BlueArchive -Strive-   作:笹の船

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話が進まねえし取っ散らかるしで文章書くのってむずいよねってげんなりする一方、書きたいことを書きなぐりまくってるのでまあ気持ちのいいこと。

こんな調子でやっていきます。よろしくお願いします。


プロローグ3

 シャーレまでの道のりは特に問題はなかった。

 途中クルセイダー1号と呼ばれる戦車に乗った不良生徒や札付きのワカモという生徒との交戦があったものの、ワカモはそこそこで撤退。

 戦車は飛鳥の指揮によりその強みである火力と装甲の分厚さをまるで活かせず無力化された。

 

「そんなガラクタで私達を止めようなんて10年早いわよ!」

「同感です。この程度、肩慣らしが精々ですよ」

 

 その上、妙に生徒達の士気が高かったのもある。

 飛鳥としては一体どういうことなんだろうと首をかしげるばかりだったが、フレデリックとアリアはそんな飛鳥に対して肩をすくめるだけで何も言わなかった。

 そんなことがありながらも無事シャーレの部室がある建物についた一行。

 連邦生徒会のリンも間もなく到着するということで、ユウカ達には正面の守りを頼んで飛鳥達は建物の地下へと向かった。

 シャーレの地下室へ入る直前、誰が言うでもなく三人は警戒態勢に入る。地下室から人の気配がしたからだ。

 飛鳥は本を、フレデリックはジャンクヤード・ドッグを、ジャック・オーは2頭身ほどの丸みのあるボディをしたサーヴァントを呼び出す。

 一言も発することなく目を合わせ、ジャック・オーのサーヴァントを先頭に地下室へとゆっくり入る。

 

「……分かりませんね。これでは壊そうにも……」

 

 そこに居たのは先ほど交戦していたワカモと呼ばれる札付きの生徒だった。

 

「あら?」

 

 ワカモが三人の気配に気づき、ゆっくりと振り返る。

 

「やあ。さっきぶりだね」

 

 飛鳥が一歩前に出て微笑みながらワカモへ挨拶する。

 さっきまで敵対関係にあったと言ってもいい相手に対してあまりにも無防備なその姿勢に、フレデリックが思わず声を上げようと口を開く。

 けれど、声を上げるその前にジャック・オーがその口をふさいだ。

 その甲斐があったのかどうなのか。

 ワカモは即座にこちらに銃口を向けるようなことはなかった。

 それどころか、どこか様子がおかしい。先の戦闘の時とはまるで別人のようにうろたえていた。

 

「あ、あの……どうしたんだい?」

 

 飛鳥がとりあえず肩でも叩いて反応を見ようと、もう一歩近づいてワカモに手を伸ばす。

 

「し、し……失礼したしましたー!!」

 

 その手がワカモの肩に届くかどうか、と言ったところで彼女は弾かれたように駆けだして地下室を後にしていった。

 

「……そんなに嫌だったのかな。僕に触られるの……」

 

 空を切った自分の手を見て、ガックリと飛鳥は肩を落とす。

 確かにさっきまで敵対していたけれど、ここまで露骨に嫌われると流石にショックだった。

 

「……? 飛鳥先生、どうかいたしましたか?」

 

 そこへ遅れてやってきたリンが合流した。

 あからさまに落ち込んだ様子の飛鳥を見て怪訝そうな表情を浮かべる。

 そんな彼女に飛鳥は力なく笑った。

 

「いや……何でもないよ。僕みたいな男がむやみに生徒に触ろうとするのはセクシャル・ハラスメントになるってことを忘れていたなってことに気づいてだけで……」

「……何をしようとしたんですか」

 

 飛鳥の言葉にリンの目つきが鋭くなる。

 そんな彼女に対して、ジャック・オーが苦笑いを浮かべながら助け舟を出した。

 

「安心して。ただ単に様子のおかしな子の肩を叩こうとして逃げられただけだから」

「そ、そうですか。私はそれくらい別に問題ないかと思いますが……まあ、中にはそういったボディタッチを嫌う生徒もいるでしょうね」

「僕、普段はクリーンルームにいるからそんなに汚く無いと思うんだけどな……」

 

 自分の両手を見つめながらボソリとこぼす飛鳥に、その場にいた全員が清潔さの問題ではないのではと呆れた視線を投げかけるが、当の本人は全く気付くことはなかった。

 何とも言えない空気になったその場を何とかしようと、リンが地下室の一角へ歩いていく。

 そしてそこに置かれていた何かを拾い上げてから、飛鳥の前まで歩いてきた。

 

「……受け取ってください」

 

 それはタブレット端末だった。ぱっと見、何かおかしなところはないように見える。

 けれど、飛鳥達三人はそれがただのタブレットではないことを本能的に感じ取っていた。

 

「これは……ただのタブレット端末ではないね?」

 

 飛鳥の問いかけに、リンは小さく頷く。

 

「はい。これが、連邦生徒会長が先生に残したもの。『シッテムの箱』です」

「『シッテムの箱』? ……旧約聖書に出てくる街の名前か。随分と旧いネーミングだね」

「古いネーミング……ですか? しかし、実際はアンティークなどではありません。私達にはこれが何なのか分からないのです」

 

 リンの言葉にジャック・オーが首を傾げた。

 

「分からない? 機械なんだから、どこのメーカーが造ったとかあるでしょう?」

「いいえ。製造会社も、OSも、システム構造も、どうやって動いているのかも。何もかも解明できませんでした」

「ただのブラックボックスじゃねえか。何でそんなもんを飛鳥に渡す?」

「連邦生徒会長は、この『シッテムの箱』は先生のもので、先生がこれで失われたサンクトゥムタワーの制御権を回復させられるはずだと」

 

 そう語るリン自身も、それが本当かほんの僅かばかり疑うような素振りを見せていた。

 

「まあ、やるだけやってみたら飛鳥君」

 

 どこか楽観的な声色のジャック・オーに促され、飛鳥はリンからシッテムの箱を受け取る。

 そこからは飛鳥自身も不思議な感覚だった。

 教わっているわけでも、予習しているわけでもない。

 なのに、シッテムの箱の起動の仕方が分かった。

 液晶に光が灯り、少し間をおいてパスワードを求められる。

 

(なぜだろう。僕はパスワードを知っている。記憶にないはずだ。こんな言葉を覚えた覚えはない)

 

 理解できない事象が自身の頭の中で発生しているという現状に、思わず眉間にしわが寄った。

 それでもその手は止まらない。頭に浮かんだパスワードを液晶内のキーボードで打ち込んでいく。

 

 ――我々は望む、七つの嘆きを。

 ――我々は覚えている、ジェリコの古則を。

 

 飛鳥が入力したパスワードは認証された。

 次の瞬間、液晶にはどこかの教室……のような光景が浮かび上がった。

 壁が破壊され、その向こうにはどこまでも続く水平線が広がっている。

 窓のすぐ外には勉強机が乱雑に積み上げられ、残った僅かな机がどこか寂しさを感じさせる。

 そんなわずかに残った机の一つで、幼い少女が一人心地良さそうに居眠りをしていた。

 どこまでも澄んだ青色のセーラー服に白いミニスカート。そしてやはり、頭の上に小さな空色の天使の輪が浮かんでいる。

 ……が、それだけだった。何かプログラムが走っているような表示はないし、アプリケーションが起動しているかのような形跡もない。

 ただ、少女が気持ちよさそうに寝言を言いながら眠っている光景だけが流れている。

 

「ふむ……」

 

 どうしたものか。画面越しだから肩を揺すって起こす、というのは出来ない。

 そもそも、さっきの今で少女に触れるというのはどうにも気が引ける。 

 そうだ、揺らしてみよう。飛鳥はシッテムの箱を上下に揺らしてみた。

 

『あぅ……ぅぅ~ん……』

 

 少女がやや気分が悪そうに顔を歪めてうなった。

 酷いことをしているような気分になってやめた。

 そうだ。音声認識はないだろうか。試してみよう。

 

「お、おーい。少しいいかな?」

『むにゃ……カステラにはぁ……いちごミルクより……バナナミルクのほうが……』

 

 美味しそうな夢を見ているらしい。

 そういえばそういう甘いものはしばらく食べてないような気がした。

 しかし、これではいけない。居眠りする少女を眺めるだけの機械を渡されても困るのだ。

 

「ご、ごめんよ」

 

 飛鳥は最終手段として、少女の頭の当たりを指でタップした。

 少女に僅かに反応があったが、起きるそぶりは見せない。

 もう一回タップする。反応はあるが起きない。

 もう一回。少女の意識が覚醒しそうな気配がする。

 ダメ押しにもう一回タップする。

 ようやく少女が起きた。

 眠そうに眼をこすった少女が、飛鳥の方を見た。間違いなく目が合った。その確信が飛鳥にはあった。

 

『へぁ!? ま、ま、まさか飛鳥先生……!?』

「うん。僕は飛鳥=R=クロイツだよ」

『う、う、うわああああ!? も、もうそんな時間!?』

 

 大声で慌て始める少女に、飛鳥はほんの僅かに体をのけぞらせる。

 そこからは少女の自己紹介が始まった。

 アロナと名乗った少女は自分がシッテムの箱に常駐しているシステム管理者であり、メインOS、そしてこれから飛鳥をサポートする秘書でもあるとのことだった。

 その後、生体認証の為指紋を取らせてほしいとアロナに請われて飛鳥は手袋を外す。

 アロナが突き出した指に自分の指を重ねる様に液晶に指を置く。

 

『うーん……?』

 

 悩まし気にうなるアロナに一抹の不安を感じながら数秒。

 アロナから確認完了の声を聞いて、飛鳥はほっと胸をなでおろす。

 液晶越しとはいえ、年若い少女に触れるのはあまり心臓によくないと再確認した。

 そんな考えを振り払うように小さく頭を振って、飛鳥はアロナに語り掛ける。

 

「それで、アロナ。お願いがあるんだ」

 

 これまで見聞きした情報と状況をかいつまんでアロナに説明をすると、彼女は連邦生徒会長については分からないと返しつつもサンクトゥムタワーの制御権の復旧自体は可能だと言った。

 飛鳥が復旧を依頼すると、少しした後に薄暗かったシャーレの地下室に電気が灯る。

 

『先生。サンクトゥムタワーの制御権を無事に回収できました。今サンクトゥムタワーは、私アロナの統制下にあります』

 

 それはつまり、飛鳥の一存でキヴォトスを好きにできるということとイコールだった。

 今なら何でも飛鳥の好きにできる。キヴォトスを生かすことも、滅ぼすことも。

 そこに生きる人々の希望となることも、絶望になることも。

 飛鳥が求める世界平和の実現も簡単だろう。

 けれど。

 

「アロナ。サンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会へ移管することは可能かい?」

『はい! 先生が承認してくれれば問題ありません!』

「じゃあ、お願いするよ」

 

 それは飛鳥が求める形の世界平和ではない。

 飛びぬけた力を持つ一人が支配することでなされる世界平和など、必ず破綻するのだから。

 ほどなくして、飛鳥を見守っていたリンが懐の端末でどこかと連絡を取り、サンクトゥムタワーの行政管理が再び進められるようになったことを報告してきた。

 混乱を収めてくれたことへの感謝の言葉に飛鳥はややぎこちなく微笑む。

 

「それでは、連邦捜査部「シャーレ」をご紹介しますね」

 

 飛鳥達を連れながらリンがシャーレについて色々と紹介してくれるのを聞きながら、飛鳥はこれからについて考えていた。

 突然の異世界。よく分からない状況。流されるままにここまで来てしまったが、ここからはそうはいかない。

 たった今全てを解決できたかもしれない絶大な力を投げ捨てたことで、これからたくさんの困難が飛鳥を待ち受けているかもしれない。

 だからなんだというのか。

 

「つまり、シャーレの仕事は先生方がやりたいことやって良い……ということですね」

 

 いつだって飛鳥は……飛鳥達は目の前の困難に対して足搔いてきた。

 今回も同じだ。いや、正確に言えば今回は今までと違う。

 

「へえー? やりたいことなんでもやっちゃっていいの?」

「ったく……めんどくせえな」

 

 世界で何よりも大切な親友達が傍にいる。

 

「フレデリック、ジャック・オー。僕らはどうやら知らない世界に来てしまったみたいだ」 

 

 静かに暮らしていてほしかった。彼らを困難から守らなければならない。

 今度こそ、絶対に二人が引き裂かれるようなことはあってはならないのだ。

 だからこそ、今回動くのは自分だけで何とかしよう。そう心に決めてフレデリックとジャック・オーをまっすぐと見つめる。

 

「だから、僕が帰る手段を見つける。見つかったら君達は元の世界に帰るんだ」

 

 決意を胸にその言葉を口にした飛鳥に対し、フレデリックとジャック・オーは揃ってため息を吐いた。

 直後、飛鳥の鳩尾に強烈な衝撃が走る。

 

「うぐぅっ!?」 

 

 痛みの余りにうずくまると、上からフレデリックの呆れたような声が降ってきた。

 

「てめえは馬鹿か。そう言われて俺がはい、そうですかと大人しくしてると思ってんのか?」

「フレデリック……殴ることはないじゃない。……でも、私も同感よ飛鳥君」

「フ、フレデリック……ジャック・オー……」

 

 痛みに顔をしかめながら顔を上げると、二人が仕方がないというような笑顔を浮かべていた。

 

「まあなんだ。久々に三人集まったんだ。あの頃みてえに色々やるのも悪くねえだろ」

「あ、それはいいけどちゃんと寝なさいよ貴方達。放っておくと夜通し働いてるんだから」

「ははは……努力はするよ」

 

 そうして、三人は笑い合った。

 遠い遠い昔にそうだったように。

 

「さて、それじゃあ始めましょうか。私達の青春の続きを!」

「おい、流石に青春って歳でもねえだろ」

「うん、ちょっと厳しいかもね……」

「ちょっと! 二人ともノリ悪いわよ!」

 

 こうして、飛鳥達はシャーレ所属の先生として新たな日常を送ることになった。




フレデリックは飛鳥に対して結構遠慮なくズバズバモノを言ったり手が出たりすると思ってます。
もちろんちょっと気に入らないからと殴るということはないでしょうが、飛鳥が問題を一人で抱え込もうとしたりするのを察知したら問答無用で殴りに行くと思います。
GGSTの対戦でもソルが勝つと「今のはアリアの分だ、俺のじゃねえ」っていうので割と飛鳥が無駄に自己犠牲めいたことをしようとすれば、昔好き放題されたということを口実に殴って止めると思います。

多分フレデリックとしてはもう飛鳥のことは許してるはずです。安らぎを得られるのは人が罪を赦した時だから。
飛鳥への復讐心で生きてきた百年以上もの時間。その最後にホワイトハウスで飛鳥に敗北して種を抜かれたその瞬間に、ソル=バッドガイはギアメーカーを本当の意味で赦してフレデリック=バルサラと飛鳥=R=クロイツというかつての関係に戻れたんだろうなと思ってます。
だからこそ、親友が今度も一人で何かを背負おうとしようものなら馬鹿野郎と怒るんです。
そんなフレデリックの気持ちを言葉にしなくとも感じ取れるから、ジャック・オーはフレデリックの飛鳥に対する過激な方法にも口では咎めるもののあまり強く止めたりはしないだろうなって。

今作では飛鳥がフレデリックとジャック・オーに対し僅かに作っている遠慮というか壁みたいなものも完全になくせるようになる仮定とかその辺も描けたらいいなーとか思ってます。
忘れたらそんなものはないってなるけど。
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