ヒーローガールは異物入り   作:数多 命

7 / 172
ひろプリをある程度履修したので、デパプリを見ているんですが。
突然のくまモンにビビり散らかしています(笑)


偽物、ハイキング

『まっしろちゃーん!早く会いたいよー!真っ白でふわふわのー!ま!し!ろ!ちゃん!』

「もう、やめてよ恥ずかしい。子供じゃないんだから」

 

ある日、虹ヶ丘家。

ましろはリビングでタブレット端末を通じ、両親と話していた。

彼女の両親は海外に出ており、基本家にはいないのだ。

 

『元気でやってる?寂しくない?』

「うん、おばあちゃんもいるから大丈夫。それに、新しい友達も出来たんだよ!」

『そっか、じゃあ、今度帰ったら紹介してね』

「うん!」

 

それでも、こうやってちょくちょく連絡を取り、ラブコールをダイレクトに伝えてくれる。

寂しくないと言えば嘘になるが、愛されているのも本当のことだ。

 

「それじゃあ、また今度ね」

『まったねー!ましろちゃーん!』

『またね、おばあちゃんにもよろしく』

 

画面越しに手を振り合って、通話を切る。

 

「ふう・・・・ふふっ」

 

緊張したわけでもないのに、ため息が出て。

ましろは自分がおかしく思えて、笑ってしまった。

と、その時。

 

「――――ええーん!ええーん!!」

「エルちゃん?」

 

すっかり家に馴染んできた、エルの号泣が聞こえて。

ましろはタブレットを片付けて席を立つ。

 

「ソラさん、どうしたんですか?」

「ああ、ましろさん!よかった、ちょっと困ってしまって・・・・!」

「はい、それもうよく分かります・・・・」

 

熱いシャウトをかますエルを腕に抱えて、やや泣きそうなソラが助けを求めてきた。

 

「ミルクも、おむつも違うし、眠いってわけでもなさそうで・・・・!」

「ええ、じゃあ何だろう・・・・?エルちゃーん、どうしたのー?」

「えるー!えるるー!」

 

原因も思い当たらず、一緒になって覗き込むと。

なお泣き続けるエルは、ふと。

何かを探す様に両手をさ迷わせ始めた。

 

「・・・・もしかして、パパとママを探しているのかな」

「なるほど!それだ!・・・・って結局どうすれば!?」

 

エルの仕草を見たましろが、ひらめきを口に出せば。

ソラも納得して指を立てるが。

そもそもスカイランドとの行き来も出来ない以上、どうすりゃいいんだと頭を抱えた。

 

「ねえ、せめてご両親の顔だけでも、見せてあげられないかな」

「そうですね、でもどうしたものか・・・・」

 

普段の自分と照らし合わせて、またアイデアを出すましろだったが。

スカイランドに写真の概念はない。

顔だけでも分かれば似顔絵でなんとかなっただろうが、そもそもソラは知らない。

八方ふさがりな状況に、再び頭を悩ませ始めた時だった。

 

「――――出来るわよ」

「えっ?」

 

ましろと同じく、泣き声を聞きつけらしいヨヨが。

そう言いながら入室してきた。

 

「このミラーパッドを使えば、スカイランドと通信が出来るの」

「そうなんですか!?こっちの技術はそこまで・・・・!?」

「い、いやいやいやいや!そんなの出来ないよ!」

 

『おばあちゃん!』と、ましろはヨヨに詰め寄って。

 

「なんでそんなもの持ってるの?どうしてそんなこと知ってるの!?」

 

あばあば慌てながらも、しっかり要点を抑えた質問をすると。

ヨヨは、にこにこ笑って。

 

「だって私、スカイランド人だもの」

「ああ、そっかぁー、スカイランド人なんだぁ~ぁあああああ!?」

 

さらっと行われた暴露をスルーしかけて、だけどしっかり耳に届いていたましろは。

みるみる頭から湯気を出して、オーバーヒートしてしまった。

 

「・・・・へぇっ?はっ!?ええっ!?」

「あら、綺麗な三度見」

 

次に事態を呑み込んだソラも、素っ頓狂な声を上げて。

ヨヨとましろと、綺麗に三度視線を往復させる。

 

「スカイランドの博学者だった私は、この世界について調べていたんだけど。50年前に移住したの」

「それでスカイランドの話を聞いても驚かなかったんだねぇ」

「うふふ」

 

驚愕はまだ収まらないが、なんとか話を聞ける程度に抑え込んでから。

ヨヨの話に耳を傾けることにした。

 

「それで、ミラーパッド?で、エルちゃんのご両親と話せるかもしれないということですが」

「ええ、ただ、今のままではエネルギーが足りないわ」

「そうなんですか?」

 

ソラの問いかけに、一度頷いたヨヨは。

一冊の本を取り出して、青い結晶が書かれたページを開いた。

 

「なるほど、スカイジュエル」

「スカイジュエル?」

 

見慣れない文字を難なく読んだソラを見て、やはり異世界人なんだと実感しながら。

ましろは青い結晶について質問した。

 

「はい、スカイランドでは一般的なエネルギー源です。これで生活のあれこれを賄っているんですよ」

「そうなんだぁ」

 

こちらでいう電気に値するものかと納得しながら、ましろは感嘆の声を上げる。

 

「でも、この世界でスカイジュエルを探すのは至難の業では?」

「そっか、異世界のものなんだから、こっちにあるかどうか・・・・」

「いや、でもエルちゃんのためです!」

 

前途多難な状況にましろは肩を落とすも、ソラは拳を握って立ち上がる。

 

「ヨヨさん、そのお話をしたということは、少なくとも手掛かりはあるんですよね?教えてください!」

「ええ、もちろん」

 

熱意ある懇願に、大らかに頷いたヨヨは。

ある方角を指さして。

 

「うちの裏山にあるから、そこに取りに行って頂戴な」

「そ、そんなところに!?」

「意外と近かったー!!」

 

例え世界の果てまでも行く覚悟であったソラは、出鼻を挫かれたものの。

それはそうと、近場で調達できるのはありがたい。

 

「二人で行ってくると良いわ、エルちゃんも一緒にね」

「は、はい!」

 

何はともあれ。

こうやって、『みんなでプチ山登り』が決定したのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

はあー、びっくりした。

まさかヨヨさんがスカイランド人だったとは・・・・。

 

「びっくりです、まさかおばあちゃんがスカイランド人だなんて」

 

とはいえ、一番びっくりしているのはましろさんだろう。

よもや自分の身内が、ファンタジーな出身だなんて。

 

「となると、ましろさんも少しだけスカイランド人ということでしょうか」

「そうなりますねぇ」

 

今、私とましろさん。

それからエルちゃんの三人で、山道を登っている。

ヨヨさんによると、スカイジュエルは山の中の川原にあるということなので。

そこを目指して歩いているところだった。

 

「それにしても、ヨヨさんはとても器用ですね。だっこ紐まで作れるだなんて・・・・」

「はい!これで一緒に山登り出来るねぇ、エルちゃん?」

 

ヨヨさんのだっこ紐で、私がエルちゃんを抱えている。

ましろさんが、優しく語り掛けるけど。

 

「・・・・えーる」

 

エルちゃんはまだご機嫌ナナメだ。

さて、どうするか・・・・。

 

「うーん・・・・あ、そうだ」

 

一緒に悩んでいたましろさんが、道端に何かを見つけたようだ。

 

「ほら、エルちゃん。綿毛だよー」

「むー、えうえう!」

 

差し出したのは、たんぽぽの綿毛。

赤ちゃん故に、それが何か分からないらしいエルちゃんは、最初こそ不機嫌のままだったけど。

 

「じゃあ、これは?」

 

ましろさんは得意げに笑うと、綿毛を口元に近づけて。

 

「ふー!」

 

ふわっと、飛ばしてみせた。

やったやった!人類一度は経験したやつ!

 

「ほぁー!えるるー!!」

 

豊かな木々と、青空に飛んでいく綿毛たち。

綺麗な光景に、エルちゃんの顔が一気に明るくなった。

綿毛を掴もうと、ちいちゃな手をぱたぱたさせている。

かわいい(確信)

 

「・・・・あ」

 

私も何か・・・・と辺りを探していると、赤に青の斑点があるきのこを見つける。

あれ、確か傷薬の材料なんだよな。

そう思いながら、近づこうとすると。

ましろさんに手を引っ張られて。

 

「あ、それ毒キノコですから、気を付けてください!」

「そうなんですか!?」

 

あっ、そういえばここスカイランドじゃなかった!

うっかり!!

 

「すみません!あの模様のキノコ、スカイランドだと傷薬の材料になるので、つい!」

「そうなんですか!?」

「はい、とってもよく似ているんです」

 

いかんいかん、大変なことになるとこだった・・・・!!

 

「帰ったら、図鑑を貸しますよ」

「面目ない、ぜひお願いします・・・・」

 

ぐぬぬ、前世の記憶があろうとも、至らぬところが多いな・・・・。

精進せねば、押忍!!

 

「う"ぅん、えるぅ~!」

 

こっそり気合を入れなおしていると、エルちゃんがまたぐずりだした。

このぐずり具合は・・・・。

 

「ミルクですかね、先ほど飲みませんでしたから」

「じゃあ、ちょっと休憩にしませんか?こっちに、ちょうどいい広場があるんです!」

「行きましょう!」

 

ましろさんの先導で、山道を更に進んでいく。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。