この度、アプリ版xにてちょっとしたトラブルに見舞われまして。
生息地をブルースカイに移しました。
PC版は無事なので、更新報告などでXアカウント自体は動かしますが。
低浮上となります。
日頃よりお世話になっております皆さまに置かれましては大変恐縮なのですが、ご理解いただきたく存じます(平伏)
「――――そうか、私がいない間にそのようなことが」
虹ヶ丘家。
ベッドに寝かされたシャララは、これまでの話を聞き終えた。
「まずいな、一刻も早くスカイランドに戻らねば」
「ええっ!?もうですか!?」
「それほど事態は切迫しているのだ、あげはさん」
先ほど運び込んだばかりなのに、もう動こうとしているシャララ。
あげはが仰天した声を上げると、静かに断言する。
「しかし、あげはの言う通りです。先ほどまでランボーグにされていたのに、無理をなされては・・・・!」
「だが、キルミラが野放しになっている以上、そして気に入った手駒を手に入れた以上、呑気に寝ているわけには」
「――――『急がば回れ』」
ベリィベリーの進言にも頑として首を振らず、毛布から出ようとした彼女へ。
薬湯を持ってきたヨヨが、穏やかに口を開いた。
「この世界の言い回しですわ」
「ヨヨ殿・・・・」
「急いでいる時こそ、無理して近道を探さず、例え長くても安全な道を落ち着いていくこと・・・・焦りは禁物です」
「・・・・すまない、確かに先走っていた」
薬湯を受け取りながら、申し訳なさそうに俯くシャララへ。
ヨヨは穏やかに笑いながら、椅子に座った。
「国王様と王妃様を目覚めさせるためのキラキラポーションは、完成間近です。せめてその間だけでも、体を休めておいてください」
「ああ、そうさせてもらいます」
説得に応じて、再び横になるシャララに。
ほっと胸をなでおろす一同だった。
「それにしても、お前もプリキュアになるとはな。ベリィベリー」
「ああ、その・・・・私も無我夢中で」
「はは、だが、お陰で私は助けられた」
だから、と。
ベリィベリーの肩に、拳を当てて。
「ソラも、きっと救い出すぞ」
「・・・・はい!」
力強い宣言に、敬礼で答えるベリィベリーだった。
◆ ◆ ◆
――――『クシザス王国』。
スカイランド王国と協力してキルミラを封印した、『吸血鬼』改め『吸血人』の一族と、もとより彼らに友好的だったわずかな人族で興された国である。
巨大な空中岩山を丸々くり抜いた人工洞窟は。
太陽の動きと共に光る不思議な苔、『ヨウコウゴケ』を天井や壁に植え付けたことにより。
吸血人にとっても、人族にとっても住み心地の良い環境となっている。
始めは控えめだった人族との交流も、500年の月日が流れたことで偏見は無くなり、すっかり活発になった。
吸血人は、洞窟のような環境でしか育たない作物を作り。
逆に人族は、太陽の下でないと作れないものを作った。
お互いがお互いの長所を持ち寄って協力しあうことで、500年もの平和を維持してきたのである。
維持してきたのである。
「――――ぐ」
膝をつく。
切株となった両肩から、滝の様に血を流しながら。
クシザス現国王『オーディン・ラキュラ・クシザス』は、せめてもの抵抗に顔を上げた。
首都『スータロス』は完全に火の海に沈んだ。
500年積み重ねて来た街並みが、国を動かしてきた命達が。
炎の中で、炭と焦げていた。
「・・・・ッ」
がしゃん、と。
街並みだった瓦礫を踏みつけて、下手人が現れる。
長い髪を靡かせて、覚えのある魔剣を携えて。
冷酷な、温度のない目で。
こちらを見降ろしている。
「・・・・すまぬ」
その顔を見上げて、オーディンは悲壮に眉をゆがめた。
「すまぬ・・・・我らでは、お主を止められなんだ・・・・!!」
やりきれない。
彼女も被害者であることが分かっているだけに、あまりにもやりきれない。
「すまぬ・・・・!」
機械的に、剣が振られて。
首が舞う。
◆ ◆ ◆
「――――あとは、これをこうすれば」
翌日、虹ヶ丘家。
ヨヨがミラーパッドに手をかざすと、画面がきらりと輝いて。
出来上がったキラキラポーションが飛び出てくる。
「わあ・・・・!」
「ヨヨさん、これで!?」
「ええ、王様と王妃様が目覚めるわ」
目下の目標が、一つ達成できたことに。
緊急時だと分かっていても、喜びを隠せないプリキュア達。
「わたし、シャララ隊長とベリィベリーさんに知らせてくるよ!」
「ええ、お願い。ついでに薬湯も持って行って頂戴な」
「うん!」
ヨヨから薬湯を受け取り、ぱたぱたと二階に上がっていくましろ。
ひかえめにドアをノックしてから開けると、ベリィベリーとシャララが談笑しているところだった。
「失礼します、薬湯を持ってきました」
「ああ、ましろさん。ありがとう」
湯のみを手にしたシャララはふと、ましろの顔を見てから柔く微笑んで。
「何か、いいことでもあったかな?」
「あ、はい!王様たちを治すための、キラキラポーションが出来たんです!」
「ッ本当か!?」
共に行動してきたからだろう。
朗報に思わず立ち上がったベリィベリーは、我に返ると。
恥ずかしそうに着席する。
「し、失礼しました」
「ふふ、いや。気にするな」
そんな彼女を微笑まし気に見つめたシャララもまた、安堵のため息をついたのだった。
「それは実に僥倖だ」
「はい、これで私達も一安心です」
国王と王妃が起きてくれたなら、スカイランドの人々も安心出来る。
そうすれば、余裕を持ってキルミラへの対策も講じられるかもしれない。
・・・・ソラが、辛い目に遭う前に。
助けることが出来るかもしれない。
これからに思いを馳せながら、ましろはぐっと手を握りしめた。
その時だった。
「――――大変です!!」
バタバタと駆け上がる音がしたかと思うと、ツバサが文字通り飛び込んできた。
「何があった?」
彼にしては珍しい慌ただしさに、猛烈に嫌な予感を覚える横で。
シャララが努めて冷静に問いかける。
「今、ヨヨさんが、キラキラポーションが出来たって、スカイランドに連絡したら・・・・!!」
ツバサは息を整えてから、自分も信じられないとばかりに火急の知らせを口にした。
「――――クシザス王国が、壊滅したって!!」
おっとり刀で駆けつけた一同。
トンネルを抜けてやって来た城内は、予想通り重苦しい空気で満たされている。
「――――シャララ隊長!!」
「ツムジ!状況は!?」
そこへ駆けつけてきたのは、ソラやベリィベリーの先輩隊員であるツムジ。
レイピアを携えた彼女が、こちらを見つけるなり駆け寄って来たので。
シャララは即座に状況確認をした。
「ッハ!先日深夜より、クシザス王国から大勢の避難民がスカイランドに来ております!クリームヒルト様の言によると、キルミラの手先が現れ、首都『スータロス』が壊滅したと・・・・!!」
「そんな・・・・!」
「ックシザス王家の生存者は?ジーク、ッフリート王子達は!?」
「そ、それは」
まさに寝耳に水をぶちまけられるような報せ。
プリキュア達はそれぞれ、目を見開いたり口を押さえたり。
各々反応する中、ツムジは報告を続けようとして。
「――――夫ジークフリート様は、右腕を失う重傷です」
新たな人物が、歩み寄ってくる。
ジークフリートと対になる様な、真っ白いローブ。
ここが屋内だからか、昼間はかぶっているフードは脱いでいた。
靡くのはやはり、吸血人特有の銀髪。
「クリームヒルト様!」
「ルティ!」
ツムジはかしこまって頭を下げる横で、シャララは愛称を呼びながら彼女に駆け寄る。
「・・・・クリームヒルト・ラキュラ・クシザス王太子妃。ジークフリート王子の奥方だ」
「シャララ、無事でよかった」
「まさか!肝心な時に駆け付けられず・・・・!!」
ましろやあげはを始めとした、初対面となる面々に。
ベリィベリーが小声で補捉を入れる目の前で、親友同士は抱擁を交わし合う。
「何があった?ジークはもちろんだが、オーディン陛下は無事か!?」
「・・・・ジーク様は先ほど申した通りです。右腕以外にも傷を負い、生死を彷徨っております」
問いかけに対し、クリームヒルトは肩を震わせながら言葉を発していく。
「ですが、義父上は・・・・陛下はッ・・・・我々と民を逃がす為に、僅かな手勢と残って殿を・・・・それも、短時間で討ち取られました・・・・!・・・・ジーク様もまた、
「――――ッ」
・・・・あまりの、凄惨な状況に。
誰もが言葉を失った。
「・・・・誰が」
重苦しい沈黙の中、シャララはそれでも口を動かす。
王国を守護する者として、これからやってくるであろう敵の情報を得ようとする。
「誰が、やった」
「――――凄まじい腕前の、剣士だった」
クリームヒルトも、それを心得ているのだろう。
己の傷を抉る様な、苦悶に耐える顔で答える。
「・・・・ジーク様が確認したから、間違いないわ」
――――本当は、言われずとも分かっている。
だけど、頭が理解を拒む。
いやだと叫びたい、やめてと喚きたい。
だけど、ましろはそのいずれも出来ないままに。
急激に冷えた胸元を、握りしめるだけ。
「ソラ・ハレワタール・・・・貴女のところの新人が、今回の
耳鳴りでくらくらする中。
まるで強制する様に。
はっきりと聞こえた。
ツムジ
拙作オリジナルキャラ。
ハヤテと同じく、次期隊長候補に名を連ねる一人。
足りない腕力を、愛用のレイピアに付いたスカイジュエルの力で補う技巧派。
同じ戦闘スタイルのベリィベリーが、目標とする人物である。