鉛筆騎士の腹心   作:姉小路

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間が空いちゃって書きたいこと書けてるか不安


天音永遠(下)

あれから半月ほどが経過してウェザエモンとの決戦の日は近づいていた。私とランスロットはレベル上げや各種消耗アイテムの調達などをこなして万全では無いにしてもそれなりの状態に仕上げた。

 

「コレで撮影終了でーす!!天音さん今日も完璧でしたよ、ポージングも完璧でしたし流石だなぁ。あ、もし良かったら打ち上げにご飯でも…」

 

「撮影、ありがとうございました」

 

「え、ちょ」

 

これでも日本中の女子から支持を受けている人気モデルなのでウェザエモンとの決戦の日でも当然のように撮影の仕事がある。今ので4件目の仕事だ、コレが終わったらインタビューを午後一番で受ければ終わりだ。

さっさと移動用の車に乗り込み次の目的地まで移動する。勿論この車を運転するのは望くんだ。

仕事に慣れていない頃は道が狭いやら人が多いやら文句ばかり垂れていたが、今ではすっかり慣れた物だ。

 

「あんま焦んない方が良いぞ、少しボロが出てる」

 

「え、そう?」

 

あまり意識してはいなかったが望くんには焦っているように見えていたらしい。スタッフの人からの食事の誘いや連絡先の交換はいつもあんな感じだしそこまで変な所はなかった筈だ。でもまぁ自分でボロが出ている場所に気付けていないので焦っている証だろう。

少し意識を改めようと心に決め事前に用意してもらったおにぎりを食べながら到着まで待った。

 

 

 

 

 

 

「じゃ、家に帰ったらすぐインしてね望くん」

 

「了解、事故しない範囲内で爆速で帰る」

 

走り去っていく車を見送ってから部屋に帰りシャンフロに入るための準備を整える。全ての工程が終わったあと一度大きく深呼吸をして心臓の鼓動を落ち着かせる。胸に手を当て落ち着いたのを確認する、そして次の瞬間に電子の世界へと飛び込んだ。

ログインして周りを見渡すとそこはランスロットと一緒にログアウトした宿屋、姿がまだ見えないあたりまだインしてないのだろう。家はあまり離れていないしすぐ来るだろう、そう思い最終確認も兼ねてインベントリの中身を確認する。そんな事をしていると数分も経たない内にランスロットがやって来た。

 

「早かったね?結構飛ばした?」

 

「まぁそれなりに」

 

そんな会話を交えつつ宿屋を出て『千紫万紅の樹海窟』へと向かう。今日は他のプレイヤーに着けられたりしたら非常に迷惑なので細心の注意を払いながら進んでいく。

いつもPKして色々なオトモダチからのラブコールを受け取っているから余計に気を使っている。

 

「さぁとうとうこの日が来てしまったよランスロット君」

 

「どうなるか知らないが全力を尽くそうペンシルゴン君」

 

軽口を言い二人で光る苔に触れてその先の小道を進む。そこを走り抜けると現れるのは見慣れた彼岸花の花畑。いつも同様の景色だが中央にある空間の裂け目が綺麗な景観を崩していた。

 

「セッちゃんの言ってた時空の歪み、多分だけれどこれの事だよね」

 

「うん、これを通ればウェザエモンとの戦闘になるんだと思う」

 

「じゃぁランスロット行こうか」

 

「了解、何があっても守ってやるよペンシルゴン」

 

「それ自分で言ってて恥ずかしくならない?」

 

「うっせ」

 

まるで恋愛漫画に出てきそうなセリフを吐いてくる彼は恥ずかしくないのだろうか、そう思い疑問を口にしてみると顔をそらしてコチラを見てくれなくなった。そんな顔するなら最初から言わなきゃいいのにギザなことを言うのはランスロットらしい。

少し時間を開けてお互いに心に準備が出来たタイミングで空間の裂け目へと入る。

 

その瞬間世界は反転した。

ついさっきまで足をつけていた花畑には草木の類は無くただ一本の枯れ木があるだけだ。そしてその枯れ木の下に一つの人影が見える、アレがウェザエモンか。

 

「多分だけどアレが...」

 

「なんか想像してたよりずっとロボットって感じ」

 

動く気配が見られないので私たちは警戒を強めながらウェザエモンへと近づきに行く。距離を一歩づつ短くしていくたびに動くのではと緊張が走るが隣のランスロットは全くそんなモノを感じている様子はない。そうして距離を詰めていると突然ウェザエモンが動き出す。

 

 

「断風」

 

 

突然の挙動に反応できずただ立っていると横からの衝撃に体を飛ばされる。ランスロットに覆いかぶさられるように身をかがめると次に瞬間には頭の上を刀が通り過ぎる。あまりの速さに剣を振ったときに発生した風を強く感じる、まさしく太刀風だ。

 

「ヴオオオオオオオォォォォォォォォォ‼‼‼」

 

ランスロットがスキルを発動させたのを確認しウェザエモンの持つ刀の間合いから一気に退避する。あんな巫山戯た居合を繰り出す化け物なら遠距離からでも攻撃してきそうだが距離を取れてる方がまだマシだ。

 

「助かったよ、てかよく避けられたねランスロット」

 

「守るって約束したからな‼あと多分死ぬから蘇生よろしく‼」

 

また恥ずかしいことを言うランスロットに軽口を言うまもなく彼はウェザエモンの方へと突っ込んでいく。インベントリから蘇生アイテム『再誕の涙珠』を取り出していつでも使えるように準備しておく。

アホみたいな回避性能でウェザエモンの刀を回避するランスロット、一体どこであんな芸当を覚えたんだと思うが似たような奴が存在していることを思い出し人間のバグだと思いこの場では納得しておく。そんな事を思っているうちにランスロットが腹を貫かれHPを全損させたので宝珠でよく狙いを済ませて投げつける。そうして命中するとランスロットは復活しまた戦いを始めた。

戦いが始まってから正確な時間は分からないがかなり時間が経ったと思う。私は何度もデスするランスロットを蘇生させるしか未だに出来ていない。出来れば共闘したいが悔しいことにあの戦いに割って入っても足を引っ張るだけだろう。今できることは蘇生、そして決定的な場面での割り込みそれまでは虎視眈々と待つしかない。

 

「ランスロット宝珠がもうない!」

 

とまぁ虎視眈々と待つと言ってもウェザエモンがランスロットを無限に殺せる一方でこちらの物資には限界はあるのでいずれは負ける。というかもうかなり限界のところまで近づいていた。こんな事なら投げナイフや毒針でも沢山用意して持ってこれば良かったと後悔しつつ再びデスしたランスロットに宝珠を投げつけ蘇生する。

そんなジリ貧となった戦いの中で突如としてウェザエモンと行動パターンが変化した。

 

 

「雷鐘」

 

 

ウェザエモンが刀を振るうと雷のような閃光が私とランスロットをめがけて飛来する。

ランスロットと目が合うと彼はこちらに走って来て今回何度目かの私に覆いかぶさり攻撃を受ける。数秒間続く雷撃の後彼の顔を見ると既に顔は『死兵』特有のゾンビのような顔に変化していた。

 

「約束は果たしたからな...」

 

「カッコつけんなバカ」

 

ニッコリと笑いそのままポリゴンと化していった彼を何も出来ないまま見届ける。流石にこんなことされたら柄にもなくドキッとしてしまった。

 

「あーあ、都合の良い部下ぐらいの認識だったんだけど心は勝手に動いちゃうモンなんだねぇ」

 

ウェザエモンは一歩一歩着実に近づいて来る。私は武器である槍を持ち一矢報いるために構える。勝てないことは目に見えているが挑戦しない理由にはならない。そう息巻きウェザエモンとの戦いに身を投じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなでウェザエモンとの戦いに一段落が着いた。奴の討伐は私たちだけでは難しい。そう思ったので『阿修羅会』向けに情報を公開する事にした。

結局先鋭たちで戦いに行っても討伐出来なかったが沢山の情報を引き出せたし本命のときに役立つだろう。

 

「望くん来たよ〜」

 

「もうご飯できるから少し待ってて」

 

あと最近は望くんの家に転がり込むことが増えた。以前も便利な寛ぎスペースだと思い週に1回ぐらいのペースで勝手に使っていたが最近はほぼ毎日のように来てご飯を食べている。最初はこっちが胃袋を掴もうと思っていたが気づいたら逆転していた。だがこんな状況になっても蛮族は何も表情を変化させないし気づいている様子はない、なんなら最近は京極ちゃんを可愛がっている気がする。

 

「ご飯できたよー」

 

ご飯を持ってきてくれた呑気な望くんの表情を見て少し安堵する。まぁこのまま外堀を着実に埋めてくだけで詰みだしな〜、そう思い望くんの持ってきたご飯を食べた。

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