各地のレジャーを支えてくれている皆様、大変お疲れ様です。
「あげはちゃん!?バレちゃったの!?」
「いやぁ、その、あはは・・・・!」
「あははじゃないよぉ!」
ぎょっとしたましろが詰めよれば、あげはは気まずそうに視線を逸らす。
「あっ!そっか!ナイショだったんだっけ!?」
「いやぁ、もー遅いぜ・・・・」
そんなあげは達のやりとりを見て、慌てだすひなただったが。
呆れたニャトランに突っ込まれていた。
もう、時すでに遅しなのである。
「――――そっか、やっぱりラビリンだったんだ」
慌てふためく三人を見て、のどかは笑みを零す。
ソラやましろが気付いていた通り、やはり気付かれていたらしい。
「・・・・のどか」
観念したラビリンが、エルの横で口を開く。
「その・・・・」
「・・・・ラビリン、久しぶり」
気まずそうなラビリンとは対照的に、嬉しそうに名前を呼ぶのどか。
「・・・・黙ってて、ごめんラビ」
「ううん、ヒーリングガーデンのこと、あんまり言わない方がいいのは知ってるもん」
しょんぼりするラビリンの頭を、のどかは優しく撫でる。
隠し事されていたことなんて、気にしていない様だった。
「でも、今日は会えてよかった」
「ラビ?」
顔を綻ばせたのどかは、ラビリンのスカーフに取り付けたストラップを指さす。
「そのラベンだるまちゃんのストラップ。ラビリンを思い出して、またここのスタンプ溜めてたの・・・・渡せて、よかった」
「のどか・・・・!」
微笑む『友達』へ、瞳を潤ませたラビリンは。
「・・・・ありがとうラビ」
大切に大切に、ストラップを抱きしめて。
「すっごく嬉しいラビ!」
とびっきりの笑顔を見せたのだった。
「なかよち?」
「ふふっ、うん!仲良しだよ!」
「あーい!」
ぱちぱちよ拍手をするエルに、微笑みを零していると。
あげはが辺りを見渡して。
「そういえばソラちゃんは?一緒じゃないの?」
「ッそうだった!あのね、あげはちゃん!」
零れた疑問に、ましろが答えようとした。
その時だった。
どおん、と。
爆発音。
「うわわっ!?」
「なになになにー!?」
突き上げる様に揺れる地面。
倒れ込みそうになるのを踏ん張って、周囲を見ると。
町中が大騒ぎになっていた。
「っあ、増子くん!」
「花寺さん!?」
逃げ惑う群衆の中に知り合いを見つけたのどかが、大声で呼び止めると。
カメラを提げた青年が、立ち止まった。
「何があったの!?」
「し、森林公園に怪獣が出たそうです!まるで三年前のようだって、大騒ぎで・・・・!」
「怪獣って、もしかして・・・・!」
「あなた達も、速く逃げて下さい!」
青年が走り去っていくのを見送る傍ら。
心当たりのあったましろとあげはは、互いを見合って頷く。
「行こう!」
「うん!」
放置する理由もない。
駆けだそうとしたましろとあげはだったが、
「あーっ!待った待った!」
「ひなたちゃん?」
「のどかさんまで、どうしたんですか!?」
のどかとひなたが、引き止めた。
困惑するましろとあげはへ、二人はにっと笑みを浮かべて見せて。
「道案内するよ!」
「そうそう!二人とも、森林公園がどこかだなんて知らないでしょ!?」
「ッ危ないラビ!今ののどか達は、プリキュアじゃないラビ!」
申し出に、いの一番に反応したのはラビリンだ。
「ラビリンの言う通りだぜ、こればっかりはひなた達でも・・・・!!」
「分かってる」
ニャトランも一緒になってのどか達を宥めようとする。
対するのどかは、一度彼らの心配を肯定してから。
「でも、見ているだけなんてやっぱり無理だよ」
「のどか・・・・!」
「そりゃあ、ニャトラン達は一人前だし、あたし達の手伝いなんてもういらないんだろうけどさ。やっぱり、力になりたいよ」
「ひなた・・・・」
首を振るのどかに、にっと笑って親指を立てるひなた。
そんな彼女達を見たあげはは、花が咲くような笑顔を浮かべて。
「よぉっし!じゃあ頼っちゃおう!」
「あげはちゃん」
「さすがに現場は危ないから、手前辺りまでになるけど・・・・先輩が力になってくれるんだしさ!」
『それに』と、胸を叩いて。
「何があっても、私達が守ればいいじゃん?」
「・・・・うん、そうだね!」
ここで無理に引き止めても、のどか達は止まりそうにもない。
何より、あげはの意見に大賛成なのもあった。
「お待たせ!それじゃあ道案内よろしく!」
「よろしくお願いします!」
「まーっしゅ!」
「うん!」
「まっかせなさーい!」
頭を下げたましろ達へ、頼もしく頷いたのどかとひなただった。
◆ ◆ ◆
「ランビョーッ!ゲンッ!!」
「――――ッ!」
叩きつけを飛びのいて回避する。
大木の様な腕が叩きつけられた箇所から。
やはり、何かよくないものが侵食していくのが見て取れた。
なんだ、このランボーグ。
近くの木を素体にしているというのは、見た目で分かる。
でも、気配は全くの別物だ。
いつものランボーグじゃない・・・・!?
そもそも鳴き声からしてなんか違うし!!
「ランビョーゲン!!」
「ぅわ・・・・!」
薙ぎ払いも回避。
直撃は免れたけれど、風圧に煽られて体勢を崩してしまう。
そこへ足払いが放たれて、もろに喰らってしまった。
「ぐああッ!!」
何度か地面を跳ねてしまったけど、何とか立て直す。
・・・・私一人じゃ、難しそうだ。
意地を張らずに、みんなに頼ればいいのかもしれない。
・・・・だけど。
――――お前の所為だ
脳裏に。
ノイズが、走って。
「ランビョーゲン!!」
「ッしま、があああッ!!」
乱れ撃たれた木の葉のマシンガンを避けられず、全身をくまなくズタズタにされてしまった。
「ぃづ・・・・!」
出血するほどじゃない。
でも、体が思う様に動かない・・・・!
「スカイ!!」
「大丈夫か!?」
醜態を晒しているところへ、ウィングとエクリプスが駆けつけて来た。
手を借りながら立ち上がって、並んで変なランボーグと向き合う。
「ランビョーゲン!」
「なんだ、この気配は・・・・!?」
「明らかにいつものランボーグと違う!特に足元の『あれ』、一体何が起こっているんだ!?」
ウィングの困惑もその通りで。
ランボーグの足元のみならず、攻撃が当たった周囲も侵食されていた。
「ランビョオォーゲエェーン!!」
「むぅ、何が起こっているのか分からんが、その気迫!!闘志!!実に良し!!その力、とくと振るうが良い!!」
「ランビョーゲン!!」
ミノトンにも予想外の事態らしいけど、ランボーグのやる気にほだされちゃってるし・・・・。
どうしたらいいんだ、何が起こっているんだ・・・・!?
「――――キュアスキャン!!」
「・・・・ッ!?」
混乱に終止符を打ったのは。
後ろから聞こえたペギタンさんの声だった。
振り向くと、旅館で会ったちゆさんに抱えられているのが見えて・・・・。
――――って!!!!
「チィッ!?ちちちちちちちちチユサァンッッ!?」
「逃げる様に言っただろう!!」
ものすごく狼狽えているウィングとエクリプスの様子からして、どうやらここに来てしまったらしい。
「ご、ごめんなさい。でも今は!!」
「ペェ!」
ちゆさんの視線を受けたペギタンさんが、一つ頷いて。
「その怪物には、エレメントさんが閉じ込められてるペェ!!」
エレメントさん!?
「この世界の万物に宿っているという、妖精か!」
「多分、そいつを生み出すときの悪いエネルギーに巻き込まれちゃったんだペェ!!」
「それじゃあ、あいつはメガビョーゲンでもあるということなの!?」
「ペェ・・・・!」
「そうか!」
ちゆさんとペギタンさんの言葉を聞いて、ウィングが何かをひらめいたらしい。
「それなら!今のこいつは、ランボーグと、ペギタンさん達が戦ってきたっていう、ビョーゲンズの特性も持っているんじゃ・・・・!?」
「なるほど、それならあの有様にも納得出来るな」
さすが、ウィング。
現状に対する仮説をすぐに立てた。
「ならば、私達だけでは浄化しきれないかもしれない・・・・!!」
「ラビリンさんとニャトランさんの到着を待ちましょう!!」
・・・・確かに。
二人の考えも正しいけれど。
「――――いいえ」
「スカイ?」
貸してくれている肩から離れて、前に出る。
「ここで押さえましょう」
「しかし!!」
「あれが、ビョーゲンズの特性も秘めているというのなら、ラビリンさん達を悠長に待っている暇はないはずです」
――――ざあざあと、自己主張が激しくなる。
倒れた仲間達が、血の海に沈んだ仲間達が。
どうしても、忘れられない・・・・!!
「一刻も早く浄化して、侵食を止めないと!!」
「待ってください!スカイ!!」
「無茶だ!!ロクな作戦も立てていないのに!!」
二人の声を背中で受けながら、飛び出す。
「ランビョーゲン!!」
ランボーグ・・・・じゃないな。
鳴き声から取ってランビョーゲンと呼ぼう。
「漆ノ型 雫波紋突き!!」
とにかく。
拳を真正面から迎え撃って、衝撃を利用して頭上へ。
「捌ノ型 滝壺!!」
「ラァンビョォー!!」
切り落としを、叩き込んだ。
「ああもう!」
「行くぞウィング!あの
「はい!」
「「はああああああッッ!!!」」
ランビョーゲンの姿勢が崩れたところへ、ウィングとエクリプスが蹴りを叩き込む。
大きくのけ反るランビョーゲンだったけど。
「ラァンビョーゲン!!」
ぐわん、とすぐに立て直して。
「ランビョーッッ!!ゲンッッ!!」
「うわぁっ!」
「っ・・・・!」
「ぐっ・・・・!」
一瞬で生やした蔓を、鞭の様に振り回してきたのだった。
掠っただけでも、肌に血が滲む・・・・!
「ぐえっ!?」
「突っ込むなバカ!!連携を取れ!!」
どう攻めるかと考えかけたところで、エクリプスに首根っこを掴まれた。
「未知の相手に無策で近づくなんて、何考えてるんですか!?」
「す、すみません・・・・!」
ひ、非難轟々・・・・!
でも、二人に怒られて、ちょっと落ち着いてきた。
「とにかく、ここから動かさないようにしましょう!僕が注目を引きつけます!お二人は散発を繰り返して、体力を奪い続けて下さい!」
「はい!」
「ああ!」
手短に作戦を伝えたウィングが飛び出して、私とエクリプスもそれに続く。
「ほらほら!こっちだ!」
「ランッ!?ラァンッ!!」
顔の周囲でちらちらと飛び回るウィングへ、思惑通りくぎ付けになるランビョーゲン。
「肆ノ型 打ち潮!」
「ダアッ!!」
その隙に足元へ接近した私達は、人体で言う『弁慶の泣き所』を思い切りド突く。
「ランビョーンッ!?」
目に見えてものすごく痛がるランビョーゲン。
『分かる分かる』と思いながら、私は背後に回って。
「捌ノ型改 滝登り!!」
ぐるぐる回って切りつけながら、肩に飛び乗って。
「雷の呼吸!! 弐ノ型 稲玉!!」
「ランビョォーゲェーン!?」
横っ面を吹っ飛ばしてやった。
直撃を受け、轟音と土煙を上げて倒れるランビョーゲン。
「倒れた!」
「これでしばらくは動けまい・・・・!」
エクリプスやウィングと並んで、ランビョーゲンが倒れているはずの土煙を見据える。
・・・・警戒は、怠らないようにしていたつもりだったけれど。
「っは!」
「足元だ!」
地面が罅割れて、無数の何かが飛び出してくる。
回避する中で見えたのは、根っこ・・・・!?
「木の根を、槍の様にしているのか!?」
「ッ一度退きましょう!数が多すぎる!!」
ウィングが提案してくれたけれど、一歩遅かった。
「逃すな!畳みかけろ!!」
「ランビョーッ!!ゲンッッ!!!」
目に見えて増える根っこの槍。
往なしたり迎撃したりしても、処理しきれず。
「「「うわあああああああッッ!!!」」」
とうとう、喰らってしまった。
「ふんっ!!数が揃わんとこの体たらくか!!なんと情けない!!」
「ぐっ・・・・!!」
「ランビョーゲンッ!!」
ミノトンが高笑いする中。
立ち上がったランビョーゲンが、木の葉の乱射を放ってくる。
「天魔・・・・!」
迎え撃とうとするけど・・・・ダメだ、間に合わない・・・・!
「飛翔・・・・!!」
それでも、直撃だけは免れようと抗いかけて。
「「ヒィーロォーガァールゥー!!」」
「プリズムショット!!」
「バタフライプレス!!」
プリズムとバタフライが、駆けつけてくれた。
私の技と合わさったことで、向かってきていた木の根が一掃されて。
視界が開ける。
「バタフライ!」
「プリズム!」
「遅くなってごめんなさい!」
「みんな、大丈夫!?」
「ええ、何とか!」
二人の肩には、それぞれニャトランさんとラビリンさんが乗っている。
「話はペギタンから聞いてる!エルちゃんはひなた達と一緒だ!」
ひなたって誰?と思っていたら、バタフライが『ごっめん!バレちゃった!』と両手を合わせていた。
どうやらニャトランさんの元パートナーらしい。
何してんすか・・・・。
「ラビリン達も手伝うラビ!」
「お願いします!」
気を取り直して。
並んで体勢を立て直して、再び突撃する。
プリズムの援護射撃を受けながら、ラビリンさんを肩に乗せて疾走。
「ランビョーゲン!」
「ップニシールド!」
枝葉が鞭の様にしなって、襲い掛かって来たけれど。
ラビリンさんが防いでくれた。
半ば滑る様に相手の死角に入り込んで、剣を構える。
「破魔・竜王刃!!」
「ラァンッ!?」
背中を攻撃して、ダメージに怯んだところへ。
バタフライが頭上を取って。
「バタフライプレスゥッ!!」
「ラァーンッ!!」
顔面に技を叩き込んでいた。
な、情け容赦なさすぎでは・・・・。
「スカイ!」
「ッはい!」
駆け寄って来たプリズムと、手を取り合う。
「そっちに合わせるラビ!」
「はい!」
手を握り合って、スカイミラージュを構えて。
「「――――プリキュア!!」」
「「アップドラフト・シャイニングッ!!」」
「ラビリンフラワー!!ラビ!!」
私達の技に合わせて、ラビリンさんが自らのパワーを解き放つ。
花の力で出来た手が、捕らわれているエレメントさんを助け出そうとしたけれど。
「ランビョオオォーッ!!ゲエエェーンッッ!!!」
一度は浄化されそうになったランビョーゲンだったけれど。
奴は雄叫びと共にアップドラフト・シャイニングを振り払って。
あの赤黒いオーラを、噴火の様に噴き出した。
「・・・・ッ」
・・・・まずい。
このままじゃ、プリズムが。
ましろさんが!!
「ラビッ!?」
「スカイ!?」
ラビリンさんを押し付ける様にして、突き飛ばす。
「待って!!スカイ!!」
赤黒いオーラが。
ラビリンさん達の話の通りなら。
万物を蝕む力が、迫りくる。
「破魔・竜王刃!!」
プリズムとラビリンさんを守るべく、技を叩き込んだけれど。
やっぱり、対応していないプリキュアだからか。
すぐに圧されて。
「ッぐああああああああ!!!」
――――後ろに攻撃を通さなかったのは、せめてもの意地。
派手に吹っ飛ばされて、木に激突する。
「スカイ!」
「しっかりするラビ!」
駆け寄ってくる二人の背後から、ランビョーゲンが追いかけてくるのが見える。
「ダメだッ!!来るなッ!!」
――――また、リフレインする。
倒れ伏した仲間達が、血だまりに沈む仲間達が。
守りたいのに、失いたくないのに。
嫌なことだけが、現実になろうとしている・・・・!
「ランビョーゲン!!」
相手のアームハンマ―が、プリズムの頭上に振り下ろされるのが見える。
ダメだ、避けられない。
守れない・・・・!!
「ッましろさん!!」
悲鳴を上げる体を無理やり動かして、飛び出そうとして。
「――――プリキュアッ!!」
誰かの声が聞こえる。
「ヒーリングハリケーンッ!!」
横合いから飛んできた突風が、攻撃を防いでくれた。
『ラビリンフラワー』
ラビリン一人で出す『ヒーリングフラワー』。
ヒーリングアニマルとして成長したラビリンが放つ、拙作オリジナル技である。
ヒープリ編、まだまだ続きます。
次回か次々回には終わらせる予定なので・・・・何卒ご容赦ください(平伏)