ヒーローガールは異物入り   作:数多 命

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デパプリも見終えました。
よかった・・・・今はそれしか言えない・・・・!


偽物、通信する

ましろさんの案内でついたのは、森の開けた丘。

ちょうど木々が途切れているので、いい感じに空と景色が眺められる場所だ。

レジャーシートを敷いて、エルちゃんのミルクついでにみんなで休憩することに。

 

「はーい、エルちゃん」

「える!」

 

まずは腹ペコのエルちゃんにミルク。

持ってきたお湯で作って飲ませてやれば、嬉しそうにマグに吸い付いている。

うん、今日もいい飲みっぷり。

そのまますくすく育ちなー。

 

「けぷっ」

 

げっぷノルマも達成、ヨシ!

 

「あの、ソラさん。これよかったら!」

 

ミルクタイムが終わったからか、ましろさんがバスケットを差し出してきた。

中身は、パン?

山型で真っ白な、かわいらしいパンだ。

 

「ありがとうございます、いただきます」

 

一口食べてみると、カスタードが入っている。

ウマー!

 

「すごくおいしいです!これは一体・・・・?」

「よかった、上手く焼けたかドキドキだったんです」

 

焼けたかドキドキ・・・・えっ!?

 

「ましろさんが作ったんですか!?」

「はい!ソラさんとエルちゃんの世界の、スカイランドをイメージして作りました!名付けて、『くもぱん』です!」

 

えーっ!すご!!

いや、おうちでのご飯は、基本的にはヨヨさんとましろさんが作ってるんだし(私ももちろんお手伝いしてるんだけど)。

お料理上手なのは知ってたけど・・・・!

 

「すごいです!こんな独創性があるなんて・・・・!また一つ、ましろさんのいいところが知れました!」

「ぇ、えへへ、そんなに褒めてもらわなくても・・・・」

「いいえ、だって、本当にすごいことなんですもの」

 

私が思わず褒めまくった所為で、ましろさんは照れてしまっている。

でも、やめない!誉めずにいられるものか!

 

「料理も剣術も、結局は先人たちが積み重ねてきたものをなぞっているんです。もちろん、それらを極めることも素晴らしいことですが・・・・」

 

ちょっと早口になってしまっているのに気付いたので、一度言葉を切って。

 

「こうやってそれらを派生させて、新しいものを生み出すというのは、やはりとても難しいことなんですよ」

「そうなんですか・・・・?」

「はい、だからましろさんはすごいんです」

 

そう締めくくると、ましろさんは静かにはにかんだのだった。

 

 

 

 

 

 

閑話休題(ごちそうさまでした!)

 

 

 

 

 

休憩も終わったのでまた歩き出すと、目的の川原についた。

 

「この辺によく落ちてるんですよね、でも、どうやって探せば?」

「ヨヨさんによると、スカイミラージュペンを手掛かりにするようにとのことですが・・・・あ」

 

ペンを取り出してみると、羽の部分が淡く光り出す。

探る様に左右に振ってみると、光が強まったり弱まったりした。

なるほど、こういうこと。

 

「進んでみましょうか」

「はい!」

 

そのままペンの光を頼りに進んでいくと、大きな岩が見えた。

再び左右にゆっくり振ってみると、大岩の方向で光が強くなる。

うーん・・・・。

 

「ジュエル・・・・鉱物ですから、この中にあるということでしょうか」

「でも、割るための道具なんて・・・・」

「ああ、これくらいならいけます。すみませんが、エルちゃんをお願いしても?」

「あ、はい!」

 

エルちゃんをましろさんにパスして、ペンから剣を取り出す。

抜刀して、呼吸を整えて。

 

「――――シッ!」

 

縦一閃。

振り下ろした剣は、予想通り岩を両断してくれた。

ふふ、ありがとう炭〇郎ー!

君の岩切りシーン、大好きだよー!!

 

「手前味噌ですが」

「わぁっ!すごい、真っ二つ!」

「えりゅー!」

 

二人の拍手にちょっとうれしくなりつつ、岩の中身を見てみると。

 

「・・・・うずまき?」

「アンモナイトですね、大昔の貝です。これもある意味お宝なんですけど・・・・」

「今はこれが目的ではありませんねぇ・・・・」

 

結構立派なサイズのアンモナイトなんだけどなぁ・・・・。

ちょっと残念に思いつつも、先へ進んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

川原をさかのぼって歩く一行は、ソラのスカイミラージュペンを頼りに歩いていく。

前に向けた緑の光は、未だ変化はない。

 

「まだまだ先と言うことでしょうか」

「そうみたいですね、ましろさん疲れてないですか?」

「大丈夫!まだ歩けますよ!」

「それはよかった。足元悪いので、転ばないように」

「はい!」

 

先はまだ長そうながらも、ソラもましろも体力はある。

和やかに会話しながら、川原を進んでいると。

 

「える?」

 

ちょうちょが一匹、ひらひら飛んできて。

エルの鼻先に止まった。

 

「はっくちゅ!」

「あらまあ」

「ふふふっ」

 

溜まらずくしゃみをした彼女が微笑ましくて、思わず笑ってしまった時だった。

がらっと、何かが崩れる音がして。

 

「あーっ!崩れたのねん!」

 

上がった第三者の声に、はっとなって振り向けば。

今しがた崩れたらしい大石を前に、頭を抱える大男。

 

「だーれがやったのねん!?んんー!?」

 

こちらを睨んだ、その顔は。

 

「あなたは!!」

「あーっ!お前ら!!」

「カバトン!」

 

カバトンは指をつきつけると、忌々しそうに顔を歪めた。

 

「せっかく人が積み上げてきたものを、よくも!!」

 

どうやら、いくつ大石を積み上げられるかと言うチャレンジをしていたらしい。

勉強や仕事の様に必須と言うわけではない。

しかし確かな達成感を邪魔される気持ちは、ソラ達にもよく分かる。

 

「それはごめんなさい!」

「わざとじゃないんです!」

「許さないのねん!!」

 

なので素直に謝ったが、カバトンの腹は収まらない。

 

「こうなったら、叩きのめして思い知らせてやる!ついでにガキンチョもいただくのねん!!」

「ッましろさん、下がって!エルちゃんをお願いします!」

「はい!」

 

戦意をたぎらせるカバトンに、ソラもまたスカイミラージュペンを構えてましろとエルを下がらせた。

 

「カモーン!アンダーグエナジー!!」

「スカイミラージュッ!!」

 

ましろが手近な岩に隠れると同時に、両者共に召喚と変身をこなす。

 

「ランボーグッ!!」

「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!!」

 

呼び出されたランボーグは、タケノコを媒介にしているようだ。

 

「ラララララララララ!!」

(セイ)ッ!!()ッ!!(エイ)ヤアァッ!!」

 

剣を構えるスカイへ向けて、タケノコ型のミサイルを放ってくる。

対するスカイは、やはり容易く切り捨てながらランボーグへ接近していくが。

 

「・・・・・ふん!」

「――――ッ!」

 

カバトンの笑みに、勘が警鐘を鳴らして。

一度踏みとどまり、飛びのく。

刹那、川原の石が盛り上がって竹が飛び出してきた。

先端を鋭く切り落とされて、殺傷能力があげられているそれは。

身軽に避ける標的を、追いかける様に生えてくる。

凄まじく素早い攻撃に、スカイは逃げに徹さざるを得ない。

 

「スカイ!」

「ッ・・・・!」

 

攻撃は、スカイがましろ達の近くに下がったところでやっと止まった。

 

「ラアアアアアンボオオオオオオオオオオッ!!」

 

そこを狙っていたとばかりに、再びタケノコミサイルを放ってくるランボーグ。

数が数だ。

スカイは回避してやり過ごそうとするが。

 

「避けていいのか!?キュアスカイ!!」

「・・・・っあ!?」

 

カバトンの声に、後ろのましろ達に気付いた。

 

「す、スカイ!わたしは自分で逃げるから!」

「えりゅううう・・・・!」

 

泣きそうなエルを抱えたまま、ましろは岩陰からそう言ってくるが。

石ころまみれで走りにくい中で、ミサイルから逃げ切れるはずがない。

 

「――――ヒュウウウウウ・・・・!!」

 

呼吸を整える、心を鎮める。

数歩前に出る。

 

「――――全集中、水の呼吸」

 

ましろとエルが、風の様な呼吸音を聞きながら見守る目の前。

 

「――――拾壱ノ型」

 

ざわり、と、スカイの足元に現れた水面が。

練り上げられる闘志に呼応して、段々と波立って。

 

「――――凪」

 

そして、静まる。

タケノコミサイルが着弾する。

瞬間。

 

 

――――その全てが、切り捨てられる。

 

 

(っあ"あ"ー!!よかった!!!成功したぁー!!!!)

「ましろさん!エルちゃん!」

 

剣を振り払って残心したスカイは、後ろのましろ達の安否を確かめると。

 

「――――ッハ!はい!無事です!元気もりもりです!!」

「えーる!!」

 

目の前の絶技にしばらく放心していたましろだったが、すぐ我に返って返事した。

エルも一緒に手を振って、無事をアピールする。

 

「よかった・・・・!」

 

ほうっと安堵の息を吐き出したスカイ。

戦闘中の鋭い顔つきとは真逆の、柔らかい表情に。

ましろは無意識に胸を押さえた。

 

「むきーっ!お前無茶苦茶すぎるのねん!」

「日々の修行の成果です!!ッハ!!」

 

カバトンが動揺しているうちに、ランボーグの懐に入り込む。

 

「アッ!しまった!」

「プリキュアッ!ヒィーロォーガァールウウゥー・・・・!!」

 

気付いたところで、もう遅い。

 

「スカイッ!ソオオオオーーーードッ!!」

「ラアアアアアアアアンッ!?」

 

容赦なく叩き込まれる居合切り。

ランボーグには、避ける術もなく。

 

「スミキッター・・・・!」

 

哀れ、相手を一度は窮地に追い込んだランボーグは。

浄化されてしまったのだった。

 

「むわああああああ!また負けたのねん!今日はこのくらいでカンベンしてやる!カバトントン!!」

 

捨て台詞を残して、撤退していくカバトン。

スカイは束の間、彼が去った後の空を見つめてから。

安全を確認して、変身を解いた。

 

「ソラさん!」

「えーう!」

「ましろさん、エルちゃん」

 

岩陰から出てきた二人を見て、再び安堵の息を吐くソラ。

 

「二人とも、怪我はないですね?」

「はい!さっきのすごかったです!」

「あはは、でもあれ、実はあんまり成功したことない技で、正直賭けだったんです」

「そうだったんですか!?」

「ええ、本当に上手くいってよかった・・・・」

 

胸をなでおろすソラに、確かにあれほどのことを成し得るのだから。

相当難しいのだろうとましろも納得していた。

 

「さて、スカイジュエルを探さなければ」

「そうだ、それが目的だった」

 

危うく忘れそうになった本当の目的を再確認して、再びスカイミラージュペンを頼りに進みだす。

 

「――――あ、光の色が」

 

ほどなくして、かざしていたペンの光が青く染まった。

すると、呼応する様に川の一部がほのかに光って。

 

「ちょっと、いってきます」

 

光の場所を確認して、靴とニーハイを脱ぐソラ。

ペンを口にくわえたまま、脛まで濡らしながら浅瀬に分け入り。

水面に手を入れれば。

 

「っ、ありました!スカイジュエルです!」

「わあ!これでスカイランドと通信出来ますね!」

「はい、といっても、充填方法はまたヨヨさんに聞かなければなりませんが・・・・」

 

何はともあれ、ミッション達成である。

 

「早く戻りましょう!」

「もちろんです!」

 

一行は、帰路を急ぐ。

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

途中、カバトンの邪魔が入りはしたけど。

なんとかスカイジュエルを回収して、虹ヶ丘家に戻って来た。

・・・・・いや、繰り返しになるけれど。

ほんっっっっっっっとうによかった・・・・!!!

『拾壱ノ型 凪』が成功して本当によかった・・・・。

あそこで上手くいってなきゃ、ましろさんもエルちゃんもドえらいことになってた・・・・。

本当によかった・・・・。

私がまだまだ未熟なせいか、あの技は中々成功した試しがない。

大事なことだから何度も言うけど、よかった・・・・。

もちろん、今後も修行は続けるつもりだ。

次もまぐれがあるとも限らないんだから、いつでも十全に出せる様にしとかないと。

 

「――――さあ、ソラさん。そのスカイジュエルをこちらに」

「はい」

 

さて、今は早速スカイジュエルを使って、ミラーパッドにエネルギーをため込んだところだった。

 

「これで、エルちゃんのご両親と?」

「ええ、ちょっと待ってね」

 

そういって、ヨヨさんがミラーパッドをちょいちょいいじっている。

なるほど、I〇ad的な操作なんですね。

 

「はい、これでよし」

 

あっという間に調整を終えたヨヨさんは、ミラーパッドを私達の前に置いた。

 

「エルちゃん、どう?見えるかな?」

「えるぅ?」

 

鏡面はしばらくノイズが走っていたけれど、やがて段々と人の声が聞こえてきて。

 

『――――通信が復旧したぞ!』

『誰だ?どこからつなげているんだ?』

 

鮮明になった映像の向こう。

ひげを生やした男性が見えた。

・・・・もしかして、この人が。

 

『プリンセス・エル!?』

 

やっぱりエルちゃんの親御さん!!

――――うん?

プリンセス・エル?

 

「「プリンセス・エル!?」」

 

ぎょっと驚いている間に、今度は女の人が画面に現れる。

・・・・そういえば二人とも、いや。

『お二人とも』、王冠なりティアラなりを頭に乗せている・・・・。

ってことは!!こっ、こここ国王、ならびに王妃両陛下!?

っていうか!!

 

「名前あってたんですね!?」

「今気にするのそこじゃないですよね!?」

 

ましろさんに突っ込みを入れられてしまうけど。

でも、こんなん驚くほかなくないか!?

ど、ど、ど、どしぇー!!

少し前、ましろさんを『やんごとなき身分』じゃないかって思ったことがあったけど。

もっと高貴な身分の御方がここにいた・・・・!!

 

『怪我はない?変わりは・・・・ないようですね。ああ、よかった・・・・!』

『よく無事で、プリンセス・エル。キラキラ輝く、私の一番星・・・・!』

「あーう・・・・!」

 

私の驚愕を他所に、画面越しに手を伸ばし合うエルちゃんと両陛下。

もちろん、温もりなんて届かないんだろう。

でも、三人が心から喜んでいるのがよく分かった。

・・・・とても比べ物にならないくらい、高貴な人達でも。

子どもを愛する気持ちは変わらない、か。

うん、ちょっと落ち着いた。

 

「王様、王妃様」

 

親子がひとしきり喜びあったのを見計らって、今度はヨヨさんが話しかける。

 

「そちらの世界へお返しする手立てが整うまで、プリンセスをお預かりいたします」

『おお!あなたは!』

『スカイランドのハイパースゴスギレジェンド名誉博学者、ヨヨ殿!!』

 

なんて????????

 

「あっ、画面が・・・・!」

 

私が宇宙と猫を背負っていると、画面に再びノイズが走り出した。

エネルギーが切れ始めたのか・・・・。

 

『皆様、どうか、どうか・・・・!』

『プリンセス・エルのことを、よろしくお願いします・・・・!』

「――――はい、もちろん」

 

・・・・・王家云々はもちろんあるけれど。

なにより『父親』と『母親』が、真摯に頭まで下げてきている。

 

「必ず、スカイランドへお返しします!」

 

これに答えないなんて、ヒーローとしても人としても論外でしょ!

 

『――――!』

『――――!!』

 

もう、声は聞こえない。

けれど、最後に見えたお二人の顔は。

とても、安心した様子だった。

 

「えるう・・・・」

 

通信が切れて、エルちゃんは少し寂しそうにしていたけれど。

でも、ご両親の顔を見て、話が出来たからか。

目に見えて、ほっとした様子だった。

 

 

 

閑話休題(ミッションコンプリート!)

 

 

 

「――――ソラさんは」

 

一仕事終えた、夕暮れの中。

この世界の夕焼けを見ていると、ましろさんが話しかけてくる。

 

「ソラさんは、寂しくないんですか?家族に会えないのは、ソラさんだって同じなのに」

 

・・・・ああ、優しい子だな。

聞けば、彼女の両親も海外に行っていて、滅多に会えないというのだから。

きっと、親に会えない寂しさと言うものを、知っているのだろう。

 

「ええ、大丈夫ですよ。大人なのはもちろんですが、やることもありますし・・・・何より」

「何より?」

「・・・・友人と過ごすのは、楽しいので!」

 

ピースサインしながら、笑ってやれば。

ましろさんもまた、明るい顔を見せてくれたのだった。

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