クソボケ邪悪厄介オタク転生者の末路 作:タキオンのモルモット
クリスマスに現れるはずだったが諸事情により正月に見参!!いいかお前ら、正月にはシャケを食え!!
────えっ、正月すぎてる?
シャケのシーズンは過ぎてない!!ヨシ!!
────何故、こんな事になったのだろう。
尾刃カンナは戦闘中にも関わらず、そんな事を思っていた。
────だってそうだろう?この惨状を見れば、誰もがそう思うはずだ。
目の前には、魚の姿をしたマギア。
そして周りに散らばる────生きた、ヘイローを持ったシャケの山。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!うっとおしい!!」
『落ち着けカンナ!!気持ちはわかるが!!』
そんな惨状。
そしてそれを上から見てる影が二人。
「黒服お前何やってんだマジで」
『ま、まさかこんな事になるとは────』
事の発端は12月31日に遡る。
────12月31日。大晦日。
俺は年末特番を見ながらウタハと一緒にコタツで寝転んでいた。
「··········ウタハお前何故ここに··········?」
「はっはっは、おかしな事を聞くねリョウマは。我々は一蓮托生の仲になったじゃないか。今後可能な限り同棲するからそのつもりでいてくれ」
「そうかそうか、本当の理由は?」
「チャンネル争い··········と言うよりテレビ争いに負けた··········」
「んな事だろうとは思った」
そう言いながらウタハは画面共有で手元のタブレットから動画を流し始めた。
「最近はテレビがつまらなくてね··········特に年末は何も面白いのがないから困る。なのに先輩方はきゃいきゃい言いながら紅白を見るんだ。訳が分からない」
「だからって人の家で実況者のバトルフロンティアチャレンジ見るのもどうなんだよ··········別にいいけど」
そんな会話をうだうだして一時間後、一本の電話がクジゴジ堂に鳴り響く。
「··········えぇ··········なんか嫌な予感するなぁ··········」
「ストーブでも壊れたんじゃないかい?」
「この時間にかぁ··········?はーいもしもし、クジゴジ堂です」
無駄口を叩きながら電話を取る
『クックックッ··········夜分遅くにすみませんねリョウマさん』
「あ?黒服?」
電話の向こうからは最近よく行動を共にしているビジネスパートナーの声が聞こえてきた。
「一体何の用だ?大晦日と三が日は特に何もやらんぞ俺は」
『ああ、別にそういう話では無いんです。実はちょっと困ったことになりまして··········リョウマさん確か貴方料理できますよね?』
「は?··········いや、できるけどそれがどうかしたのか?」
『魚··········捌けますか?』
「···································は???」
黒服に教えられた座標にウタハと共にオートバジン(モドキ)を飛ばしていくと氷海の近くに廃墟があり、黒服に言われた通り地下の方へ。
指定された部屋にたどり着くと黒服が軽く見上げながら突っ立っている。
つられて上に視線を向けると、そこには巨大な水槽があり────
そこには通常の鮭より二倍くらい大きな、ヘイローを持った鮭が泳いでいた。
「···············何これ」
『見てのとおり、鮭です。ヘイローを持った』
黒服によると、ヴァルキューレ襲撃後、このアジトに帰ってしばらくしたら海から地下の生簀に入ってきたらしい。
未知の生物────と言うよりヘイローを持った鮭という未知に黒服は大興奮。ありとあらゆるアプローチから実験を行ったが、普通の鮭と大して変わらなかったらしい。
そこで残るは味────!!という境地に至ったものの自分では捌く技術がなく(実験途中は無作為にメスを入れたりしていたらしい)、どうせ食べるなら美味しい方がいいと思い俺らを呼んだとか。
『という訳でどうにかして調理とかできませんかね?』
「いや別に捌けるし料理もできるけどさぁ··········」
「果たして食べても大丈夫なのだろうか··········」
『一応私が口に入れたところ問題はなかったんですよ。ただ血抜きとか三枚おろしとか、そういうのがどうも苦手でして』
「···············はぁ··········まあとりあえずわかった。おいウタハ」
「なんだい?」
「刺身とか鍋にするから材料とか買ってこい、余ったらルイベ漬けにして食べるからタッパーも。後丼用にタレの調味料とご飯も多めにな!!」
そして俺は、水槽の中の巨大ヘイロー持ち鮭を一匹、生簀から出して捌くことにした。
────そして一時間後。
「なんだこれウッッッッマ!!!!」
「こんな鮭食べたことないよ··········もぐもぐ··········」
『これは··········見てください、脂に若干の神秘を感じます··········恐らくこれが旨味成分になっているのではないかと··········うっま』
余りにも美味しすぎて宴が始まり────
『クックック··········これが大人の楽しみというやつです··········八〇山!!』
「あっ、こいつずっる!!」
「仕方ないさ··········酒は二十歳になってからと言うしね·····」
『そうなのですか??前に生徒が飲んでいましたが··········』
※読者の皆様はお酒は二十歳から飲みましょう。
「え、そうなの?」
『前に赤冬に行った時は学生たちが酒盛りしていましたので··········』
「という事は自治区によって決まっているかもしれないね··········」
『ここどこの自治区でもないですね··········ならば大丈夫では?』
「無法地帯かよ··········まあでもそういう事ならなぁ?」
「うん、そうだね!!」
『「「カンパーイ!!」」』
※何度も言いますがお酒は二十歳になってから!!
そして暫く経ち酒は回り────
「聞いてくれよ黒服ぅ··········リョウマが私の事襲ってくれないんだ··········」
『おやおや、据え膳食わぬは男の恥ですよリョウマさん』
「いや付き合ってないし〜?こういうのってしっかり段階踏んでからしたいし〜?」
『「乙女か????」』
なんてくだらない話をしながら。
「あ、黒服見て見て!!そういや前にこれ作ったんだよ!!シャケゼツメライズキー!!」
『いや絶滅しとらんやないかーい!!』
『「「あーっはっはっは!!」」』
『折角ここにアークマギアありますしテストしましょう!!』
「いいねぇやろうかぁ!!」
『サーモン!!』
『サーwwwモンwww』
「黒服がこんなに笑ってんの初めて見たwww」
「いやwwwリョウマwwwサーモンはずるいってwww」
────宴は明け方まで続いた。
最初に目を覚ましたのは、黒服だった。
『う、うぅん··········久しぶりですね、こんなにも飲み明かしたのは』
普段色々とやっている身であり、だからこそ油断をしない生活を送ってきた黒服にとっては酔い潰れるなど初めての事だった。
それはビジネスパートナーである彼らに対する信頼の証か、油断かは分からない。
だがこの時、黒服は今までの生涯で一番迂闊だった。
二日酔いでフラフラと歩き、顔を洗ったのはいいものの、完全に正常な思考回路ではなかったのだ。
ふと気になってしまった。
『··········そういえばマギアに神秘って付けられないのですかね··········?』
それはただの疑問。
キヴォトスの住人たちは銃弾に神秘を乗せて火力を上げたり爆発させたりしているのがチラホラいる。
だからこそ、素体が機械であるアークマギアに神秘を挿入するとどうなるのか。
だが自分自身と解ヶ良リョウマは神秘を持ちえない、白石ウタハはヘイロー持ちだがどうせならもっと強いやつで試したい。
────そうだそこの生簀にヘイローを持った鮭いるじゃん。
どうやら掛かってしまっているようです。一息つけれたらあんな惨劇は起きなかったのですが。
そうと決まれば行動に移すのが黒服という研究者。
黒服は早速シャケマギアを引き連れ、生簀からシャケを取り出そうとした、その瞬間────
生簀から巨大な鮭が飛び出て、シャケマギアを喰らった。
『────···································は???』
────その時不思議なことが起こった!!
理屈は不明だがシャケマギアと神秘を持つ鮭が奇跡のガッチャーンコ!!
突如目の前を眩い光が覆い尽くし────
『貴様らァ!!正月にはシャケを食え!!』
────1月1日。ヴァルキューレ警察学校公安部『特殊状況下事件調査課』。
「···············やはり正月は平和ですね···············」
『意外だな、警察は二十四時間三百六十五日休みは無いと聞いたが』
「そもそも正月に騒ぎ起こすバカがこの辺は少ないんですよ。まぁそもそも公安部なのでその辺のバカ騒ぎとは元から無関係なので··········」
尾刃カンナはベルトさん(名前がなかったからそう呼ぶ事にした)と喋りながらドライブピットでお雑煮を食べていた。
食べ終えたカンナは何故か付けられているキッチンの自動洗浄器の中に食器をぶち込み、スイッチを押し、近くのリクライニングチェアに深く腰掛ける。
「··········」
『どうしたんだカンナ。私の方をじっと見て』
「いえ、少し気になってしまっただけですよ。貴方の製作者について··········貴方本人も相当なモノですがそれに加えてこんなものまで作っているとは··········」
『ふむ、まぁ気にしなくても良いとは思うけどね。罠とか仕掛けられてる訳でもないんだ。自由に使えばいい』
「まあ私の後輩なんかはこの施設完全に満喫してますからね···············」
このドライブピットは地下一階にある。地下含め六階建てのこのビルは、一階は警察学校と変わらない受付が入っていて、二階が無線室。そして三階は仮眠室(超豪華仕様)と食堂(尚料理のできる人材は居ないので自分で作らなければならないが)。4階はトレーニングルームと射撃訓練場にプール。五階はなんと大浴場··········しかもスーパー銭湯バリの様々な湯やサウナがついている(何故かご丁寧に男女別だった。基本女しかいないのに)。
しかも掃除は専門のロボットがやってくれる。まさに至れり尽くせりであった。
『まあこの間事件が起きたばかりなんだ。休める時に休むのも仕事のうちだぞ』
「···············そうですね。折角なので温泉にでも浸かるとします────」
そこまで言ったと同時に、鳴り響くは警報音。
つまり事件発生の合図。それもここに来るということは、ういうことだ。
『尾刃さん、今そこにいますか?いますね?緊急事態です』
『マギアが数々のお節料理を売っているお店を襲ってシャケとお節料理を取り替えています!!』
脳ミソで処理できる情報じゃないとは思わなかったが。
「はぁ、何かと思えばそんな····················は??」
『ちょっと待ちたまえ不知火女史。今なんて?』
『何度も言わせないでください。マギアが数々のお節料理を売っているお店を襲ってシャケとお節料理を取り替えています』
「我が名はぁ!!サモーン・シャケキスタンチン!!本来クリスマスに現れるはずだったが諸事情により今年の正月をシャケに染めてやる!!御節の代わりにシャケを食べろ!!NO MORE 御節ィ!!」
そんな事を叫びながら神秘を使い、無からシャケを生成し、シャケを重箱に詰めまくってるサーモンマギア。
奇しくもあのギャングラーと同じ名前を名乗りながら同じ悪事を繰り返すサーモンをリョウマと黒服は建物の上から見つめていた。
「··········確かにこんなふざけたゼツメライズキーを作ったのは俺だし、記憶にある限りのルパパト知識も入れた。だけど────こうはならんやろ」
『なっとるやろがい!!────まあそれはさておき、実に興味深い現象ですね。まさか無からシャケとはいえ何かを生み出すとは··········それも生命をですよ。実に興味深い』
「何気にしっかり美味いんだよな··········焼き加減も完璧なんだよこれ··········」
『やはり神秘は興味深い··········』
そんなことを呟く黒服を他所に、リョウマは真面目な顔でウタハに視線をやる。
「··········まぁカンナさんには頑張ってもらおう··········あとウタハ」
「ん、なんだい?」
「できるだけシャケを回収しろ、持って帰ってルイベ漬けも食べたいし丼にもしたい!!」
「任せてくれ。ちょうどいい発明品がある」
「ええい!貴様がどんな思想を持っていたとしても!!器物損壊に営業妨害だ!!」
『行くぞカンナ!!START YOUR ENGINE!!』
「よっしゃ戦いに乗じて大量に回収するぞ!!」
「分かった!!」
『···············昨日あれだけ食ったのにまだ···············?』
それぞれの事情が交錯する中────
「ホシノちゃん!!早くしないと御節売り切れちゃうよ!!」
「なんでそんなに欲しいのに事前に予約しなかったんですか···············?」
次回予告────
「うぇっ!?私達の御節が!?」
「シャケ··········なんでシャケ?」
特に何も知らずに来たアビドス二人組に災厄が降りかかる!!
「ティーパーティーも万魔殿にも連絡した!!これでサーモンをおびき寄せる!!」
「··········前代未聞だろ··········早く帰りたい··········」
『しっかりしろカンナ!!』
胃痛に悩まされるカンナ!!
そして────
「まぁーてー!!!!!」
『飛び上がRISE!!ライジングホッパー!!』
「なっ··········まさか··········!!」
『我々と同じ仮面ライダー!?』
次回:シャケと御節と仮面ライダー!!
「貴方を止めるのは────」
「「『私達だッ!!』」」
オマケ:解ヶ良リョウマの秘密
前世の父親の実家が北海道にある為鮭が大好物。好きな料理はシャケのルイベ漬け。
白石ウタハの秘密
幼少期、リョウマがしょっちゅう鮭を食べていたので自然と布教された。鮭が好きになった。