぶり様。
その原因であることは明白だ。
「――――ヒィーロォーガァールゥーッ!!」
即座に、次の構えを取る。
「――――スカイソードッ!ウェイヴゥッ!!」
激流を纏いながら、突撃。
キラキラエナジーが二つの闇を洗い流す中、私の一閃がクリーンヒット。
剥がれたブラックオニキスが、どこかへ飛んで行きそうだったので。
「待てッ!!」
思わず、掴み取ってしまった。
「は」
立っている。
暗い場所。
「は?」
訳が分からなくて、呆けてしまう。
「なんで・・・・ここは・・・・?」
意味のない言葉を零しながら、歩き出そうとして。
「・・・・ッ」
眼前に現れた『私』に、身を強張らせる。
「――――人殺し」
色だけ違う衣装を着たそいつ。
「大罪人」
その顔は、忘れもしない。
「大嘘つき」
『前』の、それ。
「恥知らず」
指を向けて来た奴は。
「死ね」
――――分かり切ったことを。
「死ね」
一つ、一つ。
「死ね」
丁寧に。
「死ね」
わざわざ、伝えて来る。
「――――っるっせぇよ、ボケッ!!」
「ッ・・・・!?」
・・・・自分でも、驚くくらいに。
速く動けた。
繰り出した拳が、相手の鼻っ柱にクリーンヒットする。
「んなッ!分かりッ!切ってッ!いることッ!!今更ッ!いちいちッ!言いにッ!来るなッ!!」
「ッ、っ・・・・ぅ、ッ・・・・!」
言葉の節々で、拳を叩き込みながら。
「こんなとこで、こんなことやってる暇は無いんだよ!!」
仕上げに、胸倉を掴み上げて。
「そんなに暇ならッ!私に従えッ!」
頭を思いっきり振りかぶる。
「私が・・・・!」
そして、全力の頭突きを。
「王に、なってやるッ!!!」
――――叩き込んだ。
「――――ハッハッハッ!!」
「これはまた、面白いものを手に入れたな!!」
◆ ◆ ◆
「――――バースト」
「――――モード・イグニッション・・・・!!」
「キョッ、ボボボ!?」
キョーボーグの額の上で、黒い火柱が上がる。
「スカイ!?」
「まさか、ブラックオニキスを・・・・!?」
魔法学校でのことが過ぎったマジカルとタイボクは、警戒を露にしたが。
よくよく見れば、先ほどとは打って変わって。
苦しそうではあるものの、暴走している様子はない。
「ふ、ふ、ふ・・・・ッ!」
手放した剣の代わりに握るは、折れたバーストカリバー。
暴力的に吹き出す黒い炎は、しかしてきちんと制御されている様にも見受けられた。
「――――覚悟」
「キョ、キョボッ・・・・!」
凪いだ声で、切っ先を突き付けて。
突撃の姿勢を取る。
足元が陥没するほど踏み込んだ次の瞬間、爆発したような音を立てて駆け出す。
「全集中・月の呼吸」
幹を陥没させながら周囲を走り回ると、スカイを探して混乱しきったキョーボーグの背後を取って。
「壱ノ型 闇月・宵の宮」
一閃。
一拍遅れて、斬撃音が轟く。
「キョッ、ボッ・・・・!」
「っは・・・・!」
猛撃を叩き込まれてたキョーボーグは、一瞬でバーストモードを解除されてしまう。
しかし、それは対するスカイも同じだった。
「スカイ!」
「は、ぐ・・・・!」
一度は倒れかけたスカイだったが、プリズムの声が効いたのか否か。
ふらつきながらも復帰する。
「スカイ!せっそくをたっとぼう!」
「ッ、ええ!もちろん!」
スカイの下に続々と仲間達が集まり、マジェスティックハレーションの構え。
「キョーボーグ」
「キョーボォーグ・・・・!!」
当然、棒立ちでやられるキョーボーグ達ではない。
スキアヘッドの指令を受け迎え撃とうとするキョーボーグだったが。
「させんぞ!ヨクバールッ!!」
「ヨクバァールッ!!」
「キョ、キョボッ!?」
ヨクバールに押さえつけられてしまった。
「まずは私達だね!」
「ええ・・・・まさか、ヨクバールに同情する時が来るなんて」
「まあまあ!」
「ミラクルの言う通りです!ヨクバールごとやってください!」
ひろがるチームの準備はまだ終わっていない。
何より、味方とは言え生み出されたヨクバールを放置できない。
バッティーの後押しもあれど、今回は本当に頼もしかっただけに。
複雑な思いを抱きながら、まずはミラクルとマジカルが杖を構えた。
「「――――ピンクダイヤッ!」」
「「永遠の輝きよ!!私達の手に!!」」
モフルンを介し、互いの魔力を同調。
出力をグングン高めていく。
「「フル、フル、リンクルン!!」」
最高潮に達したタイミングで、息を合わせながら振るわれた杖。
その軌跡は、彼女達が纏う『
「「プリキュアッ!ダイヤモンド・・・・!」」
手を握り合うことで、魔力は臨界点を突破して。
「「――――エターナルッ!!!!」」
顕現したダイヤモンドが、ヨクバールごとキョーボーグを包み込んだ。
「よ、よくばーる・・・・!」
「きょーぼーぐ・・・・!」
そのまま天高く打ち上げられた両者。
ヨクバールは浄化される一方、キョーボーグは大ダメージを受けて自由落下。
――――プリキュア!!
そこへ向けて放たれるのは、
――――マジェスティックハレーションッ!!!
ひろがるチームの、マジェスティックハレーションである。
容赦なく、そして遠慮なく放たれた極光を。
すでに瀕死のキョーボーグが、避けられるわけもなく。
「ス・・・・スミキッター・・・・!」
こちらもまた、溜まらず浄化されてしまうのだった。
「――――なるほど」
キラキラエナジーが降り注ぐ中。
スキアヘッドは相変わらず温度のない目で、スカイを見る。
「知識の宮殿に、強く刻んでおこう」
「――――待ちなさい!」
「逃がすと思うたかッ!?」
撤退しようとしたスキアヘッドを挟んで、フェリーチェとタイボクがそれぞれ杖を向け、睨みを利かせるが。
「――――」
スキアヘッドは一瞥もくれず、心底興味ないとばかりに撤退していった。
「ッ・・・・逃がしましたか」
牽制の魔法を放とうとも思ったフェリーチェとタイボクだったが。
無暗に打てばお互いに当たる事もみえていた為。
結果、苦い顔で杖を下ろさざるを得ない。
「――――今は」
鈍く、深く、長く。
ため息をついたタイボクが目を向けた先には、無事を喜び合う若者達。
「切り抜けられたことを、安堵いたしましょう」
「・・・・ええ」
敵を逃がした悔恨を、それでなんとか収めて。
それぞれの仲間達と合流すべく、一歩を踏み出すのだった。