園長をPKしたのは良いものの肝心のサンラクを取り逃がした。
そのため鉛筆から再び逃げたサンラクを追うように指令が出されたのでヤツを追うことになった。
まぁどうせ逃亡先は兎御殿である。焦る必要はあるまい。
僕はゼッタと一緒に街で買い出しをしてから兎御殿に移動する。
「お兄ちゃん、ゼッタはお姉ちゃん達に用事があるから少し離れるね」
「了解、気を付けてね」
「はい!」
どうやら用事があるらしいゼッタはどこかへ行ってしまった。なので僕は一人で目的の場所である闘技場に向かう。どうやらサンラクは試練に絶賛挑戦中らしい。
彼が今挑戦してるのは最後の一体、妄執の樹魔である。確かヤツはレベル120はあったはず。
そんなヤツ相手にレベル20程度のサンラクが耐えれてるだけでもおかしい。
周りを見てみるとヴァイスアッシュの師匠がいたので挨拶をする。
「久しぶりですヴァイスアッシュ師匠、あれは新入りですか?」
「おう、久しぶりだなぁランスロット。あいつぁ最近うちに来たサンラクってやつだ」
「なるほどサンラクですか、どうやら僕の主の探し人っぽいですね」
「そりゃ偶然だな、あとで話してみると良い」
しっかり許可は貰えたな、何も言わずに連れ去ったら流石に好感度が下がるかもしれないので許可は取っておいた方がいい。サンラクよ逃げ道は断ったぞ...
「武器奪いは世紀末の嗜みぃ!」
なんかサンラクが叫んでいる。どうやら妄執の樹魔から武器を奪い取ったらしい。
確かに世紀末は他人の武器を奪うのは基本事項だけれども嗜みかと言われたら同意は出来ない。アレはどっちかというと嗜みではなく無意識で行えるようにする習慣だろうに。
サンラクは武器を奪い取った後そのまま妄執の樹魔から逃げ続けた。
「おう、五分だ」
「よっしゃあ!」
妄執の樹魔の全範囲からの攻撃を避けきった所でサンラクは師匠から試練のクリアを伝えられる。原作通り師匠が妄執の樹魔を瞬殺するのかと思ったらこちらに声を掛けて来た。
「おい、ランスロット。お前さんコイツにてめぇの強さを示して見せろ」
あっれれ~おかしいな~どうして僕が戦うことになってるんだろう。多分ここで断ったらヴォーパル魂の値下がるんだろうなぁと思いこの義務を果たすため闘技場のフィールドに降り立つ。サンラクがこちらを見て「どうしてお前がここに居るんだ」みたいな表情をしている。満足。
僕は斧をストレージから取り出し妄執の樹魔の前に構える。
「師匠、僕のヴォーパル魂を見ててください」
ロールプレイしないとやってらんねぇ!
妄執の樹魔は新大陸産のレベル120のモンスター。今現在、レベル99の僕にとっては一応格上にあたる存在。
なので初っ端から出し惜しみせずにスキルを使う。
「ヴオオオオオオオォォォォォォォォォ‼」
「蛮族の咆哮」を使用し、スタンを掛けつつ自分にバフを掛ける。
上昇したステータスで肉薄し斧で妄執の樹魔を薙ぎ払いダメージを与える。う~ん渋いな...スタンが解除された妄執の樹魔は魔法を打って来たのでそれを最小限の動きで回避、そして伸びてきている蔓を切り裂きスペースを確保する。
次に僕はマジックスクロールを用いて妄執の樹魔に雷の魔法である「ライトニング・スピア」を使用する。雷と同じ速度で放たれたその攻撃は妄執の樹魔の体に命中する。
こっちは通常ダメージぐらいは入るのか。
この見た目で物理耐性に強くて特殊耐久に弱いってこと?謎だな...
という事で僕は愛用の斧をストレージに仕舞い新たな斧をストレージから取り出す。
黄金に煌めく装飾が施された斧、名前は『ラブリュス』。アマゾネスの女王が所有していたものだったがクエストをクリアし報酬として譲ってもらったネームドウェポン。有する能力は単純なものであるが強力。
「死に晒せ‼」
大きな音と眩い光が妄執の樹魔を襲う。すると妄執の樹魔にダメージが入ったようで動きが鈍くなる。そう、このラブリュスが有する特殊能力は雷を纏う事。
この能力は単純でありながら強力な能力であり、斬撃属性しかない斧での攻撃に属性攻撃を付けてくれる優れものなのである。そのまま僕は攻撃を続ける。
妄執の樹魔も僕に負けまいと攻撃に熾烈さを増す。
本体の放つ魔法攻撃のみならず自身から生えている蔓でも機動力を奪わんと手足を狙い拘束してくる。それらをステップワークで回避し蔓を断つ。結構動きとしては限界に近い。
妄執の樹魔に攻撃を当てているがHPを中々削りきることが出来ない。多分このままだとじり貧で負けそう。
一撃、強力な奴を入れたい。どうやって入れよう?
タイミングを伺いつつ回避を続行。なんか最近こんなのばっかな気がする。
僕は妄執の樹魔が蔓を伸ばしたタイミングでスキル「風路疾走」を使い素早く移動する。
このスキルは僕の持っているスキルの中で最も速く移動できるもので格上の妄執の樹魔でも捉えることが出来ない。
「僕のHPをもってけ泥棒、肉断斬骨‼」
接近してから欠かさず次のスキルを発動させる。
勝負は一瞬、行くしかない‼エフェクトがラブリュスを包み込み真っ赤な斧が出来上がる。そしてそのまま斧を妄執の樹魔に叩きつけるように振り下ろす。その攻撃は妄執の樹魔の体の当たった部分を吹き飛ばした。
その代償として僕のHPの半分以上が無くなり一気に減りスタミナも全消費し無くなる。
「よくやった、ランスロット。それでこそ俺等の弟子ってもんよぉ」
師匠の言葉を聞き妄執の樹魔の方を見るとそこに残ったのはヤツの残骸だけだった。
師匠に褒められたのはありがたい限りだ。
けれど妄執の樹魔が近距離系だったら簡単に死んでただろうし今回は相手との相性が良かったのだろう。
「おい、ランスロット。どうしてお前がここに居やがる」
少し気分に浸っているとサンラクがこちらにやってきた。
僕が戦ってる間に逃げればよかったものの変に律儀である。
てか俺のことエムルから聞いてないのかよ...
「そりゃこのユニークの第一発見者は僕だからな、二番目のサンラク君」
「Nooooooooooooo‼」
どうやら彼は最初の発見者だと思ってたらしい。悔しがって地面に伏せてしまった。
ドンマイや、どんなに言われても俺の方が早い。
「まぁ、これから頑張れば良いんじゃない二番目くん。あっさっき項垂れてるときに手錠掛けといたから逃げようとしてももう無駄だよ」
「お前やっぱり性格的に鉛筆の部下だよ」
「アレと一緒にすんな」
甚だ酷い勘違いである。僕とペンシルゴンは全く異なっている。
アレと性格が同じとか言われたらそいつも終わってるヤツだと思う。いや、やっぱり少し嬉しいかも...
スキル:『風路疾走』
「疾走」という汎用スキルの進化スキル。
名前の通り風の路を走る事の出来るスキル。
風が発生した場所をなぞるように移動することが出来る。
また速度に関してはAGIの値×その時の風の強さによる変数で決定する。
ランスロットは斧取得クエスト時に「風路視覚」というスキルを必要に駆られ取得しておりそのスキルを連結させた。
移動距離と速度によって消費されるスタミナは異なる。