以前、未確認のユニークモンスターであった墓守のウェザエモンの討伐が行われた際はシャンフロ内を大きく揺るがせた。
だがその際には有名プレイヤーであるペンシルゴンとランスロットがいたのでプレイヤーたちの心の中での納得はされていた。
しかし今回のユニークモンスター、『深淵のクターニッド』の討伐は有名な最大火力がいるものの名の知られていないプレイヤーの名が連なっており多くのプレイヤーに疑問を与えた。
これに驚いたのは一般プレイヤーだけではない。彼らと関わりのある人物にも同じように衝撃を与えた。
今僕の隣に座っているペンシルゴンもその内の一人である。
「はー、これはまた荒れそうだなぁ」
「アイツ絶対何も考えて無いからね、これからどうすんのペンシルゴン」
「どこかしらに着地点を持ってくるよ、そうじゃないとマトモにゲームも出来なさそうだしね」
「あはは、君たちがそんな悩むなんて噂の彼、相当やるようだね」
僕たちの会話を見ながら笑う人物が一人。
軽装で剣士の風袋をした残念系クールキャラ(笑)。京極ちゃんである。
「...で?あのロリコンに続いて阿修羅会を抜けた京極ちゃんは私に何の用なわけ?」
「全くせっかちだなぁ...ちょ、嘘だから本気にしないでねランスロット」
なんか調子に乗っててムカついたので京極ちゃんを睨んでおく。
前まではこんな気取った感じじゃなかったのに何があったんだろ?見てて痛い...
「はぁ...さっさと要件を言っちゃいなって」
「隣の蛮族も怖いし単刀直入に言うと、「黒狼」とやり合うんだろ君たち。だったらさ...僕も「旅狼」に入れてよ」
ペンシルゴンの予想通り。このポンコツにはユニークの恩恵を受けるなんて考えはない。
頭にあるのは「黒狼」と戦う事だけ、なんという脳筋なのだろうか。
「一応私、今は足を洗ってるんだけど?」
「足を洗っても性根まで綺麗になる訳ないじゃん」
「よーしお姉さんまた名前を赤く染めちゃおっかな」
「あはは、準備なしの君には流石に負けないよ」
今回は鉛筆からGoサインが出ていないので干渉するのはやめておく。
「ま、うちは4人による民主制だから要相談だけどね」
「で、言い訳はある?」
「何でお前も来るんだよランスロット」
僕たちは今、『深淵のクターニッド』の討伐を終えて港に帰ってきたサンラクたちを迎えにやってきている。
理由?それは勿論鳥頭を捕獲するためである。
「考えてみれば鉛筆一人で来るはずは無いか」
「良く分かってるじゃん、サンラク君。そんな君にご褒美だ、尋問をしてあげる」
そう言って僕はサンラクに対して近づいていく。
サンラクは逃げようとするも後ろは海であるため逃げることは出来ない。
そんな感じで尋問しようとしていたら肩をたたかれる。
「まぁまぁランスロット、落ち着きなって。後は私がやるからさ」
「了解」
サンラクへの尋問をペンシルゴンに任せて秋津茜を始めとした『深淵のクターニッド』を討伐したメンバーに話しかけに行く。
「はじめまして、僕はランスロット。ペンシルゴンの騎士をやってる。よろしくね」
「はいっ!秋津茜って言います!よろしくお願いしますランスロットさん!」
説明不要の圧倒的光属性。
正直ペンシルゴンより前に会ってたら好きになってしまったかもしれない。
いや、なんだかんだそれは無いか...だってこの光に耐えれなそうだし。
炎に集まる虫の如く焼かれて死んでしまう。
その後ネフホロ二人組にも軽く挨拶を交わしつつ光を浴び続ける。
ある程度会話に切りが付いた所で一人足りない事に気づく。
「...」
「...」
周りを確認してみると少し離れた場所で向き合っている二人を発見した。
片方は「黒狼」のリーダーであるサイガ-100。もう一方は『深淵のクターニッド』を討伐したメンバーの一人であるサイガ-0。なんか剣呑な雰囲気が漂っておりとても部外者が近づける様子では無い。
「うわ、関わりたくねぇ」
「どの口が言ってんだよ...」
サンラクが他人面していたので後ろから頭を叩く。
何で俺が?みたいな顔でこっちを見てくる。そうだったコイツ鈍感系主人公だった。
「そりゃお前、最強クランが名の知れないヤツに二回もユニーク取られたら自分たちの看板に泥を付けられたと思うだろ。多分...」
「はぁ?」
説明してあげたのに全く理解できていない模様。
まぁ僕自身あんまり彼らの気持ちを理解できてないっていうのもあるんだけれども。
だいたいお前ら誰だよって話だよね。くだらないプライドにぶら下がってんなら「阿修羅会」と変わんない。
ハッ!という事はオルスロットくん=サイガ-100ってこと!?
なんだかんだ二人ともおっちょこちょいだし、ペンシルゴンにいつも苛められているからシナジーはありそう。
そんなしょうもない事を考えていたらサンラク達の会話が進んでいきサイガ-0がサイガ-100に対してお願いをする流れになっていた。
「その前に、お話がありますお姉さ...いえ、クランリーダー」
「...今一度聞いてやる」
「私は、クラン「黒狼」を脱退し、クラン「旅狼」に加入したいと考えています」
この言葉がサイガ-0の口から出た瞬間、僕はペンシルゴンとのアイコンタクトで指示を受け思いっきりサンラクの脳天をチョップした。
蛮族の好み
鉛筆に脳を焼かれる前は軸がある子がタイプだった。
鉛筆も軸があると言われたらそうなのかもしれない。