鉛筆騎士の腹心   作:姉小路

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次は何に突入するのだろうか


乱数

始まる第二ラウンド。一ラウンド目は僕の辛勝...まぁ全部読めてたし圧勝でいっか、ということで圧勝で終わった。

前回のラウンドはシルヴィアの油断と僕に対しての怒りで視野が狭まっていた序盤でアドを取ったのが勝因だった。けれども今回はそれらの優位が全くなしの状態で戦うことになる。ていうか最初っから全力疾走で来るんだろうなぁ...嫌すぎる。

ヴィラン側に与えられた30秒の優位、コレがやはり大事になる。というわけで僕は前のラウンドで仕込んだ物を回収しに行く。このギャラクシア:ヒーローズカオスは前ラウンドの状況が後のラウンドに引き継がれるという性質がある。

この性質をたんまり使ったのがペンシルゴンのビルドミノ。アレは衝撃的だっただろう。今から僕の行うソレはインパクトは薄いが効果は如実に現れる。

今回僕が向かうのは前回のラウンド前にチェーンソーで刻んでおいたNPC達である。

このゲームNPCにもHPが存在し出血ダメージを与えることが出来る。永遠との研究の結果、どのくらいの削りで良いのかを調べる事が出来た。その結果起きるのは無限ステータス強化編。マスクマーダーズの欠点である強化時間の短さを補完する最凶の作戦である。

 

「さぁここからが勝負だ!!」

 

三十秒が経過しラウンドが開始する。僕のこのラウンドで狙う作戦は強化されたステータスでケイオスキューブの確保を狙うこと。

この作戦の肝は出血ダメージで瀕死にしたNPCという資源でステータスを強化し続けることだ。シルヴィアがNPCを病院に連れて行ったらこの作戦は破綻してしまう。まぁこの街にいるNPCの大半は瀕死にしてるから無理だろうけど...

ケイオスキューブ確保のためにはゲージを貯める必要があるがその件は瀕死になったNPC達が時間経過で死に補充してくれるため問題ない。

 

「今回は最初っから全力だよ!!」

 

遠くから聞こえるシルヴィアの声。どこからかを探している内に後ろからの殺気を感じる。

 

「どこを見てるのかな!?」

 

「...!?」

 

体を無理矢理捻りなんとか躱す。コイツは一体どこから現れたんだ。そう考えたのも束の間次の一撃が飛んでくる。ヤメて!僕をイジメないで!!右へ左へ動きどこから攻撃を繰り出すのかを悟らせてくれない。僕は考えるのをヤメて殺気を感じた所を反射で避ける。ステータスが強化されてフィジカルでの優位は僕にあるのに何で押し負けてるんだよ!!そのまま数合交わした後一旦攻撃が止まる。

 

「今回もキミは耐久狙い?流石に同じやられ方はしないよ」

 

「ソレはどうかな?」

 

シルヴィアは僕の持つチェーンソーを見ながら推測を語る。今は真の目的がケイオスキューブの確保だと悟らせないために前回のラウンド同様に出血ダメージによる耐久狙いを演出している。今のところは完全にはバレて無いみたい。

 

「今度はコッチから行くよ」

 

「へぇ...」

 

僕の発言に不敵な笑みを浮かべるシルヴィア。そんな期待されても困るけど...取り敢えず出血ダメージを与えるため近接戦を仕掛ける。ステータスが強化されているためスピードでは勝っているが行動の無駄のなさでその差を埋められている気がする。

僕はカウンターに警戒しながら慎重に攻撃を重ねていく。チェーンソーって重いから隙ができやすいんだよね。

中々入れる事の出来ない一撃、長い間継続していくとシルヴィアの対応が遅れた瞬間が発生した。そこにここぞとばかりに大きな一撃を与えるため大振りをする。

 

「残念だったね、狙い通りだ」

 

シルヴィアがこの瞬間を待っていたとばかりに喉元にカウンターの横薙ぎをして来る。ヤッパリそうなるか、そうなるよなぁだって喉元に目茶苦茶殺気を感じてたもん。僕はその攻撃よりワンテンポ速く脳天に攻撃を振り落とす。

 

「この一撃のために力を抑えておいて正解だったよ」

 

そう、少し考えれば分かるはずだ。マスクマーダーズの強化倍率は最大で10倍。いくらシルヴィアのミーティアスでも上回ることは出来無いだろう。

 

「さぁ鬼ごっこの始まりだぁ!!!」

 

僕の一撃を喰らいノックバックしたシルヴィアを確認するまでもなく僕は全力疾走で逃げ去る。

僕の残っている体力は残り6割程度、NPCヒーローとシルヴィア両方を無視して探し続けてもギリ間に合うだろう。

 

「待てマスクマーダーズ!!」

 

後ろから追いかけてくるシルヴィア、だが自由には追ってくることは出来無いだろう。

 

「助けて!!出血が酷いの!」

 

「子供が返事をしないの助けて!!」

 

「助けてミーティアス!!」

 

ひたすら助けを求める怪我をしたNPCたち彼らを助けるにはマップの中央付近にある病院に連れてく必要がある。

 

「リアルミーティアス、キミは善良な市民を見殺しにするのかな?」

 

「クッソ...!」

 

彼女の動きが止まっている内に僕はケイオスキューブを探す。ケイオスキューブはシステム上マップの何処かにランダムポップする仕様になっていると説明されている。ただまぁ完全にランダムな訳もなく実は永遠との検証の結果病院にNPCが集まるとそこから最も遠い施設にポップするという謎の仕様を発見した。因みに10回試してみた10回ともそうなったので確定と言っても良い。

では、マップ中央付近に存在する病院から一番遠い所は何処か、それはマップの4つの端にある公園。この4択に関しては完全に乱数なので運ゲーである。

 

「ふぁっきゅー女神」

 

一箇所目に向かうのは東にある公園。NPCヒーロー達を躱しながら到着したこの場所にはケイオスキューブは無かった。

二箇所目北にある公園。NPCヒーロー達を躱しながら到着したこの場所にはケイオスキューブは無かった...

いやおかしいだろ!!何で無いんだよ!?確率にココで愛されないのは流石に泣く。

残りHPは三割ほどシルヴィアに追いつかれたら死ぬ。

そう思いながら次の目標である西公園に向かう。

ビルの上を駆けて目的地まで最短距離で進む。

残り数十メートルという所で後ろから声がする。

 

「やっと追いついたよマスクマーダーズ!!」

 

「ハァ!?」

 

振り返るとそこにいたのはシルヴィアだった。

コイツ、NPCを助けていたのに間に合っただと...

クソあと少しなのに...取り敢えず自分を信じて公園に向けて全力疾走。後ろからの足音がどんどん近づいてくるが気にせず走る。

 

「あった!!」

 

公園に辿りつくとケイオスキューブがジャングルジムの天辺に存在していた。シルヴィアとの距離もそれなりに開いている、イケる!!そう確信した次の瞬間僕に掛かっていたステータス強化が解除され一瞬でシルヴィアに追いつかれる。

そうかコイツが全員助けたから資源が枯渇したのか...

 

「残念だったねマスクマーダーズ」

 

その一言と共に僕のHPは全損させられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く最終ラウンドはNPCが枯渇したフィールドで僕が出来ることは大して無く圧倒されて負けてしまった。

その後僕は警備の皆さんに連行され怒られた。

因みに鰹は原作通りシルヴィアには勝てたらしい。

 




3ラウンド目概要
このゲームは前ラウンドの状態が続行のまま次ラウンドに進むので2ラウンド目で使えるもの全部使った。主人公の使えるリソースが何も無かった。のでキューブ狙いを意識させてしまった事を隠すため兎に角主人公自身を印象付けに行った。
端的に言うと自分をトラウマにさせようとした。
結果主人公は奇行を行うマシンと化したのであった。
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