鰹にやり過ぎないように注意された後に夏目氏に謝罪しておいた。
その時の夏目氏は「いえ、私が弱いのが悪いんです...」とかうつろな目でブツブツ言ってた。
いやホントにゴメンて...今回に関しては反省してます。
事の次第を知らないサンラクには何をしたんだという目で視られた。いやお前も原因の一つだからな。永遠に関しては全てを理解したかのような顔で女の子には優しくしようねって言われた。
そんな所でこの話は終了しこっからどうするのかを鰹たちが話し合って集まりは終了した。
その後は永遠と原作でも行っていたゲームシステムの細かな場所の検証についてひたすら付き合うことになった。
子供と大人でゲージが溜まりに変化があるのか、どこまで干渉するとゲージが溜まるのか、どの程度の事から悪事だと判定されるのか...これら以外にもひたすら研究を重ねていった。
そうして迎えた試合前日。
「「「試合に出られなくなった!?」」」
「あぁ...」
相も変わらず鰹の不運によって起こったアクシデントにこの事を知っていた僕以外の全員が驚く。
「上から...スポンサーからの命令でRwH6の大会の欠員補充で出場することになったんだよ」
「はぁ?」
この事に関しては鰹はドンマイとしか言いざるを得ない。
チームのスポンサーの要望のせいで少し時間がずれている異なる大会に出ることになるのはドンマイ以外何と声を掛けることが出来るだろうか。
「ここまでの不運になるともはや笑えるな」
「他人事なら笑えてたんだけどねぇ...」
「ていうかなんでカッツォがFPSの選手になるわけ?」
「あー...いや昔いろいろあってさ」
「まぁ最悪、望君が変装して場を繋げれば間に合うでしょ」
「確かに試合が長引けばワンチャン間に合うか...」
サンラクと永遠が何やら可笑しなことを言ってる。
アレ?なんか僕が鰹の代わりに出るみたいな流れになってる?
いや普通に嫌なんだけれどもあんな現代チートとは戦いたくない...
「ちょ...お前ら本気か?」
鰹が二人の発言に対して驚く。そうだ鰹、僕の味方はお前だけだ。
「僕も試合n...」
「俺たちが大衆の面前に出るのにお前らだけ逃げるなんてこと無いよなぁ?」
「唯でさえ人員が足りなくて補充を入れた状態なのに晒しものとか嫌だよ、私そーいう目立ち方嫌いだし」
「お前らこの状況で足を引っ張ろうとすんの一周回って尊敬するよ」
僕の意を決した抵抗の言葉はサンラクによってかき消された。
そのまま話は進んでいき最後まで反対気味だった夏目氏も永遠の話術に嵌まってそのまま流されていく。あぁ、終わった...
「私たちは三十分の対戦をするんじゃない、放送時間三十分のドラマを繰り広げるのサ。ね、望君」
この日初めて一瞬だけれども永遠の元から逃げたいと心の底から思った。
という訳でやってきました試合当日。僕たちはコスプレ衣装で会場に参加することになっていた。
永遠が「女騎士」の風貌をしたコスプレ。サンラクがカボチャを被った銃士。そして僕、川上望のコスプレは「ジェイソン」のコスプレである。
いや、どうしてこうなった。明らかにおかしいよねコレ。
現在僕たちは会場にて他のカメラを持った来場者の皆さんから撮影を頼まれ写真会が開かれている。
ノリノリでポージングを取る永遠とあんまり乗り気じゃ無さそうなサンラク。因みに僕は永遠の撮影現場をよく見ているのでどんな感じでポージングすればいいか分かるため様にはなってる筈。
「...で、いつまで撮影会やるわけ?」
「んー?ほら職業的に快諾しちゃう質だからね、うかっりうっかり」
「すみません、今から彼女他の撮影会に行かないといけないので」
こういう時にしっかり閉めるのは僕のお仕事。マネージャーとして囲いが出来てしまった時とかに対応することがあるのでもうすっかり慣れてしまった。
「なんか、手慣れてる感じだな」
「まぁいつもの事だし」
「......お前やっぱりリアルでも犬だったか」
どうやらあんまり信じて無かったらしい。僕は嘘はそんなに言わないのにね...
因みに夏目氏は僕たちを横目に会場にさっさと入って行ったのでここにはいない。
「それじゃ、頑張ってね」
「頼りにしてるよ私の騎士くん」
「出番がない事を切に願う」
そう永遠と言葉を交わし一度別れる。
いやホントに出番が無いに越したことはないんだよなぁ。取り合えず鰹の観戦に向うか...
数多の視線を感じながら僕は観戦に向った。
僕は今物凄く焦っている。何故かって?流れが原作と異なっているからだ。
原作ではサンラクのラウンドの途中に帰ってくるはずの鰹なのだが未だに鰹はFPSで戦っている。
もうサンラクとシルヴィアのラウンドはDKOのあとの最後のラウンドまで来てしまっている。
コレ本格的に僕の出番が来てしまうのでは?
そう考えている内にサンラクのアホが建物からシルヴィアを突き落とす。
あ、終わった...サンラクの技はシルヴィアのミーティアスの体力を削りきることが出来ずそのまま負けてしまった。
「寿司より焼き肉ぅ‼‼」
いや、そんな事を言うよりも君の役目は他にあったよね?
ガチでもうヤだ。憂鬱過ぎる。行きたくない。
けれど永遠からの期待に応えるため僕は意を決して作戦を決行することにした。
『さぁ残すとこは魚臣慧選手の身となりましたぁ‼ってえぇ!?』
実況に驚きの声が上がる。周りの人たちも警戒を高める。
永遠の言う作戦とは、そう僕がステージに乱入するというシンプルなものである。
見た目は『ジェイソン』。警戒しない方がおかしい。
相手の『スターレイン』のメンバーも驚いている。そりゃそうだろうよ。僕も驚く。
周りが騒然とする中僕はシルヴィアを捉えて挑発する。具体的にはブルースリーの指をクイクイってする奴。
それに反応したシルヴィアは僕の方を睨む。
辞めてくれ僕はそんなにコレに乗り気じゃなかったんだ。
僕はシルヴィアの睨みに対して何も言葉を発さずVR機器を装着する。
それを見て僕が何がしたいのか理解したのかシルヴィアも無言でVR機器を装着する。
『突如として現れた謎のジェイソンとシルヴィアが対戦!?一体どうなる‼』
実況も困惑の謎展開。大丈夫、僕もそう思うから...
Q.一体警備員は何をやっているんだ!!
A.鉛筆の話術によってドッキリだと思っている。