寂しいので、書く!
「ランボォーッグ!!!」
「洋食ストリートで、レンジのバケモンが暴れてるぞ!!」
「みんな!!逃げろー!!」
電子レンジを素体にしたらしいランボーグは、巨体を存分に駆使して町を破壊していく。
「まさか、キルミラ・・・・!?」
その積極的な暴れぶりに覚えがあったましろは、体を強張らせた。
想起してしまった、あの夜の重圧が。
踏み出したい心に重石をつける。
「ましろちゃん!!」
はくはく浅くなりそうだった呼吸を引き止めたのは、ゆいに握られた手だった。
「とにかく安全な所に行こう!」
「ああ、あの乱暴ぶり、いずれこっちにも来るぞ!」
異常事態にも関わらず、果敢に、そして冷静にやるべきことを判断する彼らに。
(ソラさん・・・・!)
ソラの姿が、重なって。
(そうだ、こんなところで止まっていられない!)
ソラなら絶対に、あのランボーグに立ち向かうはずだ。
だったら、自分がやるべきことは。
いつもの勇気が戻って来たましろは、口元を引き締める。
「ッごめんなさい」
「ましろちゃん!?」
ゆいの手を振り払い、踵を返す。
「わたし、いかなきゃ!!」
「待って!危ないよ!」
制止を声を振り切って、一目散に走り出すが。
「だから、危ないって!!」
「うわぁっ!!」
あっさりゆいに確保されてしまうのであった。
「そんなに慌ててどうしたんだ?」
「そうだよ、マシマシに危ないよ!」
「ソラって人が心配なのは分かるけれど・・・・!」
「え、えっと・・・・!」
あまね、らん、ここねにも問いただされてしまい。
ましろは言葉を詰まらせた。
プリキュアの事情を話すわけにもいかない。
だが、手をこまねいていては、ソラが・・・・!
(ど、どうしよう・・・・!)
思ってもみなかっらピンチに、口をぱくぱくさせていた。
その時だった。
「お、おい!あれを見ろ!」
逃げ惑う人々が指さす先。
青空に舞い踊ったのは、予想通りのキルミラと。
「――――スカイ!!」
空中で何度か撃ち合う両者。
攻防の最中、キルミラへ一撃を叩き込んだスカイが。
依然町を破壊し続けるランボーグへ向かおうとするが。
「ああっ・・・・!」
恐らく声を上げて嗤ったであろうキルミラに、文字通り叩き落とされたのが見えた。
「怪物を倒したいのに、邪魔されてるんだ・・・・!!」
「なんと卑劣な・・・・!」
ゆいが呆然とし、あまねが苦い顔をする。
ここねは言葉を失って、らんは終始あわあわしていた。
(いかなくちゃだよ・・・・でも、闇雲に行ってもまた止められちゃう・・・・どうしたら・・・・!)
スカイは、遠目から見ても分かるほどに負傷していた。
元々、木刀で斬るという疲れやすい離れ業をやっているだけに、いつ限界が来るか分からない。
「ソラさん・・・・!」
「え・・・・?」
どうにも出来ない思いを、言葉として零してしまったと気付いたのは。
呆けた顔のゆいに、見られていたからだった。
「っあ・・・・!」
失言に気付いて口を塞ぐも、もう遅い。
こんな状況で、単純なミスを犯してしまった罪悪感で。
ましろが今度こそパニックになりかけた時だった。
「ッこっち!!」
「あっ、えっ!?」
ゆいは、ましろの手を掴んで。
走り出す。
◆ ◆ ◆
ダァーッ!!!めんどくせーっ!!!
ランボーグを対処しようとすれば、キルミラが邪魔してくる!!
キルミラにかまけていれば、町が破壊されていく!!
スカイランドと違って、シャララ隊長やジークフリート王子のような援軍は期待できないし。
そもそもソラシド市からも離れているから、あげはさん達もこれるかどうか・・・・!
「アハハハッ!考え事ー!?」
「・・・・ッ!!」
甲高い声で笑いながら、眉間狙いの貫手が迫る。
体を逸らして回避すれば、爪先が眉間を掠っていった。
追い払う様に一閃繰り出すと、生身に当てたとは思えない重い音が響いた。
「ランボーグ!!」
距離を放したところで、ランボーグへ踵を返す。
キルミラの殺気を密に感じながら駆けつけて。
「
『覇真・龍王陣』と『
ランボーグの動きを止める。
「――――それっ!!」
「があっ!!」
――――背中に。
キルミラの一撃を、もろに受けてしまった。
マントで切り払って、再び距離を取る。
・・・・この痛み。
そして、キルミラの手に着いた血。
相当ざっくりやられてるな。
「あー、んっ!!」
見せつける様に、手に着いた血を舐るキルミラ。
「んん~!良いおぁ・・・・うん?」
吸血鬼らしく、おいしそうに顔を綻ばせようとして。
怪訝な顔に変わった。
と思ったら、今度は怖気が走るにやけ顔になって。
な、なんだ?
「・・・・ふ、ふふ」
こちらの動揺もお構いなしに、肩を震わせたキルミラは。
「あはははははは・・・・!」
天を仰いで、顔を覆い。
「アッハハハハハハハハハ!!!アーッハハハハハハハハハ!!!」
大口を開けて、笑い出した。
な、なんだよ、おい。
人の血口にしてその反応は、気になるじゃんかよ!
「あははははは!あはははは!うふふふ!ご、ごめんなさいね!嘘でしょ、こんなことあるんだ!!あははははははは!!!」
口先だけで謝りながらも、なお大爆笑を続けたキルミラは。
ニヤニヤをやめないまま、こちらを見降ろしてきた。
「ふふふふっ・・・・知っての通り、私は血を取り込んだ相手に変身出来るの。何せ、魂の情報がたっぷり詰まっているんですもの」
・・・・ど、と。
吹きあがる様に。
嫌な胸騒ぎがした。
鼓動が、やけにうるさい。
まるで、体が心臓そのものになったようで。
「ところで、聞きたいんだけれど」
そんな私へお構いなしに、まるで見せつける様に顔を変化させる。
「これ、誰?」
「ッ漆ノ型
――――無我夢中だった。
片足を犠牲に最高速度を叩き込むと、キルミラの顔は元に戻っていた。
「へー?へえー?へええええええ?」
にやにやにやにや。
新しいおもちゃを見つけた彼女は、口元を笑みでぱっくり割った。
「これが、貴女の『業』なのね」
――――よりにも、よって。
最悪な奴に知られてしまった・・・・!!
『やばい』と『まずい』で頭が埋め尽くされて、体が動かせない。
いや、ダメだ。
今はそんな場合じゃない!
動け、動け、動け!!
「ふふふっ・・・・ランボーグ」
「ランボオオオオオオオグッ!!!!」
・・・・もたついている間に。
背後ではランボーグが体勢を立て直していたようだ。
振り向いた視界に入ったのは、かっぴらいたレンジのドアから。
溜めに溜め込まれたエネルギーが発射されるところで。
回避、無理。
防御、間に合わない・・・・!
・・・・しまった。
直撃する・・・・!!
「――――ッ」
身を強張らせて、衝撃に身構えて。
「「――――プリキュアッ!!」」
「フィナーレファンファーレッ!!」
「プレシャストライアングルッ!!」
横合いから飛んできた技に、相殺された。
「スパイシーサークルッ!!」
「ヤムヤムラインズッ!!」
「ッ、なぁによ!?」
キルミラにも攻撃が飛んできて、奴に後退を余儀なくさせる。
「スカイイィッ!!」
呆然としているところへ、プリズムが走って来て。
思いっきりハグされて・・・・って。
「ああ、こんな大怪我・・・・!遅くなって、ごめんなさい!!」
「あいたた、いたい、いたいです。プリズム」
「す、すみません!!」
訴えたらすぐに解放してくれたけども・・・・あいたたた・・・・。
・・・・それにしても。
「プリズム、彼女達は?」
「ッこれから楽しくなるところだったのに!邪魔するだなんて!!何者!?」
私と同じ疑問を、苛立ちを隠そうともしないキルミラが問いかけると。
プリズムと一緒に駆け付けてくれた女の子達は。
私を庇う様に立ってくれてから、『知らざあ言って聞かせやしょう!』とばかりに声を張った。
「あつあつごはんでみなぎるパワーッ!キュアプレシャス!おいしい笑顔で満たしてあげる!」
「ふわふわサンドdeこころにスパイス!キュアスパイシー!分け合うおいしさ、焼き付けるわ!」
「きらめくヌードルエモーション!キュアヤムヤム!おいしいの独り占め、許さないよ!」
「ジェントルに、ゴージャスに、咲き誇るスイートネス!キュアフィナーレ!食卓の最後を、私が飾ろう!!」
――――デリシャスパーティプリキュア!!
・・・・はっ?
「――――はっ?」
「えっと、わたしもまだ呑み込めていないんですけど・・・・」
ぽかんとしていると、プリズムが説明してくれた。
どうやらこの町にもプリキュアがいて、なんなら少し前まで戦っていたらしい。
で、昼間に出会ったコメコメさん達は、そのパートナー妖精だったということだった。
「そ、んな、出会った子達がピンポイントでプリキュアの関係者なんてどんな偶然・・・・!!」
いや!人間じゃないのは分かり切っていたけどさ!!
「キュアスカイ、でいいよね!?」
「あ、はい!」
とんでもねえ偶然に頭を抱えていると、和風の気配がするピンクの女の子がこっちに振り向いて。
あ、よく見たら腰のあたりにコメコメさんらしき妖精がいる!こっちに手を振ってくれてる!
「あたし、キュアプレシャス!町を守ってくれてありがとう!あとは任せて!」
プレシャスはにこっと笑うと、親指を立ててくれた。
「その蛮行、ここまでだ!!」
「なんの罪もない人達を襲うなんて!!」
「はにゃー!しかもみんなのおいしいを壊すなんて!!マシマシに許さないよ!!」
他のメンバーさんもやる気十分に闘志を滾らせて、キルミラやランボーグと対峙する。
だけど、
「――――やぁめた」
キルミラから出たのは、そんな言葉だった。
◆ ◆ ◆
和洋折衷、色んな飲食店が立ち並ぶ『おいしーなタウン』。
そこにはかつて、料理の味と、それに伴う思い出を守るために戦ったプリキュアがいた。
その名も、『デリシャスパーティプリキュア』。
ソラとましろが妖精達と交流した縁も有り、こうやって援軍に駆け付けてくれたのだった。
ところが。
キュアスカイを助けて、さあやるぞと意気込んだのはいいものの。
対するキルミラは、投げやりな態度を取ったのだった。
「や、やめたって」
「そのままの意味よ、興ざめだっつってんの」
困惑したプレシャスへも、ぞんざいな態度。
『ああ、やだやだ』と、追い払うようなジェスチャーをしたキルミラ。
「ランボーグ、後は適当にやって」
「ラッ!?」
「キルミラミラ」
「ラァーンッ!?」
『ええええーっ!?』とショックを受けるランボーグを置き去りにして、とっとと撤退してしまったのであった。
「か、帰っちゃった!?」
「こんだけ暴れて、あんなにあっさり帰っちゃうの!?」
「なんと自分勝手な・・・・!」
あまりにもあっさりと退いていった敵に驚愕するものの、ランボーグはまだ残っている。
「とにかく、今はあれをどうにかするよ!」
「「「おー!」」」
「ランボォーッグ!!」
上司においてかれたショックからか、『こうなりゃやけだ』とばかりに咆哮。
猛然と向かってきた。
「あの開くとこからの攻撃に、要注意だね!」
「ああ!行くぞ!」
振りかぶられた巨大な拳へ、プレシャスが真正面から飛び掛かって。
「2000キロカロリーパーンチ!!!」
「ラアアアン!?」
真っ向から殴り飛ばした。
「す、ご・・・・!」
ほとんど妨害の所為とは言え、苦戦していた相手が圧倒される様に。
ぽかんと呟くことしか出来ないスカイ。
「ラァンボオオオオオオ!!」
起き上がったランボーグは、瓦礫を引っ掴んで投げてくる。
プレシャスのパンチでは対処出来なさそうだが、彼女達にとってはそれだけだ。
「バリバリカッターブレイズ!!」
「フィナーレブーケッ!!」
ヤムヤムとフィナーレがそれぞれ遠距離攻撃を放ち。
取りこぼしはスパイシーの障壁と、プレシャスの拳で処理されていく。
「ッいけない、私も・・・・!」
「スカイはまだ休んでてください!わたしが行きます!」
やっと我に返って、ランボーグに立ち向かおうとするスカイ。
とはいえ、背中が真っ赤になるほどの大怪我を負っている彼女に、そんなことさせられるわけもなく。
案の定引き止めたプリズムが、代わりに飛び出していく。
「やああああ!!」
ランボーグの足元へ連射を叩き込んで動きを阻害。
さらにふらついた顔面へ光弾を放って、
「きらめけっ!!」
「ラーンッ!?」
眩く発光させて、目くらましをくらわせた。
「ナイスだよ!プリズム!」
「はいっ!」
プレシャスの賞賛に、笑顔で答えたプリズム。
着地して、デリシャスパーティチームと並び立って。
「行くよッ!!」
「はいっ!」
プレシャスの号令に、一緒になって飛び出していく。
光弾が飛び交い、雄叫びと拳が脅威を圧倒する。
「ラアアアアアンッッ!!!」
しかし、やられてばかりのランボーグではない。
咆哮と共に、電撃を解き放ち。
周囲を取り囲んでいたプリキュア達を吹き飛ばして。
「ラァンボオオオオオオオオオオッッ!!!!!」
さらに、扉を開け放ってあの特大ビームを放ってきた。
「・・・・ッ!!」
「スパイシー!!」
スパイシーが、咄嗟にメロンパン型の障壁を何枚も展開。
他のプリキュア達も一緒に支えるが、段々と押されていく。
「どうしよう、このままじゃ町が・・・・!」
じりじり後退していく足元。
全員の表情に、焦りが浮かび始めた時だった。
「――――全集中・炎の呼吸」
攻撃に夢中なランボーグの背後。
火炎を纏ったスカイが、剣を振りかぶって。
「玖ノ型 煉獄ッッ!!!」
「ラァンッ!?」
攻撃をもろに受けたランボーグは、思わずビームを途切れさせてしまった。
「スカイ!」
「ップリズム!」
駆け寄るスカイは手を伸ばす。
「・・・・ッ!」
それだけで意図を察したプリズムは、一瞬迷った後。
全力で手を差し出し返して、握り締めた。
「スカイブルーッ!!」
「プリズムホワイトッ!!」
「「――――プリキュア!!」」
「「アップドラフト・シャイニングッッ!!」」
デリシャスパーティチームの、心配そうな視線を受けながら。
アップドラフト・シャイニングを発動。
「スミキッター・・・・!!」
ランボーグを、見事浄化したのだった。
「プリズム!スカイ!」
「スカイ、なんて無茶を・・・・!」
「皆さん!」
キラキラエナジーが壊れた町を修復してく中。
駆け寄って来たデリシャスパーティチームに振り向く、スカイとプリズム。
スカイは案の定顔色が悪く、呼吸を荒くなっている。
「ぐっ・・・・!」
「ソラさん!!」
笑顔こそつくろっていたものの、痛みに顔を歪めると。
変身すら解いてしまいながら、ぐら、と体を傾けて。
「あわわわ、大丈夫ですか!?」
「大変、速く病院へ・・・・!」
「ッ・・・・!」
他の面々も慌てる中、ソラは必死に意識を持ちこたえて。
「ソラさん、しっかりしてください!ソラさん!」
「ま、しろ、さ・・・・!」
何度も名前を呼ぶプリズムと、視線を合わせると。
「アイス・・・・ベンチ・・・・ぷりてぃ・・・・ほりっ・・・・」
単語をいくつか絞り出して、今度こそ気を失ってしまった。
「ソラさん?ソラさん!!いや!!しっかり!!起きてぇっ!!」
(ましろさん・・・・!)
揺り動かされるのを感じながら、意識を手放す。
もうちょっとだけ続くんじゃ。
(ここで『テイクアウト』させるかどうか割と悩みました)