BlueArchive -Strive-   作:笹の船

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可能性という名の地獄(1)

 聖園ミカは荒れ狂いそうになる気持ちを必死で押し殺しながら日が暮れたトリニティの校舎内を早足で歩いていた。

 ひょんなことから、今日編入試験を受けた外部の生徒が補習授業部へ入れられたという話を聞いた。

 それを知った瞬間、ミカはナギサがとんでもないことをしてしまったのだと気づいてしまったのだ。

 だから、その真意を問いたださなければならない。だってこのままいけば、ナギサは間違いなくミカの──。

 膨れ上がりそうになる悪い想像を頭を振ることで追い払いながら、ミカははしたないことを承知で大股で歩き続ける。

 向かう先はナギサがいるであろうティーパーティーのバルコニーだ。この時間なら、まだナギサはそこにいる。

 けれど、そんなミカをティーパーティー所属の生徒が制止した。

 

「み、ミカ様! こちらは今ナギサ様から誰も通さないように言われていまして! ですからもしナギサ様に用があるなら──」

 

 用があるなら後で。いつもなら言われた通りにするところだ。けれど、今はいつもとは違う。

 

「悪いけど、急ぎの用事なんだ。ナギちゃんには私から言っておくから、ごめんね」

「ミカ様!?」

 

 なおも制止しようとすがって来るティーパーティーの生徒を無視し、ミカは両手でバルコニーへの扉を勢いよく押し開ける。

 

「ナギちゃん! ちょっと、どういうつも……り……」

 

 ナギサを問いたださなければならない。そんな感情のままここまで来たというのに、ミカはそれを見た瞬間にそれすら忘れてしまうほどの衝撃を受けた。

 ミカの手から離れ、勝手に閉まりつつあった扉が音を立てて閉まる。

 いつもの席に、ナギサが座っている。けれど、いつもと違うのは。

 

「ナギちゃん……? 泣いてるの……?」

 

 まるで大泣きした後かの様に真っ赤に腫れた、ナギサの目元だった。

 その表情は、ミカが来ることなどこれっぽっちも想像していなかったかのように驚きに固まっている。

 けれど、それも一瞬のことだった。ハッとしたような表情をしたかと思えばナギサはミカから顔が見えないように体をひねり、ハンカチで目元をぬぐう。

 そうして改めてミカに向けられた彼女の顔は、いつものティーパーティーのホストの顔だった。

 

「ミカさん。何度も言っていますが、部屋に入る前にはノックをしてくださいと言っているでしょう。ティーパーティーの、それも派閥代表のミカさんがそんなでは私たちの品格も疑われてしまうのですよ?」

「………………何が、あったの」

 

 ナギサのお小言に構う余裕なんてなかった。ホストとしてずっと毅然とした態度をとっていた、あのナギサが。

 あんな目元を真っ赤にするまで泣くなんて、どう考えても異常事態だった。

 そんな異常事態を見られた自覚はあったのだろう。ナギサも、ミカの問いに深く息を吐きながら目を逸らす。

 気まずい沈黙が辺りを支配する。しばらくの間、ミカもナギサも何も言わなかった。

 そんな沈黙を破ったのは、ナギサの方からだった。

 

「……ミカさんには伝えなければならないことが2つ、あります」

「なあにそれ、まさかゲヘナから宣戦布告されちゃったとか?」

 

 重苦しいこの空気を少しでも何とかしたくて、そんな洒落にもならない冗談を言う。

 ナギサがそれで、自分を叱ってくれればいつもの雰囲気に戻るかも、と思ったから。

 けれど、ナギサは叱るでも呆れるでもなくただミカのことを真っすぐと見つめていた。

 

「な、何ナギちゃん? そんなに見つめられたら流石にちょっと恥ずかしいかなー……って。べ、別に嫌っていうわけじゃ──」

「ミカさん、落ち着いて聞いてください。……セイアさんの、生存が確認されました」

「…………………………………え?」

 

 今度こそ、ミカの思考は完全に固まった。

 言われた言葉の意味が理解できない。言葉自体は分かる。けれど、その意味するところを飲み込めない。

 だから、かすれたような声を絞り出すのが精いっぱいだった。

 続いて沸いてきたのは怒り。

 だってあり得ない。百合園セイアは何者かに襲撃され、ヘイローが破壊されたのだ。

 生きているはずがない。ヘイローを砕かれた生徒は、死ぬ。子供でも分かる道理だ。

 だから、ミカはナギサが冗談を言っているのだと思った。それこそさっき、自分がちょっと洒落にならないような冗談を言ったみたいに。

 

「な、ナギちゃん。冗談に使う名前はもうちょっと選びなよ。いくらナギちゃんでもそんな──」

 

 それでも、言っていいことと悪いことはあるはずだ。いくらナギサとは言え、この冗談はラインを越えている。

 そう思って、ナギサに食って掛かろうとしたその時だった。

 

「冗談などではありません。昨日、救護騎士団の蒼森ミネさんから直接聞いたことです。襲撃は事実でしたが、セイアさんは生きていたそうです。ですが、生存していることが知られれば再び狙われる……そう考えて偽装をしていたと。そう、聞きました」

 

 そんな馬鹿な話があるわけない。ミカの心はそう叫んでいた。

 けれども、ミカの理性はナギサの説明に納得していた。確かに、部屋ごと爆破するような襲撃の仕方をしてくる相手にはいっそ死んだと見せかけて雲隠れした方が安全だろう。

 ただでさえセイアは病弱だったのだし、自分たちではちょっと寝たきりになる程度の怪我でもあの子にとっては重大な問題になってもおかしくない。

 でも、だとしたら。どうして今になって生きていたなんて情報が出てきたのか。

 元気になったから? そんなわけはない。だって、セイアを襲った犯人は未だに見つかっていないのだから。元気になった程度で偽装を止めたら、意味がない。

 じゃあ、どんな状況ならそんな偽装を止めてでもナギサに情報を伝えに来るのか。

 そこまで考えて、ミカは猛烈に嫌な予感がし始めた。止めたいのに、嫌な想像が止まらない。

 そんなミカにとどめを刺すように、苦々しい表情になったナギサが再び口を開いた。

 

「今のが、一つ目です。そしてもう一つは……その、セイアさんが失踪……いえ、誘拐されました」

「ゆ、誘拐……? 誰にっ!?」

「ミネさんが言うには、彼は『ハッピーケイオス』と名乗ったと」

「なにその名前。ふざけてるのかな?」

 

 トンチキなネーミングに思わずミカの顔が歪む。それはナギサも同様だったようで、ふと視線を上げればナギサも眉間にシワを寄せていた。

 

「不愉快なお名前であることについては同感です。ですが、問題は名前ではありません。セイアさんの、誘拐手段です」

「セイアちゃん、体弱かったよね? 誘拐するっていうなら、セイアちゃんの立場も考えてあんまり手荒なことは出来なさそうだけど……でも、ミネ団長がいたんならそんな悠長な運び方なんて……」

 

 ミカの言葉にナギサはゆっくりと首を縦に振る。眉間のシワは、女の子がしちゃいけないレベルまで深くなっていた。

 

「ここからが問題なのです。彼は、ミネさんの前でセイアさんのベッドごと消えたとのことです。まるで、魔法でも使ったみたいに」

 

 ナギサの言葉にミカは耳を疑った。そんな馬鹿な、あり得るわけがない。

 魔法みたいな科学が点在するこのキヴォトスにおいても、そんなことが出来るなんて話は聞いたことがない。だってそれは、もし本当なら瞬間移動ではないか。

 だとしたら、ハッピーケイオスはもはや正真正銘の魔法が使えるということにしないと説明がつかない。

 魔法なんてそんな非現実的なもの……。

 

「魔法……シャーレの、先生たち……」

 

 気づいてしまった。魔法の存在を裏付ける、ぶっちぎりの特異点たる存在に。

 現状、少なくともナギサとミカに魔法を解析したり、証明する手段がない。

 けれど、それを使える存在はすぐ近くにいる。ずっと、傍にいた。ジャック・オー先生が何もない所から物を出したり生き物を出現させたという話はミカも聞いたことがある。

 そして、ミカは気づいた。気づいてしまった。ナギサが、何を考えているのか。

 

「まさか、先生たちを疑ってるの? 魔法を使えるのは先生たちだけ。そんな先生たちと、ハッピーケイオスが繋がっている……ナギちゃんはそう考えてるの?」

「他にどんな解釈をすればよいのです? 私も信じたくはありません。ですが、魔法を使える存在は極めて限られています。僅かでも疑いがある以上、私はホストとして慎重にならざるを得ません。今日編入試験を受けた金田メトさんは、現在シャーレ所属の生徒です。彼女が、先生の……ハッピーケイオスの手下ではないと言い切れますか?」

「待って、じゃあメトちゃんの編入テストの結果ってやっぱり……」

「彼女には申し訳ありませんが、ギリギリ不合格ということにさせて頂きました。こんな時でなければ歓迎したところなのですが……必要なことです」

「必要なこと……って、流石にやりすぎだよナギちゃん! そんなやり方──」

 

 ミカの非難はナギサの冷たい声に遮られ、最後まで言うことが出来なかった。

 

「ミカさん。もはや手段を選んでられる状況ではないのです。セイアさんが生存しており、その上で再度襲撃をされた。つまり、敵は私たちへの害意を隠そうともしていません。そして、今度は魔法という私たちでは太刀打ちするのも難しい力まで使ってきた。これ以上後手に回れば、エデン条約の締結どころではないのですよ!? つ、次は……次は私か、あるいはミカさんが……っ!」

 

 これから来るかもしれないその可能性をナギサは声を震わせながら口にする。それに気付いたのか、きゅっと唇を噛んでから深呼吸をした。

 部屋に入った直後のように、ナギサが深呼吸を終えた時にはほんの一瞬前に見せた震えなどどこにもなかった。

 それはミカの目には、まるで泣くのを必死に堪えている子供のように見えた。

 

「こうなった以上、補習授業部にはゴミ箱ごと消えてもらった方が良いですね。何か理由をつけて……」

 

 マズい。これは非常にマズい。ミカの中で警鐘がガンガンとなっていた。

 このナギサの暴挙を通すわけにはいかない。通せば、ミカの目論見もご破算だ。

 

「ま、待って! ナギちゃん、落ち着こう? いくら何でも今いきなり補習授業部を処理するのはマズいよ!」

「ミカさん、言ったでしょう。もはや手段など選んでる場合では……」

「メトちゃんの件なら補習授業部のテストの結果に合わせて対応を決めればまだ誤魔化せる! でも今補習授業部そのものを処理しちゃったらティーパーティーが気に入らない生徒を好きに排除できるなんて噂が立っちゃう! そうなったら学校中がナギちゃんの敵になっちゃうよ!?」

 

 ミカの言葉にナギサは一瞬揺らいだかのように目を泳がせる。

 

「ですが……いえ、ダメです。これ以上時間をかけている場合ではありません。少なくとも目に見える不穏分子だけでも排除しなければ──」

 

 ああ、これはダメだ。感情や小手先の理論だけじゃ止められない。もっと、もっと決定的な何かがないとナギサは止まらない。

 少なくとも、時間を稼ぐ必要がある。ミカは必死に頭を回した。どうしたら、ナギサから譲歩を引き出せるだろう。

 そこでミカはハッとした。そもそもナギサがこんな暴走じみた動きをしているのはセイアが生きていると聞いたからだ。

 けれども、その根拠は「救護騎士団長の蒼森ミネに聞いた」というものだけだ。

 はたして、その情報は本当に信用出来るのか?

 ミカ自身、セイアが生きていると言われてかなりの衝撃を受けた。今の今まで、冷静な判断を失う程に。

 もしかしたら、ナギサもまた同じなのではないか。

 

「ナギちゃん、セイアちゃんが生きてたって話……信用できるの?」

「そ、それは……」

 

 ミカの言葉に、ナギサが口ごもる。その反応でミカはまだナギサが心からセイアが生きていることを信じているわけではないことを確信した。

 

「さっきの話、セイアちゃんが死んだって偽装をしたのは救護騎士団なんでしょ? それで、その救護騎士団が今度は生きてたなんて言ってきたなんて……かなり怪しくない?」

 

 少なくとも頭が冷えた今のミカにはあまりにも怪しすぎるほどに怪しく見える。

 

「しかし、筋は通っています」

「それこそ、そういう筋書きの嘘だったのかもよ?」

 

 ティーパーティーの一人が襲撃された事実を利用し、その生死に関する情報を独占すれば残ったメンバーに揺さぶりをかけられる。

 事実、今ミカとナギサはかなり揺さぶられているのだ。

 

「いいえ、彼女たちにそんな嘘をつくメリットがありません」

 

 けれど、ナギサはそんなミカの考えを否定した。

 

「どうして? 実際救護騎士団の情報に踊らされたナギちゃんは、かなり危ない橋を渡ってるんだよ? そこを突いて、ティーパーティーを失墜させようって腹積もりかもしれないよ?」

 

 ミカの指摘に、ナギサはすぐさま切り返す。

 

「そのつもりであれば、セイアさんが誘拐された事実まで私に明かす必要がありません。これが事実であれ、嘘であれこの情報は救護騎士団にはかなり不利なものです。何しろ『私たちは護衛対象一人守れません』と言っているのですから」

「う……それはまあ、そうだけど」

「肝心な時に組織の幹部を守る力のない団体に信用を置ける方はいません。同様の理由で、シスターフッドなどの他の集団とも連携を取っていないでしょう。連携をとる側から見ても、そんな失態を晒す相手には背中を預けられませんから」

 

 ナギサの説明に、今度はミカが言葉に詰まる番だった。

 そんなミカに、ナギサはやや視線をそらしながら続ける。

 

「それに、ジャック・オー先生はセイアさんと夢で会話したと言っていました。あの言葉が本当だとすれば、確かにセイアさんが生きていたというミネさんの話にも信憑性が増します」

「ちょ、ちょっと待ってよナギちゃん」

 

 ナギサの言葉に、ミカは再び混乱した。

 

「ナギちゃん、今自分が何言ってるか分かってるの? 先生たちを疑ってるのに、その先生の言葉を信じるって言ってるんだよ?」

 

 ミカの指摘にナギサはとうとうあからさまに顔を背けた。どうやら自覚はあるらしい。

 

「そんなことは……分かっています! それでも、本当にセイアさんが生きているという()()()があるのなら、彼女を助けなけばなりません。セイアさんさえ助けられれば、私がどうなっても……」

 

 ナギサの言葉に、ミカはぞわりと身体中の毛が逆立つような錯覚を覚えた。

 それは、怒りだった。何に対してかは分からない。それでも、今すぐ暴れだしたいという衝動に駆られるくらいの強いものだった。

 それでも、ミカは理性を総動員してそれを抑え込む。

 情報が足りない。時間がほしい。

 セイアの件についても、先生についても確認する必要がある。

 とにかく動かなければならない。このままではナギサは破滅してしまう。

 破滅するだけならともかく、こんな破滅の仕方をされてはミカの目論見まで道連れだ。

 そこまで考えて、頭の片隅が何故かざらついた。

 けれど、今はそのざらつきも無視をする。

 とにかく、今すぐにナギサが行動を起こすのだけは避けなければならない。

 であるならば、まずはナギサに取って目下のリスクである補習授業部の動きを鈍らせる必要がある。

 そうすれば、ナギサも今すぐに動くこともないはずだ。

 

「ナギちゃん、補習授業部にかける負荷を上げよう。今って、全員が60点以上取ったら合格なんだよね? それを、80点まで引き上げる。テスト範囲も広げようよ」

「ミカさん、何を──」

「聞いて、ナギちゃん。負荷を上げれば、あそこにいる裏切り者の誰かにとっても都合が悪い。そうなれば、きっとその子も動かざるを得ない。きっと、尻尾を出すはず。先生だって、表向きには補習授業部の皆の面倒を見るって言ってる以上勉強を教えなきゃいけない。負荷を上げれば、先生の行動だって制限できる」

「もし効果が出なかったらどうするつもりですか?」

 

 ナギサの問いに、ミカは微笑を浮かべながら肩をすくめる。

 

「テスト範囲が広がった上にボーダーも一気に上がるんだよ? 今の補習授業部は今日ナギちゃんがいれたメトちゃんを含めて5人。あんなところに入れられるような成績不振の子達が……まあメトちゃんは違うけど……とにかく、いきなり全員80点オーバーなんて無理だよ。いくら先生が魔法を使えたってね」

 

 そんなミカの言葉に、ナギサは険しい表情で首を横に振る。

 

「いえ、それでは足りません。念には念をです。次回のテスト会場はトリニティ学区の外にします。場所は……まあ後で考えましょう」

「うーん……まあ、問答無用で退学よりはマシかな……。問題は、それをいつ告知するかだね。あんまり早いと対策されちゃいそうだし」

「テスト範囲の拡大と合格ラインの引き上げは明日通知しますが、会場の変更テスト前日にします。流石に、前日公開であれば会場の正確な位置を調べることも難しいはずです。そうなれば、ジャック・オー先生と言えど皆さんを連れて瞬間移動するわけにもいかないでしょう。それを受けて彼女らが自主退学するのならそれが最良。万が一3次試験を受ける気ならボーダーを95点まで引き上げてさらに負荷をかけましょう」

「分かった。それじゃあ、私はその間に色々根回ししておくね」

 

 ミカがそう言ってナギサに笑いかければ、ナギサは焦ったような顔で首を振った。

 

「ダメです。ミカさんまでこんな道を外れた行いに巻き込むわけにはいきません。その辺りは私が対応します」

 

 ナギサの言葉に、ミカは胸が苦しくなった。いつからだろう、ナギサがこんな風になったのは。

 こんな風がどんな風だったのか、明確に言葉には出来ない。でも、昔はこんなじゃなかったはずだった。

 それに、別に善意でナギサの手伝いをするという訳でもない。そんな後ろめたさが、ミカの心を締め付けた。

 

「ナギちゃん。私たち、ティーパーティー同士の前に友達じゃん? ちょっとくらいは手伝わせてよ」

 

 そんな後ろめたさをおくびにも出さず、ミカはナギサに再び笑いかける。

 でもきっと、こんな風にナギサに笑いかけられるのも最後かもしれない。

 だとしても、ミカにも為すべきことがある。その為に、今はやるべきことをやらなければならない。

 上っ面だけの笑顔をどう捉えたのか、ナギサはため息を一つ吐いてからミカに困ったような笑みを向ける。

 

「分かりました。では、先ほど言ったテスト範囲の拡大と合格ラインの引き上げについてジャック・オー先生に伝えてくれますか?」

 

 ミカはナギサの考えていることが何となく分かった。

 

「オッケー。生徒会長の一人である私が直々に伝えに行くことで誠意を見せようってことだね」

「はい。メトさんの件は……誤魔化せそうなら誤魔化してください。もっとも、先生のことです。もしかしたら気づいているかもしれません。変に隠し立てするくらいならいっそ素直に認めてしまうのも手ですね。その辺りは、ミカさんの裁量にお任せします」

「うん、分かった。それじゃあとりあえず明日に向けてちょっと作戦会議しよっか」

 

 そう言いながら、ミカは内心で少しだけホッとしていた。

 これで多少の時間は稼げるだろう。

 最早、状況は大きく変わってしまった。それでも、聖園ミカは止まるわけにはいかない。

 止まることが許される段階は、とうの昔に通り過ぎてしまったのだから。

 ならば、やりきってみせるしかない。

 その先に、自分の未来がなかったとしても。




エデン条約編の原型、前提が崩した以上かなり技量を問われる状況になってます。
自分なりに情報を整理して破綻が無いように続きを書いてみます。がんばります。
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