「ちょぉぉぉぉぉおぉ!? 何これぇっ!!」
「なんで剣から火柱が出てくるの!?」
「しかもこっちに向かってきます! これは避けなきゃダメな奴です!」
ゲーム開発部の三人がそれぞれ悲鳴をあげながら蜘蛛の子を散らすように散開する。
その直後に三人がいた場所を大きな火柱が通り過ぎていったところで地面に焦げ跡を残して消えた。
「ガンフレイム! ガンフレイム!! ガンフレイム!!!」
「わああああまた撃ってきた!!!」
「うっっわっ!? さっき
「やっぱり魔王です!! フレデリック先生は魔王です!!」
散開したモモイ、ミドリ、アリスに向けて再びガンフレイムを放つフレデリックを、そして彼の放ったガンフレイムがアリス達にやられて動かなくなったドローンを木っ端みじんにするのを見て、若干涙目になりながらアリスが悲鳴まじりの叫び声をあげる。
「逃げるだけなら光の剣は置いていけ。ソイツは腰抜けに扱えるような
肩をすくめながらジャンクヤードを肩に担ぎなおすフレデリックを見ながらも、飛鳥は特に彼を止めようとは思わなかった。
今のところフレデリックもちゃんとゲーム開発部相手に手加減をしている。ガンフレイムの威力は
いくらキヴォトスの生徒が飛鳥達の知る人間よりも頑丈であったとしても、下手に光の剣の直撃を受ければ大怪我になる確率の方が高いだろうと飛鳥は見積もっていた。
とはいえ、見積もりは見積もり。実際のところどれほどの火力であるかを見てみないことには正しい運用方法を確立することも出来ない。
そして、フレデリックが相手であれば今のアリスがどれだけ光の剣の火力を上げたとしても絶対に大事故になることはないだろう。フレデリックに対して思うところがあったのも確かだけれど、そういった信頼があってこそのボス役抜てきでもあった。
(さて、彼女達はどう出るかな)
エンジニア部が用意してくれたドローンの撃破までは順調だったモモイ達だが、フレデリックを相手取ろうとした瞬間に放たれたガンフレイムに余程驚いたのか若干及び腰になっていた。
「来ねえのか。なら、
モモイ達から攻めの気配を感じられなかったことにしびれを切らしたのか、フレデリックが首に手を当てながら左右に振ってゴキゴキと音を鳴らす。
直後、フレデリックがモモイ達めがけて弾丸のように飛び出していった。
「こっちきたあああ!?」
凄まじい勢いで彼我の距離を詰めてきたフレデリックに驚いたモモイが
「チッ……」
しかし、それが逆にフレデリックにとっては厄介なものだった。
狙いの定まっていない銃から大量の弾丸が吐き出されるということは、その弾道を読むのはほぼ不可能ということに他ならない。
いくら飛鳥の防御障壁があるとはいえそれがダメージをゼロにしてくれるわけではなく、相応の衝撃と痛みが伴う。
故に以前のように撃たれながら強引に攻め込もうとして立て続けに銃弾を食らおうものなら、いかに痛みに馴れているだろうフレデリックであっても動きが止まってしまうのは道理だった。
それが分かっているから、フレデリックも舌打ちと共にジャンクヤードを盾のように構えて直撃になり得る弾を防いだのだろう。
「ッ! アリスちゃん、今がチャンスだよ!!」
だが、隙は隙である。フレデリックに気圧されていたミドリがそれでもモモイの作った千載一遇のチャンスを見逃さず、僅かに震えた声でアリスへ合図を出しながらフレデリックに向かって発砲し始める。
フレデリックもこのままやられるものかと隙を窺う為に盾代わりにしているジャンクヤードから僅かに顔をのぞかせようとするが、
「ミドリ、そのまま魔王先生を抑えてて! アリス、フルパワーだよ!! 先生を倒すにはそれしかない!!」
ミドリのフォローにより身動きが取れないフレデリックを見てモモイが二人に指示を出しながら撃ち尽くしたマガジンを放り捨ててポケットから予備のマガジンを取り出してリロードする。
その横でアリスが光の剣を構えてエネルギーの重点を始める。
「えっと……フルパワーまでどのくらいまで溜めてればいいかアリス分かりません!」
「え、えええええ!? どうするの!?」
「どうするもこうするも、アリスが準備出来るまで私達で頑張るしかないよ!」
しかし、その当のアリスから何とも頼りない言葉が発せられた。しかし、一体誰がアリスを責められようか。
アリスが光の剣を欲しいと言ってからこのデモンストレーションが始まるまでものの数分だ。ブリーフィングらしいものも全くなかったし、光の剣に対する細かい仕様説明をする時間もなかった。
そもそも、エネルギー充填が出来るということすら誰もアリス達に教えていなかったようにも思う。というか飛鳥も知らなかった。
思わず傍で一緒に観戦しているエンジニア部の生徒達の方へ顔を向ければ、皆揃って得意げな顔をして頷いていた。
「ビーム砲と言えばやっぱりエネルギーの充填による威力の底上げはロマンですよ!!」
「うん。ロマンは何よりも大事」
「正直光の剣だけで予算の大半を使い切ったのは誤算だったけど、それでも私達の求めるロマンはちゃんと形になったと思っているよ」
「……なるほど」
飛鳥は少しだけウタハ達のことが分かったかもしれない気がした。彼女はきっと、フレデリックとものすごく話が合うだろうと。
それはまあ後で考えるとして、今はデモンストレーションの方である。
「ところで、光の剣が限界までエネルギーを溜めるのにどれくらいかかるんだい?」
飛鳥の問いにウタハがアリスの方を見ながらあごに手を当てて答えた。
「そうだね……チャージを始めてそろそろ30秒だから……大体20秒弱ってところかな」
「ふむ……ならこのくらいかな」
ウタハの予測と飛鳥は光の剣の銃身が放つ光の具合などを基にして、即座に限界までの時間を求める。普通の人間には極めて難しいソレを、飛鳥は片手間で行いあまつさえ魔法のディスプレイをアリスの真横に表示させてフルチャージまでの時間を彼女が確認できるようにまでした。
「……先生達には驚かされてばかりだよ。それも魔法かい?」
「そんなところかな。……積もる話は後にしようか。デモンストレーションもそろそろ終わるしね」
そう言って飛鳥が視線を向けた先では、アリスを止めようと突撃してくるフレデリックをモモイとミドリが必死に妨害しているところだった。
「飛鳥先生のシールド硬すぎじゃない!? 結構当ててるのにあの魔王止まらないんだけど!?」
「喋る暇あったら撃ってお姉ちゃん!! 撃たなきゃ抜かれちゃうよ!!」
「オラァッ!」
「ぎゃぁああああっ!!? あっぶないんだけどおおおおおお!!」
泣き言を言いながらモモイがフレデリックから目を離したその一瞬の隙を突いて、フレデリックはジャンクヤードを持ち上げて
絶叫しながらなんとかそれを避けつつ銃を乱射するモモイに対して、部室の地面をそれなりに凹ませて突き立ったジャンクヤードの裏に体を滑り込ませながらフレデリックは身を守る。
しかし、それはモモイ達にとって好都合だった。彼女達の目的はアリスの攻撃準備が整うまで時間を稼ぐことだからだ。
けれど、それをフレデリックが理解していないはずがない。
「モモイ、ミドリ! あと5秒です!」
「よし、このままいけば──」
「残念」
勝利を目前にした一瞬の気の緩み。それを見逃すフレデリックではない。
防御障壁を展開する為のリソースがまだわずかに残っていることに気づいていたのかいないのか、フレデリックは盾にしていたジャンクヤードを左手で急所を防ぐように持ちながらアリスの前で銃を構えていたモモイとミドリ目がけて
「「──!!!」」
フレデリックの有り得ない姿勢と速度の突進にモモイとミドリは反応が出来なかった。
けれど、時はモモイ達の味方だった。
「魔力充填100パーセント……行きます!!」
「クソ、間に合うか……!?」
モモイ達の背後からアリスの自信に満ちた声がしたと直後、
その光は狙いを外すことなくフレデリックが構えたジャンクヤードの中央に突き刺さる。
「「「いっけええええええええっ!!」」」
アリス、モモイ、ミドリの想いを乗せたレールガンの一撃がそれに応えるようにひときわ大きな光を放つ。
次の瞬間、エンジニア部の部室は閃光に包まれたのだった。
GGSTシーズン4始まりましたね。
ソルの使用感がガラッと変わって大分しんどい思いをしてます。
でも可能性は感じるので、別キャラに乗り換えとかしないで頑張っていきたい。
今年の抱負は年内にエデン編突入でした。現状のペースでは不可能なんですが、何とか巻き返しをしたいところです。
来年はGGSTアニメも来ちゃうし。