鉛筆騎士の腹心   作:姉小路

44 / 54
深淵〜
海へ


幕末でリフレッシュした次の日、仕事から帰ってきた僕は永遠に言われていた準備を進める為にせっせと働いていた。

 

「お兄ちゃんに久しぶりに呼ばれたと思ったら便利な道具扱いなの!!」

 

「まぁ実際あんま会ってなかったし否定が出来ない...」

 

僕の頭の上で髪を引っ張りながらプリプリと怒る小さい兎に謝りながら小さい任務をこなす為に街から街へとワープする。久しぶりに会ったゼッタに対してすぐにワープをお願いしたのが良くなかった、何かしら機嫌を取ってからお願いすればもっと穏便に済んでいたはず。

かれこれ30分ぐらいは怒っている兎にホレ人参じゃぞ〜と渡すもあまり効果は見られない。もう仕方ないので受け入れようと思い怒られながら任務をこなしている訳である。

 

「一通り済んだしペンシルゴンのとこにでも戻るか」

 

「お姉ちゃんに会えるの!!」

 

「そ、そうだけどそんな仲良かったか?」

 

任務を終えて一度ペンシルゴンと合流しようと口に名前を出すとゼッタが凄い勢いで飛びついた。僕にはあんまり仲の良いイメージがないので意外に思ってしまう。ていうか僕よりペンシルゴンの方が親密度が高そうなの納得出来ん。取り敢えず一気に機嫌が良くなったゼッタにワープしてもらい予め決めておいた集合場所でペンシルゴンと合流する。

 

「お姉ちゃ〜ん」

 

「久しぶりだねゼッタちゃん」

 

「うん久しぶりなの」

 

ペンシルゴンが見えた瞬間に僕の頭を蹴り飛ばしジャンプして抱きつきに行く。痛かったがワシャワシャ撫でられて嬉しそうにするゼッタを見て今はいいやと思っておく。

暫く二人が遊んでいるのを終わるまで待ちながらその様子を眺めておく。なんかこういうのも良いなと思いながら今日呼ばれた理由を思い出す。

今準備を進めているのはユニークモンスター「深淵のクターニッド」を討伐するためのアイテムたち、今日はそのための資源調達を行っていたところである。今回は合同で行う予定なので他に迷惑をかけない為にも準備は怠れない。

 

「ゴメン、ゴメンちょっとゼッタちゃんと遊ぶのに夢中になってランスロットの事を忘れてた」

 

「別にいいけどさ、あんま一緒にいるイメージ無かったけどいつの間にゼッタとあんな仲良くなったの?」

 

「ん〜、やっぱウェザエモンの時の金策かな?ランスロットがいない時もやったりしてたし」

 

どうやら僕がいない間にも二人で仲良く採掘をしていたらしい、てかゼッタは僕がいなくてもペンシルゴンと一緒に活動できるんだ。新事実かもしれない。

 

「それで?頼んどいた物は準備出来た?」

 

「もちろん抜かりなく、一応クランの共有ボックスの中にぶち込んどいたから確認しといて」

 

「ありがとうランスロット、これで後は予定日を待つだけ。ユニークモンスターとの戦いは初めてじゃ無いけど楽しみだよ」

 

ペンシルゴンの言葉に僕も同意する。ユニークモンスターとの戦いは今回が初めてでは無いしある程度のタネは知っているので緊張しないかと思っていたが実際に決行日が近づくと楽しみで小学生みたいにはしゃぎたくなる。

 

「ま、今回は倒しても初では無いし気楽にね」

 

「それに関してはかなり癪なんだけど今回は我慢しておくよ」

 

 

 

 

 

 

こんな感じで準備を終えてからすこし日が空いたころ決行日となり、僕達は港に集合していた。周りを見渡せばこのゲームでよく名を聞くプレイヤーばかりこれで失敗するなんて事があれば鳥頭に煽られる程度じゃすまないだろう。

そんな事を考えて予定時刻を待っていると視界に某流星に一晩中連れ回された鰹が見えた。

 

「アレ?カッツォクン、そんなにゲッソリしちゃってどうしたのカナ?」

 

「うるせぇ!!鈍感脳無し蛮族が!」

 

「アレ?ユニーク自発出来ないのになんか言ってますよ、蛮族さん」

 

「大丈夫大丈夫、死体蹴りされて必死に抵抗してるだけだから何も問題ないぞ鳥頭」

 

取り敢えず近づき煽るとサンラクもやって来たので一緒になって煽る。煽れる時に煽っておこう精神をモットーに攻撃しているので着地点を見つけるために話を続ける。

 

「でもまぁ実際、アレに目を付けられるのには同情するよ」

 

「同情するぐらいなら代わってくれ」

 

「だってよ鳥頭」

 

「鉛筆の下に着いた時から怪しかったけどついに脳が腐ったのか

蛮族....まぁ観光ぐらいは楽しんでこい」

 

「もちろん、一発でクリアしてあげるよ」

 

そんな会話をしながらワイワイしていると出発の時間がやって来る。サンラクは新大陸に行くので僕達と別れその他大勢で一隻の船に乗り込む。

 

「さて、深海に向けて出港だよ!!」

 

その掛け声とともに荒れた海の中、船が出港する。

今回のユニーククエストに繋がる前提クエストである「恐れ知らずの遠征漁業」はこの荒れた海の中で漁をしていると幽霊船に遭遇しそこからクターニッドのお膝元へと繋がるというモノである。

なので幽霊船は何処かな~とネタバレも出来ないので一人思いながら周りを見回す。雨で視界不良になり波が高く航海を続けるのが難しくなる。

周りが船が沈まないか焦る中、僕は変わらず船を探し続ける。そうして僕たちの乗る船が完全に操舵出来なくなった時に雨のカーテンの奥からボロボロの船が現れる。出た、幽霊船だ。

ペンシルゴンの方を見ると彼女も幽霊船に気づいたのかこっちを振り向く。互いに頷くとそれぞれ行動を開始する。

 

「2時の方向から幽霊船が来るよ、錨を下ろして戦えるように準備して!!」

 

「今はクエストのイベント中だから船は沈まないはずだから落ち着いて行動して」

 

ペンシルゴンが全体の指揮を取るのは分かりきった事なので僕は混乱している現場に赴きそのフォローに入る。何かここまでの一連の動きカッコいいなと思いながらも準備を終え直ぐ様幽霊船との戦闘に備える。

息をつく間もなく突撃してきた幽霊船から武装した魚人達がゾロゾロとこちらの船に乗り込んで来て戦闘が始まる。

まるで海賊映画のように起こる戦闘に心を躍らせるも決着はすぐについた。相手の数が多くともこちらの戦力はこのシャンフロの中でも最上位のもの、負けることは無い。

あっさりと戦いは終わり突如として現れた触手によって海に引きづられる。

 

 

『ユニーククエスト「人よ深淵を見仰げ、世界は反転する」を開始します』

 

 

僕たちの全てが反転した。




ユニーククエストの名前って再戦時はどうなってるんだろ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。