あのあとユリアンを続けて虐めていたら途中でサンラクが口を滑らしユリアンそっちのけで質問大会になってしまった。矢継ぎにされる質問に見かねた聖女ちゃんに助けてもらっていた。結局その場は質問大会を止めたあとに聖女ちゃんの口から発せられた龍災を予言する言葉によってその場はお開きとなった。
「取り敢えずサンラクくんに逃げられたわけだ」
「ごめんペンシルゴン、普通に逃げ切られちゃった」
「確かアレは99の壁超えてるって言ってたし仕方ないとこもあるんじゃない?」
聖女ちゃんの予言の最中に逃げ出したサンラクを追ったは良いもののレベル差が出来てしまった僕は差が開くばかりで追いつくことが出来なかった。
「と言うわけで今日はレベルキャップの解放をしに行こうか」
「了解」
僕もペンシルゴンの意見には賛成だ。これから来る竜災を戦い抜くにはレベルキャップの解放をしておいた方が有利に戦いを進めることが出来るだろうし何しろスキルの進化が期待できる。
「サンラクくんが言うにエルフの里に覚醒の祭壇があるらしいからそこに他の人が知って混む前に行こう」
「世間に知られたら絶対に混むからね、新大陸にも沢山開放したい人いるだろうし」
時間をかけて準備しても仕方がないのでパッパと目的地へと向かう。前線拠点を出てペンシルゴンがユリアンを脅していた樹海へと入っていく。
ペンヘドラント大樹海地帯、新大陸の一番東に位置に存在するエリアの事でたしか新大陸の5分の1を占めている。今回は取り敢えず廃棄されたエルフの里を目指すわけだが頼りになるのはサンラクに貰った位置の情報だけ。昔の記憶なのでどんな雑魚エネミーが出てくるのかイマイチ覚えてない。
「このまま直進するだけで着くけどどうする?茂みの向こうにいる雑魚は避けて祭壇まで目指す?」
「避けてこう、こんなとこで時間を使いたくない」
2人でこっそりと隠れる茂みの向こうにはキャンプをしている数十匹の亜人。旧大陸には居ないタイプで普通に人間サイズはあると思う。ペンシルゴンがあまり時間を使いたく無いようで迂回を提案してきたので賛同する。別に学生では無い僕たちに時間はあるようで無い。それでも世間一般の社会人の人達に比べたら融通は利いてるけど...
2人で茂みからこっそり動き大きく迂回しながら亜人たちを避ける。完全に通り過ぎても気づかれていないようなので安堵しつつ先を目指す。
そう思った矢先に亜人達のいた方から者が潰れたような大きな音が聞こえる。ペンシルゴンと顔を見合わせてから恐る恐る後ろを振り向くと後ろにいたのは見るからに強そうな大きな3つ首恐竜、そうドラクルス・ディノサーベラスだ。
やつはこちらの視線を感じたのか殺した獲物から目を離しこっちをじっと見つめる。
「グルルルギャァァァァ!!」
「逃げろ!!」
ドラクルス・ディノサーベラスの咆哮とペンシルゴンのかけ声を合図に僕たち二人は前を向き逃走を図る。
エルフの里の周りには蔦があり外敵から身を守れる。なのでAGIが許す限りの全力疾走で振り返る事なくエルフの里へ向かう。一方のドラクルス・ディノサーベラスも簡単に逃走を許すはずもなくこちらに向かって全力疾走沢山の木々をなぎ倒して追いかけてくる。
「コレどーすんの!?」
「取り敢えず走るしか無い!!それにいざとなれば肉壁ぐらいにはなるさ!!」
チラッと後ろを振り向いて状況を確認する。
様子を見るにどうやらこのドラクルス・ディノサーベラスは「傷だらけ」では無いのがせめてもの救いだと思うが2人で倒すには少し重い。ましてやここは樹海、木が立ち並ぶここではペンシルゴンのメインウェポンの槍も振り回し辛いだろう。取り敢えず広い場所を探しながら走る。
スタミナ回復系のアイテムを使いながらも走り続けあと少しでエルフの里に目前の位置まで来た。目線の先にあるエルフの里の前には木が存在しないエリアが存在している。ここなら戦うのも十分の広さがある。そう思った僕はペンシルゴンとアイコンタクトを交わして行動に移す。
木々があるエリアから抜けると一度振り返り投擲スキル『蛮王の一刺』を使って手斧を投げて木を切りドラクルス・ディノサーベラスの頭上に落とす。
「行くよランスロット!!」
「おうとも!!」
少しの間ドラクルス・ディノサーベラスがスタンしているので後ろから来たペンシルゴンと合流し武器を手に取り構える。それを見てこちらの意図を理解したドラクルス・ディノサーベラスは体勢を整えてこちらを見据える。
先に動いたのはドラクルス・ディノサーベラスの方だった。体を大きく揺らしながら三つ首で僕に向かって大きく口を広げ噛みついてくる。それを前に出て避けようと思ったが予想以上のスピードにビビって後ろに回避する。
その間に後ろに回り込んだペンシルゴンが槍で攻撃しダメージを稼ぐ。ダメージを食らったドラクルス・ディノサーベラスはヘイトをペンシルゴンへと移し体を素早く、そして大きく動かし旋回して体の範囲を薙ぎ払う。
「ペンシルゴンこっち!!」
「分かってる!!」
ペンシルゴンがヘイトを引きつつこっちに寄ってきたタイミングでスイッチしてドラクルス・ディノサーベラスの突進に合わせて『肉断斬骨』でカウンターを入れる。突進の威力が相殺出来ずダメージを負いつつもこちらもそれなりのダメージを与えることが出来たので良しとしよう。続く尻尾での払い攻撃をジャンプで避ける。
「グルギャァァ」
「ヴオオオオオオ!!!」
滞空中無防備な僕に対しての容赦なく行われる噛みつきを『蛮族の咆哮』でスタンさせ回避する。さて次はどうするかと考えていると後ろから声がかかる。
「もう引いていいよランスロット」
その言葉を聞きドラクルス・ディノサーベラスの突進を横に転がって避けてから立ち上がりペンシルゴンの待つエルフの里に向かって全力で逃げる。
それを見て逃すものかと追いかけてくるドラクルス・ディノサーベラスに恐怖しながらも落ち着いて蔦を通り抜けてエルフの里に入る。ワンテンポ遅れて勢いよく蔦に突っ込むドラクルス・ディノサーベラス。逃げられたことに余程悔しいのか何度も体当たりを繰り返して蔦を破ろうとしてくる。そんなやつにペンシルゴンはいつもの笑みを浮かべて告げる。
「さぁ、君はコレ耐えることが出来るのかな?」
手に持つ松明をドラクルス・ディノサーベラスのいる蔦へと投げ込むペンシルゴン。その瞬間その場にいるすべての人物よりも早く結果が起きる。
ドカーン
音が鳴り止んでも暫くは戻らない視覚と聴覚。しばらくして状況を確認すると既にドラクルス・ディノサーベラスはポリゴンと化しており姿は見えずドロップアップと経験値だけが残されていた。
毒蜥蜴の肝練り粉、説明を省くが火を付けると爆発する便利アイテム。これを僕のデスマーチ約5日分使うことでHPを半分以上削り取った。僕がドラクルス・ディノサーベラスのヘイトを引いている間でペンシルゴンに準備をしてもらい呼び込んで爆発させる。万が一の時のために「格納鍵インベントリア」に入れておいたのが上手くいった。ただ終わったあとに
「また集めといてねランスロット」
そう良い笑みを浮かべながら言われたことだけが僕の心を色々な意味で攻撃した。一旦カローシスさん、僕はあなたを尊敬する。
『蛮王の一刺』
古に存在していた蛮王のの投擲、その一撃はあらゆる物を貫通すると言われていた。
有効距離、ダメージはSTRに依存する。