クソボケ邪悪厄介オタク転生者の末路 作:タキオンのモルモット
ヴァルキューレ警察学校特殊状況下事件捜査課、通称『特状課』。
その会議室は重苦しい空気に包まれていた。
事の始まりは数週間前のハイランダー鉄道学園の襲撃。
最初こそ他と同じようにマギアの仕業かと思われた事件は、一人のスケバンにより引き起こされた事案─────だけならばまだしも。
そのスケバンが怪人に成り果て、マギアと同じように暴れるという前代未聞の事件が発生。
そこから更に同じような事案が、マギアの襲撃と共に複数回起こり、対応に追われて漸く落ち着いたところ、解ヶ良リョウマから『調査結果でたよ』という何とも緊張感のないモモトークが送られてきて─────現在。
集まっているのは現行仮面ライダーの尾刃カンナ、梔子ユメ、小鳥遊ホシノの3人。そしてベルトさんと不知火カヤと白石ウタハ。
「検査の結果─────違法薬物によるドーピング。身体が所謂『怪人』になるのは神秘によって形状が変わる金属がこの箱の中に詰まってるから。これを身体の何処かに当てると皮膚から違法薬物が流れ込んで、最低限の理性を保ちながら暴れる怪人と化す。それと同時にUSBメモリ─────以降仮称として『ガイアメモリ』と呼ばせていただきます。そこから神秘に反応する形状記憶合金が溢れ出し、それが鎧となってまるで『マギア』のような見た目になる。そしてこのメモリに書いてある単語、それっぽい力を操れるような兵装を出せるようなナノマシンの詰まったマイクロチップが埋まってた。小鳥遊さんが戦った相手は『MAGMA』─────つまりあの熱線がマグマと同じ温度だった、というような感じだね」
次から次へと出てくるとんでもない単語の数々によって、重苦しい空気が更に重くなった。
「同じように調べてみたところ次に現れた尾刃さんの『SWORD』は死ぬほど切れ味のいい刀、一週間前に梔子さんが戦った『GAN』は文字通り、大量の銃弾をブッパする能力だったね。そんなことが出来るような兵装のプログラムが同じように入っていたよ。それと違法薬物の件だが心配はしなくていい。どうやら死ぬような効果は無いね。精々ちょっと効果の弱い麻薬みたいなものさ。あの程度なら病院で数ヶ月治療すれば抜ける程度のものだよ。これがガイアメモリの全容。俺からの報告は以上でーす」
「そうか、わかった」
その尾刃さんの返答を機に、また会議室から音が消える。
いやー···············なんか本当に申し訳ないね。
申し訳なさすぎて絶頂しそう。チートありきとはいえ自分が作ったもので試行錯誤してる人達を見るの本当に楽しい─────!!
「はぁ、ナノマシン。ですか。正直そろそろ本格的にミレニアムに踏み込みたいんですがね。こんな事出来るのミレニアムくらいでしょうに」
ここにミレニアム生がいるのもお構い無しに不知火カヤは嫌味ったらしく言葉を吐く。
─────が、しかし言っていることは正しい。
実際問題真っ先に疑われるのはミレニアムサイエンススクールの生徒とかになるだろう。
だがその程度予測していない俺じゃない。
「不知火さん。アンタの言ってることは正しいぜ。誰だって真っ先にそれを疑う。俺だってそうするとも。─────でもね。この程度の技術じゃ犯人を絞れないんだ」
「··········は??いやそれでもキヴォトス全域からミレニアムの生徒まで絞れるなら─────」
「あのね、不知火さん。ミレニアムサイエンススクールは確かに技術力に優れてる。マギアも今回のガイアメモリも確かに作れるだろうよ」
「なら─────!!」
「でもね、この二つ実はミレニアム生じゃなくても作れるんだ」
「─────·························はっ???」
訳が分からない、と言った顔で不知火カヤは口を大きく開け、フリーズする。
「キヴォトスでもナノマシンなんて確かに相当の技術がないと無理だったよ。
「数年前、ミレニアムサイエンススクールの当時の『マイスター』が画期的なナノマシンを発明し、それは主に医療の現場等でも扱われている」
「つまり、『手に入れる』事は容易で、当然数年前に作られたものが現代に改良されてない訳が無い。そして改良に改良を重ねて─────結果としてこれは相当容易な···············容易は少し言いすぎたな。だが、ガチ勉すれば理解する事も使う事も出来る。それこそ各学校の─────ゲヘナと赤冬以外のトップ成績のヤツらならまあ半年でいけるだろうな」
「挙句の果てにはこんな悪事を働くヤツらだ、本来の成績とか才能とか··········誇示している可能性は大いに低いね。結果として、それなりの設備と知識と資金、そして材料さえあれば
俺の説明と交互になる様にウタハが口を挟んでいたが─────まあそういう事なのだ。
疑われるだろうなとは思ったのでゼツメライザーとガイアメモリモドキは、材料があって少しプログラミングの勉強をしてしまえば誰だって作れるようにした。
キヴォトスの科学の発展具合には感謝感激である。このガイアメモリモドキに使っているナノマシンは市販で10万クレジットで売ってたからな。マジで驚いた。どうやら数年前のマイスターは余程優秀だったらしい。
今となっては黒服が片手間に作る事が出来る代物である。まあアイツはそもそも頭良いからおかしくは無いしあまり例えに向いてない気もするがそこはまあ置いておいて。
「それに本当にそうだったら真っ先にカンナさんにお縄にされてるって」
「─────そういう事なんだ不知火さん、彼等は既に調べ尽くして『白』と出た。これは私の私情を含んだ捜査じゃなくヴァルキューレの他部署に掛け合って調査してもらったから間違いは無い」
その辺の対策はしていたがいざ聞くとそんな事してたんかとビビり散らかすのでやめて貰おうか尾刃さん。
まあ実際俺は白だし。俺が製作したのはあくまで設計図でそれら組み立て等は大体カイザーだし??
全くもって問題は無いですね!!
「しかし不自然ですね。そんな簡単なモノなら何故お二人のようなそれなりに優秀な方々が何故こんなにも分析に時間が?」
「あー··········それは···············」
「おやおやおやぁ??何をどもってるんです??疚しいことでも???」
水を得た魚のように途端にウザくなる不知火カヤ。
しかしこれは、俺のミスである。
「その··········ですね?今回小鳥遊さんのライダーシステムを構築するにあたって参考にしたのが梔子さんの『ゼロワンドライバー』だったんですけど··········その中に変身者の神秘をちょっと吸い取ってパワーアップするみたいな機構がありまして··········」
これは『ゼロワンドライバー』を作った時、ユメ先輩の実力が不明だった為、キヴォトス人··········というか前世のネームド生徒のEXスキルみたいな感じの事出来ないかなーって試行錯誤の末出来た機構である。
効果は至極単純。先程説明した通りである。
「それを『アビドススラッシュライザー』にも付けたんですよ···············でも小鳥遊さんの神秘の量と質が凄まじくて···············最初このガイアメモリからは形状記憶合金以外の全てが跡形もなく消し飛んでましてね??あっはっはっは!!つまり全部私のせいだ!!小鳥遊さんの神秘を舐め腐ってた私のせいだ!!あーっはっはっは!!····················ごめんて!!俺が悪かったです!!だからそんな目で見ないで!!」
つまりは、性能解説準備も余裕で三日あれば出来たのに、自分で作ったライダーシステムのせいで全貌が分からないほど跡形もなく消し飛ばしていた為、説明ができなかった。ただそれだけである。
─────閑話休題─────
「とりあえずリョウマは置いておいて、では誰がこれを作っているかだが─────いくら安価で手に入ると言っても生徒であることは考えにくい。となればその辺の一般企業が秘密裏に、かもしくは裏社会のギャングが誰かに作らせているか···············何れにせよまだ何も絞り込めてない状態だ」
「いやぁ、そろそろ入学式なのに穏やかじゃないねぇ··········各学校何も起きなければいいけど···············」
「その件に関してだが、すまないがアビドスの入学式は少し遅らせてほしい。何処の学校に出てもいいようにここで待機を頼む」
「まあ当然の判断ですね··········ユメ先輩が特状課に正式出向してるからいらない気もしますが···············」
こんな話をした約一ヶ月後、各学校で入学式が行われた。
─────しかし、入学式時点では何も起きず、ただ杞憂に終わったのだった。
入学式翌日。トリニティ総合学園、正義実現委員会部室。
「本日より正義実現委員会に所属になりました、仲正イチカっす!!これからよろしくお願いします!!」
─────物語は暫し、トリニティへと移る。
入学式から一週間、仲正イチカは優秀さを遺憾無く発揮し、周囲とも良好な関係を築けているようだ。オマケに前世で見た『人助けが趣味』なのも変わらないようで一般市民からの好感度も高い様子。
「─────ふっふっふ、流石は俺の推し」
『相変わらずですね。我々にアビドスであれこれやらせている間にストーカーですか』
「お前も何れわかる時が来るさ黒服─────それはそれとして首尾は順調?」
『ええ、貴方に言われた通り、アビドスで行き倒れていた銀髪の少女を少しの間睡眠薬と点滴を施して保護した後ライダーシステムを持たせて小鳥遊ホシノのいつも使っている通学路に放置しました。ついでに貴方のラボにゴリラのガイアメモリを買ったチンピラに依頼して忍び込み、二つのライダーシステムを片方は破壊、もう片方は奪ったように見せかけるのも成功しています』
「成程なるほ─────ゴリラ!?」
『あの銀髪の少女とは似ても似つかない方がいいとの事でしたので』
「だからってなんでゴリラなんだよ!!え、俺の店ゴリラに泥棒に入られたの!?嘘でしょ!?」
『頑張ってくださいねwww色んな意味でwww』
「てめえコノヤロウ···············」
『因みに発案はウタハさんです。クックック··········女性を怒らせてこの程度で済んだんです、マシな方では?』
「なんであいつそんなに怒ってるんだ··········まあいいや、明日計画実行に移すからその前にヴァルキューレに通報するか···············」
『しかし─────あの行き倒れていた女生徒のことも気になりますが、何故彼女にご執心なので?』
そう言って黒服は先程リョウマが視線を向けていた先─────仲正イチカの方を見る。
「そうだなぁ··········言い表すのが非常に難しくはあるんだが強いて言うなら─────」
見たいものが見れるかもしれない、という期待だ。
仲正イチカが正義実現委員会に入り二週間。
困っている人を放っておけない、面倒見のいい性格が功を奏したか、僅かな期間で一班(十人前後)を纏めるリーダーとなっていた。
そんなある日の事である、正義実現委員会副委員長、羽川ハスミに呼び出されたのは。
「し、失礼します」
「あぁ、イチカさん。よく来てくれました。···············そんな緊張しなくても別に説教をする訳ではないですよ、まあ真面目な話ではありますが···············」
「は、はぁ···············」
─────真面目な話ならその机の上にあるミニシュークリームの山は一体何なんだ。
そう思ったが口には出さずに聞く体勢に入る。
「と言ってもただの報告と提案です。まず···············これから全体に向けても発表がありますが、現正義実現委員会委員長が退陣しました」
「はぁ、そうなんすね······························え???」
「···············驚くのも無理はありません。が、事実です。最近有名になっている『ガイアメモリ』。その被害に遭ってしまい大怪我を負いました。幸い命にも日常生活にも異常はありませんが··········在学中の戦線復帰は不可能だそうです」
どうやら怪しい動きをしていた市民に話しかけたところ、そいつがメモリを持っていて真っ先に襲われてしまったらしい。幸いにもヴァルキューレの仮面ライダーが近くにいた為に即救助されたが、最初の一撃が足に当たってしまい、上記の結果になってしまったようだ。
「そしてその結果、現在二年生である剣先ツルギが委員長に任命されました」
「えっ」
「安心してください。入ったばかりですからそのリアクションは解りますが、ああ見えてツルギは話せば分かりますし優秀ですよ」
「そ、そうなんすか···············」
正実に入って僅か一週間。バーサクしているところしか見ていないイチカは、不安そうにそう答えるしかなかった。
「─────さて、本題はここからですイチカ」
先程は喋る合間合間に高速でミニシュークリームを食べていた手を止め、神妙な面持ちになる。
空気が引き締まる中、ハスミはこう告げた。
「貴女、仮面ライダーになってみませんか?」
「·························は!!!?」
区切りが良いので変身は次回持ち越しで許して許し亭
流石にこんだけ動いてミレニアムが疑われないのは無理あるやろと思い今作における『ガイアメモリ』の設定という名の言い訳考えてたらそれだけで半分超えててびっくりしたのだわ。
『ガイアメモリ』
・解ヶ良リョウマがキヴォトスにある、比較的安価(少なくとも中小企業が無理無く量産できるレベル)な材料と(頑張って勉強してプログラムを学べば)誰でも作れる技術で作った『ガイアメモリモドキ』。『地球の本棚』が無いのでどうしようもなかった為、キヴォトスに元々ある技術と予め持っていた『テラー』と『ユートピア』、『エターナル』を参考に作った。その結果ナノマシンとナノマシン対応メモリチップ+形状記憶合金のようなナニカで再現に成功した─────のは良いが当然オリジナルのスペックとは程遠い。あまりの劣悪さに『ガイアメモリ』と名乗らせたくないという思い故に黒服とウタハに命名任せたら『ガイアメモリ』って名付けられて返ってきた為、暫くの間解ヶ良リョウマは「う〇ち!!!!」しか喋れない身体になった。
キヴォトスの、それもミレニアムの歴代マイスターなら誰かしらが安価でナノマシンくらい作ってるやろ!!多分!!の精神で行きます。