『長らく眠っていたスカイランドの王様と王妃様の呪いを解き、シャララ隊長を救い出したのは、プリキュアだった!!』
『悲劇のプリキュア、キュアスカイ!見事キルミラを討伐する!』
『クッキングダムより頼もしい助っ人!!クックファイターとは!?』
『復興を手助けしてくれているデリシャスパーティプリキュア!その実態に迫る!』
スカイランドに無事帰還した私達。
ゆいさん達デリシャスチームと合流して、国中にばら撒かれているという新聞を見せてもらっていた。
・・・・王都で起こった出来事について、やっと情報が整理出来たこともあって。
号外が次から次へと配られているとのことだった。
「いやぁ、ここまで来るとちょっと照れくさいね!」
「あはは、そうだねぇ」
「でも、力になれてよかった」
こちらの文字が読めないメンバーが大半なので、私とツバサくん。
それからベリィベリーさんで、分かりやすい様に工夫しながら読み上げると。
それぞれが、言葉通り照れくさそうにしている。
わかる(わかる)
ここまで褒められると、むず痒いよね・・・・。
「さっき連絡したら、父さんも母さんも大騒ぎでしたよ」
「ああ、うちも姉と祖父が大盛り上がりだった」
ご家族に連絡したらしいツバサくんとベリィベリーさんも、同じく照れくさそうにしながらも。
負けないくらいに喜んでいるのが分かった。
「ソラちゃんとこは?」
「いえ、仕事中なのか繋がらなくて・・・・」
ちなみにうちの実家(っていうか地元全体)は、主に羊毛を生産しているタイプの酪農家だ。
そこから作られたフェルトは軽くて丈夫、防御性能にも優れているので。
高品質なものは青の護衛隊の制服にも使われている。
故郷自慢の特産品なのです。
「これで安心してくれているといいのですが」
まあ、とにかく。
今回確実に迷惑をかけてしまったであろう実家に、想いを馳せていると。
「――――連絡だけでは物足りないと判断したのでな」
・・・・思ってもみなかった声に、顔を上げる。
「直接来てしまった」
「ソラ」
「ッお父さん!?お母さん!?」
「えっ、ソラちゃんのご家族!?」
立ち上がって、歩み寄ったまでは良いけれど。
湧きあがった罪悪感が、足取りを重たくして。
家族の数歩手前で立ち止まってしまう。
「・・・・ご迷惑をおかけして、すみませんでした」
だけど、だんまりというのも納得がいかなくて。
まずは深々と頭を下げると、頭を小突かれてしまう。
「・・・・かけたのは迷惑じゃなくて、心配よ」
「ああ、よくぞ無事だった」
『シド・ハレワタール』さんに、『レミ・ハレワタール』さん。
優しく、寛大な言葉をかけてくれた今生の両親は。
そのまま力強く抱擁してくれたのだった。
「パパ、ママ。もういい?」
「レッド、あなたも来てくれたの?」
「うん!姉ちゃんが大変なことになってるって聞いたから!ヒーローとして『すけっと』に来たんだ!」
「そう、ありがとう」
『レッド・ハレワタール』くんも来てくれたようだ。
ドアからひょこっと顔を出した彼は、屈託のない笑みを浮かべてドヤ顔を見せてくれた。
「ソラちゃんソラちゃん、よかったら紹介してよ!」
「ああ、すみません。ほったらかしにしたつもりはないんですが・・・・」
「いーってことよ!」
家族に紹介するべく、手で仲間達を指して。
「紹介するね、こちら私と同じプリキュアの仲間達。左からあげはさん、ベリィベリーさん、ましろさんに、ツバサくん」
「よろしくお願いしまーす!」
「「「よろしくお願いします」」」
次に、うちの家族を指して。
「で、こちらが私の両親と弟のレッドです」
「どうも」
「うちの娘がお世話になっております」
「よろしくおねがいします!!」
ついでにゆいさん達の紹介も終えてから、改めて少し会話していると。
「ソラちゃん、ご家族相手だと敬語外れるんだね。新鮮!」
「確かに!誰にでも丁寧だからちょっと不思議な感覚!」
あげはさんとゆいさんに、そんなコメントを頂いた。
「ええ、まあ、特に理由もないので・・・・」
・・・・ただでさえ『記憶喪失の娘』として心配かけまくってしまったからなぁ。
せめて『娘らしく』と心掛けた結果でもある。
「時に、ソラ」
そんなことを想起していると。
お父さんがやけに真剣な顔でこちらを見ていて。
「ましろさんのことは紹介してくれないのか?」
「え?さっきやったじゃない」
「ヨヨ教授から聞いたのよ!」
変なこと言うお父さんに、首を傾げていると。
お母さんがずいっとこちらに寄って来て。
「あなたとましろさんが、お付き合いしてるって!」
「んぶふぅっ!!!」
「――――へっ!?」
――――盛大にむせた私を、どうか許してほしい。
「どうして話してくれないのよ!?」
「げっほげほ・・・・いや、だって。言うまでのことでも、ないかなって・・・・」
真っ赤になってしまったましろさんへのフォローも、黄色い歓声を上げる皆さんへの対応もままならぬまま。
お母さんに詰め寄られてしまう。
「ヨヨさんに聞いたなら知ってると思うけど、ましろさんは未成年だよ?婚約したわけでもなし、そんな重く受け止めなくても・・・・」
「相手が未成年なら、なおのこと話すべきだろう。我々にも出来る手助けがあるかもしれないのに」
「そうよそうよ!水臭い!」
り、両親のテンションが、心なしか高い気がする・・・・!!
いや、でも彼らの反応も一理あるのかも・・・・。
ずっと鍛錬漬けで、色恋はもちろん友人の影すらなかった娘が。
ちょっと見ない間に友達どころか恋人すら作ってるんだから。
「ましろさん、どうかしら?うちのソラは、何かご迷惑かけていない?」
「え、えっと・・・・」
「何、遠慮はいらない。何か不満があるのなら、我々からも言っておくから」
考えている隙に、お母さんはましろさんの手を握って質問をぶつけている。
お父さんにも問いかけられて、ましろさんは少しだけ口ごもったあと。
「その、心配させられることは、たくさんあるんですけど・・・・ものすごく、大事にされているのは伝わっているので」
「はにゃーッ!!」
「あたし、惚気なんて初めて聞いたよー!!」
「お前はいつああなるんだ品田ァッ!!」
「なんで俺に振るんだよ!?」
こ、殺せ。
いっそ殺せ・・・・!!
「はいはーい!ましろんが大事にされてるのには、全力で同意しまーす!」
羞恥で死にそうになっているところへ、追い打ちをかける様にあげはさんが手を上げて。
「そうなのかい?」
「そりゃあもう!!とっても真面目で誠実なのがソラちゃんのいいところですけれど!!ソラちゃんってば真面目過ぎて奥手も奥手!!いっそいやらしい雰囲気にしてやろうと何度思ったことか!!」
「あらあら、まあまあ!」
「「あげはさん(ちゃん)!!」」
思わず怒鳴ってしまったタイミングで、部屋のドアが開いた。
「おー、盛り上がってんな」
「ハヤテ先輩、アリリ副隊長!」
て、天の助けとはこのことよ・・・・!!
上手い具合に話が逸れた・・・・!!
うちの両親と手短に挨拶を交わした二人は、私達を見渡してから。
「いやぁ、国中がお前達の話でもちきりだ」
「色々不安もあったが、キルミラが討伐されたことがでかいな」
「それで、お前達プリキュアの姿を一目見たいという声が上がっている」
「そうなんですか?」
私の問いかけに、お二人はこっくり頷いた。
何度も言われているキルミラの討伐はもちろん、スカイランドの国王ならびに王妃両陛下の呪いを解いた事。
それからシャララ隊長を取り戻したことと、昨日のクシザスでの攻防が評価されているという話だった。
『改めて、国を救ってくれたヒーロー達の姿を見たい』
そんな声を受けて、広場でパレードをすることになったらしい。
「それって、凱旋パレード的な?」
「そうそう、そんな感じだ!」
あげはさんの言葉に、ノリよく返事したハヤテ先輩は。
腰に手を当てて、指を立てて。
「ソラ達はもちろんだが、クッキングダムのプリキュアさん達も、青の護衛隊の先導で『あいつら』に乗ってもらうんで、よろしくな!」
「『あいつら』・・・・?」
「ああ、『あの子達』ですか」
「だな、他にいないだろう」
『なんだろう』と首を傾げる、ましろさんやゆいさん達を伴って。
ひとまず移動することになった。
◆ ◆ ◆
移動した一同を待っていたのは、ダチョウの親戚の様な巨大な鳥だった。
パレードの前に少しでも見栄え良くするために、練習することになったのである。
「あっはは!すごーい!」
「鳥さんに乗るなんて、初めて!」
「はにゃー!おっきーい!」
「ふ、ふわふわしてる・・・・!」
あげはやゆい、らんやここねと言った面々は。
目をキラキラさせて鳥を見上げている。
「これ、ソラちゃんが前に言ってた子達?」
「はい、スカイランドではとても一般的な移動手段なんです」
「ソラの弟の様な、小さい子も乗っているんだ」
「へー!」
ソラとベリィベリーの説明を聞いたあげはが、早速近くにいた一頭に近寄る。
「よろしくね!」
「グワッ」
明るく話しかけると、一声鳴いた鳥は乗り易い位置まで伏せてくれた。
「やっさしー!」
あげはがそのままひょいと上に乗ると、あっという間に乗りこなしてしまった。
「わー!あたしもあたしもー!」
それを見たゆいも、近くの鳥に歩み寄る。
「よろしくー!」
「グワー」
こちらも同じくあっという間に乗ってしまった。
ここでましろが周囲を見てみると。
ツバサやベリィベリーと言った、乗りなれているであろう面々はもちろん。
らんやここね、あまねや拓海の様な、ましろと同じく初体験なはずの顔ぶれも。
既に乗り始めている。
「ゎ、わたし、乗れるかな・・・・」
「大丈夫ですよ」
それに比べて、鳥の大きさに圧倒されっぱなしで。
上手く出来るだろうかと、不安になっているましろへ。
ソラが微笑ましそうに語り掛けてくれた。
「まだパレードまで時間はありますし、練習しましょう」
『ほら』と、手綱を引いて一頭連れて来てくれる。
「ぅ・・・・」
改めて目の当たりにして、思い知る。
思えば乗馬などで慣れているヨヨと違って、自分には近い経験がないことに気付いたましろ。
失敗したらどうしようと、心で二の足を踏んでいると。
「リラックスリラックス、あんまり緊張していると、この子にも伝わってしまいますよ」
「うう、はい・・・・!」
肩を揉んで様子を見たソラは、ましろの気持ちが足踏みしているのを見抜いた。
ふむ、と一瞬思考して、鳥の首元を撫でてやる。
すると鳥は、それが当然であるかのように伏せた。
「わぁ・・・・!」
「これなら乗り易いと思うんですが」
「は、はい!」
訓練されているのもあるだろうが、容易く言うことを聞かせてしまうソラに感嘆の声を上げるましろは。
意を決して、鳥の上に跨った。
「はい、手綱」
「あ、ありがとうございます。わ・・・・!」
手綱を握ったのを合図だと判断したのか。
ましろの手がそれを掴むと同時に、鳥が立ち上がる。
高くなった視界に、少しだけ目を奪われたが。
今はのんびりしている場合じゃないと、頭を振った。
(分かる分かる、私も昔はこうだった)
「鞍を内ももで軽く挟む感じで・・・・そうそう」
ソラに付き添われながら、鳥の乗り方を覚えていく。
手綱をずっと握ってくれていることも有り、不安と緊張が和らいできたましろ。
やがて、周りを見る余裕が出来たのか、あちこちをきょろきょろと見ていた。
「一度、手を放してみますね」
「ええッ、もうですか?」
「大丈夫ですよ、この子はちゃんと訓練されていますから。滅多なことで暴れたりはしません」
『自転車のようなものです』と、微笑むソラは。
慌てるましろの目の前で、手をぱっと開いた。
とはいえ、完全に離さず、すぐに掴める位置でとどめておいてくれているので。
なんとか落ち着くことが出来たが・・・・。
「背筋を伸ばして、前をまっすぐ見る。それだけでも、ちゃんとしてくれますから」
「は、はい」
背中を叩かれつつ、言われた通りの姿勢を取ってみると。
改めて開けた視界に、ましろは目を見開いた。
「ましろちゃん、乗れたんだね!」
「ゆいさん、はい!」
そこへ、ゆいが鳥に乗ったまま寄って来た。
「パレードに間に合いそうで、よかった」
「うんうん!」
膝には人間態のコメコメが乗っており、すっかりエンジョイしているのがよく分かる。
「鳥さん、おっきくて高いコメー!」
「あはは、うん!結構遠くまで見えるねぇ」
まだまだ自信はないが、なんとかなりそうだとほっとした。
――――その時だった。
ゆいと、コメコメ。
両方のお腹から、グウウッと轟音が鳴る。
「ハラペコったぁー・・・・」
「コメェ・・・・」
『さっき食べたばかりでしょ』と、デリシャスチームが苦笑いした次の瞬間。
「グワアアアーッ!!?」
「え、わ!?わわわわわわわわわッ!?」
「コメーッ!?」
食べられるとでも思ったのか。
とにかく、ゆいが乗っていた鳥が大声で嘶いて、コメコメ諸共に振り落としてしまう。
「グエエエーッ!!!」
「――――あッ」
心配する間もなく。
仲間の大声にびっくりした、ましろの鳥も同じく嘶いて。
「ッきゃあああああああ!!」
「ましろん!?」
「ましろさん!!」
逃げる様に、暴走を始めてしまったのだった。
「――――ッ」
あっという間に走り去ってしまったましろと鳥を見て、一番に行動したのはソラだ。
彼女はまだ誰も乗っていない鳥に駆け寄ると、颯爽と飛び乗って。
「私が追いかけます!!ゆいさんは頼みます!!」
「ソラちゃん!!」
「ハイョーッ!」
あげはが名前を呼んだ時には、負けない速度で走り出していたのだった。
「グワグワ(どうしたどうした?)」
「グエグエ(珍しいじゃん、お前がびっくりするなんて)」
「グワー・・・・(め、面目ない・・・・なんか、こう、食われるって思ったんだ・・・・)」