擬態能力を持つ怪物に転生したわ   作:LEIKUN0227

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第二十八話 ボカロギタイ

 

 

 

 

─────

 

──テント内──

 

2日目、アニゲーコミュケにて。

 

今日も向かう事になったのだが、

昨日よりも警備員の数が多くなっていて、

1分に1回はすれ違うか見る位に増えている。

 

だけど中止しないあたり、

揉み消せるか規模が中止するのを躊躇ったか。

 

響歌(まぁ行くしかないんだけど。)

 

今回の姿は初音ミクの姿が人気があったからという事でそれに並ぶくらいに人気の()()()()の姿に擬態。

 

響歌「テートテトテト!…違うな…君は実に馬鹿だな。これか。」

 

声帯も昨日位に造形をしっかりと把握した事で少し怪しかった日本語がバッチリと発音出来るようになったので今日は少し気分が良い。

 

ドリルツイン(縦ロールとも言う)の毛先をくるくると回し、見た目を確認しながらそんな事を思う。

 

元の面影(響歌)は少し残してはいるが、

その姿は本物(重音テト)と思わせるくらいの完成度にはなったと思う。

 

響介「姉ちゃん早く出てよ!」

 

響歌「わーった!」

 

自分としては歩き回りたいので擬態が完璧になったコイツ(分裂体)をここに置いておいて自分は別の姿に擬態。

 

響歌「よし。」

 

テトと言っても過言ではないボディの足元から(血肉)が水の様に出てくる。

 

響歌「見た目が漏らした様に見えるな。」

 

響歌(分裂)「それを言うんじゃないよ…」

 

テトの姿をした分裂体から肉体形成が出来る分だけ頂戴すると肉体を形成。

 

響歌「あーあ〜。」

 

その姿は初音ミク…と似た姿の子、

お金が無くてサイドテールにしか出来なかったって話のある()()()()に擬態。

 

響歌「よし。行くか。」

 

一応何十分か歩き回ったら分裂体と合体して状況収集とかはするつもりである。

何せ、昨日のセイバーとアナザーセイバーとかがあった以上、私人警備をするに越したことはないからな。

 

背伸びをしてテントから出ていき、

響介とは反対方向に歩いていく。

少し遅れてテントから分裂体も出てきて店番しに行ったからこれで心置き無く歩き回れる──

 

響歌(と、思ったんだけどなぁ……)

 

周りからは「写真撮らせてください!」や「連絡先交換してください!」とわーきゃーと黄色い悲鳴が周りから響いてくる。

それも全てが俺に対してである。

 

通路に一歩踏み出した瞬間、

まるで波が押し寄せるように人の輪が出来た。

 

「ネルだ……!」

 

「本物みたい……!」

 

「完成度やばくない!?」

 

「写真、写真撮らせてください!」

 

一斉に向けられる視線とレンズ。眩しいフラッシュ。熱気。匂い。足音。手を伸ばす影。

 

響歌(……うわ、想像以上だ)

 

銀色のサイドテールが揺れる度に、歓声が一段高くなる。

ネルの見た目を纏った俺は、思わず背筋を伸ばした。

 

響歌「えっと……順番にお願いします。押さないでください」

 

出来るだけ柔らかく、しかしはっきりとした敬語で声を出す。

それだけで周囲がざわめいた。

 

「声もそれっぽい!」

 

「喋り方かわいい!」

 

「やばい尊い!」

 

カメラを構えた数人が前に出てくる。俺は軽く首を傾け、

ネルらしいクールさを意識してポーズを取った。

 

パシャ、パシャ、とシャッター音が連続する。

 

響歌「撮影は一人一枚でお願いしますね」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

「こっち向いてもらっていいですか!?」

 

「もう少しだけ笑ってください!」

 

笑う気はあまり無かったが、口角だけ僅かに上げる。

その瞬間、また悲鳴。

 

輪は崩れない。むしろ、後ろから新しい人間が押し寄せてくる。

 

響歌(やば、抜けられない……これ、完全に包囲されてる)

 

その時だった。

斜め下から、妙に角度の低いスマホが突き出される。

 

「すみません、ちょっと下から――」

 

明らかに足元を狙っている。

さらに別の方向から、誰かの指先が腰の方へ伸びた。

 

ひやりとした感覚に背筋がゾワッとして咄嗟に

 

響歌「……触らないでください」

 

声色を変えず、しかし一段低く、静かに言う。

 

「あ、いや、すみません、偶然で――」

 

響歌「偶然でも困ります。距離を取ってください」

 

周囲が一瞬だけ静まる。

だが、すぐに別の声が被さる。

 

「写真だけ!写真だけでいいんで!」

 

「ファンサもらえませんか!?」

 

「連絡先交換してください!」

 

響歌「すみません、連絡先の交換はお断りしています。写真はあと三枚だけ対応します」

 

自分で制限を決める。これ以上は飲み込まれる。

 

一枚、二枚、三枚。

その間にも、人垣は厚くなる。

 

カメラのレンズが肌に触れそうな距離。

肩にかかる視線。

背後からの圧。

 

響歌(……まずい。このままじゃ動けない)

 

俺はわざと一歩後ろに下がり、軽く頭を下げた。

 

響歌「ありがとうございました。これで失礼します」

 

そう言って横に動こうとする――が、そこにも人がいる。

 

「え、もう終わりですか!?」

 

「もう少しだけ!」

 

「待ってください!」

 

誰かが手首を掴みかける。

俺はその手を視線だけで制し、すっと腕を引いた。

 

響歌「すみません。移動しますので」

 

小さく、しかしはっきり。

 

一瞬の隙。

フラッシュの間隔が途切れた、

その刹那――俺は人と人の間に身体を滑り込ませた。

 

体を横にして、肩を縮め、流れるようにすり抜ける。

 

「ちょ――」

 

「あ、行っちゃった――」

 

「待って!」

 

声が背後で遠ざかる。

だが、まだ包囲は完全には解けない。

 

前方には屋台の列。

横には装飾の柱。

俺は迷わず柱の陰に入り、そこで一瞬だけ立ち止まる。

 

心臓が早い。息が少し荒い。

 

響歌(……よし)

 

柱の反対側に出ると同時に、歩幅を変え、視線を下げる。

ネルの見た目のまま、しかし存在感だけを少し薄めるように意識して歩く。

 

「さっきのネルどこ行った?」

 

「あっちじゃない?」

 

「いや、こっち見てたよ」

 

「ならあっちか。」

 

ざわめきが散っていく。

追ってくる足音はない。

 

気付けば、人波の外縁。

視界が開け、通路の先が見える。

 

背後の喧騒はまだ渦巻いている。

だが、俺の周りはもう静かだった。

 

サイドテールが風に揺れ、俺は小さく息を吐く。

 

――そして、俺は人垣の外へと踏み出した。

 

 

 

 

仮面ライダー以外にも擬態するとすれば?

  • ジョジョ
  • ボカロ
  • カゲプロ
  • その他(コメントにて教えて)
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