ウェザエモンの刀を使うのの最初の方は順調だったがエネミー相手から対人戦になると長い刀の取り扱いに大分苦戦するようになり始めた。
そこで永遠に何か良い解決策がないかを聞いてみることにした。そうしたら数日後に「VR剣道教室・極」を渡された。これを渡されたときに僕はコレがあったか!!と衝撃が走った。だけれどコレ剣道の練習ソフトなので物干し竿並みに長い剣は無い。それについて聞いてみると
「コレクリアで「これで君も佐々木小次郎!!物干し竿体験キット」が使えるらしいよ」
とのことらしい。原作では出てこなかったが情報だ。厨二病患者にも大変素晴らしい配慮が施されているゲームである。まぁそんな訳で取り敢えずやってみることにした。
目の前の剣道AI。VR初心者時代は恐らく勝てなかっただろう。剣を振り上げ竹刀を振り下ろしてくるコイツの攻撃を見切り胴を打つ。
評価A
次のAIは少し強くなったのだろうかただ突っ込んで来るのではなく、こちらの様子を伺っている。まぁそんなに悠長なことに付き合う気もないのでこっちから相手に斬りかかり脳天を思いっきり叩く。
評価C
その後も次々と現れる剣道AIを倒していく。途中から剣道だけじゃキツくなって来たので蹴りも併用して倒す。四段レベルのAIをなんとか3デス程で倒しきりラスボスに挑戦することになる。
「さて、お前はどうやって倒そうか」
このゲームにはステータスが存在しないので人外的な動きをすることは出来ない。特に殺気を感じていても攻撃を全て避けることはこのレベルのAIにもなると難しい。なので一本になりそうな攻撃のみに集中して防ぐ。偶にそれを見誤って一本を取られることがあるが...
そのまま戦うこと数回、なんとかラスボス剣道AIを倒すことが出来た。最後の一撃は、僕の突進による場外での反則勝ち。純粋な戦いを相手にさせなかったのが勝因と言えよう。
「ようやくクリアか...長い道のりだった」
何度も試行すること約7時間ほど想定の倍以上の時間がかかってしまった。思ったよりも僕の身体能力は高くなかったらしい。
「まぁそんなことよりも本命に行こう。「若き芽よ 西へ東へ 研ぎ鑽きりて 枯葉踏み越え 咲かせ大輪」だったけ?」
なかなか深い歌である。あんまり良く分かんないけれども...兎に角この短歌?を唱えると数秒後にシステム音が聞こえてくる。
『モード選択で二刀流が解放されました!』
『モード選択で物干し竿が開放されました!』
『モード選択で薙刀が開放されました!』
『オンライン対戦モード・改が解放されました!』
『隠し難易度、AI範士・極が解放されました!』
どうやら原作ではカットされていただけで様々なモードがあったらしい。というわけで本命である物干し竿モードを選択する。取り敢えず通常のラスボスから戦ってみよう。
「何故こんなにも間合いが長いのに負けるんだ??」
とにかく負けまくっている。間合いはこちらの方が長いのに簡単に負ける。理由は単純竹刀を物干し竿で受けれないからだ。シャンフロ内ではウェザエモンの刀をステータスで振り回していたが物干し竿はそれが出来ない。そのためとにかく俊敏性に欠ける。竹刀を受けるのが無理ゲー。
「どうしたものか」
中々進展しない技術の向上を嘆く。まぁこういうのは一瞬で身につくものでは無いしね。ステータスの素晴らしさを実感する一日である。
このまま戦ってもしょうがないので一度ログアウトして休憩を取る。リビングに行くと永遠がソファーで寛いでいた。
「今日はシャンフロしないの?」
「いや、望君がログアウトして来るのを待ってた。ご飯食べに行かない?」
「もちろん」
ログアウトしたのも束の間永遠に連れられて外食へ行く事となった。そのため僕は私服に着替えるため一度部屋に戻る。
着替えが終わり合流すると永遠も変装をしていた。
流石有名人。変装も手慣れたものでモブになりきっている。家を出て焼肉屋に向かって歩き始める。なんか視線を感じる。永遠は熱烈なファンに気づかれることはあるからなきっとそれだろう。
「いつもの事だけど視線を感じるねぇ、それで「VR剣道教室・極」はどう?」
「普通の竹刀なら通常ボスまで行けたけど物干し竿は無理ゲー」
「ステータスの恩恵がないもんね」
笑いながらそう言ってくれるがそれでも全然先が見えない。
そう思って悩んでいると永遠は笑顔でこちらを覗き込む。
「まぁ望君、私のために頑張ってよ」
ヤバいカッコいい...
僕の原動力、やる気の全てを担っている彼女の言葉。
これは流石に好きになっちまうだろ。こんなんで満足できる自分がチョロすぎて嫌だ。
でもコレがうちの女王様です。部下のやる気を最大にしてくれる。
「その言葉を言われたら頑張るしかないじゃん」
ニヤニヤ笑いながらこっちを見てくる。なんかヤだな...
そのあと店に着くまでの数分の間永遠は機嫌よさげに歩いていた。
僕はなんかチョロい自分にムカついたので肉を食べまくっておいた。
「まぁそんな言葉一つで強くはならないんだけどね」
帰ってから何度も挑戦を続けたが未だに勝つことは出来ていない。
試行を重ねること数百回を超えたころ、結論に至った。
剣で受けるのを諦めること、それが結論である。
剣を振り回すのは不可能だという前提ですべての攻撃を避ける。
殺気を読めるので可能性はあるし身体機能が追いつけば現実味を帯びる。
なので僕は避ける動きの最適化と相手の次の予測を行うことに専念することにした。
「クッソきついなコレ‼」
兎に角避けるために相手の先の動きを予想して動くのは疲れる。
僕が目指しているのはこのゲームの裏ボスの領域なのだ。
アレに追いつくには時間が全く足りないが出来うる限りこなすしかない。
再び時が流れ数時間。僕は通常ラスボスを倒すことが出来た。
もともと精度が曖昧だった感知能力の向上と相手の動きを先読みできるようになった。
これにより相手の攻撃を今までとは比較にならない程避けれている。
「じゃぁ次にお爺ちゃんに挑戦するか」
裏ボスの究極超最強爺こと龍宮院富嶽の事である。
この爺アホみたいに強い。最適解を速攻で叩き出す後だしじゃんけんの極致である。
正直一般人が勝てることなどないだろう。
だが僕の殺気を読む能力を使えば相手の攻撃を先読みするなど簡単である。
ということで裏ボス龍宮院富嶽と対峙する。
相手はただただそこに佇んでいるが圧が凄い。ウェザエモンと同等かな?
取り合えず戦ってみることにした。
「???」
何か生じる違和感。僕はそのまま簡単に一本取られてしまった。
アレ?なんでこんな簡単にやられてんの僕。
そして気を付けて挑んだ二度目に関しても簡単に倒されてしまった。何故?
その答えは簡単に答え合わせが出来た。それはこの爺、どういうことか僕に殺気を全くと言って良いほど感じさせない。この殺気というのは思考能力を持たない雑魚エネミーやヴィランも保有しており僕たちに向けてくる。だが龍宮院富嶽は異なる。現実に生きた人間にして全く殺気を感じないバケモノである。
どうしよう。勝てる気がしない。
今までの感知を用いた戦い方が全く通用しない。
まぁ兎も角にも
「殺気を発さないってマ?」
主人公の身体能力について
主人公は前世では小中高、陸上部に所属していた。
種目は100M。自己ベストは11.2。
結構運動神経は良いタイプ。
なのでクソゲーをサンラク並みにやり続ければサンラク以上にエグい動きをこなせるようになる。