鉛筆騎士の腹心   作:姉小路

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円卓入り

幕末に来てから既に三か月近く経った。思い返すといろいろなことがあった。

レイドボスさんと接敵してボコられたり癌鯖からの刺客と戦ったり天誅したり天誅されたり天誅した。

思え返せば思え返すほど天誅以外何もしていない。

あえて言うのであれば将軍の暗殺に失敗してHARAKIRIしたぐらいである。

このゲームで僕は鯖癌時代に身に着けた格闘戦闘だけでなく刀や十手などの武器を使った戦闘も身に着けることが出来た。

 

そして今日から新しいゲームを始める。「世紀末円卓」ことユナイト・ラウンズである。

やる理由としては鯖癌、幕末と並ぶ治安が終わっているゲームであるというのが理由の一つ、もう一つがこのゲームにかの有名なカリスマモデルである天音永遠が出現するからである。

原作を読んでた時に好きなキャラクターだったので一度肉眼で見てみたいというのが理由の大半である。

取り合えずインしてキャラメイクを始める。鯖癌の時にはキャラメイクを全くしていなかったが幕末を始めとした鯖癌以降にやっているゲームでは割としっかりキャラメイクをしている。結構顔を変えているけれど共通していることは一つ、全部PNと同じように顔も「ランスロット」であるという事である。Fateのランスロットだったりグラブルのランスロットだったり様々である。

今回はFateのランスロットで行こうと思う。流石にちょっとカッコよすぎるか。

 

「うーん、うわさに聞いてた通り雰囲気終わってんな」

 

降り立った世界をぐるりと見渡してみるも見える景色は全体的に暗い。

流石は世紀末と言われるだけはある。雰囲気がそもそも重いゲームは中々見ない。

また今いる広場にいる多くのプレイヤーは他のプレイヤーを襲うタイミングを虎視眈々と狙っている。クソゲーハンターがデストピアと言ったのもうなずける。

最初なので取り合えず確率が終わってると噂の薬草採取のクエストを受けてみることにした。採取ポイントである近くの山に向う。

 

「確率低いってガチャの排出率よりは高いでしょ」

 

一時間後

 

「えっもう一時間?まだ石しか出てないんだけど」

 

さらに一時間後

 

「ヨッシ!薬草一個目、あと四つか...」

 

さらに三時間後

 

「クソ‼この確率はさすがに終わってるだろ‼」

 

クエストを受注してから早五時間。未だに薬草は二つである。残りは石と薬草ではないただの雑草。流石にやってらんない。コレで報酬は初期金の半分ももらえない。

そして僕は決心をしてしまった。

 

「うん、やっぱりこのゲーム略奪しないと無理だ。蛮族になる他あるまい」

 

僕は街を出た時から追ってきていた世紀末みたいな恰好をしているプレイヤーたちに目を付ける。ゴメンけど殺らせてもらう。茂みに隠れこちらの様子を伺っていたのでこちらから襲い掛かる。

 

「死ねぇ‼」

 

初期金で買った斧を使って一人を肩からざっくりと切り裂く。

それに驚いて草むらの中からもう二人山賊っぽいのとモヒカンのプレイヤーが出てくる。

 

「なんだよお前‼」

 

「通りすがりの蛮族だが?」

 

「意味わかんねぇこと言ってんじゃねぇ‼」

 

会話もむなしく終わり僕を挟んで攻撃をしてくる。

左右から横なぎをしたりヘイト管理したり、この二人言葉も無しに良い連携を取ってくる。鯖癌を経験していなかったら簡単に殺されていたな。僕は敵の攻撃を右へ左へのらりくらりとステップワークを用いて回避する。

先に一人倒しておくべきか...と思いモヒカンの方への圧力を強めていく。

そのまま圧をかけ続けて対処をミスった所に右拳でおもいっきり殴りつける。

そこで倒れたところを斧で首チョンパする。

 

「てめっ‼」

 

「ぐっばい」

 

仲間がやられたことに怒った山賊くんが大振りで攻撃してくる。

その隙を見逃さずにしっかり殺る。山賊くんはそのままポリゴンになって消えてしまった。

絶対に僕より仲間思いだったな...そんな事に思いを馳せつつ戦利品を確認する。

 

「えっ、こいつらだけでこんな貰えんの!?薬草の何倍だよ」

 

入っていたアイテムは僕の探し求めていた薬草だけでなく他にも高価なアイテムなども結構あった。こんなの知ったらもうクエストなんて受けてられねぇ。

この後の事は正直後悔している。

この後僕は調子に乗って略奪に略奪を重ねて他プレイヤーを只管に襲い掛かった。

その結果どうしてかは分からないが蛮族の国がこの世紀末円卓に生まれてしまった。

プレイヤーの半分以上はこの派閥に属しており各々楽しく蛮族ライフを送っている。

騎士であるランスロットが蛮族の王...どうしてこうなった!?

 

「やってしまった...これ鉛筆王朝出来んのかな?」

 

僕が蛮族たちに持ち上げられてからそのことを僕は結構心配している。

この世紀末円卓を始めた理由の一つは鉛筆騎士に会うためである。

けど鉛筆に属しそうな人の多くは蛮族になってしまっている。コレなんとかなるのかなぁ?

 

「まぁ取り合えず略奪しに行くか」

 

そうして拠点である城から出る。僕に続いて城から出てくるのは蛮族10人。もう小規模な部隊なんだよね。

巷には僕たち蛮族に抵抗する抵抗軍がいるにはいるんだけど如何せん弱いし数が少ない。

それに比べて蛮族は抵抗軍に比べたら数も多いし強いので一方的にボコっている。

可哀想だなぁとか思いつつも今日も抵抗軍の拠点を襲撃する。ゴメン、俺たち蛮族なんだ...

 

 

 

そうして一ヶ月が経過した。結構気分上々である。

遂に僕は鉛筆騎士と対面できそうだからだ。これをどれだけ待ち望んだことか。

僕たち蛮族は結構数が多い。なので割と従ってくれるのは親衛隊的な10人の蛮族だけ。

そんな中鉛筆騎士は末端の蛮族たちを手中に収め鉛筆軍を結成し僕たちの拠点を襲撃して回っているのだ。

僕たち蛮族は基本的に協力しない。好きな時に暴れて好きな時に休む。これが蛮族のルール。

なので蛮族は仲間を助けに行かない。その結果彼女はどんどん城を制圧していき残すところ今いる本城だけとなってしまったのである。

まぁ一般人だったらこんなことできて無いんだろうけどね。

蛮族と言えど曲がりなりにも人である、そんな簡単に操ることは出来ない。

そもそも僕が、数が多くて諦めていた蛮族の管理を彼女はしているのでその時点で結構スペック差を分からされている感がある。

 

「ランスロット、鉛筆の軍がもう城まで来ています。どうしますか」

 

「蛮族なら蛮族らしく戦るしかないよね」

 

「一人5人ぐらい殺れば余裕だろ」

 

「いや鉛筆だけでも殺れれば勝機はある」

 

親衛隊の蛮族たちは今日もしっかり蛮族である。

蛮族たるものやはりビビって戦いから逃げるなんてあってはならない。

やっぱみんなでバーサークでしょ。

 

「さぁ、皆戦いに行こう」

 

門の前に僕たちは立つ。

眼前にいるのは鉛筆軍だいたい50人ぐらい。正直運が良ければ勝てそうではある。

 

「我が名はランスロット。蛮族の王なり。裏切り者を殺せ‼」

 

「「「「「ウオオオォォォォォォォォォ‼‼‼‼」」」」」

 

雄たけびと共にみんなで突撃していく。あっ!こいつ裏切りもんだ。手足を引きちぎっとこ。

ひたすら攻撃していたら武器の耐久値がなくなり壊れてしまった。

仕方が無いので癌鯖で鍛え上げた格闘で殴る、蹴る、目つぶし、殴る、金的、蹴りとにかくダメージを効率的に与える事を第一に攻撃していく。

攻撃を加えるたびに聞こえる絶叫。いいねぇ、久しぶりに聞くこの手の声はまるで故郷のような安心を感じる。懐かしい...

 

「諦めなよ、もう君一人だけだよ」

 

ふと声がして、周りに意識を向けてみる。もう周りには鉛筆軍しかいない。

どうやら皆やられてしまったらしい。

 

「いやぁ~、まさか君だけでこんなに消耗させられるなんて思いもしなかったよランスロット」

 

「」

 

声を掛けて来たのは街に出れば絶対に一度は見ることが出来る顔をしている鉛筆騎士だった。絶句、まさか彼女の方から声をかけてくるとは思いもしなかった。

見た瞬間に感じるこのカリスマ。一目見ただけで引き込まれる。なるほどね、みんなこのカリスマに魅惑されたわけか...

 

「それで?ランスロット、君は降参するかい?それとも死ぬまで戦う?」

 

「僕は...」

 

少し考える。正直このゲームをやり始めた時は鉛筆騎士を一目見る事だった。

それが叶った以上、もう特には未練がない。その筈だった。

けどさこんな魅力を見せられたら無理じゃん。うん、決めた。

 

「僕を、僕を君の臣下にしてくれないか?」

 

「別にいいよ、部下なんて何人いても困らないし」

 

「違う違う、僕は君の重臣、いや腹心になりたい」

 

そう言われて一瞬呆気に取られたような顔をする鉛筆。

ハハッ驚いてやんの。

 

「それで?私が君を臣下にするメリットってある訳?」

 

「まぁ一応これでも蛮族の王をやらせてもらってたし戦闘能力にも自信はある。あとさ、騎士王にはやっぱ優秀な騎士のランスロットが欲しくない?」

 

「ははは、君最高だよ‼採用で」

 

やっぱり騎士の王には円卓騎士が必要だよね。鉛筆ってそういうのに結構拘るイメージある。とまぁこうして僕は鉛筆騎士の配下になることになった。

 

「あっ!じゃぁ明日からランスロット私がログインする時間に合わせてログインして来てよ臣下なんだから、あとこの素材とこの素材100個ずつ用意しといてね。臣下なら余裕だよね?」

 

速攻退職届を出したくなったという事は言うまでもない。

 




蛮族の王ランスロットの世紀末円卓での評判
・蛮族の中では理性がある蛮族
・戦ってる姿はただの蛮族
・やっぱりただ頭の悪い蛮族

結論:ランスロットに謝れ
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