鉛筆騎士の腹心   作:姉小路

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課題を溜め込むのは良くない事だと学びました。


墓守〜
新月に向けて


あれから数日経ち金策が終了したという訳もなく、ただひたすらエレメンタルゴーレムを狩り続けていた。これの何が一番の苦痛なのかというと自分で戦闘を行うことが出来ない事である。でも、僕がいないとゼッタは付いて来ないので洞窟にくるしかない。僕だって戦いたい...

そんなこんなで僕はゼッタと共に今日も今日とてエレメンタルゴーレムを狩り続けている。

そろそろ今日の分だけで一億マーニに達しようという時ペンシルゴンからメッセージが来ていた。どうやらカッツォ君に会ったらしい。そのままウェザエモンとの戦いに参加させるとのこと。

まぁカッツォ君がいないと僕では麒麟を抑えることは出来ないだろうし妥当である。それに僕はペンシルゴンの願いは基本聞き入れるような体の作りになっているので問題なし。

次の満月はあと二日後、そこからさらに新月まで15日、準備出来る期間も長いわけではない。

なので金策を終え阿修羅会潰しのため準備を始める。

前回サンラク争奪戦の際、丁度いい機会だったために今までの私怨を込めて園長をPKしてしまった。今ではこれについて少し後悔している。何故なら僕のカルマ値を減らす必要があるからである。僕の阿修羅会潰しでの役割は貴重品の保存。という事でカルマ値が高いとデスしたときにアイテムを落としてしまう。そうする訳にはいかないアイテムがペンシルにはあるため僕が保存する手筈になっている。阿修羅会である以上様式美で僕も殺される予定だがカルマ値が普通のプレイヤーならば問題はない。

という訳で教会である。なぜ教会に来たかって?それはもちろんお布施である。

最初のころは地道にクエストをクリアしたりしてたけれど今ではお布施を使ってカルマ値を下げている。やはり金の力は神にも通じるのか...

このお布施はクエストの代わりにお金で解決するものであって、結構バカみたいな金額を使わなくてはならない。そんな時に出番なのは阿修羅会の貯金である。僕たちの私財はウェザエモン戦の為に使うのは気が引ける。しかし阿修羅会の貯金はそうではない。皆が必死に集めたクランのためのお金。PKクランなんだしこういうカルマ値下げとかに使うなら問題ないと思う。これが正しい使い方じゃないだろうか。

適当に自分の事を正当化し罪悪感をなくすように考える。いや罪悪感なんてこれっぽちもないんだけどさ。

 

「400万マーニのお布施を頂戴いたします。」

 

「了解です。」

 

これである。滅茶苦茶笑顔で額を告げてくるシスターに返答を返すものの僕は内心悪態をついていた。やっぱりおかしいでしょこの額は、これが教会の闇...!

ま、阿修羅会の貯金なんで良いんですけれども

そしてこのまま金策を行い二日が経過した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ行こうかランスロット」

 

満月の日がやってきた。僕とペンシルゴンは一緒に合流予定の喫茶店に向かう。

すると既にサンラクとカッツォは店に来ていた。やっぱカッツォは女なのか...

サンラクとカッツォの二人もこちらに気づいたみたいだ。

 

「久しぶりだね、カッツォ君。ちなみに聞くけどなんで女なの?変態?」

 

「いや俺はお前とそんな関わりないから久しぶりって感じじゃないし、いきなり悪口って常識足りてる?」

 

ピキィ、僕が以前サンラクに思ってた事を言われてしまった。完全にブーメランな事を含めて結構心を削られる。ごめん昔の自分、僕もだったみたい...

 

「そこらへんにしといてよ二人とも、今日の本命は顔合わせじゃないんだから」

 

「了解」

 

皆でスクロールを用いて千紫万紅の樹海窟にやってくる。

ペンシルゴンと僕が二人を先導し光らない苔の位置まで歩いていく。

 

「良く気付いたなこんなの...」

 

「見つけたのは偶然、運ゲーだよこんなの」

 

「そう言うことだぞオイカッツォ、ユニークは運ゲーだから天に祈れ」

 

「その目をやめろぶっ飛ばすぞこのやろー」

 

「もう進むから静かにしとけ」

 

サンラクとカッツォの言い争いを軽く流しペンシルゴンと共に先に進む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぉ...これは中々壮観な」

 

この花畑に始めて来た二人は中々の絶景に驚いている。

ここの彼岸花の花畑、個人的に結構好きなんだよなぁ。なんか幻想的な感じがして気が落ち着くというか何というか。とにかく僕はここが好きなわけである。

そんな事を考えているとペンシルゴンは花畑の中心にある木に向って歩いていく。

 

「久しぶりね、アーサー。それにランスロットも」

 

「うん、久しぶり」

 

「やぁやぁ久しぶりセッちゃん一ヶ月ぶりだね。紹介するよこのバカ二人がウェザエモンに引導を渡すための最後の切り札だよ」

 

ペンシルゴンに紹介された二人と一匹は自己紹介をする。

 

「あー...どうもペンシルゴンの愉快な仲間たち技の一号サンラクだ、こっちはエムル」

 

「ヴァイスアッシュの娘のエムルですわ!」

 

「ペンシルゴンの愉快な仲間たち力の二号オイカッツォ、宜しく」

 

「馬鹿ワンツーとマスコットだよ」

 

「なんというか...凄いのを集めたわね、アーサー」

 

「まぁね、今は雑魚だけど決戦までには仕上げるつもりだよ」

 

「そうじゃないわよ」

 

セツナは二人を再びよく観察し、一呼吸おいてから言葉を紡ぐ。

 

「ランスロットも凄かったけどクロちゃんの気配を二つもつけてるなんて初めて見たわ。それに灰被りちゃんの子供と一緒だなんて懐かしい人を思い出しちゃった...」

 

「ええと」

 

「ああ気にしないで、ただの郷愁だから...」

 

どうやらセツナの昔の記憶を刺激したらしい。

なんというかやっぱウェザエモン周りってなんか暗いんだよなぁ。

ちょっとウェットな気分になる。

 

「セッちゃん、二人にあいつの事を話してあげて欲しいかな」

 

「...分かった」

 

こうして二人のユニークシナリオ『此岸より彼岸に愛を込めて』が始まった。

セツナが僕とペンシルゴンも聞いたウェザエモンについての話を述べている。

 

「どうか、ウェザエモンを眠らせてあげてください」

 

「任せてよセッちゃん、あのヘタレ共とは違う。この四人でセッちゃんを悩ませるあいつを倒して見せるからさ」

 

ペンシルゴンはニッカと笑いながらセツナに伝える。

外道鉛筆のいつもと変わらぬ仕草、口調。されども言葉に込められている真摯さ。

やっぱりこういうとこなんだよなぁ。前世の僕が好きになった切っ掛けであり、今世で彼女に付き従いたいと思えた理由。このギャップが可愛くてたまらなく好きなんだよなぁ

そんな事を考えていた僕だが他二人は違うらしい。凄い驚いている。

 

「あのラスボスよりラスボスしてたペンシルゴンが、NPCと談笑...!?人としての心を取り戻したというのか!?」

 

「サンラク君それは流石に失礼ってやつじゃないかなー」

 

「コノキモチ...コレガ、ココロ...?」

 

「おいプロゲーマー」

 

まぁ確かに世紀末円卓でのペンシルは人より、いや悪魔より悪魔をしていたからそういう反応になっても仕方がない...かな?

 

「よし!ランスロットこの二人にレベルの暴力を脳髄に刻み込んであげて」

 

「もちろん」

 

「いやお前も少しは面白いと思ったろ!てか初心者にそんなヤバそうな武器使うんじゃねぇ」

 

「まずいサンラクアレは完全に殺る眼だ‼」

 

「HAHAHA、ペンシルゴンは可愛い。りぴーと、あふたー、みー」

 

「ヤバいってこいつぅぅ‼」

 

HP8割で許してあげた。まぁ出血ダメージで今も刻一刻と死へ近づいてんだけれども...

 

「全くもう、ウェザエモン挑戦前じゃなかったらあと五回はリスキルさせてたのに」

 

「聞いたかカッツォ、これでこそペンシルゴンだ」

 

「ああ、ラスボスの方が有情とまで言われるペンシルゴンだ」

 

「残りも行っとく?」

 

僕が二人へ武器を構えると二人は降参のポーズをとる。

そうするとペンシルゴンはため息をつきながら話を進める。

 

「いやまぁさー偶にはNPC相手にカッコつけたいっていうかさー...こうセツナって名前からも他人事に思えないというか...えぇそうですー私にだってゲームに本気で感情移入することぐらいあるわけでぇー」

 

なんか滅茶苦茶言い訳している。ペンシルゴンの限りなくゼロに近しい自分の感情を見せてくれるシーン。やっぱり良いな。なんか普段から興味ないですけどーみたいな顔しときながらこうやって本気で移入してるとこホントに好き。まじで可愛い。

どうやら暴走してしまったようだ...失敬、失敬。

 

「それで?ランスロットはどう思う?」

 

「可愛い...」

 

「」

 

この空間に謎の間が生まれる。

え?僕なんて言った?てかなんて聞かれた?ぼーっとしてて何も考えて無かった。

サンラク達の方を見るとメッチャ驚いてる。?なんでだろ

次にペンシルゴンの方を見るとなんか顔を赤くさせびっくりした表情をしている。

ガチでなんて言ったんだ...頑張って思い出そうと頭をひねらす。

少しづつ思い出される記憶。アレ僕もしかして可愛いとか本人に言っちゃた?

顔が赤くなってるのを感じる。やっちまった。

思考が飛びまくっているとサンラク達に話しかけられる。

 

「お前正気か!あの鉛筆を可愛いだって?今ならまだ間に合う戻ってこい‼」

 

「諦めろサンラク、こいつはもう脳を毒で侵されてる。鉛筆を可愛いとか言ってる時点で明白だ。」

 

「それもそうか。惜しいやつを無くしたな...」

 

怒涛の勢いで行われるコントに突っ込みすることが出来ない。

てか頭おかしいって言った?喧嘩売ってんの?

 

「お前ら頭おかしいって言った?喧嘩売ってる?」

 

「いや普通に考えて頭おかしいでしょ」

 

「そうだ!ペンシルゴンのことを可愛いだって?寝言は寝てもいうな‼」

 

こうも言われたら喧嘩だ。

僕の方がレベルは高いのでPSに差があっても勝つのは僕である。

だがあっさり勝っても面白くないため所々ポーションを使い回復させる。

 

「おい!殺せよ、なんでポーションなんて使ってんだ」

 

「諦めろカッツォ、こいつは鉛筆以上のサイコパスなんだ」

 

「はぁ?」

 

その後、サンラクとカッツォとの喧嘩は長い事続いた。

なんか二人と少し仲良くなれた気がする。喧嘩で仲良くなるってホントにあるんだ。

因みにペンシルゴンはそのまま放置されていた。




スキル:『肉断斬骨』
『兜割』の進化スキル。
『兜割』を使用したときの消費体力が一定値に達すると進化可能。
体力の消費は変わらずそれに追加でHPの消費が必要になった。消費した体力によって超高ダメージを与える。
体力消費1%で『兜割』ぐらいのダメージを出すことが出来る。
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