鉛筆騎士の腹心   作:姉小路

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満月

鉛筆はサバイバアルと結託したあと上手い事オルスロットくんを操りPKクランである「阿修羅会」を設立した。この一部始終を見ていた僕的には鉛筆の人心掌握能力の高さを褒めるべきかオルスロットくんの天下無双のチョロさを褒めればいいのか悩んでしまう。

僕も現在阿修羅会に所属しているが最近はあんまりPKを行っていない。

理由としては彼女が死ぬ際に大事なアイテムを預けたいかららしい。

なのでPKをしてカルマ値が上がってしまってもすぐに教会に行って贖罪クエストを受け下げている。その結果、僕はPKクランにいるのにあんまPKしないしすぐにカルマ値を下げに行く頭の悪いヤツみたいになってしまった。

僕と鉛筆の関係性を少しでも知っている人が僕を見れば何でこんなことをしているかすぐに察してくれるが全員がそうという訳では無い。

「阿修羅会」には自己顕示欲が強いオルスロットくんみたいな奴と、純粋にロールプレイを楽しんでいるサバイバアルみたいな奴の二パターンに大きく分けることが出来る。

その中でも特に自己顕示欲が強いやつらに僕はPKを好んでしない事を理由で舐められており偶に絡まれる。

毎回喧嘩に発展しかけるがその都度オルスロットくんが仲裁に入ってくれる。直接彼に聞いたところ鉛筆の部下である僕にちょっかいを出すと後で面倒になるとのことだ。

一度ゲームの中ではなくリアルでネチネチ言われたらしい。可哀そうに...

オルスロットくん、多分僕に配慮して言わないんだと思うんだけどさ、僕を見る眼に恐怖の感情が宿ってるから多分僕がトラウマなんだろうね。僕が一体何をしたというのだ。少しボコっただけじゃん。

そんなこんなでシャンフロをレベル上げしたり、PKしたり、色々なことを楽しんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして季節が移り替わり、北の方では雪も降るような季節となった。

時間の流れとは早いもので天音永遠のマネージャーに僕が就職してからすでにもう一年近くが経ったようだ。

最初のころは前任のマネージャーさんのように上手くできず大変だったが今では楽しく、効率的に仕事が出来ている。

因みに前任のマネージャーさんは今ジャマイカにいるらしい元気にしてるかなぁ...

そんなこんなで今日も彼女の仕事にマネージャーとして付き添っている。

 

「天音さん、今日は午前中に雑誌のインタビュー、昼過ぎからは撮影です」

 

「了解、了解。仕事はいつもの事だから良いんだけどさぁ」

 

「どうしたんですか?」

 

「望君、いつになったら私の事名前で呼ぶわけ?」

 

移動中の車でいつも通り予定の確認を行っていたら唐突にそんなことを聞かれた。

僕は鉛筆の事を出会った時から変わらずリアルでは天音さんと呼んでいる。

なぜならいつ人に聞かれてスクープになるか分からないからである。天音永遠は今の世代一番のカリスマモデルである。そんな彼女に男の影でもあったら炎上間違いなし。

一般人の僕が炎上なんてしたらそれこそ社会的に死んでしまう。

なので僕は一年間も付き合いがあるにも関わらずずっと天音さん呼びなのだ。

まぁ、ここまでが建前である。名前呼びなんて普通に無理でしょ。

前世でも今世でも僕は女性との関りが多いとはお世辞にも言えない。そんな僕が顔面偏差値がアホみたいに高い天音永遠の事を“永遠”なんて名前を呼ぶのはかなりハードルが高い、高すぎる。

 

「まぁ、炎上とかも怖いんで名前で呼ぶなんてこと無いと思いますよ」

 

「フーン、ならさぁ周りに誰もいない時なら名前で呼べるってこと?」

 

「」

 

一瞬脳の思考が停止した。二人の時だけ名前呼び...漫画とかで良くあるシチュじゃないか‼そんな展開に憧れていたのに良いんですか!?

とか考えて、彼女の顔色を伺うため横を確認したら鉛筆の野郎はこっちの顔を見ながらニヤニヤしてやがった。

なんか悔しい、かといってどうにかして抵抗する術も仕返しする術も全く思い浮かばない。

そんな僕の様子を見て鉛筆は笑みを絶やさずに言ってくる

 

「今はさ、周りに誰もいないから言ってみてよ」

 

「...」

 

「ほら早く言いなって」

 

「あーもーやだ、永遠‼これでいい?これで良いよね永遠」

 

「うん、満点。これからはそれでよろしく」

 

満面の笑みでこちらの顔を覗いてくる。顔面偏差値高いの破壊力が凄いな。

やっぱり僕は彼女の魅力に夢中になっているようだ。

 

「そういえば、今日シャンフロでちょっと付いてきて欲しい所があるんだけど大丈夫?」

 

「もちろん」

 

「じゃぁ、しっかりと準備しといて」

 

「了解」

 

彼女はいつもより真剣な表情をしている。きっと大切な事なんだろうな...なんだろ?

仕事が終わってから速攻で家に帰宅し、ログインして準備を始めた。

 

 

「ランスロット、準備できた?」

 

「できた。それでどこに行くの?」

 

「前に私が発見したユニークモンスターとやらのとこにね」

 

「!?」

 

「ハハッ‼さすがに驚くか、前に偶然見つけることが出来たんだよね」

 

ペンシルゴンと合流し人に付けられないように森を進んでいる道中でとんでもない事を言われた。

ペンシルゴンが見つけたと言っているから恐らくだけど最強サムライマシン「ウェザエモン」の事だろう。確か原作では阿修羅会のみんなで初見で挑み負けてたはずなので少し原作と変化している。

てか、ウェザエモンかぁ。正直言って挑みたくない。だって強制でレベルを下げるとかズルじゃん。そのうえ人知を超えた超剣術である。変態の二人とは違って一般人である僕とペンシルゴンでは到底対応することは不可能だろう。

けれど僕は彼女の臣下である。ならば付いて行く他あるまい。

 

「満月の日の夜、千紫万紅の樹海窟の壁に生えた蛍光苔の中光らない苔が一部にだけある。これを調べると...」

 

ペンシルゴンが苔に触れると苔が崩れ落ち小さな道が生まれる。

改めて思うけれどもよくこんな鬼畜ゲーさながらの条件を発見したよな、素直に尊敬する。

 

「見つけたのは本当に偶然なんだよね、素材採取の為に何回か訪れてたんだけれど偶々満月の日に光っていない苔を見つけたんだよね」

 

「ほんとに凄いよ、僕だったら絶対に見つけれてない」

 

ペンシルゴンと共に道を進むこと数分、道を抜け出したその先には彼岸花の花畑が広がっていた。

花畑を進んでいくと一人の女性がいた。多分この人がセツナだろうな。

近づくとペンシルゴンに気づいたのかこちらに挨拶をしてくれる。

 

「あら、アーサーまた来たのね」

 

「うん、でも今回は彼と一緒にね」

 

セツナがこちらを見る。なんか原作を読んだときは全てを見透かしている人って感じだったけれども生で見てみると普通の女性って感じだな。

 

「なるほどね...君がいつもアーサーが言っている子か」

 

「初めまして、ペンシルゴンの一番の部下ランスロットだ」

 

「よろしく、ランスロット。私はセツナ、いつも君の事はアーサーから聞いてるよ。」

 

ペンシルゴンはいつも僕の事をなんて言っているのだろうか?

なんか滅茶苦茶セツナはニヤニヤしている。なんか嫌な感じはしないけれどなんかなぁ...

 

「セッちゃん、私決心着いたよ。クエスト受けることにするよ」

 

「分かった、じゃぁ彼の事について聞いてちょうだい」

 

『ユニークシナリオEX『此岸より彼岸へ愛を込めて』を開始しますか?』

 

僕とペンシルゴンは迷うことなく「はい」を選択する。

するとセツナは一拍置いてからウェザエモンについて語りだす。

 

「なるほどね、じゃぁ実際に彼と戦闘するのは次の新月になる訳か」

 

「そうね、新月の夜だけは結界に綻びが生まれるのそのタイミングで彼のもとに行くしかない」

 

この辺りは原作通りらしい。となるとヤツの性能も変わらずか..

いや確か討伐時には修正されて弱くなってる筈だからアレよりも強いのか...

 

「ランスロット、次の新月までレベル上げしよう出来ればカンストまで」

 

ペンシルゴンの真剣な瞳をみて僕は思い出す。

そっか僕はウェザエモンの強制レベルダウンを知っているけれどペンシルゴンは知らないのか。

というか僕が知っているのはズルでありある意味チートである。

それでも僕はゲームを楽しませて貰ってるんだ最大限努力するのが義務だろう。

というか挑戦する前から諦めるのはゲーマーとしていい行為ではない。挑戦するなら全力を尽くすべきだろう。僕は気持ちを新たにする。

 

「もちろん、やれることは全部やろう」

 

 

この後、次の新月の日が来るまで各地の狩場を転々としレベルを上げ続けた。

 




川上望のリアル
本人は転生と言っているがどちらかというと若返って転移した形
転生者なのでそういう特典が無い訳がなく顔面偏差値が前世から10ぐらい上がっている。
元がそんなに良いわけではないので10上がってもapp15ぐらいでとどまっている
天音永遠とは2歳差で年下
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