ヒーローガールは異物入り   作:数多 命

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誠にありがとうございます。


またまたオリジナルストーリーこと、先輩とのコラボ第二弾です。


偽物、第二の試練

「お前の所為だ」

 

倒れている。

 

「お前の所為だ」

 

事切れている。

 

「お前の所為だ」

 

赤く染まっている。

 

「あれも、これも、それも」

 

動かないはずの瞳達が、一斉にこっちを向いて。

 

「お前の所為だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――ラさん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――ソラさん!!」

「――――は」

 

――――思い出したように、呼吸した。

喉がひゅうひゅうと音を立てて、死に物狂いで肺に空気を取り込む。

ここはどこだ/自分の部屋だ。

何があった/寝かされている。

これは誰だ/ましろさんだ。

 

「・・・・ッ」

「あっ、ダメ!まだ寝ててください!」

 

起き上がろうとした体が押さえつけられて、あっという間に戻されてしまった。

 

「動いちゃダメです。ソラさん今、ものすごい熱が出てるんですよ」

「ね、つ・・・・?」

「はい」

 

なんとか意識を保ちながら聞いた話によると。

私は今朝、リビングで力尽きているのを発見されたらしい。

顔周りに嘔吐の跡があるわ、39度もの熱が出ているわで。

慌てて部屋に運び込んでくれたとのことだった。

今日はバイトだったのだが、欠勤の連絡はしてくれたらしい。

 

「・・・・大丈夫ですか?」

 

ましろさんの手が、気遣う様に額に触れる。

ちょうどよく冷たくて、気持ちよさに目を閉じた。

 

「魘されてましたよ」

「・・・・すみません」

 

落ちかけた意識をまた繋ぎとめて、何とか笑顔を作るけど。

彼女の顔が晴れることはなく。

 

「・・・・悪い夢を、見ていたんですか?」

「・・・・そう、ですね」

 

目蓋の重さに耐えきれなくなって。

再び目を閉じた。

 

「・・・・私の」

 

目蓋の裏が、真っ暗になったり、カラフルになったりを繰り返す。

 

「ゎたしの、せいで・・・・みんな、たおれて」

 

ああ、待った。

今隣にましろさんがいて。

ちゃんと、かいわ。

 

「だぃ、じぉ・・・・ぶ・・・・ちゃんと・・・・」

 

ぶつん、と音がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

もはや気絶といっても過言ではない形で、再び眠りについたソラ。

――――リビングで倒れていた彼女を発見したのは、朝が早いベリィベリーだ。

何事かと問いかける焦燥に満ちた声を聞いて、家人たちが次々起きて来て。

一様に、真っ青な顔色のソラを見て、動転したものだ。

額に触れれば火傷してしまいそうなほど熱いし、襟元と口回りには薄くとも明らかな嘔吐の跡。

まごうことなき体調不良であると判断されたソラは、ヨヨとあげはの手で手早く汚れた服を着替えさせられた後。

プリキュアに変身したましろによって、運び込まれたのだった。

 

「・・・・ぅう・・・・ん・・・・!」

 

ましろの目の前。

苦しそうな寝息を立て始めたソラは。

高熱に魘されて、浅く、速く、短い呼吸を始めた。

 

(また、悪い夢を見ているのかな)

 

少しだけ逡巡して、ソラの手を取った。

以前の様に、好転することを期待しての行動である。

だが、呼吸はますます荒くなるばかり。

額には汗も浮かび始めていた。

 

「・・・・か、ら」

 

心配で胸がはちきれそうになっているましろの目の前。

ソラの口が、音を発する。

 

「ちぁんと・・・・ちゃんとする・・・・ちゃんとするから・・・・!」

「ソラさん?ソラさん!」

 

はくはくと、苦しそうに喘ぐ彼女。

名前を呼んでも、起きそうになかった。

そして、

 

「ちゃんと、しぬから」

 

――――飛び出してきた言葉に、ましろの喉が鳴る。

 

「ちゃんと、しぬから。とらないで」

 

ましろが隣にいるとも、己が夢の中に囚われているとも露知らず。

幼子の様な声で、ソラは懇願するのだ。

 

「みんな、とらないで・・・・!」

 

それっきり、言葉らしい言葉を吐かなくなったソラは。

深く、深く、潜る様な呼吸をして。

病人らしい、苦しそうな寝息を立て始めた。

 

「・・・・ッ」

 

その、横で。

手を握る以上のことが出来ないのが、とてもとても悔しくて。

ましろは唇を噛む。

 

(――――終わっていないんだ)

 

分かっていると思っていた、分かっているつもりだった。

贖罪の意志があると認めてもらえて、敵ではないと認めてもらえて。

全部と言わずとも、少しだけでも、元に戻ったのだと。

そう、思っていた。

そうやって、勘違いしていたのだ。

 

(何にも終わっていなかったんだ・・・・)

 

高熱に魘されて、苦しそうに息を吸って。

ベッドに伏せるソラを目の当たりにして。

 

(なんで、気付かなかったんだろう・・・・!)

 

涙を我慢できなかったましろは。

握った手を額に当てて、嗚咽を押し殺す。

 

「ごめんなさい・・・・」

 

長く傍にいたのに、気付けなかった。

 

「ごめんなさい・・・・!」

 

罪悪感に苛まれて、零れていく雫は。

ベッドシーツを濡らすだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高熱でぶっ倒れた三日後ぐらい。

スカイランドから呼び出しが来た。

熱自体は翌日に引いていたし、話を聞くくらいならとお城に向かうと。

やはり、『七試練』の新たな課題のことだった。

 

「――――病み上がりの状態で呼び出してしまい、すまないな」

「いえ、己の立場は十二分に理解していますから」

 

謁見の間で膝をつき、王様と会話をする。

 

「此度お前に課す課題は、彼らだ」

 

促された先へ視線をやると。

ツムジ先輩が抱える籠の中に入った、ネコと、ペンギンと、ウサギ。

・・・・いや、ただのきゃわゆい動物じゃないな?

 

「こんにちはラビ!」

「よっ!」

「よ、よろしくペェ」

 

案の定、当然の様に喋ってるし・・・・。

 

「彼らは『ヒーリングアニマル』と呼ばれる、あちらの世界の妖精らしい」

「そうなんですか?」

「ああ」

 

そこから、ヒーリングアニマルの皆さんも一緒に説明してくれるに、曰く。

あちらの世界のありとあらゆるものには、『エレメントさん』と言われる妖精が宿っている。

だが、彼らも生き物である以上、病にかかることがあるらしい。

しかも、ただの病ではない。

『ナノビョーゲン』という小さな小さな細菌に取り付かれることで『メガビョーゲン』という怪物になってしまうというのが主な症例なのだそうだ。

 

(いや、とってもアグレッシブな症状・・・・!)

 

あちらの世界の事情に慄き、かつ、やっぱりオールスターズ時空なんやなと納得する一方で。

説明は続く。

今ツムジ先輩が抱っこしている、ニャトラン(ネコ)さん、ペギタン(ペンギン)さん、ラビリン(ウサギ)さんの三人は。

そのメガビョーゲンを浄化している最中、このスカイランドに迷い込んでしまったそうだ(ちなみにメガビョーゲンはちゃんと浄化出来たらしい)。

 

「幸い、彼らの迅速な対応により、民に被害が及ぶことはなかった。しかし、世界が違うが故に帰れなくなってしまったのだ」

 

・・・・話が見えて来た。

 

「此度そなたには、彼らが故郷へ帰るための手伝いをしてもらいたい」

 

やっぱりか。

 

「『すこやか市』ってところにまで送ってもらえたら、後は自力で帰れっからさ!」

 

片手を上げて、ニャトランさんが明るい声で捕捉してくれた。

 

「スカイランドの恩人だ。くれぐれも丁重に扱うように」

「は、心して」

 

頭を下げると、ツムジ先輩が歩み寄って来て。

籠ごとお三方を引き渡してくれる。

 

「オレ、ニャトラン!」

「ボク、ペギタンだペェ」

「わたしはラビリンラビ!、よろしくラビ!」

「ソラ・ハレワタールです、よろしくお願いします」

 

籠の中から元気に挨拶してくれるお三方。

終始入ったままなのは、なんかノリらしい。

まあ、とにかく!

新たに課された課題だ。

誠心誠意、取り組むとしようじゃないか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――わたしも行きます」

 

ソラシド市に戻って、新たな課題について話したところ。

ましろさんから、開口一番に宣言された。

 

「と、届けるだけですし、私よりもエルちゃんについてくれた方が・・・・」

「それならすぐに終わりますよね」

「で、でも・・・・」

「いいですよね?」

 

圧が・・・・圧が、すごい・・・・!!

ううん・・・・いや、でも。

仕方ないのかも・・・・。

ついこないだ熱出したばっかりだし、散々心配かけたのは事実だし。

でも、ミノトンが本格的に動き出した今。

エルちゃんの周りは出来るだけ固めておきたいし・・・・。

それこそ、ミノトンでミスリードして、他の刺客が襲ってくる・・・・なんてことも十分にあり得る。

いや、他に誰かいるかなんて知らないけどさ・・・・。

 

「なんか、悪いな。オレ達の所為で・・・・」

「いや、こちらこそ身内のもめごとを見せてすまない」

 

うう、他のみんなにも迷惑かけてる・・・・!

 

「はいはーい!」

 

どうしたもんかと悩んでいると、あげはさんが元気よく手を上げた。

 

「どうせならみんなでいかない?」

「え?」

「だって、ほら。ソラちゃんとましろん、二人で出かける度に何かしらトラブルに巻き込まれてるじゃん」

「アッス・・・・ソッスネ・・・・」

 

水族館然り、おいしーなタウン然り。

確かにあげはさんの言う通り、何かしらトラブルに見舞われているな・・・・。

 

「今回は、本当に届けるだけでいいんでしょ?だったら、みんなで行って、ぱぱっと終わらせてきちゃおうよ!」

「あげはさんの言う通りです、そもそもソラさん病み上がりなんですから」

「備えあれば憂いなしとも言うしな、私も賛成だ」

「おでかけ!!」

 

みんなもやる気満々になってしまっているし・・・・。

 

「いいんじゃねぇか?オレも賑やかな方が好きだぜ」

 

そこへ更に、ニャトランさんも口を開く。

 

「確かに!他所のプリキュアの話も聞いてみたかったラビ!」

「ペェ!」

「オッケイ!決まり!」

 

満場一致、となってしまえば。

私も頷くほかはなく・・・・。

 

「・・・・ゎ、かりました。一緒に行きましょう」

 

ニコニコするみなさんへ、両手を上げたのだった。




そもそもゆいちゃん達をリアルに年取らせちゃってるので、多分オルFはやらないと思います・・・・。
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