鉛筆騎士の腹心   作:姉小路

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解像度は低いものとする


天音永遠(上)

色々なゲームを転々とする中、彼に出会ったのは偶然だった。以前から目星をつけていた『ユナイトラウンズ』通称世紀末円卓というゲーム、各種システムがクソで奪略がメインとなってしまった世紀末ゲー。このゲームが一人のプレイヤーによって統一されたと知った。

少し期待を持ち世紀末円卓にインするとそこに広がっていたのは聞いていた話より酷い光景、抵抗する人々が馬に乗った蛮族に頭を潰されアイテムを強奪されるのは勿論のこと場合によってはワザと逃されて狩りの対象のようにされている人も見た。抵抗する人に話を聞いてみると全員口を揃えて言う。

 

「あの騎士の皮をかぶった蛮族はクソ」

 

蛮族の首魁の名はランスロット、そいつは蛮族なのにかの有名な騎士の名を騙っているらしい。私は当初の目的通り世紀末円卓を統一するために動き出した。ランスロット達が拠点としている陣は全部で13、手始めにその内の4つを交渉で寝返らせ2つを武力で攻め落とした。

するとあら不思議残りの6つのうち4つも寝返って来たではありませんか。ランスロットと蛮族たちは武士のような忠誠心で繋がっていた訳でなく地位の確約でのみ関係を作っていた。そうなると寝返らすのは簡単、こうも呆気なく崩れるものである。

 

「それで?ランスロット、君は降参するかい?それとも死ぬまで戦う?」

 

甲冑に身を包む兵士たちに囲まれる一人の蛮族。

最後の拠点制圧戦、少数先鋭の兵士たちに手痛くやられたが数の暴力で飲み込み残す所も首魁のランスロットだけとなった。ボロボロになった革鎧を着る紫髪の彼はこちらを見据え何か意思のある眼でこちらをじっと見つめてくる。しばしの沈黙のあと口を開く。

 

 

「僕を君の臣下にしてくれないか?」

 

 

唐突な申し出に少し困惑するも別に相手が誰であれ受け入れる事に躊躇いはない。

 

「いいよ別に部下なんていくらいたって困らないし」

 

「違う違う、僕は君の重臣というより腹心になりたい」

 

正直意味が分からなかった。何で?どうして?リアルまで踏み込まれたら嫌だなぁとか気になることは沢山あるが一先ず置いておき返答する。

 

「私が君を雇うメリットなんかある?」

 

「まぁ一応これでも蛮族の王をやらせてもらってたし戦闘能力にも自信はある。あとさ、騎士王にはやっぱ優秀な騎士のランスロットが欲しくない?」

 

「君、採用で」

 

コレが決定打となってランスロットを配下に加えた。正直勢いで採用してしまったが無理難題を吹っかけて本気度合いを見れば良い、そう思い半分無理だろうなと思いその日はログアウトした。

次の日からは一瞬の出来事だった。いくら無理難題を吹っかけても期日までには文句を言いつつも必ず素材を集めてきたし部下を使って情報集めもしてくれる。蛮族なのになんでこんな優秀なんだろう。このあと世紀末円卓では鳥鰹コンビが現れ爆発エンドをするまで楽しんだ。

コレでランスロットとの関係性は終わり、そう話し合っていたが簡単に手放すのはあまりに惜しい人材だったのでリアルで連絡してみることにした。電話越しにいつも通り無理難題を吹っかける。

 

「え、僕金沢住みなんですけど!?」

 

向こうの言葉を気にせず電話を切り会うために準備をする。彼は恐らくリニアで来るので時間はあるようでない、彼が来る時間をある程度予測してパッパと家を出る。

リニアが止まる大きな駅に着いた私はリニア改札の前で彼を待つ。大きな駅なだけあって人通りは多い、変装はしているもののコレだけ人が多いと流石に気付く人もいるのか幾つかの視線を感じる。

 

「すみません、もしかして天音永遠様ですか?」

 

そう言って近づいて来る一人の少女、多分視線を送ってくれていた子の一人だろう。仕方がないのでマスクを取ってファンサービスを行う。するとその間に私に気づいたのかどんどん集まってくる。全員に対応するほどの時間は無いので囲ってくれている子たちに笑顔で手を振りながら目的の人物を探す。周りを見渡すと視界の端に入る正統派のイケメン。こっちを一切見ない様子からスカした野郎だと思ったがこちらを一目見るなり恐ろしいほどの速度で別方向へと首を向けた。直感でスカしたイケメンが誰か分かった私は迷うこと無く一直線で件の人物の前に立って無視を決め込む彼に声を掛ける。

 

「無視しないでよ、ねぇランスロットくん?」

 

「!?」

 

少しマナー違反かなとも思ったが本名を知らないのでこの名前で呼ぶ他無い。呼ばれた当の本人は一瞬ビックリしたあとすぐに周りをキョロキョロ見渡し状況を確認している。まぁ取り敢えずどっか個室の料亭にでも連れてくか、そう思い必死に周りのファンへ言い訳するランスロットを連れ料亭へと向かう。改札前から離れるときに周りにいたファンの子たちがランスロットについてあまり深く聞いてこなかったのは意外だった、やはり顔が良いからなのか?彼がその辺の俳優だったらこんなもんじゃ済まなかっただろうな。

 

「さて、自己紹介しようか。私は鉛筆騎士こと天音永遠。よろしく」

 

「ランスロットこと川上望、よろしく天音サン」

 

お互い向かい合って座り初めての対面を果たす。いくつかの言葉を交わしながら改めて顔を見るといかに顔が良いかが分かる。正直ゲーム内でのランスロットとのイメージが濃い分目の前にいる望くんの一般人のような姿はギャップが激しく違和感が凄い。

 

「そう言えばさ望くん、今の仕事辞めて私のマネージャーになってよ」

 

「マジで?」

 

「うん」

 

私の一言に望くんの食事をしていた手が止まる。

一応動画編集者で実家ぐらしである事は聞いていたし親に安定した仕事に就いて欲しいと愚痴られている事も聞いていたので断固拒否されるなんてことは無いだろうなと思っての提案。少し悩んではいたが結果としては読み通り望くんは了承してくれた。

そうとなれば話が早い金沢から東京へと引っ越して来てもらい前任の佐々木ちゃんからマネージャー業の引き継ぎをしてもらう。最後の仕事が終わった時の佐々木ちゃんは

 

「やった!!コレで夢だった旅行に行ける!!」

 

そう言って泣いて喜んでいたのが物凄い印象的だった。そんな仕事が辛かったのかな?そんな佐々木ちゃんが泣くほどの仕事を引き継いだ望くんは頑張っている。なんかちゃんと社会人してるのがとても引き籠もってたとは思えないが気にしないでおく。

そんなこんなで仕事とゲームを両立する日々が過ぎる中世間で神ゲーと呼ばれるゲームの存在を知った。

『シャングリラフロンティア』、楽しみにしていた望くんに黙って先に始めたが世の中で言われている通りの神ゲー

ここで私とランスロットの関係性を変える出来事に出会う。

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