ヒーローガールは異物入り   作:数多 命

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スマホ版ハーメルンの、日刊ランキングの仕様が変わったようで。
100位以降も表示されるようになっていました。

と、いう訳で。

5/5の日刊ランキング。
総合150位、二次創作120位を頂きました!!

皆さま、日ごろのご愛読。
誠にありがとうございます!!


偽物、ビンタされる

「――――は」

 

――――意識を失っていたらしい。

目を開けると、プリズムとラビリンさんが心配そうにのぞき込んで来ていた。

 

「よかった・・・・スカイ、起きたぁー・・・・!」

「プリズム?ここは・・・・?」

「――――お目覚めになられましたか」

 

なんとか起き上がると、見知らぬプリキュアが歩み寄ってくるのが見えて。

・・・・どちら様?

 

「初めまして、風鈴アスミこと、キュアアースと申します」

「わんっ!」

「こちらはラテ、(わたくし)のパートナーです」

 

疑問が顔に出ていたのか、柔らかく微笑んで自己紹介してくれるプリキュアことキュアアースさん。

肩には、『ラテ』というらしい、可愛い子犬が乗っている。

 

「話はのどか達から聞きました、駆けつけるのが遅くなってしまい、申し訳ありません」

「ああ、いえ。こちらこそ、醜態を晒してしまって・・・・」

 

どうやら、のどかさんの知り合いらしかった。

 

「あ、ソラさん!」

 

そののどかさん達はと言うと。

まだ逃げていないらしい。

仲間達の介抱をしてくれているのが見えた。

と、のどかさんの視線がこちらを捉えて。

 

「よかった、起きたんですね」

「のどかさん・・・・なんで来ちゃったんですか」

「えっ、その・・・・あはは、ご、ごめんなさい・・・・」

 

良く見ればちゆさんの他に、ひなたさんらしき女の子もいる。

変身出来ないのに、なんで来てしまったんですか・・・・。

見咎めていると、横でアースがしゃがみこんで。

 

「まだ休んでいた方がいいです。あなた方は、あの『ランビョーゲン』の邪な力を受けて、蝕まれていたんです」

「あなた方って・・・・」

 

はっとなって、改めて仲間達を見ると。

まだ目覚めていないエクリプスやウィング、バタフライが。

赤黒いものに侵食されているのが分かった。

ニャトランさん達が治療に当たってくれているようだけど、まぶたは固く閉じられたままだ。

・・・・悪夢に似た光景に。

胸のあたりが冷え込む感覚を覚える。

 

「厳密には、ビョーゲンズの力ではありませんが・・・・人にも自然にもよくないものを浴びてしまいましたから。回復はもう少しかかるでしょう」

 

私とプリズムが比較的早く起きれたのは、アースがプリキュアの技で庇ってくれたからだということだった。

 

「とにかく、あのランボーグ・・・・じゃなくて、らんびょーげん?を何とかしないと」

 

プリズムが、やや警戒しながら周囲を見渡した時だった。

どおん、と。

地面を突き上げるような衝撃。

 

「どこだァッ!?プリキュア!!!隠れるとは卑怯だぞ!!!!」

「ランビョーゲンッッ!!!」

 

続けて、ミノトンとランビョーゲンの咆哮が聞こえる。

・・・・あまり、悠長にしてられないか。

 

「プリズム、アース。このまま皆さんをお願いします」

「え?」

「私が囮になって引き付けるので、その間に治療を!!」

「ま、待って!スカイ!!」

 

プリズムの声を背に受けながら、飛び出していく。

――――あの、悪夢を。

現実にしない為にも。

今は、出来る事を精いっぱいやり抜くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題(駆け抜けろ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私が相手だ!ミノトン!」

「ッやっと現れおったか!!」

 

一目散に駆けつけて、連中の目の前に躍り出る。

周囲はすっかり蝕まれているらしく、よくない気配がそこら中に充満していた。

 

「ランボーグ!()けぃっ!」

「ランビョーゲンッ!」

 

両腕の枝がしなり、周囲を全力で叩きつけていく。

・・・・侵食が進んでいる。

どうにか食い止めないと!

 

「炎の呼吸!!伍ノ型 炎虎!!」

 

剣に炎を纏わせて、ランビョーゲンに斬りかかる。

向かってくる枝を切り捨てて、懐に飛び込む。

 

「水の呼吸!!」

 

呼吸を、切り替えて。

 

「参ノ型 流々舞!!」

「ラァーンッ!?」

 

斬撃を、直撃させてやった。

 

「ラァン!!ビョッ!!」

「・・・・ッ!!」

 

追撃を加えようとする目の前で、胴体から無数の棘が飛び出してきた。

足に掠りながら後退する。

 

「ランビョーゲンッ!!」

 

距離を寄ると、そのまま棘が発射されて。

投げ槍の如く周囲へ次々突き刺さる。

直撃コースだった何本かを切り裂いて、再び距離を詰める。

 

「霞の呼吸!肆ノ型 移流斬り!!」

「ランビョーゲエェーンッッ!?」

 

足元に潜り込んで、刃を振り上げれば。

避けられなかったランビョーゲンは、悲鳴を上げてのけ反るけれど。

 

「ゥゥウウウランビョーゲン!!」

 

ぐわん、と持ち直して。

四方八方から鞭の嵐。

・・・・しまった、避けきれない!!

 

「――――プリキュア!ヒーリングハリケーン!!」

 

後ろから、声と音。

振り返らないまましゃがみこんだ頭上を、援護射撃が飛んで行く。

 

「アース!」

(わたくし)も戦います。エレメントさんが捕らわれている以上、見ているわけにはいきません」

「ッ分かりました」

 

アースと並んで、ランビョーゲンを見据えた。

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

(また、一人にしちゃう)

 

まんじりとも出来ないを抱いて、プリズムは唇を噛み締める。

スカイは一目散に走り去り、アースも後を追ってしまった。

本当は自分も追いかけたかったが、のどか達の護衛をおろそかにできないのも事実だった。

 

「あいたた・・・・」

「ごめーん!情けないとこみせちゃったね」

「何、すぐにでも挽回するだけのこと・・・・!」

 

仲間達も続々目を覚ましている。

援護には、すぐ行ける。

キュアアースという、専門家が駆けつけてくれたのは心強い。

みんなで合流したなら、きっと解決出来るだろう。

捕らわれているというエレメントさんとやらも、助け出せるに違いない。

 

(――――だけど)

 

だけど、果たしてそれでいいのだろうか。

スカイの、ソラの。

ぶり返した恐怖を放置して。

いいのだろうか。

そんなこと言ってる場合じゃないのは分かっている。

そんなことに構っている場合じゃないのは分かっている。

――――それでも。

 

――――ちゃんと、しぬから

――――とらないで

 

心に負った、大怪我を。

再び開いた傷口の痛みを。

苦しみに叫び、のたうち回りたいのを。

死に物狂いで、耐えている姿を。

どうしても、忘れることが出来ない。

 

「――――どうしよう」

「プリズム?」

 

どうにも出来ない不安が、言葉となって零れる。

 

「どうしたら、いいんだろう」

 

仲間達の、心配そうな視線に気づかないまま。

声と肩を震わせて、俯いてしまった。

 

「・・・・ッ」

 

そんなプリズムの有様を目の当たりにしたのどかは。

少しだけ考え込むと。

 

「・・・・ラビリン」

「のどか?」

 

伏せていた目を決意に開いて、ラビリンを見る。

 

「また、プリキュアになれないかな」

「ラビ!?」

 

予想出来なかったわけではない。

しかし、本当に言われると思っていなかった言葉に。

ラビリンは目をひん剥いた。

 

「のっ、のどか!!それは・・・・!!」

「分かってる」

 

慌てて手足をパタパタさせるラビリンに、のどかはこっくり頷いた。

 

「でも、またエレメントさんが苦しんでいて。ラビリン達や、ソラさん達も助けようと戦っているのに・・・・やっぱり、見ているだけなんて出来ないよ」

「のどか・・・・」

 

強い瞳を見せるのどかに、ラビリンはかつてを想起する。

のどかと出会って、初めて変身した。

あの時を。

 

(同じラビ・・・・)

 

困っている誰かの助けになりたくて、自分に出来る事を一生懸命にやろうと決意した。

あの日と同じ、輝き。

そうだ。

ラビリンは、のどかのそんな優しいところに。

心の肉球をキュンとさせたのだ。

 

「のどかっちばっかり、ズルいぞー!」

「ええ、私達だっている」

 

ラビリンを現実に引き戻したのは、ちゆとひなたの声だ。

二人はのどかの肩に手を置くと、頼もしい笑みを浮かべる。

 

「エレメントさんを助けたいのは、同じ気持ちよ」

「せっかくペギタンもニャトランもいるんだしさ!こう、『一日限りの復活ー!』的な感じで、出来ない?」

 

のどかのみならず、ちゆやひなたまでやる気に満ちた目を向けてくる。

 

「ううーん!分かった!!パートナーにそこまで言わせちゃ、答えねえのはヒーリングアニマルの恥だ!!」

「ペェ・・・・!!」

 

根負けしたのは、ヒーリングアニマル達。

そもそも、彼女達の輝かんばかりの善性にほれ込んでパートナーとなったのだ。

勝てる見込みなど、最初からなかったのである。

しかし、問題が一つ。

 

「でも、ヒーリングステッキは持ってきてないペェ」

「アッ!そーだった!!」

「エェーッ!?」

「ヒーリングガーデンに取りに行く暇は・・・・ないわよね・・・・」

 

どうやら、肝心の変身アイテムがないらしい。

せっかくやる気になっていたのに、出鼻を挫かれたヒーリングっどチームが、頭を抱えていると。

 

「える?」

「わふ?」

 

エルの胸元と、ラテの額。

それぞれが輝きを放つ。

 

「えっ、なになに?」

「ぷ、プリンセス!?」

 

ひろがるチームはもちろん、ヒーリングっどチームも困惑しきりだ。

 

「待って、これなに!?」

「わっかんない!」

 

お互いに何も理解出来ないまま、輝きが強くなって。

解き放たれた。

 

「プリンセスーッ!?」

「ラテ様ーッ!?」

 

動揺にシャウトが響く中で、光が三つ又に分かれて。

のどか達も下へ飛ぶ。

 

「こ、これは・・・・!?」

 

思わず受け取った光は。

のどか、ちゆ、ひなたの手の中で。

白いステッキに変化したのだった。

 

「こ、これは・・・・!」

「『ヒーリングステッキ』ラビ!」

「それが、ひなたちゃん達の変身アイテム?」

「うんうん!これでニャトラン達と一緒にやるんだよ!!」

 

バタフライの問いかけに、ハイテンションで答えるひなた。

これで、懸念事項は無くなった。

 

「――――ましろちゃん」

「え?」

 

ヒーリングステッキを手に、ラビリンを肩に乗せて。

のどかはプリズムへ、穏やかに語り掛ける。

 

「これで、わたし達も力になれる」

 

だから。

 

「ソラさんと、思いっきり話してみて」

「――――」

 

見抜かれていると思わなかったのだろう。

プリズムは、驚愕に息を呑んだ。

 

「大丈夫。仲直りの仕方さえ分かっていれば、何度だってぶつかれる」

 

そんな彼女へ、のどかは安心させるように笑って。

 

「仲直りのやり方が分からないなら、私達も探す手伝いをする」

 

仲間達に見守られる中で、手を差し出して。

 

「・・・・ソラさんと話したいこと、あるんでしょ?」

「のどかさん・・・・」

 

差し出された手を前に、俯くプリズム。

・・・・嬉しかった。

頼もしかった。

向けられた優しさが、本当にありがたかった。

 

「・・・・よろしく、お願いします!」

 

零れかけた涙を拭って、のどかと目を合わせたプリズムは。

深々と頭を下げたのだった。

 

「うぃよーっし!」

 

会話がひと段落したところで、ひなたが拳を突き上げる。

 

「話もまとまったところで、改めていくよニャトラン!」

「ニャア!」

「ペギタン、私達も!」

「ペェ!」

 

それぞれがステッキを手に、パートナーと笑い合う。

 

「ラビリン!」

「ラビ!」

 

それは、のどか達も例外ではなく。

 

「みんな、行くよ!」

「うん!」「ええ!」

「ニャア!」「ペェ!」「ラビ!」

 

三人同時に、小さなボトルを構えて。

 

「「「――――スタート!!」」」

 

「「「プリキュア!オペレーションッ!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

大木が龍の様にうねって、津波の様に迫ってくる。

 

「――――恋の呼吸!」

「音のエレメント!」

 

エネルギーを鞭の様に伸ばした剣を振りかざして、

 

「伍ノ型 揺らめく恋情・乱れ爪!!」

「はあッ!!」

 

アースの技と共に、攻撃を迎え撃つ。

大きな隙が出来たのを見つけて、エネルギーを収めて。

 

「雷の呼吸!壱ノ型 霹靂一閃!」

 

飛び込む。

 

「ランビョーゲン!」

 

大木の龍が再び迫って来たので、こちらも再びエネルギーを迸らせて。

 

「恋の呼吸!参ノ型 恋猫しぐれ!」

 

攻撃を斬り捨てる。

 

「壱ノ型 初恋のわななき!」

「ランビョーゲーン!!」

 

刀身を戻さないまま、もう一撃を加えて。

更に蹴りを突き刺して、追い打ちをかけた。

 

「アース!このままアンダーグエナジーを吹っ飛ばします!エレメントさんの救助準備を!」

「はい!」

「バーストオン!」

 

アースの返事を聞きながら、柄のアクセルを握りしめて。

バーストモードに。

 

「全集中・日の呼吸!」

 

剣を、振りかぶって。

 

「陸ノ型 日暈の龍・頭舞い!!」

「ランビョーゲンッ!!」

 

まずは大技で相手の体勢を崩す。

 

「ヒィーロォーガァールゥー!!」

 

轟音と土煙を上げて倒れた相手へ。

 

「スカイ!!ザンバー!!」

 

遠慮なしの一撃を、叩き込んだ。

 

「プリキュア!ヒーリングハリケーン!!」

 

すかざすアースが浄化技を繰り出し、エレメントさんの救出を試みる。

――――だけど。

 

「なっ!?」

「木々が!?」

 

技が当たって、煙が晴れて。

まるでランビョーゲンを守る様に絡み合った大木が、アースの技をはじき返すのが見えた。

 

「ゥゥゥゥウウウウウウウ・・・・!!」

 

グクン、と軋みながら解かれる防御の向こう。

爛々と光る眼が見えて。

――――しまった。

判断を間違えた!!!!

 

「ランビョオオオオオオオオオオゲエエエエエエエエエエンッッッ!!!!!!」

 

次の瞬間には、さっきよりもずっとずっと大規模な『津波』が。

押し寄せて。

 

「がああああああああああああああ!!?」

「ああああああああああああっ!!!」

 

アース諸共に、押し流される。

 

「あ、が・・・・!」

 

クソ、なんでだ。

どうして。

急に強くなりすぎだろ。

何が・・・・!?

 

「――――ぁ」

 

かすむ視界で見渡して、気付く。

蝕まれている範囲が、広がっている。

――――そうか。

所謂『自分のフィールド』が広がったから。

出せる力も桁違いになっているのか!!

クソ、クソ、クソッ!!

普段と違うからって、出し惜しみなんてしたのが間違いだった!

最初から全力を出していれば・・・・!

 

「ふん!ここまでだな!とどめだ!」

「ランビョーゲン!!!」

 

攻撃、来る。

回避、防御。

ダメだ。

せめて、アースだけでも!!

 

「――――プリキュア!」

「――――ヒィーロォーガァールゥー!」

 

まるで、さっきの焼き増しの様に。

後ろから、声がして。

 

「ヒーリングフラワー!!」

「プリズムショット!!」

 

まず、二つの技が『津波』に直撃。

 

「ヒーリングストリーム!!」

「ヒーリングフラーッシュ!!」

 

続けて、また二つの技がぶち当たって。

『津波』を押し返す。

 

「・・・・は」

 

ここでやっと振り向くと。

ひろがるチームの他に、見慣れないプリキュアの姿もあって。

 

「き、貴様ら、何者だ!?」

 

ミノトンの問いかけに、彼女達は勇ましく名乗りを上げた。

 

「重なる二つの花!キュアグレース!」

「ラビ!」

「交わる二つの流れ!キュアフォンテーヌ!」

「ペェ!」

「溶け合う二つの光!キュアスパークル!」

「ニャア!」

 

ああ、この声と気配。

間違いない。

のどかさん達だ。

 

「ッ時を経て繋がる二つの風!キュアアース!」

「わん!」

 

立ち上がったアースも、改めて名乗りを上げて。

 

――――地球をお手当て!

 

ならび立った彼女達は、逆境を吹き飛ばす様に高らかに叫ぶ。

 

――――ヒーリングっどプリキュア!!

 

自分達の、チーム名を。

 

「あれが、のどかさん達・・・・!」

 

まさか見られると思わなかった『先輩』の姿に、息を呑んでいると。

 

「――――スカイ」

「ップリズム」

 

いつの間にか、プリズムが近くに立っていた。

どこか神妙な顔をした彼女は、へたり込んでいた私と視線を合わせる様にしゃがむと。

何かを決意する様に口元を結んで。

 

「――――ッ!!」

 

――――私の、横っ面を。

思いっきりひっぱたいだのだった。




仲間に一喝入れるとなったらやっぱりビンタだよナァ!?()
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