ヒーローガールは異物入り   作:数多 命

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ネコ組のクソデカ感情が本当に本当に好きで、わんぷり17話を何度も見返している・・・・。
まぁじで最高・・・・好き好き大好き・・・・。


偽物、滑走路で

「――――ミノトン!!」

 

展望デッキにとんぼ返りすると、なぜかクッソ厚い炎天下でトレンチコートという格好のミノトンが待ち構えていた。

 

「放送でわざわざ呼び出すなんて、どういうつもり!?」

「――――こうするのだ!!」

 

あげはさんが剣呑に問いかければ、せっかく決まっていたトレンチコートを脱ぎ棄てて。

 

「来たれ!アンダーグエナジー!」

 

ハンディタイプの扇風機で、ランボーグを生み出したのだった。

 

「貴様らがここに来たのは、我を恐れて高飛びをするためであろうがそうはいかん!!」

「ランボーグ!!」

 

ランボーグは早速ファンを全開で回して、乱気流を発生させる。

すると、空がみるみる暗雲に包まれて。

はっきり分かるほどの強風が吹き荒れ始めた。

 

「わはははははははっ!!これで我からは逃げられんぞ!!」

 

暴風吹き荒れる中、勝ち誇って大笑いするミノトン。

・・・・この野郎。

 

「思い込みの激しいタイプみたいだね・・・・!」

「なんてことを!」

「翔子ちゃんは、ママの飛行機に乗るのを、楽しみにしていたんだよ!?」

「――――ましろさんだって、そうです」

 

一歩、前に出る。

 

「ご両親と会うのを、どれほど楽しみにしていたか・・・・!」

 

――――思わず大声が出るほどによろこんで、待ち望んだ。

ご両親との、家族との再会を。

こんな、馬鹿らしい勘違いの極みなんぞで。

邪魔させて、溜まるか!!

 

「行きましょう!」

 

ツバサくんの号令に、全員で頷いて。

変身アイテムを掲げた。

 

 

 

 

「スカイミラージュ!」

「ルナ・グローブ!」

 

「トーンコネクト!」

 

「――――ひろがるチェンジ!」

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

「ぬぅらぁっ!!!」

「――――ッ!?」

「スカイ!!」

 

開幕は、ミノトンによるスカイへのぶちかましから始まった。

スカイは一瞬だけ刀身で受け止めたものの、勢いを殺し切れずに吹っ飛ばされてしまう。

案じたプリズムが手を伸ばすが、空しく虚空を掴むだけに終わった。

 

「傷も十分に癒えたのでな!!肩慣らしに付き合ってもらうぞ!!」

「っち・・・・!」

 

苛立ちを隠そうともしないまま、舌を打ったスカイは。

ミノトンの拳へ一閃を叩きつける。

駆けつけたくても、ランボーグも無視できずにいる仲間達を置いてけぼりに。

両者は展望デッキを飛び出して、滑走路へ躍り出た。

 

「風の呼吸、弐ノ型!!」

 

迫りくるミノトンへ、スカイは剣を振りかぶって。

 

「爪々・科戸風!!」

 

斬撃による烈風をお見舞いした。

 

「ふはは!武威・緋嶺(ヒレ)!!」

 

腕を交差して楽しそうに防御したミノトンは、反撃に貫手。

防御した刀身からは、素手とは思えない音が響いた。

続く二撃目を切り払って、数回技無しで撃ち合うスカイ。

踵落としを、身を翻して避けると。

足運びをそのままに構えを取って、

 

「霞の呼吸、肆ノ型 移流斬り!!」

 

下からの一閃を放つ。

 

「なぁんの!狩毘!!」

「ッ壱ノ型 不知火!!」

 

真正面からの正拳突きを迎え撃つと、また数度攻撃の応酬を交わした。

 

「――――スゲー!本物!」

「相手のおっさんも強いな」

「あれスカイ?キュアスカイだよね?」

「ママ!ぷりきゅあ!すかいだ!すかいー!」

 

攻防は、空港からも見えていた。

距離が離れていると言えど、誰と誰が戦っているかが手に取る様に分かる。

移動・観光、それぞれの理由で空港を利用している群衆は。

噂のヒーローガールを目の当たりにして、色めき立っていた。

 

「他のメンバーはいないのかな?」

「展望デッキじゃない?さっき呼び出し放送やってたでしょ?」

「じゃあ、そっちには近づかない方がいいな」

 

それはそうと、危機管理がしっかりしている人々でもあるので。

自主的に危ないところには近づかないようにするのであった。

 

 

 

 

閑話休題(ここはニチアサ)

 

 

 

 

「――――業致(ごうち)剛忌(もうご)!!」

「拙剣無式・鬼神辟易!!」

 

再び技を技で迎え撃ち、距離を取るスカイ。

ちらりと展望デッキの方を伺えば、扇風機型のランボーグに苦戦しているのが見えた。

とはいえ、こちらも気を抜くわけにはいかない。

ミノトンはまさしく強敵だ。

スカイは苦い顔をして、手繰り寄せる様に剣を構えなおす。

 

「武乱怒・散牙!!」

「ッ丹輝劒訣(たんきけんけつ)流陽凌日(りゅうようようじつ)!!」

 

飛び散る様な攻撃を、同じく手数で迎え撃つ。

キラキラエナジーで戻るからと、周囲が破壊されるのを許容できるかどうかと言えば。

それは全く違うのだ。

逃げ場のない飛行機の中で、巻き添えを喰らってしまった場合。

犠牲が出ないとも限らない。

だから、スカイは守らないわけにはいかなかった。

 

「むう、貴様。飛行機を守っておるな・・・・!?」

 

しかし。

ミノトンの目には、その光景が最初の疑念。

『己を恐れて、逃げようとしている』という疑念を、再び抱かせることになる。

 

「やはり逃げる腹積もりであったか!!」

「ッハア!?」

 

額に青筋を浮かべて怒りを露にするミノトンに、素っ頓狂な声を上げるスカイ。

 

「武乱怒ッ!!戦堕威イィッッ!!」

 

抗議を叩きつける(いとま)もなく。

ミノトンの大技が、足元のアスファルトを抉りながら迫りくる。

 

「――――ふざっけんな!!」

 

見当違いも甚だしい主張に、とうとうスカイも怒号を上げた。

 

「誰が逃げるものか!!誰が隠れるものか!!そんな腰抜けをお前は好敵手としたのか!?」

 

まさしく『堪忍袋の緒が切れた』とばかりの、阿修羅をも凌駕する気迫に。

ミノトンは一瞬だけ気圧されたのち、実に実に愉しそうに笑みを浮かべた。

 

「水の呼吸!!拾ノ型!!生生流転ッ!!」

 

風のような呼吸音を響かせて、水の龍を顕現させる。

そして、ちょうど到達するところだった攻撃の悉くを。

全て、切り捨てたのだった。

 

「――――侮辱するのも、大概にしろよ」

「――――ハハッ!!」

 

暴れかねない己を押さえて、されどもしっかり怒りを伝えるスカイ。

対するミノトンは、愉悦のままに追撃を加えようとして。

 

「――――プリズムショット!!」

「ぬうっ!?」

 

横合いからの攻撃に、勢いを削がれた。

 

「スカイ!!」

「プリズム!?」

 

銃のように向けた指から、ミノトンへ絶えず牽制の光弾を撃ちながら。

プリズムがスカイの隣に立った。

 

「向こうはもう大丈夫なので、応援に来ました!」

「ッ助かります!」

 

プリズムの言葉にちらりと仲間達を見やって、バタフライのミックスパレットで風の流れを読んでいるらしい様を見たスカイは。

頭を振って怒りを完全に諫める。

 

「もう終わらせますよ!」

「はい!」

 

二人一緒に、バーストカリバーを握る。

 

「スカイブルー、バースト!」

「プリズムホワイト、バースト!」

 

大技の構えに、ミノトンもまた同じだけの威力の技を用意し出した。

 

「「――――プリキュア!!」」

焔業(えんごう)・・・・!!」

 

再三になるが、ミノトンは強敵。

スカイもプリズムも、飛行機や滑走路への気遣いは心得ていても。

彼への遠慮や手心など、頭になかった。

 

「「――――アップドラフト・ライジング!!」」

「――――乱舞!!」

 

互いの必殺技がぶつかり合う。

ミノトンの纏う闘気が、片っ端から削られていくのだが。

元々タフだからか、一向に衰える気配がない。

だからと言って、スカイ達が手を抜く理由にもならないが。

 

「「はああああああああ――――ッッ!!」」

「ぬあああああああ――――ッッ!!」

 

両者、一歩も譲らず。

極限まで高まったエネルギーは、とうとう爆発を起こしてしまった。

 

「わ・・・・!」

「・・・・ッ!」

 

咄嗟にマントをかぶせて、爆風からプリズムを庇うスカイは。

ミノトンがいるであろう場所から終始目を離さない。

庇われていたプリズムもまた、風が収まり始めたのを見計らって。

スカイの腕の中から、同じところを注視していた。

 

「――――ぬぅん!!」

 

ちょうど、展望デッキのランボーグも同じく浄化されたらしい。

キラキラエナジーが降り注いで、破損個所を修復していく中。

ミノトンが煙を振り払って現れた。

 

「さすがは我が好敵手よ・・・・次は足枷無く刃を交えたいものだ」

(オメーが来なきゃいい話なんだけどォん!?)

「ミノトントン!」

 

苦い顔をするスカイそっちのけで、大変満足げに頷いたミノトンは。

いつもの呪文を口にして、退却していったのだった。

相変わらずのバトルジャンキーぶりに、スカイが毛虫を見てしまったような顔をしていると。

 

「は、は・・・・~~~ッ!」

 

その横でプリズムの体が傾いた。

 

「ップリズム!」

 

泡食ったスカイが慌てて支えると。

プリズムの全身が淡く光り、砂糖菓子の様にほろほろとほどけ始めているのが分かる。

 

(変身が解けかけている!!)

「ッ失礼します!」

 

判断は早かった。

万一変身が解け切った場合に備えて、マントを使ってプリズムの全体を隠し。

スカイは展望デッキへひとっ跳び。

仲間達と合流し、消耗してぐったりしたましろを。

屋内へ運び込んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

未熟・・・・!

またしてもましろさんに無茶をさせてしまった・・・・!

あそこはアップドラフト・シャイニングでもよかったのに・・・・!

いや、手助けに来てくれたのはありがたいんだけども。

だけども・・・・!

 

「えいっ!」

「ぬわっ!?」

 

そうやって一人反省会をしていると、あげはさんのキンキンに冷えた缶ジュースによる不意打ちを受けてしまった。

 

「まーだ反省会してたの?」

「ぇ、ええ・・・・」

 

缶のプルタブを開けて、白と緑が爽やかなソーダを口にする。

炭酸の刺激と、華やかな甘みが。

濁った頭をクリアにしてくれた。

それでも、やはり自覚してしまうのは自分の未熟さだ。

 

「滑走路の点検で、結局運航(ダイヤ)は乱れてしまいましたし・・・・どうにかして展望デッキに残るべきでした」

「ミノトンが強引なのが悪いんじゃん、私達ましろんのパパとママを迎えに来ただけだよ」

「それは、そうですが・・・・」

 

ちなみにましろさんは、『急激な気圧の変化に参ってしまった』と、空港の医務室で休ませてもらっている。

ランボーグによって、天候が激しく操作されたこともあって。

同じ症状で駆け込んできた人達がいるのも幸いした。

 

「まあ、確かにたくさんの人が困っちゃってるけどさ。でも、ソラちゃんもましろんも、最善を尽くしていたと思うよ」

 

『もちろん私達も!』と、親指を立てて笑いかけてくれるあげはさんのお陰で。

私も肩の力が抜けていくのが分かった。

 

「――――ソラさん!」

 

ほっと一息ついたタイミングで、ましろさんが駆け寄ってくる。

もう大丈夫なんだろうか?

 

「あれ、ましろん!もういいの?」

「うん、もうばっちりだよ!心配かけてごめんね、あげはちゃん」

 

同じ疑問を持ったらしいあげはさんに、溌溂と返事するましろさん。

・・・・うーん。

強がっている様子は、なさそう、かな。

気の流れにも、乱れはない。

ひとまず、目を離さないようにしよう。

なんて決意していると、ましろさんは『それよりも!』と顔をキラキラさせて。

 

「さっき、パパとママから連絡があって、こっちについたって!」

「なるほど!そりゃあ、行くっきゃないね!」

 

あげはさんと一緒に、キャッキャウフフとはしゃいでいるましろさん。

なるほど、元気の基はそれか。

 

「ツバサくんとベリィベリーさんはもう行ってるの!あとは二人だけだよ!」

「オッケィ!」

「分かりました、行きましょう」

 

年相応の無邪気な顔で、私とあげはさんの手を引いて。

移動し出すましろさん。

・・・・いよいよか。

 

(――――ん?)

 

冷静に考えたら・・・・私・・・・。

 

年下の娘さんを手籠めにした挙句(1アウト)

今でもそこそこ苦労する同性愛に走らせて(2アウト)

プリキュアとかいう危険なことに巻き込んでるとんでもねぇ下女(3アウト)

 

数え役満では・・・・?(戦慄)

・・・・いえ、その。

ち、違うんです。

害意はこれっぽっちもないんです・・・・!!

むしろ娘さんは全力でお守りする所存なんです・・・・!!

ただ、黙っていた方がメリットが大きくて・・・・!!

・・・・うん。

頑張る。

墓場まで持っていくつもりで頑張って。

全力で、隠し通す・・・・!!




天野一家が乗った飛行機は、無事出発しました。




すっかり忘れていた解説
『アップドラフト・ライジング』
バーストモードになったスカイとプリズムによる、拙作オリジナル技。
早い話が『ケーキ入刀アタック』である。
やはり激しく体力を消耗し、特にあまり鍛えていないプリズムが倒れがち。
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