ヒーローガールは異物入り   作:数多 命

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やると思った!!!!!やると思った!!!!!(今朝のわんぷり冒頭を見て)






御筆が乗りました故、投稿です。


偽物、無抵抗

「――――あの、隊長。これから何を?」

「ああ、そろそろ説明しようか」

 

山の一画。

連れて来られたベリィベリーが問いかけると、シャララは首元に手をやる。

 

「月十字・・・・!」

「ああ、ルティの魔力が込められている」

 

懐から引き出されたそれに、ベリィベリーが目を丸くすると。

刹那、その周囲に魔力の剣が生成される。

 

「あ・・・・!」

「知っての通り、私は吸血人達との付き合いも長くてな。こいつの扱いもよく心得ている」

 

自在に剣を操ってみせたシャララは、練習用の木剣を抜き放つと。

ぽかんとするベリィベリーに微笑みかける。

 

「この機会に、改めて徹底的に指導する。ついてこい」

 

もう少しだけ驚いていたベリィベリーだったが。

次の瞬間には、にかっと笑って。

 

「ええ、貴女とならどこまでも!」

 

構えを取る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「隊長達も始めたみたいね」

 

遠くから聞こえる戦闘音に目を向けたツムジは、『やりすぎないでくださいよ』と独り言を口にしてから。

改めて、ましろ、ツバサ、あげはの三人を見た。

 

「さて、これは事実確認なのだけど・・・・あなた達三人は弱い」

「うっ・・・・」

「そりゃあ、ソラちゃんベリィベリーちゃんに比べたら・・・・」

「不甲斐ないのは理解していますけど・・・・」

「ごめん、そこまで凹むとは思わなかった」

 

予想以上に落ち込んだ三人。

ツムジは慌てて謝罪を述べた。

 

「あの子達は戦う為の訓練をしてきたんだから、『土台』がしっかりしていて当然よ」

 

フォローを入れて、仕切りなおす。

 

「けれど言い方を変えれば、戦う必要のなかったあなた達は、その『土台』が無い状態なの」

「確かに、基礎がしっかりしていないと、高い建物は出来ませんよね」

「そういうこと」

 

ツバサの言葉を肯定して、両手を打ち合わせるツムジ。

 

「これからあなた達には、その『土台』を作ってもらう。具体的に言うと、体力づくりがメインね」

「なるほどー!」

 

あげはを筆頭に、納得の声を上げる面々へ。

ツムジが微笑みながら、山の方を指し示した。

 

「まずは今どれくらいなのかを見たいから、あの山のふもとを一周してきて頂戴」

「おおー!なんか修行っぽい!」

「道は割かし整っているから、走り易いはずよ」

「はーい!」

 

何はともあれ、ツムジの言うことも最もだ。

まずは体力をつけるべく、三人は駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あ"あ"ー、重てぇ~・・・・!!

でも、何とか慣れて来た。

普段に比べたら遅々としているけれど、ちゃんと走れてる。

予想通り、一周分遅れてしまっているけども・・・・。

実際に走ってみて分かった。

これ以上遅れるのは、まずい。

遅れるだけならまだいいんだけども、ペナルティがネックだからなぁ・・・・。

この状態でスクワットを何百回もやったら、死ぬ(白目)

 

「ふ・・・・ふ・・・・ふ・・・・」

 

呼吸を乱さないように、意識を集中させながら走っていく。

 

「ハレワタール!」

「ッハヤテ先輩」

 

と、ハヤテ先輩が並んできてくれた。

 

「お前、また随分とすげぇのつけられたな」

「はい・・・・!」

「おっと、動くだけでいっぱいいっぱいか」

 

会話すらままならないのを察してくれたらしいハヤテ先輩は。

そのまま話し続けてくれる。

 

「昨日『お前を見極める』って言ってたらしいから、それなんだろうな・・・・とはいえ、度が過ぎる様なら遠慮なく言えよ?俺もびしっと言ってやるから」

「・・・・ッ!」

「ああ、無理して反応すんな。俺も悪かった」

 

気遣い続けてくれる先輩だけど、そのまえにこれだけは伝えたくて口を開く。

 

「あの、先に、行って・・・もらって、構わない、ので・・・・!」

「悪いがそれもお断りだ。こんな状態の後輩置いてくほど、クールじゃねぇよ」

「先輩・・・・!」

 

あ、ありがてぇ・・・・ありがてぇこって・・・・!

本当に、色んな人に支えられているんだなと。

改めて実感する。

そんな人達に報いるためにも、強くならなきゃ・・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やべーのがいんだけど?やべーのがいんだけど!?」

「これの二倍巻きを四つもつけて、立ち上がるどころかさらに動けるってどういうこと・・・・?」

「お前出来る?」

「ムリ」

「キルミラに狙われるだけはあるってことか・・・・」

「すげーんだな、お前らんとこの新人・・・・」

「そういう言われ方するとちょっと複雑・・・・」

「あいつも滅茶苦茶気にしてるから、言わんでくれよ・・・・?」

「一時期マジで見てらんなかった・・・・」

「洗脳されてた分ダメージもどでかいだろうしなぁ・・・・」

「おうよ、とりあえず訓練に集中するわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぶっはぁ!!!」

「お疲れー」

「頑張ったなぁ」

 

一周分だけで済んだとはいえ。

走り込みとペナルティだけで、午前中が終わってしまった・・・・。

やっぱこの錘クソ重てぇよ・・・・。

 

「全身真っ赤じゃん」

「水かけるぞー」

「ぉぶぶ・・・・!」

 

全身熱いと思っていたら、どうやら視覚的にも真っ赤になっていたらしい。

先輩の一人が、桶いっぱいの水をぶっかけてくれた。

あぶぶぶぶ・・・・昭和の運動部で観たやつだ・・・・!

 

「っぷは!・・・・ありがとうございます・・・・」

「いいってことよー」

 

ワンコみたいに余分な雫を振り払って、残りもタオルでふき取ってしまう。

 

「――――ソラちゃーん!」

「みなさん」

 

と、ここでプリキュアのみんなも合流してきた。

あげはさんの声が聞こえたので、そちらを振り向くと。

思ったよりも泥だらけなお三方が。

 

「うわ、ものすごく泥だらけ」

「『受け身の練習』って、ツムジさんにものすごい投げ飛ばされちゃって!」

「そうなんですか?」

「はい!すごかったんです!」

「どこから攻撃しても、すぐに投げ飛ばされちゃって!」

 

ぐい、と身を乗り出したましろさんとツバサくん。

その顔はものすごくキラキラしている。

 

「こっちが怪我しない程度に手加減してくれたし、ツムジさんやっぱりすごい人なんだね」

「ええ、うちの頼れる先輩です」

「――――みんな揃っていたか」

 

はしゃぐツバサくんとましろさんの横で、あげはさんと話していると。

今度はシャララ隊長の声が聞こえた。

 

「隊長」

「ベリィベリーちゃんは・・・・うわ」

 

二人を視界に収めると、片やボロボロ、片や汗一つかいていない涼し気な様子で歩いて来ている。

た、体力オバケ・・・・!!

 

「だ、大丈夫?」

「な、なんとか・・・・だが・・・・!」

 

倒れかけたところを、あげはさんが支えると同時に。

ベリィベリーさんの周囲に、拳型のエネルギーが現れた。

エーッッ!?なにそれ!!

カッコよ!!

 

「エエーッ!?なにこれ!?」

「朝から今まで、みっちり鍛えられてな。お陰でこの通りだ」

「今日一日、月十字(こいつ)の扱いを叩き込むつもりだから、そのつもりでな」

「はい!」

 

『ほあー』と感嘆の声を上げるあげはさんと、達成感溢れるベリィベリーさんへ。

隊長は柔く笑いかけていたのだった。

 

「さて、昼食だ。村のみなさんが炊き出しを行ってくれているらしい」

「そういえばこの匂い・・・・チシューですね」

「スカイランドのシチューだっけ?おいしそー!」

 

気が付けば、馴染みのある匂いが辺りに漂っている。

 

「・・・・ん?」

 

ふと気が付くと、体が軽くなっている。

この錘、どうやら食事時にはオフになるようだった。

 

「食べましょう、午後もたくさん動きますから」

「はい!」

 

歩き出そうとした、その時。

 

「・・・・?」

 

視線を感じて、後ろを見る。

けれど、その先に人影はなく。

馴染みのある木立だけが、風にそよいでいる。

 

(人がいるかと思ったんだけど・・・・)

「ソラさーん!」

 

首を傾げつつも、みんなの下へ行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――握りしめた手が、ぎちぎちと音を立てる。

ずっと探していた仇から、視線を外すことが出来ない。

 

(見つけた、見つけた・・・・見つけた!!!!!)

 

――――あの日。

首都が襲撃された、あの夜。

塵でも払うように、鎧袖一触にされた。

自慢の姉だった。

若くして騎士団の小隊長に任命された。

 

「姉ちゃん・・・・!」

 

形見の短剣に、手を伸ばして。

柄を、握りしめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆   ◆   ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訓練に夢中になっていると、すっかり夜になっていた。

キョーヘン村のお風呂は、各家庭にない代わりに公衆浴場だ。

スカイジュエルのお陰で、沸かす手間もそんなにかからない。

 

「――――たっはぁー!動いた暴れた運動したぁー!!」

 

ひろいお風呂に浸かり、あげはさんは楽しそうに体を伸ばした。

 

「上がったら、マッサージしておきましょう」

「だねぇ、筋肉痛は必至だぁ」

 

解ける様に顎まで沈んだあげはさんを見て、ましろさんがくすりと笑みを零していた。

 

「おふろ、ひろーい!」

「ふふ、ねぇー。広いですねぇ」

 

昼間はお母さん達が面倒を見てくれていたエルちゃんも、私達と一緒に居られて嬉しい様だ。

湯面に浮かべた、赤ちゃん用の風呂桶に浸かって。

とってもご機嫌である。

ちなみに。

ヨヨさんはグラスイーグルの事後処理の為に、地方の主要都市に出かけている。

お疲れ様です・・・・。

 

「あーあ、少年も一緒に入れたらよかったのに」

「さすがにやめてあげてください・・・・」

「あれだけ抵抗すればな・・・・・」

 

ツバサくんは、この後男性陣と一緒に入る予定だ。

・・・・お湯を顔にかけながら、夜空を見上げた。

宝石みたいな星々が瞬いてて、とっても綺麗だ。

 

「そろそろ上がりましょう、男子の入浴時間よ」

「はーい!」

 

ツムジ先輩に声をかけられる。

確かにそろそろいい時間だ。

 

「この後マッサージしたら、もう寝る?」

「みなさんはそうしてください」

 

着替えながらこの後について話し合う。

今日の課題はこなし終えたし、この後はもう寝るだけだけども・・・・。

 

「私はその前に、少し見回ります」

「そんな、ソラさん」

「大丈夫ですよ、キャンプ地を本当に回るだけなので。この辺は地元です」

 

案の定ましろさんには心配されたけれど。

でも、この辺り結構大型の生き物が多いからなぁ。

あのグラスイーグルが牧羊鳥に採用されたと言えど、まだ研修中だしね。

警戒するに越したことはないでしょ。

 

「すぐに戻りますから」

「・・・・それ、なら」

 

とはいえ、ましろさんも納得しきっていない様子。

早めに帰るに越したことはない。

・・・・ない、けど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(それも難しそうだな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――予定通り、キャンプ地の周囲を歩く。

見落としやすい、暗がりなんかを重点的に見て回っていく。

 

「・・・・ッ」

 

背後から物音。

振り返ると。

腹に衝撃と、激痛が走る。

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